2000決勝データ分析

2000年のレースデータを集計・分析します。マクラーレンは速さと信頼性ともにNo.1でした。なぜ勝てなかったのでしょうか。その答がわかります。

 

優勝者平均速度

優勝者平均速度の最高はドイツ・ホッケンハイムの215km/h、最低はモナコの144km/hです。鈴鹿は全サーキット中、7番目の207km/hを記録しています。

2000年は、13サーキットで前年を上回りました。3サーキットで下回ったのは、雨とセーフティカーの影響です。

年間平均では前年より2km/hアップの195km/hです。F1マシンは毎年、進化を続けています。2001年は大きなレギュレーションの改正がないため、さらに速くなるでしょう。

 

最高速ランキング(決勝)

レースではメルセデスが最速。フェラーリは後半パワーアップして対等になりました。ジャガーは予選よりレースに高速重視姿勢。BARホンダはレースでは速度低下(ダウンフォース重視でしょうか)。

決勝 予選 ドライバー チーム エンジン 指標 前半 後半 前後半差異
1 1 クルサード MCL MER +3.7 +4.6 +2.7 -1.9
2 3 ハッキネン MCL MER +3.5 +3.2 +3.9 +0.7
3 5 デ・ラ・ロサ ARR SUP +3.0 +3.7 +2.1 -1.6
4 2 フェルスタッペン ARR SUP +2.7 +3.3 +2.1 -1.2
5 4 バリチェロ FER FER +2.1 +0.8 +3.8 +3.0
6 6 M・シューマッハ FER FER +1.3 +0.0 +3.2 +3.2
7 13 ハーバート JAG FOR +1.0 +0.3 +1.7 +1.4
8 8 トゥルーリ JOR MUG +0.4 +0.2 +0.8 +0.6
9 15 アーバイン JAG FOR +0.2 -0.7 +1.4 +2.1
10 10 バトン WIL BMW +0.1 -0.4 +0.8 +1.2
11 14 フィジケラ BEN PLY -0.2 +0.7 -1.8 -2.5
12 11 R・シューマッハ WIL BMW -0.3 +0.9 -1.6 -2.5
13 7 ビルヌーブ BAR HON -0.4 -1.4 +0.8 +2.2
14 9 ゾンタ BAR HON -0.4 +1.4 -2.5 -3.9
15 17 アレジ PRO PEU -0.8 -0.8 -0.7 +0.1
16 12 フレンツェン JOR MUG -0.9 -1.4 -0.4 +1.0
17 19 サロ SAU PET -1.0 -1.8 -0.3 +1.5
18 16 ブルツ BEN PLY -1.1 -1.1 -1.1 -0.0
19 18 ハイドフェルド PRO PEU -1.1 -0.7 -1.8 -1.1
20 20 ディニス SAU PET -2.2 -3.0 -1.4 +1.6
21 21 ジェネ MIN FON -4.3 -3.5 -5.1 -1.6
22 22 マッツァカーネ MIN FON -5.0 -4.9 -5.2 -0.3

 

完走率によるランキング

完走率、走行距離の順に並べました。マクラーレン勢が1−2。序盤こそエンジン不調が多かったのですが、1年を通すと最も信頼性の高いマシンでした。これにフェラーリが続き、トップチームは速く、かつ壊れないという両方の意味を持っています。

リタイヤ理由の最多は事故です。事故王はデ・ラ・ロサで7回を記録。速さの反面、粗さも目立ちます。アロウズは2台ともギヤボックスに悩まされました。バトンは最多エンジンブローの6回を記録。ラルフの0回に比べ、エンジンを酷使する課題があります。

マクラーレンが失格2回(ハッキネンはコンストラクターズポイントのみ剥奪)、ペナルティ3回を食らったのに対し、フェラーリはどちらも0回でした。マクラーレンのトラクションコントロール違反の疑いが水面下にありました。

