<一日目 その3>

 しかしまだまだ行きます。常識的に帰りの電車の30分前というと下手に
動いたら乗り遅れてしまうようなタイミングですが、「鉄道ファンにとって
の大社参り」
がまだなので一気に行っちゃいます。写真はその道中でく
ぐった大鳥居。その名前の通りとてつもなく大きく、日本最大の大きさな
んだそうです。撮影する観光客もいましたが、自分には時間が無いので
軽く撮影しただけでスルーします。
 そして出雲大社前駅から歩いて10分ほど。意外と離れてるな・・・と思
いながらも、ようやく旧大社駅に到着しました。「鉄道ファンにとっての大
社参り」というのはこういうことだったんです。この旧大社駅は大社線の
終着駅で、出雲大社を模した非常に重厚な造りが幸いして大社線が廃
線となった後も保存されています。ちなみに大社線は出雲市とこの大社
駅を結んでいましたが、国鉄時代に特定地方交通線に指定されてJR化
後の1990年に廃線を迎えました。特定地方交通線に指定されて消えて
いった路線の中では比較的最後まで残ったほうです。
 このように重厚でレトロな旧大社駅ですが、今の自分にその重厚さを
感じる余裕ははっきり言ってありません。というわけで慌しく撮影し、駅
構内に入りました。構内は結構広いですが、これは正月などに出雲大
社への参拝客で混雑することを想定していたと推測できます。天井もか
なり高いため、レトロに加えてどこかガランとした雰囲気です。
 時間を気にしつつもホームに出て、出雲市側のホーム先端から出雲
大社方を向いて撮影。レールもそのまま残されているなど、現役時代の
姿が色濃く残っているのは素晴らしいです。
 さらにホームの片隅にはD51が保存されていました。よく見れば分かる
かもしれませんが、この写真はちょっと遠くからカメラのズーム機能を
使って撮影したものです。いくら保存機であるとはいえ、D51の撮影をこ
の程度で留めてしまうのはいささか申し訳ないような気もしますが、しょ
うがないよ。だって時間が(以下省略
 そんなわけで慌しく旧大社駅を後にしました。ちなみに滞在時間はわ
ずか5分(苦笑
 こんなもん撮ってると乗り遅れてしまうぞ、というのは重々承知してい
るんですが、物珍しい物を見ると撮影してしまうのがカメラを持ちながら
歩いている人間の悲しい性です。というわけで、明らかに宗教色が強い
看板を見つけました。信教の自由があるのでこれ以上は何も言いませ
んが、神の国出雲においてキリスト教の看板というのは若干シュールか
な、と思って撮影しただけです。
第4ランナー 川跡行き
一畑電車大社線
普通列車
出雲大社前 川跡
13:07 13:18
第5ランナー 電鉄出雲市行き
一畑電車北松江線
普通列車
川跡 電鉄出雲市
13:21 13:30
 出雲大社前駅に戻ったのは電車が発車する5分前。何とか間に合い
、所定の電車に乗車できました。車窓右側の座席に着席したのは先程
のデハニ1形撮影のリベンジを果たすためであります。というわけで車
窓を注意深く見続ける。そんな中鳥居が並んでいる光景を見つけました
が、これも一畑電車大社線の車窓の見所のひとつ。これは粟津稲生神
社の参道で、鉄道の線路が参道を横切るという非常に珍しい構造になっ
ているため、車窓からも鳥居が見えるようになっています。伏見稲荷大
社の千本鳥居には及ばないでしょうが、こちらもなかなかの迫力です。
で、デハニ1形の撮影はというと・・・・・・・・・見事に失敗しましたとさ(涙
 気を取り直して川跡で電鉄出雲市行きに乗り換え。今度はかつて南海
で「ズームカー」という愛称で活躍していた3000形です。この3000形は
つい最近南海時代の塗装にリバイバルされた車両が登場したというこ
とで話題になりましたが、その塗装自体は大井川鐵道でも見れるんだ
よな・・・。個人的には2000形(元京王5000系)を京王時代の塗装にリバ
イバル、という方をしてほしかったなと思います。

 出雲市では30分ほど時間があるので昼食です。出雲といえば出雲そ
