「Deepredの鎖」 登場人物紹介
主人公:赤岩跳人(あかいわはねと) 復活を目指す元スキージャンパー。 東京で生まれるも両親の離婚により、1歳半で父の実家のある長野に移住、ジャンパーであり、遠征で留守がちだった父に代わり、養祖父母や地元の住人などに世話を受けて育つ。 が、7歳の誕生日に父が山スキーの事故で亡くなり、その後、父の親友だった黒津に引き取られ、片品村(群馬)にてジャンパーとして本格的なトレーニングを受けるようになる。8歳の頃選手としてデビューし、いきなり表彰台にあがるなど天才の片鱗を見せ、16歳にはワールドカップ初出場にしてジャンプ台最大サイズであるフライングヒルにて大会当日の最長不倒距離をマークし、優勝する。海外の新聞記事の見出しに「A Prince Of Distance」と書かれた事から「飛距離のプリンス」と呼ばれ、国内でも注目を浴びるようになる。しかし17歳の頃、地元片品で開催されたインターハイでフライト中、ウサギを救出しようとコース内に侵入したひな子と接触、顔に大怪我を負う。同時にひな子が重傷を負った事もあって精神的に大きなショックを受け、大会の最中ジャンプ台のスタート地点にて嘔吐するなどして競技を続けるのが不可能となり、事故から半年後に引退を表明。その後は東京の大学に進学し、ジャンパーとなって活躍するひな子の支えになるべくトレーナーになる為の勉強を続けていたが、世界大会で優勝し、注目を浴びたひな子が事故の責任をネットで問われる事件が発生したのをキッカケに再び競技者に戻ると宣言した。 温厚な性格の持ち主であり、小さい頃から沢山の人に接してきた為、社会性に富み、誰にでも優しく親しく接する。特にひな子に対しては家族同様の強い愛情を持ち、いつも気にかけ、見守っている。普段は物静かで落ち着いた身のこなしを見せるが、ジャンプにはただならぬ情熱を持ち、強靭な体力とコアマッスルを駆使して競技に打ち込み、踏み切りの際には「じぇああああああああ…」と叫ぶ。事故のトラウマもあり、孤独や高所が苦手。賑やかな場所(イベント)と読書を好む。 |
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黒津ひな子(くろつひなこ) 国内ではアイドル的存在の女子ジャンパー。 青森で生まれて間もなく母が急死し、その母と以前交際のあった黒津に引き取られ、跳人と共に片品で育つ、が、10歳の頃、フライト中の跳人との接触事故で首に創傷を負い、激しく出血して入院する。その後、引退した跳人と入れ替わるようにしてジャンパーとしてデビューし、たちまちトップアスリートの仲間入りを果たす。中学に入ってからはナショナルチームのメンバーとして海外へ遠征し、13歳で初優勝、その後も表彰台にしばしば立つ。 性格は明るく活動的。多少のトラブルには動じず、また、負けず嫌いでもある。生まれて間もない頃から母の代わりに世話をしてくれた跳人に対して強い愛情を持ち、跳人の為なら何でもするといった大胆さを見せる。高い所を好み、塀をよじ登ったり歩いたり飛び降りたりする。 |
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黒津善和(くろつよしかず) 跳人の後見人であり、ひな子の父親。2人のジャンプのコーチをする。 会津(福島県)の生まれであり、子どもの頃からジャンプ選手として名を馳せ、社会人になってからは跳人の父とともにスイスのクラブチームに入団。世界でも活躍した。ふたりは「飛型の黒津」、「飛距離の赤岩」とそれぞれ称され、苗字の頭を取って日本では「クロアカ」、海外では「Japanese Deepred(日本の深紅=血)」と呼ばれた。 性格は至って冷静。怒りはするが笑顔は一切見せない。かといって優しさに欠けている訳ではなく、跳人とひな子に対しては私生活でも助言をしたり世話を焼くなどの気配りを見せる。片品へ連れて来た直後から厳しい生活やジャンプのトレーニングを強いた為、跳人からは脅威に思われ、親切にしても遠慮がられたりするが、たまに反発を受けても絶対的に信頼される立場にある。ひな子からは「パパ」と呼ばれ、慕われている。 |
