バイク道楽日誌 No.81
2005年5月3日(火)、4日(水) 「東北・極寒ツーリング」
(3ヶ月ぶりのツーリング)
1月にクラブのツーリングに行って以来、3ヶ月ぶりのツーリングとなった。長期に間が空いたのは、2、3、4月のクラブの月例ツーのときに仕事や家の用事が入ったりしたこともあるが、主には、娘が4月に結婚式を挙げる予定となったため、式当日、重要な役割を担う父親として絶対にケガなどできないと、オートバイに乗るのを自然と自粛していたことも大きい(親バカですなぁ)。
そういうわけで、結婚式も無事に終わり、オートバイに乗りたい気分が極限にまで高まっていたところに、今回の東北ツー。マッチ一本さんの企画に飛び乗ったのでした。
(主なルート)
〈初日〉
首都高湾岸線→東北道(川口Jct〜白河IC)→K37(羽鳥湖)→R118(会津若松、※昼食)→R112(寒河江)
→山形道(西川IC〜鶴岡IC)→鶴岡市内泊
〈2日目〉
R7→鳥海山ブルーライン(鳥海山)→R7→山形道(酒田みなとIC〜鶴岡IC)→R7(温海町)→日本海東北道
(中条IC)→(北陸道経由)→関越道(長岡Jct〜練馬IC)→環8→第3京浜
(先ずは羽鳥湖)
参加の有志は5名。集合場所の東北道・蓮田SAに7時集合の約束だったが、一人、D”−さんだけが30分ほど遅れて到着。実はここで、「出発が遅れれば遅れるほど、渋滞がひどくなるのに・・・」などと、D”−さんに文句を言わなくて正解であったと、後に胸を撫でおろしたのであった(後段参照)。
白河ICを降りて、まぶしいばかりの新緑の山道を縫いながら、まず目指したのは羽鳥湖。とてもきれいな人工湖だった。
羽鳥湖畔の愛車 |
(ガンベルト紛失事件)
羽鳥湖を出て同じような気持ちの良い道を一路、会津若松へ。MORINOさんのカーナビと以前来たことのあるというつかちゃんの勘を頼りに市役所近くの桜肉の店「吉し多」をやっと探し当て、バイクを降りて店に入るときのことであった。
何気なく財布を探したらどのポケットにもない。ポケットにないはずである、ウエストポーチに入れていたのだが、そのポーチを腰にはめていないのである。一瞬頭が空白になったが、よく思いだしてみると、ここまで来る途中の少し広い空地で休憩したときに、ライディングウエアの下に着込んだ長袖シャツがずり上がっていたので、ポーチを外し、ウエアを脱いで直した後、ウエアは着たがポーチはリヤシートに置いたままはめ忘れて出発してしまったのである。休憩場所から30キロ近く走って来たが、哀れポーチは、途中のどこかでリヤシートから路上に落下したに相違ない。
ポーチには現金数万円と運転免許証、カード類が入った財布、それに家や自動車等のカギ束を入れていたが、これらを失ったとなると、この先一体どうしてよいやら分からない。
「とにかく食事をしてからまた戻ってみましょう」とマッチ一本さんは言ってくれるし、かなり複雑なルートではあったが、MORINOさんは「カーナビで今来た道はたどれるから」と慰めてくれるが、みんなに迷惑はかけるし、再発見できる可能性はゼロに等しいことは分かっているので、私の頭の空白はまだ続いていたのであった。
大騒ぎしながら店のテーブルに着いたその時であった。一番後尾を走ってきたD”−さんが、「落としたのはこれじゃないんですか?」と、まさに私のポーチを取り出したのである。休憩場所を出た後、最初の交差点を曲がった路上に「薄汚れたポーチ」(確かに古くなったかもしれないが、ペアスロープで買った本革製ですぞ)が落ちていたので、わざわざUターンして拾い上げ、中を見たらBMWのオーナーズクラブのカードが入っていたから、ひょっとしたら仲間のものかと、そのまま持ってきてくれたという。
地獄に仏とはこのこと。私が「神さま、仏さま、D”−さま」と何度も感謝し、その店のDさんの勘定を持ったのはいうまでもない。ついでにみんなからは、私が過去に高速道路を走行中にタンクバッグを落としたことや、やはり高速道路であろうことかパニアケースの片っ方を落としてきたことを蒸し返され、散々からかわれたのであった。
馬に乗った西部男がガンベルトをどこかに置き忘れてきたような今回の事件であったが、再びこんなことをしでかさないよう、気を引き締めたい。
店の名物の桜肉定食は、馬肉のロースとハツの刺身(オニオンスライス付き)に卵焼きやおひたし、みそ汁が付いたもの。とても美味しく、ボリュームもあって、これで850円也(つまり、これがD”−さんへの謝礼の額でもある。少なすぎたかな?)とは、極めてリーズナブルな値段であり、会津若松方面に行く人にお薦めの店である。
(極寒フリーズ事件)
ウエストポーチを落としたことと並び、今回の反省事は、寒さの備えをしてこなかったことである。暑さに弱い私は、好天予想の中、大渋滞の高速で照り返しや、4輪の排ガス、自車のエンジン熱等にうだっている自分を想像して、半袖Tシャツとボタンダウンの長袖シャツの上に春・夏物ライディングウエア、下はジーパン、グローブも夏物のメッシュ。寒さ対策としてはフリースのベストを持ってきただけであった。
ところが、同行の諸氏は全員が冬仕様。東北単身赴任歴3年のマッチ一本さんに至ってはインナーまでもこもこのものを着込んでいた。
