97年12月27日(土)   「バイク購入」

 

(いざ引き取りへ)

 昨日、試験場で免許交付を待つ間、バイク屋(地元のレッドバロン)に電話して、今日バイクを引き取りに行く旨伝えておいた。

 実は、12月早々、教習が第4段階に入った時点で、バイク屋に手付けをうってバイク(バリオス2)購入契約を済ませ、登録のための住民票も渡しておいたのだが、年内に免許が取れない場合は、年明けに免許が取れるときまで無料で保管しておくことを条件としていた。
 無事免許が取れて、年末休業前に引き取りに来てくれるということで、バイク屋の担当の店員も「免許取得おめでとうございます」と、一緒に喜んでくれたのは嬉しかった。

 朝から小雨がぱらついていたが、下取りに出すスクーターにまたがり、勇躍引き取りに向かったのであった。

(バリオス2に決めるまで)

 買うバイクを決める作業は楽しいものである。私は、教習所に入った頃から、バイク選びを始めた。主な情報源はバイクの専門誌。

 基本的な選択肢がいろいろあるが、まず、オンロードタイプかオフロードタイプかという点では、迷わずオンロード。オフロードは将来の楽しみに取っておきたいと思った。

 250CCか400CCかという点は少し迷った。馬力など十分な性能は得たかったが、複数の本で、最初は250CCから始めるのがよいと書いてあったことと、倒したときに引き起こす苦労を考えて、まずは少しでも車重が軽い方がよいと思ったので、250CCにすることとした。

 空冷エンジンか水冷エンジンか、単発や2気筒か4気筒マルチかという点では、綜合性能が高い水冷4気筒にすることにした。その結果、スタイルは必然的に、アメリカンではなく、スポーツタイプのネイキッド車となった。

 それらを満たすバイクとして最後まで迷ったのは、ホンダのホーネットと、カワサキのバリオス2であった。安定志向の私としては、最初は、ホンダ車が良いと思っていたが、バイク屋で両方の実物を見比べて、結局バリオス2にした。それは、バリオス2が極めてオーソドックスな、バイクらしいバイクのスタイルをしていたことである。バリオス2は、燃料計を備えているし、荷掛けフックも付いていて積載性も良さそうであった。タンクの馬のロゴも気に入った。いわば、一目惚れして決めたようなものであるが、冷静に検討しても、初心者用としてのほとんどの要求を満たしていると思った。

 

(決死の引き取り行)                                   
 残金を払い、盗難保険などの諸説明を受け、一緒に買ったヘルメットも受け取ったところで、いよいよピカピカのバリオス2が私の前に姿を現した。色はシルバー系である。  

 動かし方とか、スイッチ類とか、型どおりの説明を受けた後、担当者の「さあ、どうぞ乗って帰ってください」といった顔つきを見た頃から、私の緊張が極度に達してきた。このバイク屋の前は、国道1号線で、車の往来がものすごいのである。スピードを上げたトラックや乗用車が、ひっきりなしに通っていく。  
 本格的バイクに乗ったのは教習所でだけで、公道を走るのは全くの初めてだ。もし操作を誤って、公道に乗り出した途端にこけたりしたら、間違いなく後続車にひかれてしまう。いろいろと恐怖心がつのって、どうしても乗り出せない。いっそ次の信号まで歩道上を押して行って、そこから脇道にそれようかとも思ったが、信号までは、上り坂になっていて押し歩きも大変である。第一、バイク屋にいる店員や、他の客の手前、それも恥ずかしい。個人営業のバイク屋なら、ミニトラックに積んで自宅まで納車してくれるところであるが、量販店で買ったためにこうした事態となった訳で、後悔したが後の祭り。

 進退窮まった結果、店員に、「少し練習させてほしい」と言って、バイク屋の工場前のスペースをぐるぐる回ってバイクに慣れることにした。そして、2、30分も経った頃であろうか、車が途切れた一瞬をついて、心配そうに見守っていた店員に挨拶するゆとりもなく、国道1号線に乗り出し、なんとか無事に我が家へと帰り着いたのであった。