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末継ハナ(すえつぐはな) 跳人が東京に居た時交際していた女性。暴力団の支配の元、高級コンパニオンとして働かされ、著名人相手に売春まで強いられている。 足利市(栃木県)で生まれ育った彼女はバイクショップを経営していた父の影響で早いうちからバイクに慣れ親しみ、16歳で免許を取得してからはツーリングにもよく出かけていた。が、ある日、走行中に対向車と接触し、後ろに乗せていた義理の弟を死なせてしまう。その件で弟の母親から責めを受け、賠償金を支払う為都内の飲食店で接客の仕事をしていた所、半ば騙された形で暴力団員の千川にスカウトされ、現在に至る。 跳人とは行きつけのバー「縁」で知り合い、何度か顔を合わせているうち、躰を交える事で互いを支え合う仲になった。が、跳人がジャンプに未練がある事を悟り、彼に復帰を促すようになる。その後、自分との関係を千川に知られ、客に仕立てられた跳人を怪我を負ってまでバイクで逃がすなどの活躍をみせる。そんな彼女を跳人はいつも気にかけ、感謝の気持ちを忘れないでいる。 優しく面倒見の良い性格。年上だという事もあり、跳人には気っ風のいい所をみせる。が、その反面弟を死なせた過去をひきずり、自分に自信が持てず、時々情緒不安定になったり自虐的な発言をする。復活を目指せば自分にとっても周りにとっても有意義になると跳人に諭したキーウーマンであり、跳人が復活の道を歩む事で自分も立ち直れると信じている。 |
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白川則之(しらかわのりゆき) (株)花咲蜜緋代表取締役。健康食品を開発、販売するこの会社は特にウインタースポーツの活性化に力を入れ、各競技に多額の資金援助をした事でマスコミから注目を浴びていた。 そんな彼自身もウインタースポーツのファンであり、自らもスキーをする。また、無類の温泉好きであり、そんな理由もあって本社工場を片品に移設、社名も現在のものに変更した。 片品へ来て間もない頃インターハイの開催を聞き、早く地域に溶け込もうと自らボランティアを志願。開催当日はジャンプ大会会場周辺で整備の手伝いをしていた。が、跳人とひな子の衝突を目撃し、真っ先にふたりの元へ駈けつける。自分の怪我をそっちのけでひな子を必死に救おうとする跳人の姿に心を打たれた彼はいつか社でスキー部を新設し、跳人を部員第一号に迎え入れたいと考えるようになる。それと同時に事故現場となった日輝山(ひのてるやま)シャンツェを改築する事を提案。片品の今後の発展と跳人の練習の場として利用して貰おうと動き出す。 情熱にあふれ、意志が強く、こうと決めたら絶対譲らない性格。役員会では思い通りにいかないとダダをこねるなどのワンマンぶりを発揮する。事故から2年後、復活を宣言した跳人と「花の駅・花咲」の露天風呂で偶然再会するが、選手として迎え入れる準備の全くできていなかった当初は跳人との接触を黒津から止められていた為、「一番ノリ」という仮名で素性を隠し、跳人と接触していた。そんな彼を跳人は事故発生時に駆け付けてくれた恩人として感謝し、社長と分かった後も「ノリさん」と呼んで友達のように慕っている。 |
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緑谷克二(みどりたにかつじ) フリーライターを目指す元記者。以前は肥満体だったが新聞社をクビになり、収入がなくなって食事も満足にできなくなったのを機に体重が減った。いつも同じ身なりでやつれた表情をしている。 まだ肥満体だった頃、跳人のジャンプデビューを取材しに大会会場に赴き、出場を控えてナーバスになっている跳人に遭遇、手のひらに「勇気」と書いてあげた事で跳人のデビューにして表彰台に立つ偉業のアシストをした。その後、跳人からは「ミド兄」と呼ばれて慕われるようになり、黒津親子を含めて交流を重ねていく。その後跳人が海外でも目覚ましい活躍をみせるようになり、それと同時に初めて跳人にちなんだ自筆の本を出版する運びとなったが、販売する直前に事故が発生し、結局売られず処分された。そんな恨みも多少あってか?あるスポーツゴシップ番組の出演者に雇われ、跳人の練習風景を盗み撮りする。が、その罪を許してくれた跳人に恩を感じた彼は心を改め、跳人を貶めようとする裏社会の陰謀にひとりで立ち向かうなどの活躍をみせる。 普段はオドオドした様子もみせるが根はしっかりしていて賢い。妻子もいるが、収入がなく養う事ができない為にやむを得ず別居している。ついてない人生を送り、結果的に復活の邪魔をする羽目になってしまったにも関わらず、跳人からは相変わらず兄同然に慕われている。 |
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千川俊男(せんかわとしお) 東京を拠点とする暴力団グループの幹部。著名人を対象に、末継を含むコンパニオンの派遣や賭け事の代理を引き受け、大金を稼いでいる。跳人が東京で暮らしていた頃、末継とラブホテルから出てくる所を目撃した彼は跳人が有名な元スポーツ選手である事に目をつけ、末継の客に仕立てあげて代金を奪い取ろうと謀り、逃げる跳人を足利にて捕らえるも復活の兆しを感じた彼は今後の活躍で更なる収入が見込めると睨んで跳人を片品へ逃がす。その後も賭け事の代理で上乗せ金狙いにジャンプを妨害したり、末継をエサに脅したりと裏で跳人にちょっかいを出す。末継の自由を奪い、無理な仕事を強いる彼を跳人は「金と脅しの好きな寄生虫」と称し、憎み軽蔑している。 性格は極めて冷酷かつ残忍であり、金の為なら殺人もいとわない。跳人や末継に対しても金儲けの道具としか思っていない。しかしそんな性格が災いしてか、同業の中には敵も多い。 |
