病は気から

その7

まことの自宅。少々古めの小さな団地といった雰囲気か。
まことたち家族の部屋は、ここの二階にあった。

夕食を済ませたまことが、後かたづけをしている間に、
母親は風呂を沸かす。

小さい頃から母子家庭で育ったまことは、
母親と家事を協力している。
まことの面倒見の良さも、そんなところから来ているのかもしれない。

後かたづけも終わり、風呂もじきに沸いた。

まことは、自分の部屋へ戻り、
本棚の隅に隠してあった、ビニール袋を手に取る。

「母さーん。風呂に入ってくるよー」

すでに自分の部屋でくつろいでいる母親に声をかけ、
ビニール袋に気付かれないように、コソコソと風呂場に向かった。

もちろん、その中に入っている、
あかりのパンツと大量の下痢便がバレないようにしているのである。

 

「ふぅ…」

一通りシャワーを浴び終え、風呂の椅子に腰掛け、
一息つく、というより、精神を落ち着けているまこと。

今まさに、ビニール袋の結び目に手をかけているまこと。
これを開くだけで、その中にある、
じっくりと見たかったものが見られるのである。

色、形、そして臭い。

あかりの目の前では気にしないようにしていたので、
その反動であろうか、
かえって、なんとしても手に入れたくなったあかりのウンコ。

それを、知ることが出来る。感じることが出来る。

しかし、それはあかりの見られたくない物を見ることであって、
あかりのプライバシーを破り、犯しているのと同じである。

どちらも、気にせずにはいられない。
あかりを好きだからこそ、見たいと思うウンコ。
仮に、まことがあかりに見せてほしいと頼んだら、どうなるであろうか?
もちろん断るであろうし、それだけでは済まなくなるかもしれない。

幸いにも、あかりはこのことに気付いてないであろう。
ショックによる、嫌な事実からの逃避というだけではない。
まことが、自分のパンツを盗んだなど、
想像もしない。そういう子だから。

だからこそ、ウンコを見ることへの罪の意識が強くなる。
帰宅する間、ずっと苦しんだ罪悪感を、
まことは吹っ切れないでいた。

 

もし、あかりがこの事を知ったとしたら。
まだ、自分の想像の中でしか見たことがない
あかりの笑顔が歪み、まことに対し、軽蔑のまなざしを送る。

(ゴメン…!…でも、アタシ…アタシ…!)

罪悪感が強くなればなるほど、逆に欲求が高まる。
それほどのタブーであるからこそ、破りたい、犯したい。
どんな人間にも眠る、神聖なる物の冒涜への欲求。
考え込むだけ深まるその欲求は、
まことがその禁断の扉を開くのを、
単なる時間の問題にしてしまっていた。

 

(あかりちゃんを苛めたいんじゃない…。これは…これは…)

自分の欲求を正当化しようと、必死に頭の中で呟くまこと。

今にもビニール袋を開けてしまいそうな
その手を抑え、あかりのウンコを見ることが
正しいことだと、理由付けをしたがっている。

(アタシは、あかりちゃんの何もかも、好きにならなくちゃいけない…)

自分が全力を傾けて守ろうとするあかりに対し、
嫌いな所が一つたりともあってはいけない。

どんな好きな相手の物であっても、常人なら誰もが嫌がる、
ウンコという存在。これも例外ではないのか?

(そうだよ…。例えウンコであっても、これは、あかりちゃんのウンコ…)

自分は、あかりのウンコも好きにならなくてはいけない。
あかりを守るには、それが使命なんだと。

あかりが絶対に不安を抱かないように。
あかりが何としても隠したがっている、
しかし、完全に隠すことの出来ない存在。

それを、受け止めてあげられるのは、自分以外いない。
自分だけが、あかりのすべてを受け止めてあげられる人間になりたい。

受け止められるだけではない。
あかりのウンコを、空気と同じぐらいに、
何でもない当然な物として扱うことが出来るようになりたい。

(あかりちゃんは、ウンコを人に知られるのを、とても恥ずかしがってる…)

もし、自分があかりのウンコなら受け入れられることを、
あかりが知ったら、あかりが喜んでくれるかもしれない。
自分の事を、心の底から友達として認めてくれて、
頼ってくれる、笑顔を見せてくれる。

あまりにも無理のある思いこみではあるが、
可能性としては、間違ってはいない。

自分でも気付かぬうちに、まことの中に、
あかりのウンコへの性的欲求が起こっているのではあるが、
まことのあかりへの思い自体は、純粋であるのだ。

(だから…見せてもらうよ…!でも、安心して、アタシは、絶対に受け入れてみせるから!)

