POUR SOME SUGUR ON ME

 

食べ物の好みで言えばアムロは特に甘党ではない。だが、時々無性に「甘いモノ」が欲しくなる時がある。外でスイーツを買ってきたりする時もあるのだが、如何せん同居人が甘いモノがそう好きではないので、買ってきても喜ばれない。だからといって一人で食べるのも少々気が引ける。

そこで…最近は「糖分がもの凄く欲しいーっ」時、アムロは朝食にフレンチトーストを作るコトにした。当然、自分の分だけ。卵+牛乳にヒタヒタのパンをこんがりと焼き、たっぷりの粉砂糖と好みのメイプルシロップ…時にはその上にホイップクリームもたっぷりとかけて…朝食とする。至福の時間である。

爽やかな初夏の朝…穏やかな風がダイニングルームのレースカーテンを少しだけ躍らせている。アムロは早々と起きて朝食の準備をしていた。寝室から階下に降りてくる途中のシャアは、ダイニングルームからアムロの鼻歌と甘ったるい香りが漂ってきているのに気づき、眉を顰めた。

「あーおはよう〜シャア♪今日も良いお天気だね〜」
今朝のアムロは大変上機嫌であった。動きも軽やかである。シャアは元々食事を作る時のアムロの手際の良さには常に関心しているが、今朝も鼻歌交じりの良いリズム感だ。……この甘い香りさえなければ…な。
シャアの前にはいつも通りのメニュー…ベーコンエッグとサラダとヨーグルト、そして普通のトーストが並べられているが、アムロの前にはこんもりと盛ったフレンチトースト…だけであった。
「いただきまーす♪」
甘々のトーストを幸せそうにかぶりついている様子には、件の同居人はあまり快い視線を投げかけてくれない。
「……糖分を取り過ぎだと思うが…」
自分用の普通のトーストに軽くバターを塗りながら、一言。
「…お互いの食べ物の好みには文句を言わない約束…だろ?」
アムロのムニュムニュ〜とメイプルシロップをこれでもかっとトーストに降りかけている図に眉間に皺を寄せながら
「…もちろん承知している。君が好きだと言った『納豆』なるモノにだって、私は文句を言った事はないだろう?」
と、珈琲カップを口に運びながら、シャアは静かに言った。
「…の割りには貴方は食べないじゃないか」
「文句も言わないし押しつけない、という決まりなハズだが?『納豆』なるものは健康食品だと聞いているから、君が食べたいのなら何も言わない。…だがソレはいただけない。シロップをいったい何リットルかける気だ?」
更にホイップクリームをモリモリとのせるアムロを見つめる視線はどんどん険しくになってゆくのだった。
「何リットル…は大袈裟だろう?今は無性にコレが食べたいんだ。…だいたい元はと言えばシャアのせいなんだからな…」
「何故私のせいなのだ?…クリームもかけ過ぎた…体に悪い。止めたまえ」
ここでアムロはやっと顔を上げてシャアを睨み付けた。
「シャアがケーキとか嫌いだから!買ってきても嬉しそーじゃないからっ!俺はすごーく食べたくなる時があるのっっ!今がそーなワケっ!!」
アムロは手にしていたメイプルシロップのチューブをシャアに向け、ブンブン振りながら訴えた。
威嚇のつもりか?…そんなモノを振り回すな…と言おうとした時、「ぶちゅっっ」…とした音が響いて、シロップがシャアの前髪まで飛んで来た。
「…あっっ…!」
思わず叫ぶアムロ。シャアの綺麗なプラチナブロンドに琥珀色の液体がトロリとかかってしまった…。無言でナプキンを手に取り、それを拭うシャアだが、そう簡単に落とせるものではない。彼は露骨に不快な表情を見せる。
------ちょっと…マズかったかも…
大変気まずい雰囲気が食卓に漂っているのだった。
----不可抗力とはいえ…やっぱり謝るべきかな…?と、アムロはタイミングを測っていたのだが、いきなりシャアの手が延びてきて、乱暴に自分の手からメイプルシロップを取り上げた。あっ!と驚くアムロにそのチューブの先を向けると、シャアはそのまま力を込める……。

