雨に強いドライバー、弱いドライバー

(2001.1.13 Updated)

雨を得意とするドライバー、苦手とするドライバーについて、レース結果から見ていきましょう。なお、調査したウェットレースは、レースの一部でも雨が降った場合としています。

現役ドライバーの雨での成績

シューマッハ最強、クルサード超苦手

1レースあたりの平均得点は、通算でNo.1のM・シューマッハが、雨でもNo.1です。しかも雨でポイントは上がっています。通算44勝のうち、雨で13勝というのはすごい。96年から98年まで、雨のレースに5連勝という強さを誇っていました。

シューマッハ兄弟とフレンツェンといった、ドイツ人は雨に強い傾向が見られます。

ハッキネンは、下積みの時期があったため平均得点がシューマッハより低いですが、雨でポイントが下がっているのは苦手としているのではないでしょうか。同じことはアーバインにも言えます。

一方、クルサードはデビュー以来、チームに恵まれているため平均得点が高めですが、雨でポイントが急激にダウンしてしまい、雨の弱さを露呈してしまいました。

ドライバー

平均得点

優勝

通算 ウェット
1 M・シューマッハ 4.77 5.50 +0.73 13
2 ハッキネン 2.64 2.46 -0.18 1
3 フレンツェン 1.25 1.86 +0.61 1
4 バリチェロ 1.07 1.85 +0.78 1
5 クルサード 2.75 1.50 -1.25  
6 R・シューマッハ 1.30 1.38 +0.08  
7 アレジ 1.28 1.21 -0.07  
8 ハーバート 0.60 1.00 +0.40 1
9 フィジケラ 0.91 1.00 +0.09  
10 アーバイン 1.57 0.91 -0.66  
11 ビルヌーブ 2.40 0.81 -1.59  
12 トゥルーリ 0.27 0.62 +0.35  
13 サロ 0.33 0.45 +0.12  
14 ブルツ 0.50 0.27 -0.23  
15 ディニス 0.10 0.15 +0.05  

 

現役ドライバーの雨での完走率

アーバインは慎重型、クルサードは自滅型

現役ドライバーのうち、通算完走率と、ウェットレースでの完走率の差を比較しました。ウェットレースの完走率が高い順に並べています。差がプラスはピンク、マイナスは緑です。

アーバインがウェットの完走率でトップ、向上差も最大となりました。雨のレースで無理をしない走りでしょうか。しかし入賞を逃すことも多い。5位ハッキネンは雨に弱そうだが何とか完走しています。

雨と言えばアレジですが、完走率は低くなっています。事故率は低いため、、トラブルに泣かされているようです。クルサードは雨が降るとスピンアウトのイメージが高いです(99年ヨーロッパ、98年イギリスなど)。

ドライバー 完走
通算 ウェット
1 アーバイン 64.6% 81.8%
2 ハッキネン 62.1% 71.4%
3 M・シューマッハ 73.2% 70.0%
4 ビルヌーブ 65.9% 62.5%
5 トゥルーリ 56.5% 61.5%
6 R・シューマッハ 57.6% 61.5%
7 ハーバート 54.3% 60.0%
8 ディニス 40.8% 60.0%
9 フレンツェン 62.3% 57.1%
10 サロ 57.0% 55.0%
11 クルサード 63.6% 55.0%
12 フィジケラ 66.2% 46.7%
13 バリチェロ 50.8% 46.2%
14 ブルツ 67.3% 45.5%
15 アレジ 56.0% 35.3%

 

現役ドライバーの雨での事故率

雨のレースで、スピンや衝突など事故率の低い順に並べました。M・シューマッハは98年ベルギーでクルサードに衝突、96年モナコではPPでスタートしながらガードレールにぶつかるなど事故があるため、雨の完走率でトップになれませんでした。

アレジは事故率が低いです。クルサードは事故率がもっとも高いのが完走率を下げた理由になってしまいました。

ドライバー 事故
1 フレンツェン 14.3%
2 アレジ 20.6%
3 ハッキネン 21.4%
4 アーバイン 22.7%
5 サロ 25.0%
6 ハーバート 26.7%
7 バリチェロ 26.9%
8 M・シューマッハ 30.0%
9 ディニス 30.0%
10 トゥルーリ 30.8%
11 ビルヌーブ 37.5%
12 R・シューマッハ 38.5%
13 フィジケラ 40.0%
14 クルサード 45.0%
15 ブルツ 45.5%

 

1998イギリスGP

雨が激しくなる中、クルサードがスピンアウト。


雨の中、トップのハッキネンはコースアウトし、シューマッハに逆転負け。


 

1998ベルギーGP

雨のスタート、1コーナーでハッキネンがスピン。他車と接触してクラッシュ。


シューマッハは周回遅れのクルサードに追突。クルサードは抜かせるためにスローダウンしていたが、シューマッハは水煙で見えなかった。


 

1999フランスGP

ハッキネンが縁石に乗りスピン。フレンツェンに敗れ2位に終わる。


 

1999ヨーロッパGP

トップを走るクルサードがコースアウト。チャンピオンへの望みも絶たれる。


 

2000ベルギーGP

トップを走るハッキネンが濡れた路面でスピン。シューマッハに抜かれる。路面が乾いた終盤に再逆転し優勝。


 

 

歴代王者の勝率

セナの驚異的な雨勝率、シューマッハもかなわず

最後に歴代王者との比較です。1965年以降にデビューし、2回以上チャンピオンになった者は7人いますが、彼らの通算優勝率と、雨での優勝率を比較しました。

スチュワート、プロスト、セナ、シューマッハの4人が25〜27%の通算勝率ですが、雨勝率でセナが52%とダントツのトップです。続くM・シューマッハの37%を大きく引き離しています。