最後に、そう頭の中で呟くと、
おもむろにビニール袋の結び目をほどく。
いよいよ、あかりの下痢軟便を見るときが来たのであった。

 

口を開いたビニール袋の奥深くに、
ドロドロの下痢軟便に浸かったかのような、あかりのパンツがある。

さすがに、もう下痢軟便からは、温かみを感じられない。
いかにも冷たそうな感じが、見た目から分かる。

ビニール袋の口に顔を近づけ、下痢軟便をのぞき込んでみる。
目の前に、より下痢軟便の光景が広がっただけでなく、
顔いっぱいに、その腐臭が漂ってくる。

時間がたち、冷え切ったウンコのため、
腐臭もあまり強烈ではないが、それでも十分な臭さ。

(これが…あかりちゃんが隠したがるウンコの臭い…)

とうとう嗅いでしまった。
隣の個室から漏れてきた臭いを嗅いでしまったのも、
あかりがお漏らしをしたときに嗅いでしまったのとも違う、
はっきりと、パンツを盗んでまで嗅ぎたいと思ったウンコの臭い。

何と格別なものであろう。
嫌な臭いであるはずがない。

まことは、その臭いを嗅ぐや、狂ったように
鼻息を荒くしながら、さらに下痢軟便の臭いを嗅ぎまくる。

あかりの体から出たという、ただそれだけのことで、
そのウンコは、まことにとって
麻薬のような作用を起こしてしまったのである。

「はああぁ…、はあぁ…」

喜びに打ち震えるまことの心とは裏腹に、
鼻孔はさすがに根を上げ、顔を背けさせる。

だが、今のまことにはそれも単なる酸素の補給に過ぎなかった。
顔を上げ、一呼吸して鼻孔を休ませるや、
すぐさま、ビニール袋の中に顔を突っ込むのであった。

 

何という滑稽な姿であろうか。
ビニール袋の中のウンコの、腐った臭いを一心不乱に嗅ぎまくる。

我を忘れ、嬉々としてウンコの臭いを嗅ぐ。
この姿をあかりが見たら、どう思うであろうか。

そのような羞恥心さえなくなるほど、
まことの欲求は溜まっていたのである。
もっと知りたかった、
あかりのことを、知りたかった。
あかりに、教えてほしかった。

あかりのことを、
そして、あかりの恥ずかしい事を、姿を、
自分の前に、さらけ出してほしかったのである。

この行為は、あかりがさせてくれた事ではないし、
あかりが知っているわけでもない。
あくまで自己満足の、あかりに近づけたといっても、
異常接近といった方が近い、そんな行為である。

それでも、嬉しくて仕方がなかった。

あかりのガードの固さに、やりきれない思いばかりしていた、
まことにとって、これは大きな幸せであったのだから。

「んっ…ぷはあ〜〜〜〜っ」

嗅ぎに嗅ぎまくって、ひとしきり満足すると、
ようやく顔を上げたまこと。

たまった息を吐くその声も、
苦しさは感じられない。あくまで爽やかな表情のまことであった。

 

(どうだい、あかりちゃん。…アタシは、あかりちゃんのウンチの臭い、平気だよ…)

興奮しながらも、落ち着きが出てきたまことは、
あかりの、下痢軟便の臭いを嗅ぎきった満足感に、溢れている。

しかし、まだ何か物足りない。

ウンコの臭いだけなら、自分がトイレで嗅いだように、
偶然で、あかりのウンコの臭いを嗅いだ人間もいるかもしれない。

それが、とても悔しい。
あかりのウンコの臭いを嫌う人間まで、それを嗅いでしまう。

なんて勿体ない。

そんな奴らにあかりのウンコの臭いは嗅がせたくないが、
臭いを止めることは出来ない。
なら、他の人間には偶然でも出来ないことをするしかない。

(そうだ!)

