FAQ
- Q
審議中のIEC規格案につけられる文書番号や記号の意味が分からないのですが。
- A
IECでは、審議中の規格案には、正式に発行された(される、されている)規格(IS:International Standatds)とは、
全く異なった体系の番号が付与されます。
この点が、正式発行(予定)規格番号と一致させたISOと大きく異なる点です。
- IECでは、下記の段階を踏んで審議が行われ、正式規格が発行されます。
この各段階において発行される文書は、
「TC/SCを表す数字(SCの場合は末尾に英字1桁付加)」+「そのTC/SC内全文書を対象とした一連番号」+「文書種別を表す記号」の形式で番号が付与されます。
- TC(技術委員会)/SC(分科委員会)では、規格制定/改正審議を開始する場合は、
新規業務項目提案(NWIP)をNP文書を発行する。
- 各国の投票により承認されると、プロジェクトとしてIEC中央事務局のデータベースに登録され、正式な審議許可がでる。
TC/SCでは、既存または新設のWG(Working Group)、PT(Project Team)に審議を依託する。
WG、PTは、各国より推薦された専門家により構成され、各委員(WG国際メンバ)は、
出身国の国内委員会と密接な関係を保ちながら、専門家個人として活動する。
なお、NP文書に添付されていた規格原案が、
内容的にも様式的にも整っており、各国から異論がでない場合は、WG(PT)に依託せず、
直接、CD文書、
CDV文書の発行に進むこともできる。
- WG、PTでは、NP文書に添付された規格原案をもとに、
実質的な審議を行う。この審議の過程で、WG(orPT)内での意見交換用や規格原案の提案等のために
WD文書が発行される。
- WG(PT)における議論が煮詰まると、委員の合議により作成された規格案が、CD文書が
作成され、TC/SCに提出される。
規格案の完成度が高い場合は、直接CDV文書として提出されることもある。
- TC/SCでは、CD文書を各国の国内委員会に送付し、
意見を求める。
集められた各国の意見(コメント)は、TC/SCの国際幹事により整理され
CC文書として各国国内委員会に送付される。
各国の意見がまだ一致してないときは、それらの意見を反映した2ndCD文書が
各国国内委員会に送付され、再度、意見を求められる。このサイクルは、意見の大筋での合意が得られる迄、繰り返し行われる。
各国の意見が「ほぼ一致」した段階で、CDV文書が発行され、
各国国内委員会の投票にかけられる。規格案に対する技術的修正意見を提出できるのはこの段階までで、
以降は賛否のみの投票となるので、CDV文書の内容に
「受け容れがたい技術的な不備・不具合」がある場合は、「反対」し「修正」を求める必要がある。
各国投票により賛成となると、次段階のFDIS文書作成となる。
- FDIS文書は、そのまま国際規格となる内容と体裁を備えたもので、
各国の賛否投票(技術的内容修正は受け付けられない)にかけられ、承認されると正式IEC規格(IS)として発行される。
- たとえば、TC47/SC47Dにおいて発行される文書は、その発行順に従った一連番号が付与され
- 47D/123/NP : SC47Dが担当する、あるIEC規格の改訂提案文書
- 47D/124/INF : 上記文書とは無関係な、SC47D内での別件連絡文書
- 47D/125/RVN : 47D/123/NPで提案された件に関する各国投票の結果報告文書
- ・・・・・・
- というように発行されていくわけです。
- Q
審議中のIEC規格案文書番号と正式なIEC規格番号の対応はつかないのですか。
- A
番号での直接的な対応はとれませんが、対応を知る手段は、いくつかあります。
- NP文書が承認された場合、投票結果報告書である
RVN文書には、中央事務局により付与された
「プロジェクト番号」が明記されますが、その番号には「予定される(改訂の場合は既存の)IEC規格番号」が含まれた形式になっています。
これ以降の審議文書にはすべてプロジェクト番号が明記されますので、表紙をみれば対応するIEC規格番号を知ることができます。
- NP文書で既存規格の改訂を提案する場合は、
既存規格の番号を明記し、どの部分をどのように改訂するか提案することになっています。
この場合、審議文書の表題に規格番号を含めることが通例ですので、表題から知ることができます。
- IEC中央事務局のホームページにある「IEC規格検索機能
URL見直し:2002-10」
で、規格番号をキーとして検索すると、該当する既発行規格リストの後ろに、審議中の規格案リスト(Work in progress)が表示され、
その各々に対し該当する審議文書番号が表示されます。従って、IEC規格番号から、その規格に関係する審議文書番号を知ることは容易といえます。
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