1999予選データ

1999年のデータを総括する1回目は予選成績です。

グランプリ別・PP速度

平均速度の最高はイタリア・モンツァの248.820km/h、最低はモナコの147.966km/hです。ハッキネンが叩き出したモンツァの1分22秒432はコースレコードでした。また、鈴鹿はイギリス・シルバーストーンに次ぐ、5番目に速いサーキットです。

1999年のPP平均速度は、前年より1.7%ほど低下しました。原因はレギュレーションによる速度低減効果、特に前輪タイヤの溝が増えたことが上げられます。

今年、速度が向上したオーストリアとイタリアは、ともに前年、雨の影響がありました。

 

PPタイム比率によるランキング

ポールポジションタイムを100%とし、それとの比率を全戦で平均化した値で並べました。ただし特異な状況のフランスGPは平均値から除外してあります。1%が1秒にほぼ相当します。

PPを11回記録したハッキネンがダントツの1位となりました。PP3回のM・シューマッハがクルサードをわずかに上回り2位です。アーバインは上位3人からやや離された値です。後半好調のフレンツェン、前半好調のバリチェロが続きます。ビルヌーブは選手権でノーポイントに終わりましたが、予選では健闘していました。

前後半差を見ると、後半に差が狭まり、全体的にマシン性能が向上したようです。しかしアーバイン、バリチェロ、アレジら、来季放出される選手は低下しています。アロウズはチーム全体の進化が止まり、後半はミナルディより遅くなりました。

ランク ドライバー チーム 平均 前半 後半 前後半差
1 ハッキネン MCL 100.144%   1 100.005% 2 100.265% +0.260%
2 M・シューマッハ FER 100.421% +0.276% 3 100.541% 1 100.000% -0.541%
3 クルサード MCL 100.474% +0.330% 2 100.418% 3 100.524% +0.106%
4 アーバイン FER 101.028% +0.884% 4 100.909% 5 101.133% +0.225%
5 フレンツェン JOR 101.199% +1.055% 6 101.424% 4 101.002% -0.422%
6 バリチェロ STW 101.486% +1.342% 5 101.244% 8 101.697% +0.453%
7 ヒル JOR 101.824% +1.680% 7 101.982% 7 101.686% -0.296%
8 R・シューマッハ WIL 101.882% +1.738% 10 102.140% 6 101.657% -0.483%
9 ビルヌーブ BAR 101.981% +1.837% 8 102.082% 10 101.892% -0.190%
10 サロ BAR FER 102.015% +1.871% 15 102.541% 9 101.752% -0.789%
11 フィジケラ BEN 102.067% +1.923% 9 102.127% 13 102.015% -0.112%
12 ハーバート STW 102.092% +1.948% 13 102.221% 11 101.980% -0.240%
13 トゥルーリ PRO 102.171% +2.027% 12 102.172% 15 102.170% -0.002%
14 ブルツ BEN 102.235% +2.091% 14 102.495% 12 102.007% -0.489%
15 アレジ SAU 102.345% +2.201% 11 102.170% 17 102.498% +0.329%
16 パニス PRO 102.497% +2.353% 18 102.950% 14 102.101% -0.849%
17 ザナルディ WIL 102.503% +2.359% 16 102.614% 16 102.405% -0.209%
18 ディニス SAU 102.750% +2.606% 17 102.785% 18 102.719% -0.066%
19 ツォンタ BAR 103.009% +2.865% 19 103.505% 19 102.824% -0.682%
20 高木虎之介 ARR 103.967% +3.823% 20 103.809% 22 104.105% +0.297%
21 デ・ラ・ロサ ARR 104.073% +3.929% 21 104.002% 23 104.135% +0.133%
22 バドエル MIN 104.195% +4.051% 23 104.707% 20 103.810% -0.897%
23 サラザン MIN 104.503% +4.359% 22 104.503%      
24 ヘネ MIN 104.533% +4.389% 24 105.246% 21 103.909% -1.337%

チームでサマリーした結果です。フェラーリは後半に低下していました。

ランク チーム 平均 前半 後半 前後半差
1 MCL 100.309%   1 100.212% 1 100.395% +0.183%
2 FER 100.991% +0.681% 2 100.725% 2 101.223% +0.499%
3 JOR 101.511% +1.202% 3 101.703% 3 101.344% -0.359%
4 STW 101.789% +1.480% 4 101.732% 4 101.839% +0.107%
5 BEN 102.151% +1.842% 5 102.311% 5 102.011% -0.300%
6 WIL 102.192% +1.883% 6 102.377% 6 102.031% -0.346%
7 PRO 102.334% +2.025% 9 102.561% 7 102.135% -0.426%
8 BAR 102.429% +2.120% 8 102.516% 8 102.358% -0.159%
9 SAU 102.547% +2.238% 7 102.477% 9 102.609% +0.131%
10 ARR 104.020% +3.711% 10 103.905% 11 104.120% +0.215%
11 MIN 104.374% +4.065% 11 104.962% 10 103.860% -1.103%

