バイク道楽日誌 No.34 
 2001年6月9日(土)〜13日(水)   「大型自動2輪教習 第1段階」
(F自動車学校入学まで)
 環境問題やエネルギー問題などから、 リッターバイクや、それを操る大型2輪免許に対して懐疑的なことを言ってきた私が、節操もなく、大型2輪免許取得を決意した理由は単純である。どうしても欲しいバイクが出てきて(別途報告予定)、それに乗るには大型2輪免許が必要だからである。これをメインの理由とし、免許取得のための教習を通して自分のライディングテクニックを上達させるという言い訳も加わる。
 まず、教習所選びから始めた。3年半前、普通自動2輪を取得したY自動車学校は、自宅から歩けるほどの近さだが、大型2輪教習はやっていない。そのため、大型2輪もやっている教習所3カ所の情報をインターネットから取得し、実際に3カ所を直接訪問して比較し、F自動車学校に決定した。ここは自宅からバイクで約20分、年中無休で、窓口も親切であった。他の1校はF校よりは近いが、入校日や検定日が平日にしかなくてパス。もう1校は、大規模校でコースも広いが、茶髪の若者ばかりがわんさかいて、どこかの大学のキャンパスにいるような違和感があり、敬遠した。
 F校はインターネットやiモードで教習予約やキャンセルができるのもありがたい。入校式と適性検査が6月3日(日)にあり、6月9日(土)から教習がスタートした。
(教習初日 第1段階の1時間目)
 教習生は私を含め7名。うち、大型は3名だが、新入りの私には指導員が専任で1名付く。教習車はCB750。これを車庫から引っぱり出してくるところから教習は始まった。
 まず、センタースタンド掛け、同外し、押し歩きをさせられ、ここまでは何とかできたが、倒れた車体の引き起こしには手こずった。あらかじめ「大型自動2輪免許完全合格」(日本文芸社)という本を読んでいたので、そこに書かれていたとおり、膝を車体の下に潜らせて、低い姿勢から立ち上がるようにしながら車体を起こそうとするのだが、ぴくりともしない。結局、もう少し立ち上がった姿勢で、腕力で引っ張り上げるような動きを加えて、やっと起こせた。
 始業前点検というのもやらされた。タイヤやホーン、ランプ類が異常ないか点検する。フロント部分を持ち上げてのタイヤの点検は疲れる。この始業前点検は教習の始めに毎回やってくださいとのこと。
 その後やっと、乗車しての外周3週。これまでクラブのツーリング等で、大型バイクにまたがらせてもらったことはあるが、動かしたことは一度もなかったので、現実に大型を動かしていることにいささかの興奮を覚える。
 次いで一本橋とスラローム、それに幅1メートル、長さ10メートルくらいにわたって両側にポールを並べた間を通る「狭路走行」の3つを組み合わせで何度もやらされる。
 一本橋は、ほとんど落ちないで走行できるが、時間をかけては乗っておれない。スラロームは、パイロンには一度もぶつけなかったが、スピードは遅い。狭路走行は、日頃のすり抜けの成果か、全く問題ない。
 最後にまた外周走行があったのだが、それから戻ってきたとき、アクシデントを起こしてしまった。集合場所に立っていた指導員が、私に向かって、「大型はあちらに止めてください」と言うので指示された方向に曲がろうとしたところ、おそらく親切からだろうが、「あそこです」と言いながらさらに私の目の前に出てくる。ぶつかりそうになったので、思わずブレーキをかけたところ、ちょうど曲がろうとしていたところだったため、そのままばったり転倒してしまった。教習終了時で他の教習生が集まっている目前である。これからの教習で、転ぶ場面はいくつもあるだろうに、全くよけいな転倒であった。
 教習終了後、自宅まで自分のCB400で帰ったが、そのあまりの小ささと、軽さにすっかり違和感を覚えた。風が吹けば倒されそうというか、何とも頼りない感覚。たった2時間大型に乗っただけなのに、みんなが大型に乗りたがる気持ちがいっぺんに分かってきた。
(教習初日 第1段階の2時間目)
 2時間連続教習の2時間目。始業前点検から外周の3週走行までは1時間目と同じ。その後、検定時のスタート場所になる事務所前のポールのところからの発進手順の練習、走行車線での障害物を避けるための進路変更、交差点通過などを行い、再び一本橋とスラローム。
 今回は指導員がストップウオッチで計測する。結果、一本橋は10秒以上が基準なのに9秒台が1回だけで、全部8秒台。おまけに、時間を気にしていたら、脱輪も数度。スラロームは7秒以内が基準なのに何回やっても8秒台。全く前途多難だ。
 スラロームの隣は急制動のコースなのだが、突然ドスーンという物音で振り向くと、大型2輪の教習生が見事に転倒している。若い女性だ。
