バイク道楽日誌 No.62

 
2003年9月7日(日)   「求道雲遊」
 

(レタリング)
 新しく買ったロードスターのパニアケースの動研製薄型リッドは、車体色に合わせた黄色である。
 ところが、リッド面は割と広いし、黄色は膨張色だから、黄色と黒のカラーリングのロードスター本体の後ろに黄色一色のパニアケースを着けていると、やや間延びした感じになる。
 その対策として何か良い方法はないかと思案していたところ、先日、関西に住むRT及びロードスター乗りのカズさんのHPで、私のと全く同じ黄色一色のパニアケースリッドの下段に、「BM Kazu」と自分の名前をレタリングしているのを拝見した。
 文字がアクセントとなってリッド全体が引き締まり、なかなか良い。ペイントで直接書いたのか、レタリングした文字を貼ったのかはよく分からないが、なんとか自分でもできそうだ。よし、これで行こうと決心。但し、自分の名前を書くのは照れくさいので、何か気が利いた言葉を書こうと思い至った。

(言葉選び)
 しかしながら、浅学非才の身では気の利いた言葉そのものが出てこず、悩んでいた折り、「BMW BIKES」誌をぱらぱら見ていたところ、巻末のほうの連載もの「あかべこ物語」の副題に「求道雲遊」とある。「己が進むべき道を求めて各地を巡り 路傍に落ちている小石を拾い集める鉄馬の旅 心は気ままな雲の如く幼子の遊びに似たり」という説明も付いている。左側にはこの言葉を借用して書くことにした。
 ついでに右側には、バイクを乗り始めたときからの私の夢「日本一周」と書き、横に日の丸も書こうと思ったのだが、ツーリングの折りに貧さんたちに打ち明けたところ、理由も言わずに「よした方がよい」と相手にしてくれない。
 言葉そのものが平凡だからかと、これに代わる気の利いた言葉を探していたところ、「BMW・ボクサージャーナル」誌で「TOUR DE NIPPON」という表現を見つけた。フランス語のぶん「日本一周」よりは洒落た感じである。左右のパニアが漢字とローマ字というチグハグさはあるが、右側にはこの言葉を書き、日の丸も添えることにした。(ただ今、制作中)

 
(求道雲遊)
 「求道雲遊(ぐどううんゆう)」。いい言葉である。私の場合、「求道」は、「生き方を求めて」というような深い意味ではなく、「バイクで走る道を求めて」という単純な意味でも十分である。
 「雲遊」がいい。行く雲とともに身体一つで諸方を遍歴し、禅の修行に励む雲水のような自由な境地を感じさせる言葉だ。実際、私は、青い空と白い雲の下、地方の山里や山岳道路をバイクで流しているときなどに、無上の至福を感じるときがある。
 かって、学徒出陣の特攻機乗りの遺書に「雲こそ我が墓標」という言葉があったが、時代が変わり現在は、私のようなおじさんがオートバイに乗って雲と戯れている。平和ないい時代になったと痛感する。
 心配しながらも自由に振る舞わせてくれる家族に感謝し、一緒に付き合ってくれる仲間にも感謝しながら、求道雲遊の言葉とともに、いつまでも、どこまでもオートバイに乗り続けたい。