ア リ

 

 アリは、外務省の「南西アジア青年招聘計画」により来日し、我が家には3泊4日滞在したが、その間、いろいろな話題を残していった青年である。

 前年に滞在したサンジョイと同じくイスラム教徒だが、サンジョイよりも厳格で、豚肉はもちろん、牛肉など他の肉も食べず、アルコールもダメで、食事のメニューにはかなり苦労した。

 ニューデリーの新聞社に勤めるジャーナリストということだが、日本の国情には疎く、「召使いはどこに行った」というので何のことかと詳しく聞くと、受験勉強に忙しくてときどきしか顔を見せない我が家の高2の娘のことを、召使いと勘違いしている。これには大笑いであったが、「日本には召使いはいない」ことをしっかり教えておいた。

 一方で、さずがジャーナリストだと思ったのは、箱根にドライブに連れて行ったとき、大渋滞の中、整然として辛抱強く並ぶ車に感心し、インドでは考えられないと言ったり、逆に、道路にごみが捨ててあるのを見て、インドと同じだと言ったり、観察がなかなか細かい。

箱根・芦ノ湖にて