朝自宅を出たときから寒さを感じて後悔しきりであったが、いよいよ切羽詰まったのは夕方に西川ICから山形道に乗ったとき。明らかにそれまでより数段の寒気を感じたので、レインウエアの上を引っ張り出して着込んだが、その後の走行にはほとんど役立たない。すっかり暗くなった片側1車線の山間の高速道を120キロ以上で突っ走っていると、身体はすっかりフリーズ状態。
それもそのはず、漆黒の闇の向こうに見える周囲の山肌は全て厚い雪に覆われて、高速道に架かった表示盤には「只今の気温6度」とある。高速走行しているので、体感温度はおそらくゼロ度近い。その上、走っている場所が、月山なのである。月山や湯殿山など出羽三山は即身成仏を目指す修験者の信仰の山なのである。そんなことを思い出しながら走っていると、心理的にも寒気が一層募ってくる。鶴岡ICまでの距離の長く感じられたこと・・・ やっと着いたときには心底ホッとした。
寒さには翌日の鳥海山行でも悩まされることとなった。
(庄内平野の平和な光景)
カーナビの威力はすごい。今回、二人の仲間がカーナビを付けてきたが、そのお陰で、宿泊先の鶴岡ワシントンホテルにも難なく到着し、それぞれの部屋に荷物を置いて、早速、フロントで紹介してもらった居酒屋で夕食を兼ねた宴会。みんなは生ビールから始めたが、私は当然ながら最初から熱燗。やっと人心地ついたのであった。
鶴岡には初めて止宿したが、庄内平野のど真ん中にあって庄内米の集積などで栄えてきたのか、結構にぎやかな割には古い町並みも残っている。
朝の支度風景 | ホテル前の建物(農協の米の倉庫?) |
(待ち人来たらず事件)
4日の早めに帰宅しなければならないMORINOさんとつかちゃんとホテルで別れた後、残った3人にとっての2日目の目玉は鳥海山ブルーウエー。3年前の東北ツーリングでも登ったが、コーナーもそれほどきつくなく(私にはこの方がよい)、高度を上げた先には日本海や庄内平野の素晴らしい眺望が待っている。
鳥海山は4度目というマッチ一本さんには、今日はもう一つ楽しみがある。ネット上の掲示板で知り合った秋田の人と、この後、道の駅「鳥海」でご対面ということであった。そのため、山頂の小屋で甘酒や珈琲を飲んだ後、また今来た道を下に降りて道の駅に戻ったが、何らかの事情が生じたのか、その人たち一行が現れなかったのは、とても残念であった。
3年前より雪が多かった、今年の鳥海山 | ビジターセンター |
(横風横転危機事件)
さらに旅を続けるマッチ一本さんと11時近くに道の駅で別れた後、D”−さんと私は山形道と東北道経由で帰路に着くことにし、一緒に酒田みなとICへ。ところが、平野の中を高架で走るこの高速道に入ったとたん、横風がものすごい。重たい私のロードスターが思わずハンドルを取られそうになり、勘違いかもしれないが、後輪がズルッと横滑りした気までする。
スピードを落としてみるがあまり効果はない。この状態のまま、昨晩あまりいい気持ちのしなかった月山方面に入って行けば、標高が高くなるだけにさらに状況が悪くなるのは間違いない。走りながら迷ったが、ここは命あってのモノダネと、直ぐに高速を降りることにしたが、気になるのは先を走るD”−さんへの合図。D”−さんは今回無線が不調であったため無線も使えない。
しかしながら、フルカウルとネイキッドの違いから、高速では違う次元の走りしかできないので、高速に入ったら別行動しましょうと事前に約束していたので、着いていってなくとも了解してくれるだろうと、勝手に降りてしまった。
ところが、帰宅後、携帯電話を見たら、D”−さんから5本も不在着信があった。あわてて電話すると、私が追いつくのを1時間も待っていたとのこと。横風が強かったことなどもあり、私に事故でも起きたんじゃないかと心配してくれていたらしい。無線がダメでも携帯をかければよかったのに、私も気がきかないことおびただしい。D”−さんには今回は幾重にもお世話になってしまった。
(海沿い一般道をほのぼの走行)
鶴岡から新潟までの国道7号線の走行は幸せそのものであった。穏やかな5月の日射し、ほのかな海の匂い、黒い日本瓦葺きの民家が並んだ漁師町。全く渋滞はないし、たまに信号で並んでも路肩が広いので直ぐに先頭に出て平均時速は70キロ程度。やはりこんなツーリングが自分には最高だと、改めて自覚する。
いつの日か日本一周の夢を実現するときには、こんな道ばかりを選んで走りたいものだ。
山形県温海町近くの漁港 | 同左の7号線 |
(中条ICから高速道で一気帰り)
3年前買ったツーリングマップルには影も形も出ていないが、新潟まで30キロくらいの地点で、高速道路の標識があり、「中条IC」と出ている。はて、なんの高速道だろうと路肩にバイクを止めて東北道のSAでもらった地図で確かめると、日本海東北道というのが開通していて、これが北陸道に通じ、長岡から関越道にもつながっている。
「これこれ!」とばかり、そのICから高速に乗ったのが午後の3時をやや過ぎていた。後は一気走り。どこだか忘れたが、途中のSA休憩ではやはりソロで走っていた男性とバイク談義をして楽しかった。関越道も、一番心配した練馬からの環8も大した渋滞はなく、夜8時には自宅に着いたのであった。
(家への土産)
鳥海町産の山芋そば(無添加)、同・壺入り塩(日本海の海水を蒸留しつめたもの)、鳥海町農協直売のタラの芽、ウド、ワラビ(以上、道の駅「鳥海」にて。この手の天然、自然系が好きなうちのオクサンは、案の定、喜びました)
【走行距離】
約1,220キロ(初日570キロ、2日目650キロ)