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2006

2006 AUSTRALIA

2006年序盤3戦のセッションごとのドライバー別最速タイムの推移。タイムはPPとの比率で平均した。1%が約1秒に相当する。
ここで示されるのは、バトンが予選(Qual)で速いのに、レースのファステストラップが極端に遅いことだ。バトンは3戦の予選ですべて3位以内だが、FLは平均10位に落ちる。逆にアロンソは予選平均5位ながら、FLはトップ。バトンが予選とレースで2.9%もダウンするのに対し、アロンソは0.1%しかダウンしない。
ルノーがもう一つ強さを見せるのは、フリー走行から予選まで2人とも速いことだ。他のチームはどちらか一人が速いが、もう片方が遅い。
ライコネンもレースで強さを見せるが、マクラーレンはフリー走行で周回数が他より少なくタイムが上がらない。グリッドに影響していないだろうか。
佐藤は金曜朝にも健闘しているのがわかる。ビンケルホックとジャニより速いのだ。だが全体を通じてはモンテイロに2%の差がある。井出はもし107%ルールが今もあれば全戦予選落ちになっていたところだ。


2006年序盤3戦のチームごとレースペース。FLから0.5秒刻みで周回数を出した。これによりチームの実力がわかる。トップのルノーはFL+1秒にピークが来ている。ルノーより0.5秒遅い+1.5秒にピークが来ているのは、フェラーリ、マクラーレン、ホンダ、ウィリアムズの4チーム。山が低いのはリタイヤの影響で周回数が少ないこともあるが、ホンダは全チームで最も周回数が多いのに山が低くて問題がある。中団では、BMW、トヨタ、レッドブルが+2.5秒に集まっている。それに0.5秒遅れてトロロッソ。後方では、ミッドランドが+4.5、アグリが+6.5のところにいる。ミッドランドに+5.5の山もあるのは、佐藤に塞がれたことが多かったためである。なおアグリには+9.5がピークの井出がいる。
 

ラップタイムの変遷。バトンがアロンソよりタイムの上がりが遅かったことは11-18周目でわかる。ライコネンは11-12周目こそ速くアロンソに1.9秒差に迫ったが、13周目にガクンと落ち、以後引き離された。ライコネンはバトンを抜いたときにタイヤにフラットスポットを作り、振動でフロントウィングを痛めた。だがライコネンはマシンの調子が悪いながらもバトンと同じペースで走ることができた。ライコネンは21周目のピットインでタイヤを交換してもペースは上がらなかった。ライコネンは34周目にフロントウィングを交換した後に一気にペースを上げることができた。マクラーレンがもし予選でもっと軽くしてルノーの前にいたらライコネンが勝ってもおかしくなかった。今年もルノー対マクラーレン、アロンソ対ライコネンの図式になりそうだ。

優勝者平均速度で全周回を走るダミーとのタイム差を比較するレースチャート。R・シューマッハはなぜ3位になれたか。序盤は6位を走行していたが、前を走るバトン、ウェバー、モントーヤが消えたから3位になれて当然だった。しかしラルフは23周目にドライブスルーペナルティで8位に下がっていた。33周目、目の前のビルヌーブがピットイン。34周目、6位M・シューマッハがクラッシュしてセーフティカー。ここでラルフは待たされたモントーヤの前に出て5位に浮上した。38周目のリスタートでハイドフェルドがコースオフし、ラルフはバトンを抜いたこともあって3位に上がった。そしてモントーヤの攻めをしのぎ、モントーヤの自滅でゆうゆう表彰台を勝ち得た。
佐藤は27周目にタイムを大きく落としていることから、何らかのミスでアルバースに抜かれたものと見られる。


0.5秒ごとの各タイムを何周走れたかを示すレースペース。低温の公道で行われた今回のレースは誰もが安定した走りができなかった。アロンソですら1:27-27.5秒台を13周ずつしかできていない。だがアロンソが誰よりも速いペースであることに変わりはない。ハイドフェルドは3位の走りが出来ていたが、一度のミスで表彰台を失った。バトンの山が2つあるのは、第二スティントでまったく調子が出なかったことが原因だった。ブレーキトラブルのあったバリチェロは1:28.5秒台がピークだが、それよりピークが3.5秒も遅い佐藤を序盤で抜けなかった。なお、トロロッソはかなり速いことがここでも見て取れる。
 
Results
 
Pos # Driver Team Eng Time/Diff/
RetireReason
Laps Fastest Lap
1 1 F.Alonso Ren Ren M 1h34:27.870 57 1:26.189(49)
2 3 K.Raikkonen McL Mer M +1.829 57 1:26.045(57)
3 7 R.Schumacher Toy Toy B +24.824 57 1:27.810(45)
4 16 N.Heidfeld BMW BMW M +31.032 57 1:27.700(49)
5 2 G.Fisichella Ren Ren M +38.421 57 1:27.561(53)
6 17 J.Villeneuve BMW BMW M +49.554 57 1:28.321(56)
7 11 R.Barrichello Hon Hon M +51.904 57 1:27.690(32)
8 14 D.Coulthard RBr Fer M +53.983 57 1:28.250(32)
9r 12 J.Button Hon Hon M +1 lap 56 1:27.799(17)
10 19 C.Albers Mid Toy B +1 lap 56 1:29.238(53)
11 21 S.Speed Tor Cos M +53.817 57 1:28.367(26)
12 22 T.Sato Agu Hon B +2 laps 55 1:30.574(54)
13 23 Y.Ide Agu Hon B +3 laps 54 1:33.737(49)
r 4 J.P.Montoya McL Mer M electrical 46 1:27.464(45)
r 18 T.Monteiro Mid Toy B hydraulic 39 1:29.687(31)
r 20 V.Liuzzi Tor Cos M accident 37 1:27.988(25)
r 5 M.Schumacher Fer Fer B accident 32 1:27.180(27)
r 9 M.Webber Wil Cos B transmission 22 1:27.800(19)
r 15 C.Klien RBr Fer M accident 4 1:41.351(4)
r 8 J.Trulli Toy Toy B accident 0  
r 10 N.Rosberg Wil Cos B accident damage 0  
r 6 F.Massa Fer Fer B accident 0  


