2000年、ウィリアムズから20歳のジェンソン・バトン(イギリス)がデビューします。F1の歴史で、デビュー時の平均年齢はどうなっていたでしょうか。40代デビューも当たり前の1950年代から、31歳デビューが上限の1990年代まで、順に見ていきましょう。
グラフは、デビュー年齢ごとの人数と、内訳として到達度を色分けしています。
1950年から1999年まで、F1ドライバーのデビュー平均年齢は30歳4ヶ月となっています。最も多いのは24歳です。
年齢幅は、19歳から53歳まで広くなっています。これは1950年代の影響があります(後述)。
19歳から21歳でデビューしたドライバーで、チャンピオンになった者はいません。早すぎたデビューだったのでしょうか。
そのジンクスは、21歳でデビューしたスターリング・モスにも言えます。
マイク・サックウェル(ニュージーランド)
1980年、F1史上最年少の19歳5ヶ月でデビュー。しかし次の出走は1984年で、わずか2戦のみ出走。完走なし。
リカルド・ロドリゲス(メキシコ)
1961年、19歳6ヶ月でデビュー。当時の最年少記録。翌1962年、非選手権の地元メキシコGPで事故死。入賞2回。
エステバン・トゥエロ(アルゼンチン)
1998年、19歳11ヶ月でデビュー。ミナルディで走った1年限りに終わる。入賞なし。
※ジョディ・シェクター(1979年チャンピオン)は、「F3で1年しかキャリアがない者の早すぎるステップアップは、才能をつぶす。将来を見据えて、経験を積んでからの方がよい。」と語っています。
1950年代のデビュー平均年齢は34歳6ヶ月です。20歳から53歳まで幅広くなっています。
これは戦前からのドライバーや、当時の現役生活が長かったためです。
チャンピオンのデビュー年齢も23歳から43歳にわたっています。
ジュゼッペ・ファリーナ(イタリア)
1950年、43歳で初代F1チャンピオン。1953年ドイツGPで優勝した時、訪欧中の皇太子明仁親王(現天皇陛下)に表彰台で祝福されました。1955年引退。1966年没。
F1創設以前では、1948年モナコGPに優勝。戦前では1935年イタリアGPでPPの記録があります。
1960年代のデビュー平均年齢は29歳7ヶ月です。
40〜50代デビューが激減しますが、まだ30代デビューが多いと言えましょう。
ペドロ・ロドリゲス(メキシコ)
1963年、23歳でデビュー。1967年初優勝。1971年、スポーツカーレースで事故死。
1962年に事故死した弟のリカルドとともに、兄弟そろってモータースポーツで命を落としました。
1970年代のデビュー平均年齢は29歳1ヶ月で、1960年代より6ヶ月若くなりました。
30代が減り、20代デビューが中心になっていきます。
エディ・チーバー(アメリカ)
1978年、20歳1ヶ月でデビュー。2位2回、3位7回を記録するも優勝はなし。1989年引退。
1980年代のデビュー平均年齢は26歳9ヶ月で、1970年代より2歳4ヶ月も若くなりました。
30代デビューが激減しています。その中、中嶋悟が34歳でデビューしました。厳しかったですね。
ジョー・シュレッサー(フランス)
1966年、38歳でデビュー。その後の出走のチャンスがなく、やっとつかんだ3戦目のシートは、1968年フランスGPのホンダ。しかし2周目に事故で死亡。
中村監督はレースに不向きな空冷マシンRA302の参戦に反対しましたが、本田宗一郎の強い希望で無理に出走しました。ホンダはこの年で第一期の参戦を中止。
ジャン・ルイ・シュレッサー(フランス)
1988年、39歳で唯一の出走がイタリアGP。残り2周、第一シケインで1位セナと接触。マクラーレン・ホンダは開幕からの連勝が11でストップし、16戦全勝の夢が絶たれます(結局15勝)。
ジャン・ルイ・シュレッサーは、20年前にホンダで事故死したジョー・シュレッサーの甥でした。因果応報とはこのことを言うのでしょうか。
1990年代のデビュー平均年齢は26歳3ヶ月で、1980年代より6ヶ月若くなりました。
24歳が最も多くなっています。22歳にはM・シューマッハとハッキネンがいます。
最も遅いデビューで31歳になっています。
デーモン・ヒル(イギリス)
1992年、31歳でデビュー。1993年初優勝。1994,95年に選手権2位。1996年にチャンピオン。1999年引退。
1960年代以降のチャンピオンでは、唯一の30代デビュー。父G・ヒルと親子2代でチャンピオン。