ばというわけで、JRの高架下にあるお店に入りました。こうして食した出
雲そばは美味しかったのは勿論のことですが、麺がかなり独特な味わ
いをしてました。当然ながら関東の駅そばとは全く違った感じです。
第6ランナー 益田行き
山陰本線
快速「アクアライナー」
出雲市 温泉津
14:02 14:49
 腹を満たしたら再び西へ移動します。既に2時前ですが、ここでようや
く青春18きっぷの出番です(笑 というわけで乗車するのは快速列車で
ある「アクアライナー」。この辺りの区間では特急に次ぐ速達列車です。
その停車駅は列車によってまちまちですが、この列車は江津までの途
中停車駅が大田市・仁万・温泉津のみ。「アクアライナー」では最も停車
駅が少なく、ここまでくると特急列車ともそれほど変わりません。
 「アクアライナー」は名前から見ても車窓からの海の風景期待しない
わけにはいきません。というわけで海側の座席を確保しました。出雲市
を出てからしばらくは上の写真のような風景でしたが、10分ほどで海が
見えるようになってきました。
 さらにしばらくするとより一層海が間近に見えるようになってきました。
しかもそんな区間でも列車はまあまあスピードを出して走るので、迫力
があります。山陰本線で海がよく見える区間というと長門市以西の末
端区間をイメージするでしょうが、この辺りの車窓もなかなかいい感じ
です。
 海岸線の風景を堪能していると列車は温泉津に到着。思ったよりあっ
という間といった印象です。というわけで温泉津で「アクアライナー」を下
車。温泉津と書いて「ゆのつ」と読む。ここまで温泉地にふさわしい地名
は他にないんじゃないかと思います。
 というわけで、ここでの目当ては当然ながら温泉です。温泉津には
「元湯」と「薬師湯」の2箇所ありますが、今回は「薬師湯」をチョイスしま
した。ちなみに駅から温泉街まではバスに乗りました。一見したところ送
迎バスみたいな感じでしたが、お金はしっかり取られました。
 「薬師湯」はオール5に認定された温泉で、これは島根県内では唯一
となっています。そんな「薬師湯」の浴槽はこんな感じ。床の色合いが
何ともレトロです。いざ入ってみると「さすがオール5だな」という感想で、
旅疲れの体にはいいリフレッシュになりました・・・・・・ってまだ(事実上
の)一日目なのにこんなんで大丈夫か。
(ちなみに浴槽の撮影は更衣室に僕以外誰もいない時にこっそり行い
ました。なので撮影中に番台のおばちゃんが更衣室を覗いてきた時は
マジでビビった(汗 何も言われなくてとりあえずは安心したけど)
 温泉に浸かった後はブレイクタイムです。「風呂上がりはコーヒー牛
乳(かフルーツ牛乳!」と僕の中では相場が決まっていますが、ここに
はそういった類の自販機は見当たらず。コーヒーの無料サービスがあ
るということなので、屋上で飲んでくことにしました。石州瓦を眺めなが
らのコーヒーも意外といいものです。・・・・・・とは思ったのですが、やは
りコーヒーが苦い。。結局砂糖とミルクの手を借りてしまいました。。。あ
あ、何の助けもなしにコーヒーを飲めるオトナの男になりたい・・・。
 「薬師湯」を後にして温泉街をぶらぶらと。印象は一言で言うと「ひなび
た温泉街」といったところでしょうか。活気があまり無いのが気になった
ものの、レトロな建物が建ち並ぶ風景にはやはり味があります。そうい
う場所だからこそ、電線が妙に気になってしまうのであります・・・orz
 そろそろ温泉街から駅に戻りますか。しかしバスは時間を調べてない
からあまりアテにできない。ならいっそ、歩いてみようと思います。行きの
バスの所要時間からすると、充分に歩ける距離じゃないかと思ったから
です。そして案の定、20分弱で駅に着きました。
第7ランナー 浜田行き
山陰本線
普通列車
温泉津 浜田
16:34 17:26
 温泉津からは普通列車に乗って再び西下します。やって来たのはキ
ハ40系の2両編成でした。しかも前1両は旧姫新線色でした。まだいた
