10日(土)
宿泊先は花見屋旅館というところ。ここはバイク乗り向けの宿らしく、我々の他にもバイク乗りのグループが2組来ている。広い露天風呂があり、早速入っていると、パラパラと雨が降ってくる。乳白色の湯に小さな雨粒がいくつもはじけて、結構な趣きとなる。
宴会の前に同室の牧山さん、児玉さん、小野さんとを話す。皆さんベテランライダーばかりで、ツーリング経験も豊富。あちこちの山や温泉など、今まで行って良かったところの話が出る。ソロで何泊もかけて出かけておられる。
着替えの時に見ていると、皆さん脊椎パットも着用されている。私は今回から初めてニーパッドを付けてきたばかりで、脊椎パッドまではしていないが、ベテランの方ほど装備も万全ということがよく分かった。とにかく、一緒に宿泊すると、情報量が豊富になる。
広間での宴会のあとは、会長さんたちの部屋に場所を移しての2次会となって、就寝したのは11時過ぎであった。
朝目覚めると、天気は快晴だ。しかし夜半に雨が降ったらしく、旅館の裏手に置いていたバイクがどれもびっしょり濡れている。タオルでよく拭いてエンジンをかけるがかからない。どなたかがチョークを引いた方がいいですよと言われる。チョークを引くとすぐにかかった。ここは東北の山の中で、横浜よりはるかに気温が低いということを忘れていた。
バッテリー上がりを起こして押し掛けするバイクもあって、にぎやかに朝の支度が終わり、8時20分頃に宿を出発。
磐梯吾妻レークラインを通って、9時15分頃、五色沼の入り口、毘沙門沼に着く。既にかなりの観光客が来ておりにぎやかだ。五色沼とは、ここからスタートして約3.7Kmの遊歩道沿いにある10数個の沼の総称で、それぞれの沼の色が五色に変化するという。
確かに、毘沙門沼を見ると、水面が所によって青色や緑色などをしており、その色合いが神秘的に感じられるほど深い。その中にボートをこぎ出している人たちも多い。
ところで、今回のツーリングでは、日曜日の夕5時頃までには絶対に帰宅しなければいけない用事があったため、五色沼でグループを離れ、ひとりで帰路につくこととした。土産に名物の「ゆしべ」を買い、「気を付けて」の声に送られて10時ちょっと過ぎに皆さんと別れる。
少し早くは出るが、帰路もグループ行と同じルートをとるつもりでいたが、五色沼の状況を見ると観光スポットは混んでいそう。このため、猪苗代湖や野口英世の生家はあきらめて、磐梯ゴールドラインのみ体験して、あとは高速道路で一気に帰ることとする。 磐梯ゴールドラインは、空いていて快適であった。ところどころに見晴らしの良い駐車スポットが用意されていて、そのすべてに停まって写真を撮ってくる。 まだ紅葉は少ないが、ススキの群生があったりして、東北の秋の美しさは十分に味わえる。 |
ゴールドラインを終わり、磐越自動車道の磐梯河東インターに向かう途中の、右側に見えた景色は素晴らしかった。ゆったりとした磐梯山の山すそから道路ぎわまで一面、黄金色に色づいた稲穂が波打つ田んぼが広がっている。走りながら、日本人としての心を揺さぶられたひとときであった。
磐越自動車道を利用するのは初めてであったので、地図をもらうために磐梯山S.Aに寄る。車も少なく、バイクは私の1台だけであった。缶コーヒーを飲んで再び出発支度をしていると、アメリカンに乗った若者が降りてきて「こんにちわ」と声をかけてくる。「こんにちわ」と声を返して出てきたが、お互いひとり旅で、せっかく声をかけてきてくれたのにやや愛想なかったかなと、後悔する。
片側一車線しかなく、単調な山間を縫う磐越自動車道をひた走り、郡山JCTから常磐自動車道に入る。30Kmほど距離が多いが、東北自動車道よりは空いていて早いだろうということでこのルートを選んだのだが、大正解で、東京まで渋滞知らず。首都高速も時間が早かったせいか混んだ箇所はほとんどなく、4時前には横浜の我が家に無事到着した。
【走行距離】 824Km