 

 

予選平均順位によるランキング

予選全戦の平均順位の順に並べました。ハッキネンは雨のフランスGP以外は、13戦でフロントローを獲得するなど圧倒的です。M・シューマッハは、予選での対戦成績でハッキネンに4勝6敗、クルサードに5勝5敗と、マクラーレンに互角の勝負まで持ち込んでいます。これに対しアーバインは、チャンピオンシップを争ったハッキネンに1勝15敗、クルサードに4勝12敗と予選では完敗でした。

バリチェロは前年より予選順位がジャンプアップしました。前年ともにウィリアムズのフレンツェンとビルヌーブは、移ったチームで明暗が分かれました。

7位から16位までの中団はグリッド列の分布が拡散しており、実力が接近していました。ちょっとしたタイム差が予選順位に大きく影響したことがうかがい知れます。

ランク ドライバー チーム 出走 予選順位 PP グリッド列・各回数
最高 平均 1998 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
1 ハッキネン MCL 16 1 2.25 1.69 11 13 2         1        
2 M・シューマッハ FER 10 1 2.70 3.06 3 5 4 1                
3 クルサード MCL 16 2 2.75 3.13   6 10                  
4 フレンツェン JOR 16 1 5.31 7.44 1 3 3 6 3     1        
5 アーバイン FER 16 2 5.38 5.44   3 5 5 1 1       1    
6 バリチェロ STW 16 1 6.56 13.19 1 1 2 6 5     1 1      
7 R・シューマッハ WIL 16 4 9.81 8.75     1 2 4 3 2 1 3      
8 ヒル JOR 16 4 9.81 8.94     1 2 4 3 3 1   2    
9 フィジケラ BEN 16 4 10.44 7.06     1 2 3 2 2 3 1 2    
10 ビルヌーブ BAR 16 5 10.56 6.69       2 2 4 6   1     1
11 ハーバート STW 16 5 11.00 11.75       2 1 5 2 4 1 1    
12 トゥルーリ PRO 16 7 11.13 13.88         3 4 3 5   1    
13 サロ BAR FER 9 4 11.44 15.13     1 1 1 1 2   1 1 1  
14 ブルツ BEN 16 7 12.31 8.75         2 4 2 3 3 2    
15 アレジ SAU 16 2 12.50 10.50   1   1 1 2 2 3 4 1   1
16 パニス PRO 16 3 12.50 14.94     1 2 1 1 2 2 3 3 1  
17 ザナルディ WIL 16 4 13.44       1   1 1 2 3 6 2    
18 ディニス SAU 16 11 14.94 16.69             4 2 5 5    
19 ツォンタ BAR 12 10 16.00             1   2 2 6 1  
20 サラザン MIN 1 18 18.00                     1    
21 デ・ラ・ロサ ARR 16 17 20.06                     3 6 7
22 高木虎之介 ARR 16 17 20.06 17.44                   1 9 6
23 バドエル MIN 15 19 20.33                       8 7
24 ヘネ MIN 16 15 20.50                   1   6 9

チームでサマリーした結果です。スチュワートが前年の下方集団から抜け出して上位へ進出。逆にベネトンとウィリアムズが上位から中団に沈みました。アロウズが前年よりさらに低下したこともわかります。

ランク チーム 予選順位 PP グリッド列・各回数
最高 平均 1998 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
1 MCL 1 2.50 2.41 11 19 12         1        
2 FER 1 5.28 4.25 3 8 10 7 2 2 1     2    
3 JOR 1 7.56 9.28 1 3 4 8 7 3 3 2   2    
4 STW 1 8.78 15.34 1 1 2 8 6 5 2 5 2 1    
5 BEN 4 11.38 7.91     2 4 4 3 4 5 4 5 1  
6 WIL 4 11.63 7.07     2 2 5 4 4 4 9 2    
7 PRO 3 11.81 11.82     1 2 4 5 5 7 3 4 1  
8 BAR 5 13.16         2 2 5 7 2 4 6 2 1
9 SAU 2 13.72 11.75   1   1 1 2 6 5 9 6   1
10 ARR 17 20.06 15.91                   4 15 13
11 MIN 15 20.34 20.06                 1 1 14 16

 