しばし下痢軟便を見つめながら考え込んでいたまことは、
いきなりビニール袋の中に溜まっている下痢軟便に、手を突っ込んだ。

グチャ…!

すぐさま、下痢軟便の
不気味な柔らかさの感触が手一杯に広がる。
大量の下痢軟便は、まことの指先から手の平まで、
十分に漬かってしまう。

ネチ…グチ、グジャ、…グジョォ…ブジィ…

ビニール袋の中で、ゆっくりと手をかき回す。
ねっとりとした湿り気のある、重たい音が、静かな浴室に響く。

水とは違う、泥とも違う。
下痢軟便の中を手でかき分けるときに感じる、心地よい抵抗。

この重みのある抵抗。
これがあかりのウンコの感触なんだという、喜びと、興奮が
まことの心を満たしていく。

グジャァ…

下痢軟便の中から手を出すと、
そこには、手首にまで下痢軟便が附着していて、
手の平一面に、汚れのないところはなかった。

自分の手からプンプンと漂う、鼻を突く下痢軟便の臭い。
先ほど嗅いだ臭いは、あくまで少し乾いた表面の臭い。

まことが手でかき混ぜたことによって、その中身が、
今なお強い悪臭を放つことの出来る、
新鮮な部分が出てきたというわけである。

より強烈な、より生身のあかりを感じることの出来る悪臭。

何ともたまらない。
こんな事が出来るのは自分だけだという優越感に、
やっと浸ることの出来たまこと。

しかし、その優越感はそれだけではない。
あかりの秘密を知り、
思う存分それを味わうことが出来る。

あかりの知らないところで、あかりの秘密を知る。

ちょっとした凌辱。

離れたがるあかりを無理矢理掴まえて、
自分のものにしてしまったような気持ち。

自分に丸裸にされていることに
気付いていないあかりを思うと、興奮が止まらない。

(アタシだけ…アタシだけが、あかりちゃんを受け入れることが出来る…)

あかりのウンコを触れるのは、自分だけ。
そして、何より、こんなチャンスをモノに出来るのも
自分だけという気持ちが、より興奮を高める。

(見て…嗅いで…触って…。後は…、後は…味…!)

下痢軟便だらけの自分の手を、
自分の口の前に持っていくまこと。

そして、唇から舌を出すと、
その手を、そこに近づけようとするまこと。

興奮と緊張、そして恐怖。
手が震え、気持ちとは裏腹に、
なかなか手を近づけることが出来ない。

ウンコ、しかも下痢軟便という未知の味、
ここに来て、ようやくあかりのウンコへの嫌悪を感じたまこと。
だが、その恐怖を少しでも和らげようと、
最もウンコで汚れていない手の平を舐めようとし、
あかりへの使命感を燃やす。

(知りたい…あかりちゃんのウンコの味を…知りたい!)

そして、何よりも自分を後押しするのは、
やはり、あかりのウンコへの興味であった。

恐怖を忘れ、勇気を振り絞り、
顔ごと、手の平へ舌を近づけ、一気に舐めあげる。

(・・・・・・・・・・・・!!)

舌の上から、全身を一瞬にして駆けめぐるあかりのウンコの味。
その酸味は、あまりにも舌を刺激して、
その苦みは、あまりにも舌に苦痛を与える。
そして、それが全身を突き抜ける。

ピタリと、まことの全身の動きが止まり、
すぐに体がブルブルと震え出す。

それは、体がウンコを受け付けない危険信号だろうか。
だが、まことの頭の中は、それだけではなかった。

(これが…あかりちゃんのウンコの味…!!やったよ…!アタシは、やったんだよ!)

体の震えは、危険信号だけではなかった。
あかりのウンコの味を知って、
自分こそ最もあかりに近い存在になったという事への歓喜と、
自分はここまで出来るんだという、
あかりへの心の叫びも含まれていたのであった。

 

(アタシだけだよね…。こんな事が出来るのはさ…)

ビニール袋を床に置いて、そこから下痢軟便を掴み取ったまこと。
まことの右手の平には、大量の下痢軟便が乗っている。

(何も心配しなくていいよ…。アタシは、何でも平気だから…)

自分だけが特別だという、心地よい優越感に浸っているまこと。
それもあってか、このウンコは、まるであかりが
自分にくれた物なんじゃないかという気までしていた。

(ありがとう、あかりちゃん…。もう、このウンコはさ、アタシの物なんだよね…)

そう思いつつ、手の平の上の
大量の下痢軟便を見つめているうちに、
ムラムラと興奮してくるまこと。

自然と、空いている左手が自分の股間、そしてアソコへと伸びていく。
そして、指がアソコを刺激し始めた瞬間、
まことは、右手の中の下痢軟便を握りつぶす。

グブジャッ!!

