考古学シリーズ:聖竜探求
BBSの「マルディアス通史を読んで」の、MarK2さんの書き込みも同時に参照してください。
南北エスタミル、タルミッタ、マラル湖のある地域は、現在クジャラートという国の領土です。
クジャラートが国としてまとまったのは300年前。それ以前は少数部族が乱立し、その裏にはアサシンギルドの存在がありました。
そして100年前に突然、驚異的な勢力で周辺諸国に侵攻を開始します。
背後関係は不明です。ただ、このとき無人のフロンティアに進出しなかった理由は、古の大戦前からモンスターの巣窟になっていたこと、また、少し前(詳細は不明)にエスタミル王国を襲ったバンパイアが封印されたばかりだったこと、などが考えられます。
その後30年ほど戦乱は続いたあと、一応の平和が訪れます。
クジャラートは政策の重点をフロンティアの開拓に移し、フロンティアを目指す人々にニューロードを開放しています。フロンティアは今のところどの国にも属しない中立の開拓地です。
タルミッタの老婆が、「水竜の祭りが絶えてから久しい。水竜様もさぞやお怒りだろう」と語っています。これより、水竜信仰が途絶えたのは老婆が若い頃、戦乱の収拾と同時期と推定できます。
前置きが長くなりましたが、今回の題材は「なぜクジャラートは動いたか」です。以下はシュウの妄想なので疑いながらお読みください(笑)
クジャラートの一部族は、はるか昔から水竜を厚く信仰し、その恵みに頼って暮らしていました。その恵みとは水竜の持つ「雨雲の腕輪」の魔力による自然灌漑に他なりません。
地図を見る限り、緑に覆われた土地であるかのような錯覚を受けますが、クジャラートの民族衣装がまさに砂漠地帯のそれであることが、当地の自然環境がかなり奇怪なものであることを示しています。
マラル湖は内陸の高地にあり水を湛えています。水竜がいるからこそ、もとは砂漠であった地帯(高原の盆地という水が最も湧きにくい土地)が巨大な湖に変貌を遂げたとも考えられるのです。すなわち、たとえ湖があっても自然に雨が降ることは無いのでしょう。
少数民族の技術力では、マラル湖からの大規模な水利工事は不可能でした。「雨雲の腕輪」の水の恵みは何よりも尊いものであったと推測されます。そして恵みを約束するために、水竜に生娘を捧げる儀式が継続して行われていました。
クジャラート統一で中心となった部族は、水の恵みで勢力を蓄えた水竜信仰の一派と考えて問題ないでしょう。
統一後、政治が安定し、人口が増えて簡易な水利事業が行われ、農業生産力が飛躍的に向上安定すると、水竜信仰派は徐々に廃れていったと考えられます。
この頃に、ある尊き竜が水竜を訪ねて雨雲の腕輪を借り受けました。アディリスです。
その直後、クジャラートは突然、水不足に悩まされることになります。
水竜が雨雲の腕輪を手放したことにより、マラル湖から流出する水量が若干ながら減少し、それが脆弱な灌漑設備に直接的な不具合をもたらしたのでした。
クジャラートは迅速にエスタミル王国を制圧し、その優れた水道技術により灌漑設備の不具合をひとまず解決しました。それでもなお、クジャラート人の水への欲望は満たされませんでした。
人々は水竜の存在を思い出し、水位を変動させるその偉力に恐れおののきました。水竜に使者と供物を出し、水位変動の原因=雨雲の腕輪の喪失、東に尊き竜の存在を知りました。ふたたび水竜信仰派が政治の実権を握るようになります。
雨雲の腕輪を持ち去った東の竜を追い、その根城を落とすため、クジャラートは東進政策を押し進めます。しかしローザリアに敗れ、騎士団にも敗北を喫します。これによりクジャラートは疲弊し、水竜信仰派は失脚しました。
水竜派に変わって商業派が政治の実権を握りましたが、近年、政治腐敗と悪徳貿易が大きな問題として浮上しました。地下に潜った水竜派が、タルミッタのハルーン(彼もまた熱烈な水竜信者とされる)と結託して水竜の力を借り、政体の転覆を謀ろうとしています。
しかしながら、そこに水竜への信仰心は、もはや存在していません。ハルーンは単に水竜の力だけを求め、水竜は、たまの来客(善悪は問わず)に気をよくしているだけでしょう。
そしてプレイヤーに雨雲の腕輪を要求する水竜はまるで、クジャラートに再び雨をもたらし、ヒトの醜い心(あるいはヒトの存在そのもの)を洗い流そうとしているかのようです。