順位 ドライバー チーム 出走 完走 完走率 走行距離 事故 スピン エンジン ギヤ サス 油圧系 燃料系 電気系 ブレーキ クラッチ その他 病欠 撤退 失格 ペナルティ
1 クルサード MCL 17 14 82% 4,613km 1    1                      1 2
2 ハッキネン MCL 17 14 82% 4,584km      3                      (1) 1
3 バリチェロ FER 17 13 76% 4,464km 1          2 1                 
4 M・シューマッハ FER 17 13 76% 4,423km 2   1   1                     
5 ビルヌーブ BAR 17 13 76% 4,342km 1   2 2       1               
6 サロ SAU 16 12 75% 4,291km   2 1                   1 1   
7 アーバイン JAG 16 12 75% 4,044km 4                      1       
8 ブルツ BEN 17 12 71% 4,283km 2 2 1 1                       
9 フィジケラ BEN 17 12 71% 3,964km 2    1          1      1        1
10 マッツァカーネ MIN 17 11 65% 4,496km 1 1 1 1              1        2
11 バトン WIL 17 11 65% 3,850km 2    6                         
12 ディニス SAU 16 10 63% 3,785km 3 1 1 1                  1   1
13 R・シューマッハ WIL 17 10 59% 4,460km 3 1        1 1    1    1         
14 ゾンタ BAR 17 10 59% 4,433km 2 2 2            1            2
15 ジェネ MIN 17 10 59% 4,123km 1    2 1              2        1
16 トゥルーリ JOR 17 10 59% 3,417km 4      1              2        1
17 ハーバート JAG 17 9 53% 3,646km 2      3 1          2 1         
18 フレンツェン JOR 17 8 47% 3,216km 2    1 3    2    2 1             
19 フェルスタッペン ARR 17 7 41% 3,375km 2 1 1 3        1 1    1         
20 ハイドフェルド PRO 16 6 38% 2,956km 2 1 3    1 2    2            1  
21 デ・ラ・ロサ ARR 17 6 35% 2,938km 7    1 3                      1
22 アレジ PRO 17 5 29% 3,098km 3    4 1 1 2 1                1
       17 10 62% 3,946km 47 11 32 20 4 9 3 7 4 2 9 1 2 3 13

 

 

ファステストラップ・ランキング

レース中の最速ラップの順位に、チャンピオンシップ同様の得点計算方法でランキングをつけました。ハッキネンが1位を9回記録し、文句なしにNo.1です。しかし9回のうち、勝ったのは2回だけでした。勝てそうもない時でも懸命に走るケースがしばし見られました。一方、シューマッハは1位を2回とも勝ち、2位8回のうち、5回勝っています。

5位のフレンツェンはチャンピオンシップで9位(11点)に終わりました。速さを結果につなげられませんでした。

順位 ドライバー チーム ポイント 最高成績
1 ハッキネン MCL 118 1位9回(サンマリノ、イギリス、スペイン、モナコ、カナダ、ハンガリー、イタリア、日本、マレーシア)
2 M・シューマッハ FER 84 1位2回(ブラジル、ヨーロッパ)
3 クルサード MCL 76 1位3回(フランス、オーストリア、アメリカ)
4 バリチェロ FER 73 1位3回(オーストラリア、ドイツ、ベルギー)
5 フレンツェン JOR 26 2位1回(ブラジル)
6 R・シューマッハ WIL 14 3位1回(イギリス)
7 フィジケラ BEN 11 3位1回(モナコ)
8 ビルヌーブ BAR 11 4位2回(オーストリア、アメリカ)
9 アーバイン JAG 5 3位1回(フランス)
10 ゾンタ BAR 5 3位1回(イタリア)
11 バトン WIL 5 4位1回(スペイン)
12 ディニス SAU 5 5位2回(サンマリノ、アメリカ)
13 トゥルーリ JOR 4 5位1回(ドイツ)
14 デ・ラ・ロサ ARR 3 5位1回(ヨーロッパ)
15 ブルツ BEN 1 6位1回(イタリア)
16 サロ SAU 1 6位1回(ベルギー)
17 フェルスタッペン ARR 0 7位2回(ヨーロッパ、イタリア)
18 ハーバート JAG 0 9位2回(モナコ、マレーシア)
19 ジェネ MIN 0 9位1回(オーストラリア)
20 ハイドフェルド PRO 0 10位2回(モナコ、フランス)
21 アレジ PRO 0 10位2回(ドイツ、イタリア)
22 マッツァカーネ MIN 0 13位2回(ブラジル、イタリア)

 

 

