ニコライ・ネフスキー/著 
エリ・グロムコフスカヤ/編
魚井一由/訳(1947-2008)

イラスト/砂沢チニタ

ニコライ・ネフスキーは、ロシアの東洋学者で鍋澤ユキとコポアヌ媼から
カムイユカラとメノコユカラをロシア語で筆録されたそうです。
私は最近までロシア革命で粛正に遭い処刑されたので
その記録が残っていないと考えていましたが・・・
 
1991年に魚井一由氏に依って論文が翻訳されていたことを知りました。

特に、ワカルパ/フォルクローレに於いての人の葬礼の詞とぴたりと一致する点に
彼のアイヌ語に関する見識は深いものだと感じます。
是非、お勧めしたい一冊であります。 2014/08/13


ネフスキーの序論は、19ページしかないが・・・ワカルパ/フォルクローレで解らなかった部分が
説明されていて・・・良く解った !! これでアイヌ文化の研究が進むでしょう
鍋沢ユキが大坂のネフスキーの所にアイヌ語を教えに行った時のシノッチャ
翌年の大正12年に金田一博士に伝えております。経緯が分かり面白いです。

ネフスキーが金田一博士から教わったと思われる葬礼の詞を書いておきましょうか。
ネフスキーの訳というのはロシア語でそれを魚井氏が更に訳したものです。

ワカルパ翁の言葉というのは、ワカルパ翁が金田一博士に伝えた言葉です。
ワカルパ翁が言うには、余計なこと美辞麗句などは決して言ったらいけないもので、言ったら
死者がこの世に未練を残し、戻ってきて悪いことをするそうです。
久保寺博士の記録では、それが目立ちますね。 (*^_^*)
ネフスキーは、金田一博士の話を真摯に受け止めていたことが良く解るお話で、
鋭い洞察力の持ち主と言うことが覗えることになりますね。

ワカルパ翁の言葉  ネフスキーの訳  ワカルパ翁の言葉  ネフスキーの訳 
kukoran aishiri  鳴呼 我が死者よ   eekarakara kusu  しかとありなん  
kukon nupepo  我が涙よ  koyairamatte  己が心に 
kuitaki chiki  我が述ぶることに   eki wane yak それを止めおき 
pirikano nu  耳を傾けよ  etekshurere=etek rakupte  手を離せ 
tane anakne  汝は今やすでに  moshinne yakun  我等の国からの手をとれ 
kamui ene wa  神々となりぬ  tane anakne  そして、その後で
kamui ramatpo ie unu  神の御霊へと   shinrit moshiri 祖先の国  
kamui shirikapo  神の御姿へと  kamui moshiri  神の国へ
ie unu wa  変身せり  eearapa kuni  出立せよ 
eankoro anak ainu ye itak  人間の言葉は  eruwetoko moshiri koro huchi  先に我等が国の媼は 
shomo enu na  もはや汝には聞こえぬ  eshonko kushte  すでに伝えている 
eresu huchi  汝を育てし媼は  ohauke sakno  真っ直ぐに真っ直ぐに  
tan kamui huchi  この火の神媼は  shirit moshiri  祖先の国へ 
orowano  この彼女から  eeshirepa ki kunip ne na  汝が移住は終わるのだ  
chikashpa otte  汝に言辞は     

宮古島キッズネット『ニコライ・A・ネフスキー物語』

ニコライ・A・ネフスキーの公表されていないアイヌ民話・研究資料