2002第10戦イギリスGP

ミヒャ7勝目、早くも王手

2002年7月7日 シルバーストン

<予選>

モンが最終アタックで0.8秒差を逆転、4連続PPを決める。最近の連続PPは2000-01にミヒャの7連続がある。記録はセナの8連続。

(画像は1/43モデルカーのFW24ラウンチとF2001の2002開幕仕様を撮影して編集)

モン最終アタックで0.8秒差を逆転

上位4人のタイムアタック推移。

1回目にミヒャが1分19秒491でトップ。ルビは失敗し、やり直して19秒624で0.133差の2番手。ラルは19秒921で0.43差。モンは20秒502で1.011の大差をつけられる。

2回目にルビが1分19秒032をマークし、ミヒャの19秒042を0.01抑えてトップ。ラルは19秒329で0.297差。モンは19秒873で0.841とまだ大きな差がある。

3回目、モンが一気に1分18秒998をたたき出し、逆転PPを決める。ミヒャ・ルビ・ラルの3人はタイムアップできなかった。

モンが最終アタックで0.841秒も削ったのは驚異。かつてのセナの再来を思わせる。
ミヒャ高速コーナ重視で失敗

セクタータイムの各自ベストをモン(中央横軸)との差で比較。

ミヒャはセクター1で0.4秒も速かったが、残りのセクターで劣った。セクター1は高速コーナーが続く区間で、ミヒャのセッティングはセクター1重視だった。モンはここで4番手にすぎない。

モンはセクター2で誰よりも速かった。セクター2はシケインが2つあり、突っ込みと出口加速を重視したことを思わせる。

モンはセクター3でタイムはルビに0.005しか違わない。低速コーナーの旋回という特色を持つセクター3。ミヒャは高速コーナー重視だったためか、セクター3のタイムに乱れが見られた。

モン低速コーナ重視で成功

各計測点での速度をモン(中央横軸)との差で比較。

フェラーリが3地点ともウィリアムズにやや優っているが、そんなに大きな差ではない。

ストレートでの伸び、高速コーナーの旋回において、フェラーリとブリヂストンは抜群である。

だが、ウィリアムズとミシュランはブレーキングと出口加速、そして低速旋回で予選の1周は制した。

60周のレースではそうはいかないが。

 

<決勝>

2番手ルビがフォーメーションラップでスタートできない。ルビは最後尾にまわる。こういうトラブルはミヒャには出ない。この時ミヒャ勝利へのお膳立てができた。

小雨が降る中、60周のレース開始。

スタート1コーナは、モン、ミヒャ、ラル、キミ、デビの順。

フェリペがスピン。ジャックを抜こうとして芝生に乗り上げコントロールを失った。再走。

琢磨は1コーナで目前のオリビエが白煙を上げるブレーキングしたため姿勢を乱す。そのためエンリケに抜かれた。

マクニッシュはスタートできない。最初で最後かもしれない地元GPで0周リタイヤ。

1周目 ルビは21位から14位に浮上。

3周目 キミがラルを抜いて3位浮上。ラルはデビにも抜かれそうになるが抑える。

1位モンと2位ミヒャの差は、1周目1.1秒、2周目1.6秒だったが、3周目からミヒャの方が速くなり追いつく。モン苦しい。

決勝は予選と違い、セクター1の高速コーナはモンも離せる。セクター2のシケインでミヒャが追いつく。

ウェーバーはフィジコの前17位を走るなど健闘していたがスピンしてリタイヤ。ユーンが予選落ちだったためミナルディ全滅。金がなくて苦しいチーム。

フェリペ2度目のスピン。

12周目 雨が強くなり、各車ペースダウン。ミヒャも思わずズルッ。

13周目 トップチームは続々レインタイヤに交換。モンはウェットタイヤ、ミヒャはインターミディエイト。

14周目 ドライタイヤのまま走っていた琢磨はコースアウト。ギャンブルは失敗し、最後尾に落ちる。

16周目 ミヒャがモン抜き1位。モンは必死にミヒャを抑えていたが、アビーでアウトにふくらみ、抜かれる。

チョイ濡れの状況で、フェラーリとウィリアムズは2秒も違い、ドンドン離れていく。ルビも3位に浮上。

ミシュランタイヤはインターミディエイトを使いたい場面だが、それが遅くて使えず、レインタイヤで走らざるを得ない。

(左はイメージ画像)

サロがリタイヤし、トヨタ勢も全滅。

18周目 キミはタイヤ交換で後退したが、ラルを再び抜く。

19周目 ルビがモンを抜いて2位。どうしようもないモン。

ハインツがジェンスを抜いて7位浮上。ここでもブリヂストンの性能がものを言う。

20周目 ハインツはラルを責め立てていたが、リタイヤ。ウォーキンショーが自分の財布で買ったエンジンは壊れた。金曜に走れなかったアロウズ、次戦も危ない。

25周目 エディがスピンしてクラッシュ。ジャガーは地元で予選19・21番手と寒い。

29周目 デビがコースアウトして看板を壊す。マクラーレンはウェット、ドライ、インターミディエイトを履き替えてあたかも雨中のタイヤテストと化す。

32周目 ラルが2回目のピットイン。しかし給油できない。防火メットをつけないスタッフもあわてて手伝うが、ダメ。ラルは入賞圏外に落ちる。

ルビがスピン。フェラーリもインターミディエイトの磨耗が激しかった。ミヒャ、ルビ相次いで2セット目のインターミディエイトに交換。

37周目 デビピットインでマクラーレンも給油トラブル。リグ係の後ろにホースかつぎ係もいる。デビは14位走行。

40周目 ルビ、モン同時ピットイン。その前にラルがドライに替えて速かったので、各車ドライに交換し始める。


41周目 モンはプライオリーでルビのインをズバッと差し、2位。替えたばかりの周でモンの思い切りの良さが出た。だがフェラーリの方が速いため、ルビは攻める。

42周目 ミヒャもドライタイヤに交換。2位モンに50秒近い差があったため、ゆうゆうトップ復帰。

ジャックが4位、オリビエも5位で、BARはついに念願の入賞を果たすことになる。

44周目 キミが白煙を上げて止まる。マクラーレンは前年優勝の地元GPで散々な結果になった。


45周目 ルビが1コーナでモンを抜き返し、2位。ホイールが一瞬ぶつかった。フェラーリ再び1−2に戻す。

モンはよくがんばった。最速フェラーリと唯一戦っているドライバーだ。

50周目 琢磨が白煙を上げて止まる。10位まで上がっていたが、英F3で活躍した"地元"で結果を出せず。フィジコとの予選対決は連勝して3勝7敗。


54周目 ヤルノに続いてジェンスも止まりルノー勢もチェッカーを受けられなかった。

60周目 ミヒャが左手を上げながらチェッカーを受ける。今季7勝目。通算60勝を達成。2位ルビ14秒差、3位モン31秒差。

ミヒャは54点差をつけた。次の第11戦で勝って60点差になればチャンピオン決定である。

ミヒャ 86
ルビ  32
モン  31
ラル  30

フェラーリ  118
ウィリアムズ  61