「うわあぁぁぁぁぁーーーっっっっ……!」
メイプルシロップの弾丸はアムロの鎖骨辺りに命中し、思いっきり炸裂した。そのままドロリとシャツの中に流れていく。
「シャ…シャアーっっっっ!!いきなり…何するんだよっっ!!」
予想もしなかったシャアのあんまりな行動にアムロは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「人の忠告を素直に聞かずに、更に人のせいにする子にはお仕置きだ」
何だよっソレーっっ?!…平然と答えるシャアに更に怒りを増しながら、アムロは椅子から立ち上がり、気持ち悪さからシャツの前をバッと勢いよく開ける。
「こんなの30過ぎた大人のやるコトかーーっっ?!…ああーっっもうっっ倍返しなんてもんじゃない量じゃんかっっ!…シャツがベトベトだよぉっっ!」
「元々そのシャツは私のものだから気にはしない。バスルームで洗い流せば良かろう」
アムロの着ているシャツは確かにシャアのもので、コットンの優しい肌触りとブカブカ感が気に入ったのか、最近はもっぱらアムロが勝手に着用しているものだった。
「もう馬鹿シャアーっっ!!見ろよっっジーンズまで汚れたっっっ…!」
相変わらずキーッと怒りながら、両手でシャツを開きシャアに見せつけるアムロ…であったが、シャアの不埒な視線に気付きハッとする。
「ふーん…これはこれは…」
アムロの白い肌に流れ落ちる琥珀色のトロリとした液体…鎖骨から胸を通り下腹部まで……予想外に扇情的な様子にシャアは素直に喜んでいる様子だった…。
アムロはそっと両手を交差させてシャツの前を閉じる。
「……洗ってきます………」
シャアが大変ヤバイコトを考える前に、コレを何とかしなくてはっっっ!
バスルームに走り出したアムロは案の定…いつの間にか立ち上がっていたシャアに阻まれた。それはもう意地の悪い(アムロに言わせれば大変イヤラシイ)視線で目の前の恋人を見下ろしている。
「……どいて…よ……」
上目遣いでキッとシャアを睨みつけた。…が、まるで生娘のように恥ずかしがって両腕を組み、シャツではだけた自分の胸を隠しているアムロは、ますますシャアの征服欲をそそるだけなのである。
「…私のせいだからな……今すぐに綺麗にしてあげよう」
------言うと思ったーーーーっっっっっ!!

「な、何を考えているんだっっっ貴方はっっ!…朝だよっっ!?まだ8時前っっ!…こんなに明るいしっっ…!」
「朝起きた時にその気になって、した事はよくあるだろう?」
「そっ…ソレとコレとはーっっっ…!」
シャアはアムロの両肩を掴み、アムロの耳元にそっと唇を寄せた。かかる息にアムロの身体はビクっと震える。
「昨夜はSEXしてないからな…だから君を抱きたくてしょうがない…」
ゾクリ…と下半身から背中を伝わって上がってくるモノが、耳からの刺激と混ざり合って全身に甘い痺れを伝えてくる。
……どうしてもこの声に弱いんだ…俺……
シャアはそのままアムロの耳朶を舐め、甘噛みをする。瞬時に身体を大きく震わせ首を振るアムロをいつもの通り、とても愛しいと思う。暫くは耳への刺激でアムロの反応を楽しんだ。