んですね、旧姫新線色のキハ40系・・・。ちなみに自分はこの列車はキ
ハ120形だと読んでいました。しかし後で時刻表を見るとこの列車は米子
始発。キハ120形は米子に顔を出すことはないので、キハ40系なのも納
得できます。とかなんとか言ってますが、自分はキハ40系の方が好きな
ので全く問題はありません。むしろ得した気分です。
 そんなこの列車は2両編成ということもあってか、余裕で海側の座席に
座れました。途中の黒松という駅(だったっけ)では普通列車と交換。あ
ちらもキハ40系で、米子まで行く運用みたいです。それにしても・・・、窓
汚いな・・・。。。これからも海沿いの素晴らしい景色の区間を走るという
のに・・・。
 というわけで空いてるのをいいことに少しでも窓が綺麗な席を探そうと
席を移動してみますが、どこも大して変わらん・・・。結局所定の席に落
ち着いたところで国鉄コンテナが車窓から見えました。腐食も大分進ん
でいるので文字は読みづらいものの、まさか博物館以外で「戸口から
戸口へ」という文字が見られるとは思いませんでした。
 さらにしばらくすると、再び車窓から海を臨めるようになりました。しか
も陽も射してきたため、先程「アクアライナー」から見た時よりも海の青
さが鮮明に見て取れます。というわけで、あれだけ「窓汚い」と言ってお
きながら、この窓から撮った写真がこの日一番綺麗に撮れた海の写真
になりました。
 こうして列車は終点の浜田に着きました。ここでは乗り換え時間が40
分弱あるので、駅構内をぶらぶらしたり待合室で大相撲春場所をチラッ
と見たりして時間を潰しました。そんなわけでホームに戻ると、丁度今ま
で乗ってきた列車の1本後にあたる「アクアライナー」が到着するところ
でした。1本後・・・・・・そうです。別に温泉津からこの列車に乗っても行
程に支障をきたすことは無いんです。それでもわざわざ1本早い普通
列車に乗ったのは、ある理由があってのことでございます。まぁ温泉津
滞在を早く切り上げる、という目的もありますが・・・。
第8ランナー 益田行き
山陰本線
普通列車
浜田 益田
18:04 18:52
 本当の理由はコレです。乗り換えた益田行きの列車がキハ120系だ
からです。キハ120系は車体が小さいせいかボックスシートの数が4区
画しかありません。しかも海側のボックスにいたってはその半分の2区
画しかありません。座席争奪戦になることを予想して、1本前の普通列
車に乗車して浜田に早く着くようにしたわけです。肝心の列車は2両で来
てとりあえず安心。何とか海側の座席を確保しました。
 ここでまた新たな疑問がありました。「どうしてそんなに海側の座席に
こだわるのか」と。それはもちろん海の景色が見れるからではあるんで
すが、時刻はすでに18時過ぎ。西日本は日の入りが遅いということを考
えてもそろそろ日没となるはずです。となると、日本海に沈む夕日が見
られる可能性だってあるわけです。その可能性に賭けてみたわけです
が、やはり雲が多くて・・・。これが精一杯でした。
 日没後も列車は海沿いを走行し、すっかり暗くなった頃に益田に到着
しました。ダイヤ上ではここから山陰本線を下るとその日のうちに下関
に着くことも可能ですが、この先の予定もあるのでこの日はここで行程
を終えます。それに若干疲れてるし。
 というわけで今日宿泊するのは益田駅前にある「益田グリーンホテル
モーリス」というホテルです。益田市の中心部(益田駅から徒歩7分くら
い)にはここより安いホテルもいくつかありますが、利便性を重視してこ
ちらを選びました。
 この後は夕食&明日の朝食の買い出しのために一旦外出。戻ったら
テレビをちょっくら見たり(とはいっても1時間くらいは見たけど)明日の
行程を確認したりしたところで就寝。明日は朝早いので、11時前には
ベッドに潜り込みました。

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