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木野忠置(きのただおき) 跳人の通ってた大学の教授であり、スポーツ心理学の権威。研究を重ねては結果を本にまとめる傍ら、多くのスポーツ選手にメンタルトレーニングを施すなどをしていたが、定年を機に片品の隣にある川場村(群馬県)のリハビリ病院に移り、病院側から研究の資金援助をして貰う代わりに患者を対象に心理学講座を開いている。 跳人とは大学で知り合い親しくなった。普段から跳人の生い立ちや事故後の言動などに興味を持っていた彼は跳人を「材料」と称し、選手に戻るよう促したうえでメンタルトレーニングを受けさせようとしたが、当初は選手に戻る気がなかった跳人にはつねづね断られ続けていた。が、復活を目指すようになった現在はジャンプの踏み切りの際に出るクセの謎の一部を催眠術で解明したのをキッカケに、今後とも跳人との付き合いが予想される。 研究者気質であるがゆえに人への気配りに欠ける部分があり、跳人に対しても突き放したような態度を取るが、心の底では復活を願い、応援している。跳人もそれをうすうす察しており、腰をいたわるなど優しく接する。 また、90デシベルの大音量で笑う特技(?)を持っている。 |
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東京での主な登場人物 | |
マスター BAR「縁」の店主であり、末継の観察役でもあった。かつては一攫千金を狙って土地ころがしをしていたがそのうち千川の所属する暴力団と競売物件を巡って争いになり、それが縁で暴力団から店をあてがわれた。右のおでこには争いの跡である傷が残り、前歯が一本欠けている。一見恐そうな風貌だが口の悪い割には情け深くて世話好きな面もあり、従業員や常連客から信頼されるようになる。 ある日、大学の友人と酒を飲みに行った跳人が帰りに階段を転げ落ちて「縁」の扉に激突した。慌てた彼は怪我がないか見る為、一旦は跳人を店内に迎え入れ酒の注文も受けるが、19歳だというのが分かり、跳人を叩き出す。その後、末継の口添えで跳人の開店前での出入りを認めた。 以前は結婚もして子どもも居たが、土地ころがしに失敗したのを機に離婚。過去に少し悔みながらも「生きているには何か理由がある筈」だとポジティブに捉え、末継や他の仲間と共に跳人を復活の道へと送り届けた。そんな彼らの消息を案じつつ、跳人は感謝の気持ちを忘れていない。 |
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グラマン(左)と匿名(右) マスターを頼って「縁」に寝泊まりしていた。グラマンは常連客であるが、女性のパトロンを作っては賭け事に金をつぎ込むギャンブル狂。匿名は従業員であり、イジメと虐待を経験してか、跳人に出会う前はよく自分で自分の手首を切っていた。 ふたりとも心に傷を持つ者として跳人に希望を託し、復活を願っている。 |
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梅原(うめはら:左)と竹本(たけもと:右) 跳人の大学時代の親友。元々スポーツが大好きだった彼らは在学中運動部に入部しようとするも、あまりの体力のなさにことごとく断られた経験を持つ。大学の顔的存在であるアメフト部員たちの悪口攻撃に遭い、跳人に撃退して貰った事もあって恩を感じていた彼らは跳人を復活の道へ送り届けるべく、とある倉庫にて暴力団との戦いに挑むなどの勇気をみせる。 |
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井狭(いきょう)親子 左が父、右が息子の誠(マコ)。普段は造船業を営んでいる。 ある晩、隅田川を船で移動中、暴力団に追われて橋から飛び込んだ跳人に出くわし、救出する。その後一晩跳人を家に泊め、暴力団から逃がす手伝いをしようとするが断られ、代わりに電車賃と祭半纏を渡して跳人を片品へ送り届けた。父は頑固で正義感の強い性格。誠は多少気弱な部分もあるが人柄は良い。 |
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北海道での主な登場人物 | |