 少し怖くなっていたら、なんと、指導員は、私にも「少し急制動の練習もしましょう」と言う。最初に、指導員がリアブレーキだけを使ってのフルブレーキングを見せてくれる。その時の迫力がすごかった。キーッという音がして、煙が上がり、ゴムの焦げた臭いが漂ってくる。さすがプロだけあって、転倒もせず、停止線を少し超えたところでまっすぐ停止している。次いで、フロントブレーキとリアブレーキを7対3の割合で使ってのフルブレーキング。停止線のはるか手前で止まっている。
 私は、今日は初めてなので時速30キロメートルでよいとのこと。停止線の手前でスムーズに止まれた。
(教習第2日 第1段階の3時間目)
 初っぱな、センタースタンドを掛けようとして、うまくいかない。担当でない指導員が近寄ってきて、「向こう側の爪が地面に当たってないからですよ」と教えてくれる。両側の爪が同時に地面に当たっていないと絶対に掛からないことがよく分かった。
 今日は練習コースの2番というのをやる。一本橋とスラロームに、坂道発進が組み合わさったもの。初日より少しでも進歩したところを見せなくてはならないので、一本橋は、半クラッチやリアブレーキを積極的に使うが、あまりスピードは変わらない。脱輪はほとんどしない。スラロームは、より車体を倒すようにし、かつ、アクセルを要所要所で吹かせるが、タイミングが悪く、出口に近づくほどパイロンを引っかけそうになる。
 坂道発進は、少しぐらついて止まるときがあるが、ほとんど問題ない。

(教習第2日 第1段階の4時間目)
 連続の時間では予約が取れず、朝一番に教習を受けて、いったん家に帰り、午後遅くの教習をまた受ける。この時間帯は教習生が大変多く、2輪で10名もいる。
 今回はS字とクランクをやる。以前、警視庁の講習会で、S字とクランクを交えたコースを集団でスピードを上げて何周も連続走行したこともあるので、この科目は楽観視していたのだが、思いもかけず失態をさらしてしまった。
 2速でS字は簡単にクリヤーしたのだが、その勢いで2速のままクランクに入ったところ、スピードが出過ぎていて、最初のコーナーを曲がり切れず、転倒してしまったのだ。ちょうど、クランクの先の走行車線には普通2輪のグループが5,6台つながって信号待ちをしていてしっかり見られてしまい、恥ずかしいことこの上ない。車体は気合いで起こす。
  悪いことは重なるもので、次は1速でクランクに入ったのだが、この時も最初のコーナーでぐらついて、思わず右足を付いて踏ん張ってしまい、後ろから付いてきていた指導員に見られてしまった。
 教習の終わりには控え室に戻り、それぞれの指導員からその日のコメントをもらい、教習簿を返してもらうのだが、「S字もクランクも近くを見過ぎています。もっと目線を先のほう、先のほうにもっていってください。次回は8の字走行の練習をしましょう」と言われる。基本を忘れていて大いに反省する。
 それにしても、午後は少し身体の疲れが出てくるのかもしれない。思わず、自分の年のことを考えた。今までのところ、この教習所では、普通2輪に40代前半くらいの人を見かけたくらいで、もちろん50代はいない。しかし、指導員は私の年のことに全く触れないし、私を特別扱いにもせず、私を含めすべての教習生に丁寧で、優しい。良い教習所に当たったものである。
(教習第3日 第1段階の5時間目)
 今回の教習生は、普通2輪2名、大型2輪2名と少ない。指導員も2名だけ。私のメニューは、前回終了後に言われたとおり、まず8の字走行から。
 普段、4輪の教習車がプールされている場所の地面に大きな○が二つ書いてあり、教習車が全部出払った後に練習を始める。指導員の後を付いて、まずローギアで低速の8の字。ギアがぎくしゃくして、結構難しい。次いで、ギアを2速にして、スピードを上げての8の字。指導員が速いので、後ろ2メートルくらいでスタートしても、すぐに8の字の交点あたりでぶつかりそうになり怖いが、先方はプロなんだから避けてくれるだろうと、気にせずに突っ込んでいく。顔を180度くらい進行方向に向けて走るようにと言われる。
  8の字走行の感覚を忘れないうちに、S字とクランクのコースに行く。今回はばっちり、一度も失敗しない。次いで、一本橋、スラローム、坂道発進も行って終了。
 第1段階の5時間目は見極めの時間。前回の転倒があるし、一本橋、スラロームの時間の問題があるので、ほぼあきらめていたところ、意外と、「これで第1段階は終了します。次の時間から黄色いゼッケンに変えてください」と言われる。思わず、「ありがとうございます」と最敬礼したところ、「一本橋がまだ10秒出ていないので、第2段階でよく練習して検定に間に合わせてくださいね」と、まだ十分なレベルではない見極めであることをしっかり示唆される。