(2002.7.9)
雨が強くなった13周目にフェラーリとウィリアムズの4台は次々にピットイン。フェラーリはインターミディエイト、ウィリアムズはウェットタイヤでした。15周目から20周目の間、両者の差は1周につき4秒も違いました。これではモンも1位を守ることはできません。モンはミヒャに抜かれた16周目の後、32周目までに53秒の大差をつけられてしまいました。
30周目に雨はさらに激しくなり、ブリヂストン、ミシュランともにタイムが急激に落ちます。それでも両者の差は1周につき4秒違うことに変わりありませんでした。小雨・大雨ともブリヂストンが圧倒的なアドバンテージがあることを思い知らされます。
39周目以降、ラルがドライに替えてペースが上がりました。ルビもすぐにドライに替えてラルのペースに追いついたことから、乾き始めでは両者に差がないことがわかります。その後のドライ路面において、フェラーリはウィリアムズより2秒速いペースでした。天候変化のどの局面においても、ミシュランに勝ち目はないことがわかります。
そんな中、モンは前半にミヒャ、後半にルビとバトルを演じていました。不利な状況でモンの実力はかなりのものがあります。
今回のレースはルビがスタートのトラブルで最後尾にまわったことでミヒャの勝利が決まりました。さらに、ルビは雨が強くなった32周目にスピンを喫しています。
ミヒャとルビの差は13周目で14秒ついていました。そして、この差がチェッカーを受けたときの差になりました。ルビは後半のドライタイヤへのスイッチがミヒャより速かったため、スピンで失った9秒を取り戻しました。しかし、純粋なラップタイムペースでは、ミヒャとの差を詰めることはできませんでした。
ルビが21位から19台抜いて2位に入ったことは、F2002の戦闘力から言えば、驚くことではなく、当然のことです。
つまり、ミヒャが勝って当然だったのです。
琢磨は健闘していました。雨でタイヤ交換がフィジコ優先となり、3周にわたってドライタイヤで走り続けさせられました。このときフィジコより1分もロスしています。琢磨はピットで待っていた方が良かったとも言っていました。琢磨はピットアウト後の16周目から25周目まで、ホンダ勢の中で最も速いタイムを出していました。
琢磨が走っていた50周のうち、ホンダ勢最速だったのが20周で最多でした。
今回はジャックとオリビエが4・5位入賞を果たしましたが、琢磨のパフォーマンスはそれをしのいでいたです。琢磨はツキがあれば入賞する力は持っています。