バイク道楽日誌 No.18

98年10月10日(土)、11日(日)    「磐梯・五色沼ツーリング」

10日(土)

(渋滞の東北自動車道)
 初めての宿泊ツーリング。日帰りのとき持っていくもの以外に、洗面道具と着替え、寒くなったときのためのトレーナーを入れたため、サイドバッグはいっぱいに膨れている。
 朝5時半に家を出て、24時間営業のスタンドでガソリンを満タンにし、第二集合場所の湾岸高速大黒P.Aに集合時間の6時ぴったりに着く。ところが、ここまでの走行でかなり寒い。上はポロシャツと真夏にも着たライディングウエア、下はジーパンというスタイルであったが、早くもトレーナーを着込む始末となった。革ジャン上下という人も結構多い。
 土曜日だから日曜日よりは車の数が多いのは覚悟していたが、首都高速でも、川口インターから入った東北自動車道でも、断続的に渋滞に遭遇する。9月以来長雨が続いていたので、久しぶりに好天気が予想されるこの週末にみんなどっと繰り出したのだろう。走行車線と追い越し車線のノロノロ運転の車の間を、時速5、60キロくらいですり抜けしながら進む。
 上河内S.Aを過ぎた辺りから渋滞がなくなり、みな一斉に飛ばし、12時少し前に福島西インター出口に到着。ここまでは天気は良かったのだが、国道115号線沿いの大きなそば屋で昼食をとっていると雨が降りだしたが、昼食が終わって出発の頃には止んでいるといった状態。
 磐梯吾妻スカイラインを登り、2時頃吾妻小富士のレストハウス前に到着した。

(強風の吾妻小富士) 
 ここで約1時間の休憩になり、そのままレストハウスに入る人と、小富士の頂上まで徒歩で登る人とに分かれたが、私は頂上まで登る組に入る。
 登るといってもすぐそこに頂上は見えており、10分もすれば着くような所だが、勾配が急で風も強いので結構しんどい。たどり着いたのは、すり鉢上の火口のへりの所。7、8人で登ったが、30分はかかると言われるお鉢巡りをする人は誰もおらず、みな早々に引き返す。

(中の沢温泉・バイク宿)
 土湯峠を経て再び115線に出て、中ノ沢温泉に着いたのは4時半頃であった。この温泉は、旅館が12軒しかないが、猪苗代周辺ではもっとも大きな温泉郷とのこと。けばけばしさがない、静かな雰囲気が良い。

 宿泊先は花見屋旅館というところ。ここはバイク乗り向けの宿らしく、我々の他にもバイク乗りのグループが2組来ている。広い露天風呂があり、早速入っていると、パラパラと雨が降ってくる。乳白色の湯に小さな雨粒がいくつもはじけて、結構な趣きとなる。

 宴会の前に同室の牧山さん、児玉さん、小野さんとを話す。皆さんベテランライダーばかりで、ツーリング経験も豊富。あちこちの山や温泉など、今まで行って良かったところの話が出る。ソロで何泊もかけて出かけておられる。

 着替えの時に見ていると、皆さん脊椎パットも着用されている。私は今回から初めてニーパッドを付けてきたばかりで、脊椎パッドまではしていないが、ベテランの方ほど装備も万全ということがよく分かった。とにかく、一緒に宿泊すると、情報量が豊富になる。

 広間での宴会のあとは、会長さんたちの部屋に場所を移しての2次会となって、就寝したのは11時過ぎであった。

  
11日(日)
(五色沼)

 朝目覚めると、天気は快晴だ。しかし夜半に雨が降ったらしく、旅館の裏手に置いていたバイクがどれもびっしょり濡れている。タオルでよく拭いてエンジンをかけるがかからない。どなたかがチョークを引いた方がいいですよと言われる。チョークを引くとすぐにかかった。ここは東北の山の中で、横浜よりはるかに気温が低いということを忘れていた。

 バッテリー上がりを起こして押し掛けするバイクもあって、にぎやかに朝の支度が終わり、8時20分頃に宿を出発。

 磐梯吾妻レークラインを通って、9時15分頃、五色沼の入り口、毘沙門沼に着く。既にかなりの観光客が来ておりにぎやかだ。五色沼とは、ここからスタートして約3.7Kmの遊歩道沿いにある10数個の沼の総称で、それぞれの沼の色が五色に変化するという。

 確かに、毘沙門沼を見ると、水面が所によって青色や緑色などをしており、その色合いが神秘的に感じられるほど深い。その中にボートをこぎ出している人たちも多い。

(磐梯ゴールドライン)

 ところで、今回のツーリングでは、日曜日の夕5時頃までには絶対に帰宅しなければいけない用事があったため、五色沼でグループを離れ、ひとりで帰路につくこととした。土産に名物の「ゆしべ」を買い、「気を付けて」の声に送られて10時ちょっと過ぎに皆さんと別れる。

 少し早くは出るが、帰路もグループ行と同じルートをとるつもりでいたが、五色沼の状況を見ると観光スポットは混んでいそう。このため、猪苗代湖や野口英世の生家はあきらめて、磐梯ゴールドラインのみ体験して、あとは高速道路で一気に帰ることとする。
 磐梯ゴールドラインは、空いていて快適であった。ところどころに見晴らしの良い駐車スポットが用意されていて、そのすべてに停まって写真を撮ってくる。
 まだ紅葉は少ないが、ススキの群生があったりして、東北の秋の美しさは十分に味わえる。
 
(磐越・常磐自動車道)

 ゴールドラインを終わり、磐越自動車道の磐梯河東インターに向かう途中の、右側に見えた景色は素晴らしかった。ゆったりとした磐梯山の山すそから道路ぎわまで一面、黄金色に色づいた稲穂が波打つ田んぼが広がっている。走りながら、日本人としての心を揺さぶられたひとときであった。

 磐越自動車道を利用するのは初めてであったので、地図をもらうために磐梯山S.Aに寄る。車も少なく、バイクは私の1台だけであった。缶コーヒーを飲んで再び出発支度をしていると、アメリカンに乗った若者が降りてきて「こんにちわ」と声をかけてくる。「こんにちわ」と声を返して出てきたが、お互いひとり旅で、せっかく声をかけてきてくれたのにやや愛想なかったかなと、後悔する。

 片側一車線しかなく、単調な山間を縫う磐越自動車道をひた走り、郡山JCTから常磐自動車道に入る。30Kmほど距離が多いが、東北自動車道よりは空いていて早いだろうということでこのルートを選んだのだが、大正解で、東京まで渋滞知らず。首都高速も時間が早かったせいか混んだ箇所はほとんどなく、4時前には横浜の我が家に無事到着した。

【走行距離】  824Km