2002.4.3
2002年も序盤3戦を終え、傾向がつかめたかと思います。流れを見ていきましょう。
現在のF1でタイムにもっとも影響するのがタイヤ。ブリヂストンは2001年にすべてのサーキットでミシュランを上回っていましたが、2002年、ついにインテルラゴスで逆転されました。
ミシュラン12台とブリヂストン10台の予選の速さです。PPタイム比率で平均しました。メルボルンで圧倒的優位にあったブリヂストンですが、クアラルンプールで接近され、サンパウロで敗れたのです。
今や、ミシュランにはBMW、メルセデス、ルノー、フォード、トヨタといった大自動車メーカーがバックにつきました。これに対しブリヂストンはフェラーリのM・シューマッハだけが頼りという状況です。ホンダは当てにならなくなりました。
チーム2台の平均を見てみると、フェラーリが下降線をたどり、ウィリアムズが上昇線です。ルノーが急激に速くなりました。サンマリノからの欧州シリーズでこの傾向はさらに強まるものと思われます。
フェラーリはF2001で開幕戦を圧勝しましたが、進化の著しいF1で、前年型はすぐに戦闘力を失ってしまいます。サンマリノから投入予定だったF2002を1戦早めたのも、フェラーリの焦りが見えます。そして、F2002は壊れなかったものの、速さも見せ付けられませんでした。セッティングが煮詰まっていないという声もありますが、昔からの格言「速い車は最初から速い」ということにはあてはまらないかもしれません。つまり、今年は接戦を覚悟しなければならないでしょう。
中団では、トヨタの予想外の好成績が目を見張ります。もはや、ホンダを追い越しています。また、クソ車とみなされたジャガーも、必死のリカバーをみせつつあります。かなり激しい争いが中団では演じられています。ホンダ勢はこの中で横ばいとなり、相対的に地位低下となりつつあります。
3強(フェラーリ・ウィリアムズ・マクラーレン)と、3強以外の比較です。3強以外が接近しつつあります。
GP | フリー走行1 | フリー走行1・2 | フリー走行3・4 | 予選 | 赤が席捲したのは開幕戦だけでした。 銀は金曜午後だけ光りました。 土曜は白紺が来ます。 |
オーストラリア | M・シューマッハ | M・シューマッハ | M・シューマッハ | バリチェロ | |
マレーシア | M・シューマッハ | ライコネン | モントーヤ | M・シューマッハ | |
ブラジル | M・シューマッハ | クルサード | R・シューマッハ | モントーヤ |
GP | セクター1 | セクター2 | セクター3 | ベストセクター計 | 予選ではのべ9セクターのうち、 白紺が6セクターを牛耳っています。 面白いことに1-2戦はベストセクター 合計がPPを取れませんでした。 |
オーストラリア | R・シューマッハ | R・シューマッハ | M・シューマッハ | M・シューマッハ | |
マレーシア | M・シューマッハ | モントーヤ | モントーヤ | モントーヤ | |
ブラジル | モントーヤ | M・シューマッハ | R・シューマッハ | モントーヤ |
最高速の平均では、BMWが前年から最速を堅持。しかしながら、差は詰まってきました。フェラーリはメルセデスに抜かれました。
トヨタが3強に次ぐスピードを見せています。トヨタ好調の源泉はエンジンでした。シャシーはまだまだ開発しなければなりませんが、このチームの潜在力は十分あるようです。
ホンダは前年より相対的に低下。並のエンジンに成り下がりました。
琢磨はチームメイトより最高速に差がありすぎます。エンジンをまわしきっていないことはテレメトリで伝えられていることでしょう。解決すべき課題です。
GP | セクター1 | セクター2 | セクター3 | ベストセクター計 | 予選タイム | セパンでは2つのセクターで琢磨が フィジコを上回っていました。 長いストレート2本のセクター3で大差をつけられました。 コーナー出口からストレートへ加速する ところが課題です。 |
フィジケラ | 25.639 | 32.105 | 39.553 | 1:37.297 | 1:37.536 | |
佐藤琢磨 | 25.516 | 32.071 | 40.380 | 1:37.967 | 1:38.141 | |
差 | -0.123 | -0.034 | +0.827 | +0.670 | +0.605 |
GP | セクター1 | セクター2 | セクター3 | ベストセクター計 | 予選タイム | インテルラゴスでは高速のセクター1で 琢磨が上だったのですが、低速のセクター2で 負けたのが響きました。フィジコの技を盗め。 |
フィジケラ | 19.146 | 38.235 | 17.348 | 1:14.729 | 1:14.748 | |
佐藤琢磨 | 19.126 | 38.510 | 17.435 | 1:15.071 | 1:15.296 | |
-0.020 | +0.275 | +0.087 | +0.342 | +0.548 |
フィジコに対し何が負けているかを見極め、その差を克服すること、琢磨ならそれができるはず。
つづく