 

アロンソ強し、ルノー4連勝
セーフティカー4回の荒れたレースになったが、アロンソが動じない強さで優勝。2位ライコネンは歯が立たなかった感があるが、バトンを抜いた時に出来たフラットスポットでフロントウィングを痛めていた。3位にR・シューマッハが入りトヨタ今季初表彰台。アグリは初の2台完走。
フォーメーションラップでモントーヤがスピン。グリッドでフィジケラが手を上げピットスタート。スタート1コーナーでマッサがクラッシュし、ロズベルグも巻き添え。トゥルーリもクルサードに当てられリタイヤ。
PPバトンはセーフティカーのたびにリスタートで遅いところを突かれてズルズルと順位を落とした。逆にアロンソはリスタートのたびに他を突き放した。ライコネンはアロンソについていけなかった。
M・シューマッハは序盤にリウッツィに抜かれるなど不調だったが、ピットストップ後に調子を上げた。しかし最終コーナーでクラッシュ。クリエンとリウッツィもセーフティカーの原因となるクラッシュ。マシンの速さにコースの安全性に限界を感じた。
BMWは表彰台の可能性があったが、トヨタに奪われた。モントーヤはセーフティカーストップでライコネンに待たされた。モントーヤは最終コーナーで挙動を乱した後、不可解に止まった。バトンは5位目前の最終コーナーで火を噴き、ゴール直前にマシンを止めた(次戦は新エンジン)。
レース後、スピードは黄旗無視で25秒加算されて8位から11位に降格した。佐藤は終盤にR・シューマッハが後ろに来た時の青旗無視で訓告を受けた。
 

Grid

Grid # Driver Team Eng Session 1 Session 2 Session 3
Pos Time Laps Pos Time Laps Pos Time Laps
1 12 J.Button Hon Hon M 8 1:28.081 7 8 1:26.337 4 1 1:25.229 14
2 2 G.Fisichella Ren Ren M 5 1:27.765 5 6 1:26.196 4 2 1:25.635 14
3 1 F.Alonso Ren Ren M 13 1:28.569 6 1 1:25.729 4 3 1:25.778 14
4 3 K.Raikkonen McL Mer M 2 1:27.193 5 5 1:26.161 3 4 1:25.822 14
5 4 J.P.Montoya McL Mer M 1 1:27.079 5 2 1:25.902 3 5 1:25.976 14
6 7 R.Schumacher Toy Toy B 7 1:28.007 7 9 1:26.596 9 6 1:26.612 12
7 9 M.Webber Wil Cos B 3 1:27.669 5 4 1:26.075 3 7 1:26.937 14
8 16 N.Heidfeld BMW BMW M 6 1:27.796 7 3 1:26.014 11 8 1:27.579 12
9 8 J.Trulli Toy Toy B 4 1:27.748 7 7 1:26.327 7 10 No Time 0
10 5 M.Schumacher Fer Fer B 9 1:28.228 5 11 1:26.718        
11 14 D.Coulthard RBr Fer M 11 1:28.408 5 12 1:27.023        
12 20 V.Liuzzi Tor Cos M 16 1:28.999 9 13 1:27.219        
13 15 C.Klien RBr Fer M 14 1:28.757 7 14 1:27.591        
14 10 N.Rosberg Wil Cos B 10 1:28.351 4 15 1:29.422        
15 6 F.Massa Fer Fer B 15 1:28.868 6 16 No Time        
16 11 R.Barrichello Hon Hon M 17 1:29.943 6            
17 19 C.Albers Mid Toy B 18 1:30.226 8            
18 21 S.Speed Tor Cos M 19 1:30.426 9            
19 17 J.Villeneuve BMW BMW M 12 1:28.460 6 10 1:26.714 10 9 1:29.239 3
20 18 T.Monteiro Mid Toy B 20 1:30.709 7            
21 22 T.Sato Agu Hon B 21 1:32.279 7            
22 23 Y.Ide Agu Hon B 22 1:36.164 7            

 

ホンダ38年ぶりPP
バトンが3度目、ホンダとしては第一期1968年イタリアGPのサーティースが記録して以来2度目のPPを獲得。当時2番手はマクラーレンに乗るマクラーレン、3番手はフェラーリのエイモンだった。ホンダはGP初参戦から42年、フェラーリは58年、ルノーとメルセデスは100年以上。何か歴史を感じさせる予選になった。
最初のセッションでは井出がコースアウトを繰り返し、スピンで止まって赤旗。再開後にバリチェロは井出に詰まって17位になり脱落。
次のセッションではマッサが縁石に乗ってコントロールを失いクラッシュ。赤旗再開後にM・シューマッハはスコールにたたられて11位で脱落。
エンジン交換:ビルヌーブ
 

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