グロテスクな音と共に、下痢軟便が潰され、
指の隙間から、溢れ出てくる。
手の中で、下痢軟便が潰れるときの感触、
それは、予想外の快感であった。

手を広げて、潰された下痢軟便を見てるだけでも、
興奮はより高まる。

潰すときの感触、潰れるときの音。
潰れるたびに、広がる悪臭。
オナニーと同じぐらい、
いや、それよりも気持ち良いのではないかとまことは思った。

 

「はぁ!あぁ、あああっ!あかりちゃん、あかりちゃん!」

左手で、激しくアソコの突起を擦りながら、
ビニール袋に突っ込んだままの右手で、
下痢軟便を掴み取っては、握りつぶし、
また掴んでは、握りつぶす。

グジャ!ブジュジュッ!ブジィ!ブブリュッ!

握りつぶすたびに、左手の動きが加速し、
左手が激しく動けば、全身に快感が走り、
右手を止めることが出来なくなる。

オナニーの快感と、
下痢軟便を握りつぶす快感。
こんなにも気持ちよく没頭できるオナニーは初めてであった。

「ふ、ふあぁっ!あはぁ!」

(あかりちゃん!アタシ、あかりちゃんのウンコ潰してる!)

いまにもどこかへ飛んでしまいそうな精神を
必死で堪えながら、少しでもこの快感を味わおうとするまこと。

団地の風呂という場所がら、うかつな声は上げられないので、
口から出るのは喘ぎ声だけだが、
言いたいことは、心の中で思いっきり叫んでいる。

そうして、やがてまことは絶頂を迎えるのである。

「うぅっ!くううぅっ…!イ…!イクッ!」

 

絶頂を終え、ゆっくりと一息ついているまこと。

あれほど欲情をかき立てた下痢軟便も、
いまは冷静に、あくまでただの汚物として見られる。

それでも、何故か視線は
グチャグチャになったウンコへ釘付けになっている。

「・・・・・・・・・」

無言のまま、あることを考えると、
まことは、やおらビニール袋を手に、立ち上がった。

ビチャ…!

ビニール袋の中から、ウンコまみれのパンツを取り出すと、
それを床に放り落とす。

そして、またも下痢軟便を掴み取ると、
それを自分の尻に塗りたくり始めるまこと。

何回も、何回も。
次第に、まことの尻はお漏らしをしたときのあかりの尻のように、
下痢軟便でベタベタになっていくのである。

「よし…と」

ビニール袋も空になると、それも床に落とす。
その頃には、まことの尻は、完全に下痢軟便にまみれていた。

自分の尻にこびりつく下痢軟便に、
床に無造作に落ちている、茶色く染まったパンツ。

これをしげしげと眺めながら、
ふと呟くまこと。

「おやおや、しょうがないなあ、あかりちゃんは…。こんなウンチだらけにしちゃって…」

言っていて、自分でも恥ずかしくなっていたが、
あの時、言いたかった台詞、してあげたかったこと。

それを、自分の尻をあかりの尻に見立てることによって、
したつもりになろうという考えなのであった。

その8

少々態勢はキツイが、首を捻って
ウンコまみれになった自分の尻を眺めるまこと。

あの時のあかりの尻を,よく見ることは出来なかったが、
きっとこんな風になっていたのだろうと、想像している。

実際にウンコまみれにしてみると、
意外にも、気持ち悪いということはない。
一回シャワーを浴びて、身体が濡れていたこともあるが、
着衣の状態でない分、あまり変な感じはしないようだ。

さらに言うなら、火照った身体に、
ヒンヤリとした下痢軟便の感触が、妙に気持ちが良かった。

だが、やはりあの時のあかりの気持ちまでは分からない。
お漏らしでなく、単なる興味本位の、汚れてもいい状態で
自分の尻を汚したところで、
お漏らしの悲しみまで感じるのは不可能であった。