「…や……っ……わ…わかった…からっっ…」
顔を覗き込むと、やはり快感の波に必至で耐えている時の必至の表情で、目尻にはうっすらと涙を浮かべていた。
「…これ……キレイにして…くる…から……だから…その後に…」
片手でシャツの前を合わせて、もう片方の手ではシャアの厚い胸板を押し戻そうとしている。そんな仕草がますます自分の意地悪さを煽ると知っているのか…?
「駄目だ」
シャアはアムロの唇を啄むように一度だけキスすると、そのままゆっくりと床に身体を押し倒した。
-----げーっっ!やっぱり此処でヤる気なワケーーーっっっ?!
「シ…シャアっっ…!!ヤだっっ!此処では絶対イヤだあっっ…!!」
「…背中が痛いか?ちゃんとラグの上にしたぞ?」
「違うーっっ!ばかーっっ!!そーゆー問題ではないってーっっ!!」
常識的な問題ですっっ!!ダイニングはSEXする場所ではありせんっっっ!!…とアムロはもうシャツがはだけるのもお構いなしで、必至でシャアに抵抗した…つもりだったが、いとも容易く彼の片手だけで両手首を頭の上で押さえつけられてしまった。
「…や…やめろってばっっ…シャアっっっ!こ…んなのはイヤだっっ!!」
こんな無理矢理にされるような形なんて…と抗議の声を上げるが、そんなアムロの様子を全く意に介さない様子で、シャアは身をよじるアムロのはだけられた上半身をしみじみと観察していた。白い肌にはねっとりとした琥珀色のシロップが未だあちこちに付いている…。
「…何ともゾクゾクする光景だな…アムロ…」
「…なーにがーっっっ!この変態ーっっっ!馬鹿っっ!!」
シャアの蒼氷色の瞳は明らかに欲情に満ちて、更に濃い色になっているように見える。普段は無理強いする事などほとんど無いのに…本当に今日はどうしちゃったワケ?と哀しい感情も沸き上がってくるのだが…じっと自分の身体を観察するシャアの視線が何か別のモノを感じさせてくるのだ…。

------な、んでそんなに…見てるんだ…?…は、恥ずかしい……
思わずシャアから目を反らすアムロだった。シャアはそんな様子に口元を吊り上げる。まだ触れてもいないというのに…見られているだけだというのに…アムロは顔は元より身体の方もすっかり上気し、肌は桜色に染まっている。胸が大きく上下し、荒い息づかいを伝えてくる。そして何よりも身体に残る琥珀色の残滓…。羞恥に満ちて震える横顔が何とも言えない色気に満ちているのだ。
「…可愛いよ…アムロ…」
言うなーーっ!と抗議の声で答えようとしたアムロは、いきなり鎖骨から首筋を舌で舐め上げられて、大きく身体を撓らせた。敏感な場所をシャアの舌が何度も往復し、その度に嬌声が上がる。
「…こんなに汚してしまって悪かったな…」
思ってもいない言葉を口にし、恋人の肌の触感を楽しみながら残っている琥珀色の液体を丹念に舐め取ってゆく。シャアの舌が胸まで移動すると、アムロはたまらずに哀願の声を上げた。
「…いっ…イヤだ…シャ…ア…!や、やめて…お願い…だからっっ…!」
「…嫌…だと?…嘘を言ってはいけないな…アムロ」
シャアの舌が胸の尖りを掬うように舐め上げる。アムロは一段と高い嬌声を発した。
「ココはもうこんなに感じているぞ?私が触る前から固く尖らせて…いけない子だ」
「…あっ…くぅ……やっ…あ…っっ…ああ…っっ…!」
片方を指で弄くりながら、更に赤みを増すそれを舌で丹念に転がし、軽く噛み付く。アムロはココがそれはとても感じるので…丁寧に責めてあげねばならない。そんなシャアの思惑通りに恋人は啼き叫んでいた。
付着しているシロップと同時に舐められているせいなのか…シャアの舌がいつもより熱く淫猥に感じる…。そこから来る快感は直ぐに全身に廻り、性急にアムロを追い詰めていく。
「…甘いな…シロップも…君の身体も…」
そんなシャアの言葉さえ、ただひたすらに昇り詰めたいと追い求める刺激へと変わっていくのだ。だが下半身は未だジーンズを履いたままだ……はち切れそうな痛みさえ感じている。…どこまで自分は我慢出来るのだろうか…?
……ハヤク……オネガイダカラ…シャア……ソコニ……

今は絶対に口には出せないけれど……。

 

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※…良くある設定で自分、暴走しちゃった…っす。…続きを書いても…良いでしょうかっ?
…このままじゃアムロ可哀想だしな……げふっげふっっ!
(2008/7/1)