スタートキングはハッキネン

オープニングラップ時点の順位で得点をつけたら、どのようになるでしょうか。グリッド時点と比べれば、スタート優劣の比較になります。

横軸は左からグリッド、オープニングラップ、チェッカーのそれぞれの時点での得点です。

ハッキネンのスタートダッシュがすばらしく、シューマッハはかなりしてやられました。しかしレース結果には結びつきませんでした。

2強以外では、マシンが劣るビルヌーブが好スタートを決め、それを成績に結び付けています。ラルフとフィジケラはスタートよりもレース中にポジションアップしています。

ジョーダンは予選とレース序盤はいい位置につけていますが、しりすぼみに終わっています。

 

なぜハッキネンシューマッハに敗れたか

シューマッハとハッキネンは、最高速・完走率・ファステストラップを比べると、ハッキネンの方が優位に立っています。ではなぜシューマッハがチャンピオンになったのでしょうか。レースのさまざまな要素を見ると、理由が浮かび上がってきます。

スタート逆転 - ハッキネン4連勝

  GP シューマッハ ハッキネン

ハッキネンはスタートでシューマッハに4回逆転しています。
一方、シューマッハがスタートで逆転したレースはありません。
スタートに関してはハッキネンの圧勝と言えるでしょう。
しかしながら、シューマッハは4敗のうち2回は再逆転して優勝しています。
スタートは重要ですが、それでレースが決まるとは言えません。 

6 ヨーロッパ 10 6
11 ドイツ 0 6
12 ハンガリー 6 10
16 日本 10 6
  4敗 26 4勝 28

(10、6、・・・はそのレースでの得点です)

 

相手がリタイヤしたレースの得点 − シューの徹底ぶりとハッキネンの甘さ

  GP シューマッハ ハッキネン

どちらかがリタイヤしたレースは7レースあります。
シューマッハはハッキネンがリタイヤした3レースすべて勝っているのに対し、
ハッキネンはシューマッハがリタイヤした4レースで1回しか勝っていません。
相手が転んだ時に徹底的にダメージを大きくすること、シューマッハは
憎いまでにこれを遂行していました。この7レースで7点差がつきました。

1 オーストラリア 10 リタイヤ
2 ブラジル 10 リタイヤ
7 モナコ リタイヤ 1
9 フランス リタイヤ 6
10 オーストリア リタイヤ 10
11 ドイツ リタイヤ 6
15 アメリカ 10 リタイヤ
  30 23

 

どちらも完走したレースの得点 - 両者互角も鈴鹿で決着

  GP シューマッハ ハッキネン 両方とも完走したレースでは、シューマッハの6勝4敗。
日本GP前の段階では、4勝4敗、シューマッハ58点、
ハッキネン57点と互角でした。日本GPは2度目の
ピットストップまでハッキネンがリード。
雨が勝敗を左右しました。
3 サンマリノ 10 6
4 イギリス 4 6
5 スペイン 2 10
6 ヨーロッパ 10 6
8 カナダ 10 3
12 ハンガリー 6 10
13 ベルギー 6 10
14 イタリア 10 6
16 日本 10 6
17 マレーシア 10 3
  78 66

 

全ラップタイム勝敗 - 速さに優るハッキネンの致命的な2周

  GP シューマッハ ハッキネン 両者が1位2位を占めた6レースについて、ラップごとのタイムが速かった周を数えました。
この6レースはシューマッハが4回優勝しているのですが、
全ラップタイムを見ると、ハッキネンが5レースで勝ち越しているのです。
つまりハッキネンはシューマッハより速く走れる力を持っていたのです。
しかしイモラでは43周目にエンジンが止まって2秒ロスし、
鈴鹿では38周目、雨のアウトラップで5秒ロスしました。
このわずか2つの周のせいで、シューマッハに逆転を許し、
+8点差のかわりに-8点差を負うという大きな代償を払いました。
3 サンマリノ 25周 37周
6 ヨーロッパ 40周 27周
12 ハンガリー 31周 46周
13 ベルギー 18周 26周
14 イタリア 24周 29周
16 日本 24周 29周

 

 