自分のした行為への恥ずかしさと相まって、
一瞬悲しい気持ちになりかけたまことであったが、
この中途半端な状態のままではいられない。
とりあえず、最初の興味だけでも満たそうと、
あかりを綺麗にするつもりで、自分の尻を洗い始めるのであった。

 

「ほら、すぐに綺麗にしてあげるからね」

シャワーで、お湯を当てながら、
ウンコまみれの自分の尻を撫で、汚れを洗い落とす。

尻にこびりついた真っ茶色のウンコの汚れが
徐々に落ちていき、白い肌の色がのぞいてくる。

本当なら、あの時、風呂に一緒に入り、
こうやって綺麗にしてあげたかった。

(あかりちゃん、一人でちゃんと綺麗に出来たかなあ…)

自分だったら、身体の隅々まで、丁寧に綺麗にしてあげられるのに、
あかり一人で大丈夫だったのだろうか。

あの悲しみの中である。シャワーで流しただけということも
十分に考えられる。

あの後、臭いが残ったりはしなかっただろうか。
その臭いが親に気付かれたらと思うと、不安が募る。

汚れに汚れた身体を洗い流す時の、
情けない姿になった自分への情けなさという心の傷を
自分は完全に治療できただろうか。

あかりの側にいるときは、
できる限り積極的に接し、優しくして上げることは出来たと思う。
しかし、あの時だけは、自分が側にいてあげることが出来なかった。

(でも、ずっと側にいれば良いってモンじゃないね…)

もともと、今回のお漏らしは、
自分があかりに接近しすぎたせいで引き起こしたようなものだ。
それを考えると、結局、自分がしてきたことが
正しいのか、悪かったのか、ますます分からなくなってくる。

(なら、考えたってしょうがないじゃないか。まっすぐ行くしかないね!)

せっかくあかりの尻を綺麗にしているつもりで
楽しんでいたのに、つい悪いことを考えてしまったと、
あっさり開き直るまこと。
切り替えの早さは、彼女の長所である。

 

いつの間にか、尻もすっかり綺麗になっていた。
風呂場の鏡に向かって、尻を突き出して、それを確認する。

鏡いっぱいに写る、丸々とした尻。
日頃鍛えているせいか、張りがあり、ツヤも抜群。
まことは、それを見て、満足そうにその尻をピシャリと叩く。

「よし、完璧。綺麗になったね」

ボディソープを使い、臭いも残らないはず。
あかりにも、これぐらいしてあげたかったと、
まことは、今度は明るく残念がった。

「アタシのお尻と、あかりちゃんのお尻じゃ、触り心地が違うだろうからなあ」

自分の尻が、触り心地が悪いわけではないが、
やはり、多少肌が引き締まっているのが、
何となくではあるが、不満のようだ。

「あ〜あ、あかりちゃんのお尻を、こう、撫でてみたかったなあ」

あかりの尻は、きっと赤ん坊のように
柔らかくて、スベスベしてるのだろうと思いながら、
お尻を撫でるジェスチャーをするまこと。

本当に切り替えが早い。
いつの間にか、あっけらかんと本音をこぼせるようになっているまこと。

「さってと…。よ〜し、じゃあ、あかりちゃんのパンツも綺麗にしちゃうかぁ」

オナニー直後である。
すっかり満足したのか、ウンコまみれのパンツを見ても、
その声は、再び爽やかなまことの声に戻っていた。

 

後でちゃんと洗濯機で洗うとして、
とりあえず、洗面器にお湯を張り、もみ洗いをすることにした。

丁寧に、かつ、力強く、
何回も繰り返して揉みつつ、擦るのだが、
さすがに時間が経ちすぎたせいか、
パンツの生地にすっかり染み込んでしまった下痢軟便のシミは、
そう簡単に落ちるものではない。

「うーん、こりゃやっぱりダメかな?」

どんなに強く力を入れても、
表面の下痢軟便の固まりを落とせただけで、
パンツには、あからさまに茶色いシミが、大きく残ってしまう。

シミだらけというか、後ろの面は
全面茶色く染まったといってもよい、あかりのパンツ。
それを手に持ち、上から内側の面をなにげに覗き込むまこと。

じっと眺めていると、次第に
その汚れっぷりに、心を奪われていくような気がする。

 

