バイク道楽日誌 No.17

98年10月4日(日)   「警視庁ライディングスクール受講」

(受講まで)
 私のホームページを見てくださった東京の方から、毎月第1と第3日曜日に警視庁交通安全指導センター主催によるオートバイの安全運転講習会が開かれていることと、その申し込み方法等を教えていただき、さっそく申し込んで、今日が初受講となった。
 申し込みは受講日の12日前から電話(03ー3417ー1171)で行う。今回の場合、9月22日の朝一番に電話し、無事予約が取れた。窓口の人もなかなか親切だ。
 会場は、多摩川河川敷の東名高速道路の橋脚下をはさんで東西に広がる警視庁の白バイ訓練所の練習コース。246号線を二子多摩川駅の所まで行き、多摩堤通りに入ってしばらく行くと警視庁交通安全指導センターの看板が出ているのですぐに分かる。
 ただ、コースを見おろす土手に出たところに「自動車、バイクの進入禁止」という大きな看板が出ているため、一瞬進入をためらってしまった。「講習会受講生を除く」と書いていてほしいところだ。
 8時半から9時過ぎ頃までが受付時間。バイクを橋脚下に置いた後、既に集まっていた常連らしき人に聞いて、再び土手を上がり、センターの建物内に手続きに行く。そこで詳しい申込書を書いてゼッケンをもらった。
 申し込みに行く途中で、同じツーリングクラブの女性とばったり出会う。やはり今日が初めてで、仲間には内緒で上手くなりたいから来たとのこと。
 しばらく待たされ、10時ちょっと前に集合がかけられる。まず全員で屈伸運動を行った後、ズラリと横1列に並んだ教官(全部で12、3名。白バイ隊の制服の人も4人いる)の前に、受講生は横4列となって並ばされる。
 本日の受講生は108名とのこと。受講回数や能力別にA、B、Cの3班編成で、私はもちろん初心者のA班。赤ゼッケンである。A班は30人近く、女性も多い。
 諸注意の後、「気をつけ、礼」で講習が始まる(終わりも同じ)ところは警察らしいが、気が引き締まって良い。
(講習内容・・午前)
 まずバイクへの乗降の方法と乗車姿勢の指導がある。教官の模範演技を見た後、自分のバイクに乗って行うのだが、自分のバイクにセンタースタンドが付いていない人は教官のバイクを借りる。本物の白バイにまたがれた幸運な人もいる。
 その後、白バイ隊員による急制動やスラロームの模範演技にビックリしてから、いよいよ実技の開始。
 午前中は、練習コースの西半分を使って、
  @急制動(時速3〜40キロくらい。フロントブレーキだけで止まる)
  A一本橋
  Bスネーク(ジグザグで、かつ、途中にコブの付いた一本橋)
  C波状路
  D砂利道(大きめの玉砂利が敷き詰めてある)
  E千鳥(フルハンドルで急角度に右左折しながら狭いパイロン間を抜けていく)
  Fスラローム(直線路にパイロンが等間隔に並べてあるだけ)
 を教わった。
 @、A、Fは割と簡単だが、BからEまではこれまでやったこともない課題で、結構難しい。結果を言えば、
 中腰で行う波状路は、上体が大揺れして格好は良くないが、すべて完走。砂利道は、教官のアドバイスどおりアクセルを強めに開けながら走り、すべて完走。
 千鳥は、バイクが倒れそうになり、思わず片足を付くことが数回。スネークは極めて難しく、一回も完走できず。
 という次第であった。
 教官から強調して説明されたのは、バイクはアクセルを開けながらバランスを取るということ。そのため、クラッチを切った状態でアクセルを開き、その状態からポンとクラッチをつなぐ、といったテクニックを使うように言われるが、これがなかなか上手くできない。
 波状路や砂利道でエンストしたり、転倒したりする人も結構いる。私は、転倒しないで済んだだけよしとしなければならないが、バイクは、ギクシャク動かしたり、タイヤを擦ったりしたため、かなりの酷使状態となった。
 途中、10分間程度の小休止をはさんで、正午まで2時間みっちり練習が続き、おなかもペコペコになる。