斉藤 望(さいとうのぞむ) 札幌市(北海道)に本社を置く潟с潟}キ乳業には古くからトップ選手を多く抱えてきたスキー部があり、彼はそこの部長を務めている。 方々に顔が利き、自身が設立した研修クラス(下記参照)の件では裏で手を回し、なんとか廃止を阻止しようと奮闘した。故郷である会津ではジャンプの指導者として黒津を世界レベルのアスリートに育て上げた実績があり、跳人が北海道に滞在中はその様子を伝えるべく、頻繁に電話で黒津とやりとりをしていた。夢は研修クラスから世界でも活躍できる程の技量を持った選手を輩出する事。 温厚で気さくな性格、愛犬(ジャックラッセルテリア)を散歩させるのが日課になっている。跳人が北海道へ来た当初、彼はジャンプ修行の協力者に思えたが、表向きでは跳人が所属する研修クラス廃止の賛成者となっており、普段接するには距離があった。黒津には跳人のジャンプでのクセを治す手助けをすると約束した裏で、向上心に欠ける研修クラスを跳人が内側から変えてくれるのではという淡い期待も抱いていた。そんな彼の気持ちを分かった上で跳人は「自分には研修クラスを救う力がある」と思ってくれた事を光栄に思い、「子供から始めないとジャンプは身に付かない」と云われている中で、大人になってからでもジャンプを始められるのだと証明したいという彼の情熱に敬意を抱く。 |
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潟с潟}キ乳業スキー部 研修クラス ジャンプの名門、潟с潟}キ乳業スキー部の格下クラス。一般人も気軽にジャンプを学べるよう、斉藤が設立したカルチャースクールである。遅い年齢から始めた者や引退して何年か経って再び始めた者もおり、トップアスリート揃いのスキー部と比べるとジャンプのレベルは格段と低い。がしかし、今や日本ジャンプ界のトップ選手である葛原(下記参照)が小学生時代に在籍していた事があり、タダの素人チームとは侮れない雰囲気を醸す。踏み切りの際現れるクセを克服すべく、跳人が北海道滞在の際に半年ほど在籍した。 |
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葛原友幸(くずはらともゆき) 日本のトップに君臨するベテランジャンパー。W杯では勝利数22回の記録を持ち、「世界のクズハラ」、「現役のレジェンド」という異名を持つ。跳人も選手時代彼と共に海外を遠征していた時期があり、ジャンプの先輩として尊敬し、慕っている。 性格はとにかく負けず嫌い。下川町(北海道)で生まれ、小学生時代は地元のジャンプ少年団で仲間と共に腕を磨いてたが、誰よりも技量が劣っていると感じた彼はかつて黒津を育てた斉藤を頼り、研修クラスにて腕を磨くべく週1の割合で下川から約200km離れた札幌へ通っていた。 しかし負けず嫌いの反面おだてに弱く、お世辞を云った相手に対し、食べ物をおごるなどの行動にはしる。 |
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はるにれジャンプ少年団 下川の養護施設で暮らす子供たちで結成されたジャンプチーム。 創設者は日本ジャンプ界で伝説と呼ばれ、ノルディックスキーの普及を一番の目的とする「JNSA(日本ノルディックスキー協会)」の名誉会長を務める金子作太郎(かねこさくたろう:上右)、コーチは高校時代に葛原と日本代表をかけて争っていた江田 光(えだひかる:上左)。訳あって親と暮らせない身の上に同情されるのを嫌い、イタズラをするなどのやんちゃぶりを発揮する子供たち(下)の世話をする傍ら、ジャンプを教えている。 経験豊富な指導者につきっきりで教えて貰っているせいか、子供たちのジャンプはかなりレベルが高い。創設者金子も子供たちからは絶対的な信頼を得ている。が、江田には過去、競技中の骨折でそのままジャンプをやめた過去があり、20年近く経った今もそれを悔やんでいて、昼でも酒を飲んで酔っぱらっては気を紛らわすなどしていた。 跳人とは研修クラスとの交流会の時に知り合い、いざこざもあったものの、最終的には打ち解け仲良くなる。同じような境遇を持つ跳人を子供たちは「アニキ」と呼ぶ。 |
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片品村の住人たち
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↓今後登場する人物 | |
紺塚優貴 (こんづかゆうき) 飛型に定評のあるトップジャンパー。由緒ある家柄の生まれで訳あって東京から北海道へ移住。 ヘルメットからスーツ、板まで全て黒づくめで飛ぶので「黒の貴公子」と呼ばれている。 |
畑元鷹志 (はたもとたかし) 責任感が強くて世話好き。 白馬ジャンプ競技場で所長をしていたが… |
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尚、登場人物の中には今後名前や外見、立場の変わる者も居ります。
他にも紹介しきれなかったユニークなキャラが登場しますので
どうぞ当作品にご期待、ご注目よろしくお願いします♪