対戦成績

同一チームのドライバー同士の対戦成績です。数字は勝数。比較的、同僚同士で大きな差が出ました。

MCL ハッキネン 13 3 クルサード
FER M・シューマッハ 9 1 アーバイン
FER サロ(一時) 2 4 アーバイン
JOR フレンツェン(移籍) 14 2 ヒル
STW バリチェロ 13 3 ハーバート
WIL R・シューマッハ(移籍) 11 5 ザナルディ(復帰)
BEN フィジケラ 13 3 ブルツ
BAR ビルヌーブ(移籍) 11 1 ツォンタ(新人)
BAR ビルヌーブ(移籍) 3 0 サロ(一時)
PRO トゥルーリ 9 7 パニス
SAU アレジ 12 4 ディニス
ARR 高木虎之介(移籍) 8 8 デ・ラ・ロサ(新人)
MIN バドエル(復帰) 9 6 ヘネ(新人)
MIN サラザン(新人) 1 0 ヘネ(新人)

チーム別の予選対戦成績です。マクラーレンが絶対的な強さを発揮。フェラーリは中団にも取りこぼしがあります。BARはプロストやベネトンに互角の争いをしていました。

ランク チーム MCL FER JOR STW WIL PRO BEN BAR SAU MIN ARR 合計 勝率
1 MCL 13-3 15-1 15-1 16-0 16-0 16-0 16-0 15-1 16-0 16-0 154-6 96.25%
2 FER 3-13 11-5 14-2 13-3 14-2 15-1 15-1 15-1 16-0 16-0 132-28 82.50%
3 JOR 1-15 5-11 8-8 15-1 15-1 13-3 14-2 14-2 16-0 16-0 117-43 73.13%
4 STW 1-15 2-14 8-8 13-3 14-2 14-2 13-3 14-2 16-0 16-0 111-49 69.38%
7 WIL 0-16 3-13 1-15 3-13 9-7 8-8 11-5 12-4 16-0 16-0 79-81 49.38%
6 PRO 0-16 2-14 1-15 2-14 7-9 10-6 8-8 10-6 16-0 16-0 72-88 45.00%
5 BEN 0-16 1-15 3-13 2-14 8-8 6-10 8-8 11-5 16-0 16-0 71-89 44.38%
9 BAR 0-16 1-15 2-14 3-13 5-11 8-8 8-8 11-5 15-1 15-1 68-92 42.50%
8 SAU 1-15 1-15 2-14 2-14 4-12 6-10 5-11 5-11 15-1 16-0 57-103 35.63%
10 MIN 0-16 0-16 0-16 0-16 0-16 0-16 0-16 1-15 1-15 8-8 10-150 6.25%
11 ARR 0-16 0-16 0-16 0-16 0-16 0-16 0-16 1-15 0-16 8-8 9-151 5.63%

 

予選タイム比率推移

PPタイム比率をグラフ化し、ライバルチームごとに推移を見ます。なお、フランスは予選が雨の強さという気象条件に左右されたため特異な状況となっています。

2強の差はシューマッハ次第

マクラーレンとフェラーリは、開幕時に大きな差がありました。フェラーリは必死に追い上げて差をなくしましたが、中盤以降、シューマッハを欠いた状態で再び差が開いてしまいました。終盤、シューマッハが復帰して活躍しますが、アーバインまで上昇はできませんでした。

前半のスチュワート、後半のジョーダン

スチュワートはマクラーレンに似せたマシンで前半にバリチェロが活躍しますが、2強に接近とまでは行かず、後半には調子を落とします。

ジョーダンは前半もがいていたものの、後半に無限ホンダエンジンのパワーアップもあり、2強に食い込みました。しかしささいなトラブルで終盤に勢いを失いました。

スーパーテックエンジン使用3チームの浮き沈み

スーパーテック・エンジンを使用する3チームは、タイムも接近していました。

BARは前半にビルヌーブが活躍。ベネトンはハンガリーで光りました。ウィリアムズはベルギーからヨーロッパで速さを見せました。

しかし1年を通じてのコンスタントな速さは見せられず、エンジンのパワー不足に泣いたと言えましょう。

少しだけ活躍したプロストとザウバー

プロストはプジョーエンジン2年目でまだ重さに悩まされました。ドイツとヨーロッパで速さを見せたものの、期待以上の活躍は出来ませんでした。

ザウバーはアレジが前半に光ったものの、後半は失速して中団にうずもれた格好になりました。

アロウズ、ミナルディ 最後尾争い

最後尾争いの両チームは、結局、中団チームにも近づけませんでした。

アロウズは、103%の壁を破れず、後半はマシン開発も止まって最下位に落ちました。

ミナルディは後半に最下位を脱し、ドイツで中団に食い込みましたが、終盤に金が底を尽きました。