(講習内容・・午後)
 昼食休憩後は、1時から講習の再開。今度は、B,C班と入れ替わって、A班が練習コースの東側を使う。こちらは、クランクやS字、坂道などを囲んで、長い直線路があるが、これを使っての急制動の練習からスタート。
 午前中のと違いコースが長いので、できる限りスピードを出すように、そして、フロントブレーキだけを使って、少しでも短い距離で停止するようにと言われる。
 短く止まるためには、ブレーキは思い切って強くかけなければならないが、あまりガツンとかけると車輪がロックするので、気をつけながら行うようにとも言われる。難しい注文である。
 私は、免許取得のため教習所に通っていた際、急制動時の後輪ロックで転倒した体験があるので、潜在心理が怖がっているらしく、時速70キロくらいで走ってきてかなり短く停めたつもりでも、「もっと強くかけても大丈夫ですよ」と数回促される。
 次は、同じ外周コース上にA班全員が10メートル間隔くらいに散らばって、ハンドルを思いっきり切った状態でぐるぐる円を描いて回る練習。ごく低速なので、倒れそうになったら、例のアクセルを開いてクラッチをポンとつなぐ方法でバイクを立て直す。
 バイクを立て直しきれないで倒し、教官に手伝ってもらって引き起こしている女性が数人出る。女性の場合、バイクの重たさを支えなければならない場合もある低速時などは大変だ。私はと言えば、クラッチポンで立て直せず、思わず片足を付いたことが2、3回あったが、それほど難しい課題ではない。ただ、ぐるぐる回るばかりで、飽きてしまった。
 最後の課題はスピードを上げてのスラローム。3つのゾーンにそれぞれS字カーブとクランクのコースがあり、それらのすべてをハイスピードで駆け抜けるもの。教官を先頭に10人位の受講生が一列になってついて行く。
 ところが、私は、教官の後に女性受講生を一人はさみ、三番手でスタートしたのだが、
前の二人のペースについて行けず、少しずつ引き離される。コースの終わり頃は20メートル近くも間隔を開けられる始末。一周するたびに隊列を整え直して、4、5回走ったのだが、その都度、同じように遅れてしまった。
 夢中で走っていたので気が回らず、後ろの人と順番を入れ替わらなかったが、私より後を走った人たちに迷惑をかけたのではないかと恐縮する。
(講習を終えて)
 長雨が続いた後の久しぶりの好天気による暑さと、プロテクションの付いたウエアの影響で、びっしょり汗をかきながらの受講となった。
 内容も結構ハードであった。いろいろやらされたが、どれも納得のいく出来のものはない。特に、最後のスラロームで後れをとったのは、前を走る女性が上手すぎるのか、私が下手すぎるのか分からないが、いずれにせよ大いにショックであった。
 A班でこの状況であるから、B、C班にはとうてい行けない。小休止の合間に眺めていたが、B班やC班のスラロームは本当に凄い。集団爆走である。そもそも、ほとんどが大型バイクで、いかにも走り屋といった格好をしている人ばかりであるから、迫力が違う。
 おそらく彼らの一部はジムカーナを楽しんでいるような人たちなのだろう。彼らくらいの域に達しないと、本当のオートバイ乗りとは言わないのかもしれない。単なるツーリングの世界とは違った世界を見て、オートバイに対する認識を新たにした一日であった。
 警察が、このような講習会を催すことにより、専門的な施設と、白バイ隊のような高度な専門性を持った人たちのノウハウを民間人に提供することは、とても有意義であり、もっと知られてもよい。
 今後は、毎月のツーリングと併せて、できる限りこの講習会にも参加し、技術と度胸のアップに努めたい。