ラップ先行度 - シューの先行多し

  GP シューマッハ ハッキネン ラップチャート上に見る両者の先行度合。
勝つためには、まず相手よりも前にいること。
シューマッハはハッキネンに61%先行していました。
1 オーストラリア 0周 18周
2 ブラジル 19周 10周
3 サンマリノ 18周 44周
4 イギリス 7周 53周
5 スペイン 38周 27周
6 ヨーロッパ 47周 20周
7 モナコ 55周 0周
8 カナダ 69周 0周
9 フランス 58周 0周
12 ハンガリー 0周 77周
13 ベルギー 23周 21周
14 イタリア 50周 3周
15 アメリカ 25周 0周
16 日本 19周 33周
17 マレーシア 54周 2周
    482周 308周

 

ピットストップ逆転 - これも鈴鹿で決着

  GP シューマッハ ハッキネン 両者互角の速さのとき、コース上で抜くのは至難の業。
ピットストップで逆転を狙います。両者1勝1敗で迎えた
日本GPでシューマッハが逆転勝ちし、王座も決めました。
3 サンマリノ 10 6
5 スペイン 2 10
16 日本 10 6
  2勝 22 1勝 22

 

オーバーテイク - スパのハッキネンが印象的だが

  GP シューマッハ ハッキネン ベルギーのハッキネンのイメージが強烈ですが、
シューマッハも前半戦に2度、ブチ抜いています。
2 ブラジル 10 0
6 ヨーロッパ 10 6
12 ベルギー 6 10
  2勝 26 1勝 16

 

雨がらみのレース - シューのもの

  GP シューマッハ ハッキネン 雨がからんだのは6レースと多い年でした。
このうちシューマッハが4勝、ハッキネン1勝。
レース途中から雨が降る微妙な状況では、
シューマッハのコントロールに軍配が上がります。
6 ヨーロッパ 10 6
8 カナダ 10 3
11 ドイツ 0 6
13 ベルギー 6 10
15 アメリカ 10 0
16 日本 10 6
    46 31

 

決勝成績推移

レース成績順位をグラフ化し、ライバルチームごとに推移を見ます。

フェラーリ VS マクラーレン 1年間で力関係が二転

序盤はフェラーリのシューマッハが圧倒。次第に互角の争いを演じ、中盤はマクラーレンが優位に立ちます。シューマッハは連続アクシデントにいらだちます。しかし終盤ふたたびフェラーリが力を取り戻しました。

クルサードとバリチェロはベルギー以降に脱落したことがわかります。

ウィリアムズ VS BAR 表彰台を争うレベル

どちらも波の多いシーズンでした。ウィリアムズはラルフが3度表彰台に上がりました。ベルギーではクルサードを抑えての価値ある3位です。これに対し、BARはビルヌーブが4位4回と表彰台を取れませんでした。ここがチーム力の差といえます。

ジョーダン VS ジャガー 入賞圏内を争うレベル

フレンツェンは序盤と終盤に2度表彰台に上がりましたが、ジョーダンは年間を通じて6位が6回と多く、2勝した前年より力がダウンしました。

ジャガーはもっと悪く、アーバインのモナコ4位が光るのみでした。7位4回、8位3回がチームの位置を表しています。

ベネトン VS アロウズ 好不調の波が大きい

ベネトンは前半がフィジケラの表彰台3回と好調でしたが、後半はブルツの入賞1回だけに転落しました。

アロウズは信頼性が著しく低いものの、完走すれば入賞する力を持っていました。

ザウバー VS プロスト VS ミナルディ 速さより信頼性

下位3チームでは、ザウバーがサロの入賞4回ともっとも安定しています。ザウバーは7位2回、8位4回で、ジャガーといい勝負をしていました。

ミナルディは8位3回。プロストは8位1回。最下層に来ると、速さよりも信頼性がコンストラクター順位を決めます。プロストは、ボロボロでした。

 

3年間の得点推移

ハッキネンは王座をとった前年をさらに上回る得点を上げていました。よくやった方でしょう。

クルサードは自己最高の得点を上げています。課題は終盤戦の集中力でしょう。バリチェロも自己最高点です。

ラルフ、フレンツェンともに前年よりダウン。力を持っているのに勝てませんでした。

前年あと一歩で王座だったアーバインは、ぶざまな一年でした。フルシーズン7年目で最低の成績です。