2002.2.16
全17戦でどのサーキットがもっともブレーキを酷使するでしょうか。
2001年に行われた全戦17サーキットから、ブレーキングポイントの減速幅を帯域別に分類しました。
もっとも多いのは減速幅100km/h以下のゆるいブレーキングポイント。これに151〜200km/hが続きます。全体の8割は200km/h以下ということになります。
201km/h以上の減速、すなわちハードブレーキングのポイントは全体の17.4%存在します。ここはそのままオーバーテイクポイントにもなります。勝負をかけるとことなわけで、ブレーキ性能がもっとも問われる場面になります。
1999年イギリスGP1周目、シルバーストーンのストウコーナー。M・シューマッハのリアブレーキが故障。ハンガーストレートから時速300km/hで駆け抜けてきたマシンは、フロントブレーキとサンドトラップで210km/hまでしか減速できずに、タイヤバリアに激突。シューマッハは骨折の重傷を負った。
F1のブレーキ性能は飛躍的に向上したが、一歩誤ると重大事故になる。ブレーキはかなり重要な部品である。
全17戦のサーキット別に、ブレーキング減速速度の合計を並べました。ここから、ブレーキを酷使するサーキットがわかります。
もっともブレーキを激しく使うのは、モントリオールです。これに続くのはセパンとホッケンハイム。さらに、イモラ、メルボルン、モンテカルロも厳しくなっています。
一方、インディ、鈴鹿、カタルーニャ、A1、ハンガロリングなどは比較的ブレーキを酷使しないサーキットです。
モントリオールはブレーキをもっとも酷使するサーキット。1999年、フレンツェン(ジョーダン)は終盤にブレーキが壊れ、クラッシュしてしまった。ジョーダンはブレーキ設計の見直しに追い込まれた。
サーキット別に、もっとも減速幅の大きいポイントを並べました。全17戦で一番激しくブレーキングするのは、ホッケンハイム・オストシケイン手前で、時速336kmから80kmへ、256kmも減速します。(ただし、2002改修でなくなります。)
次に激しいのは、モンツァの第一シケイン手前の248km/h減速。
ホッケンハイムの森の一番奥にあるオストシケイン。250km/h以上も減速するため、アクシデントも多い箇所。1999年はクルサードがサロに追突。2001年はトゥルーリがパニスを抜こうとしてスピン。
古くは1992年にマンセル、1993年にプロストがオーバーランしてしまった。
サーキットごとのブレーキングポイント数を、減速帯の内訳とともに並べました。ブレーキ回数が多いのはモンテカルロとシルバーストーンです。
しかしながら、ブレーキに厳しいのは、赤い部分(201km/h以上減速)が多いサーキットになります。ホッケンハイム、スパ、モンツァなどが赤さが多くなっています。
鈴鹿は、シケイン手前以外は、ハードブレーキング箇所はありません。1コーナー、デグナー、ヘアピン、スプーンなどは、現代のF1ではゆるいブレーキングの方です。
1997年のメルボルンでは、フレンツェン(ウィリアムズ)が終盤にブレーキを破損し、リタイヤ。
ニューマシンが初めて実戦でロングランする開幕戦。メルボルンはブレーキにとっても厳しいサーキットになっている。
つづく