あの、あかりの、
どこから見ても純情そのもの、純白のパンツがよく似合う、
まことの大好きな少女、神岸あかりの汚れパンツ。

本来は真っ白であったはず、
いや、真っ白でなくてはならない、あかりのパンツ。
それが、こんなに真っ茶色に染まってしまっている。

何故?
それは、あかりがお漏らしをしたから。
臭くて、汚い。人目に触れてはいけないものを、
肛門から吐き出してしまったから。
そして、その現場を目撃したのは、自分だけだ。

後始末はきちんとした。衣服の洗濯もした。
そして、汚れたパンツもこうやって自分が手に入れてしまった。

あかりの元には、もう何も残ってはいない。
つまり、今回のあかりがお漏らしをしたという事実は、
今後、一生、自分以外の人間が知ることはないのである。

そして、唯一その事を示す証拠となる汚れパンツが
自分の手元にあるということは、今回の出来事を思い出すことが出来るのは、
もはや自分だけだという考えにたどりつく。

今回のことを、あかりがわざわざ思い出そうとはしないはず。
でも、自分はいつでも思い出すことが出来る。

(アタシだけが…アタシだけが…)

あかりが思い出したくない出来事を、いつまでも憶えているのは、
良いことではないのかもしれない。
でも、あかりをバカにするために思い出すのではない。
この記憶、この汚れパンツこそが、
自分が誰よりもあかりに近い存在なのだという事を
確認したいがために、思い出すのである。

加えて言うなら、まことの深層心理の中で起こっていた、
あかりの恥ずかしい出来事、恥ずかしい物への性的欲求は
今や自分でもハッキリと理解できるようになっていた。

(アタシは…別にウンコが好きな変態って言う訳じゃない…。あかりのだから…)

あかりのだから、何でも興味を持ち、興奮する。

(嫌いな奴だったら、オナニーなんか出来ないよ…。好きだから…好きだから…!)

好きだから、性を感じる。
こればかりは、自分を納得させる考えが思いつかないが、
とにかく、これも愛なんだと、思いこむしかなかった。
そうでなければ、再び高まってくるこの欲求に、
押しつぶされてしまいそうになるから…。

 

高まる興奮を抑えるためか、ごまかすためか、
もう一度、あかりのパンツを洗い直し始める。

ただ無心で、ひたすらパンツを擦り、揉むことによって、
平常心を保てればと思ったのだが、洗うものが悪かった。

パンツの汚れを確認しているうちに、
またも、あかりの尻が頭に浮かんでしまう。

(あかりちゃん、お尻の穴は綺麗にしたかなあ…)

単に尻を綺麗にするだけなら、
少々洗うだけで、なんとかなる。
だが、肛門というのは、なかなか綺麗にならないものだ。

まことも、たまにお腹を下したとき、
下痢便を出した後、肛門を何回も拭いたつもりでも、
夜、風呂に入るときに確認すると、下着は茶色い汚れがついていた。
(もっとも、まことの「何回も」は、かなり大雑把な拭き方での事であるが…)

肛門も綺麗にしたとき、
初めて、完全に後始末をしたと、言えるのではないか。
まことは、そう考えた。

(だけど…どうやって綺麗にすればいいんだろう?)

まことの家はともかくとして、
あかりの家にも、ウォシュレットはなかった。
だから、普通には綺麗に出来ない。

(じゃあ、直接洗えばいいんだ)

単純な思いつきである。
肛門に、直接指を突っ込んでしまおうというのであった。

ツ…ツヌ…、ツプ…プ…

立ち上がり、尻の割れ目をまさぐると、
そこから、中指で肛門を軽くつつき、
肛門へ挿入する準備をする。

肛門の位置を確認し、入口を軽く指先でほぐし、
ゆっくりと指を押し入れていく。

「んっ…く…!」

何の下準備もない、いきなりの挿入がうまくいくわけもない。
思うように指が入らないどころか、
むしろ痛みが伴い、指の第1関節の部分すら、入りきらない状態である。

それならばと、ボディソープを指に塗りつけ、
もう一度、挿入を試みてみる。

グプ…グブ…グブブ…

(うぅ…。な、何だよ、この感覚はさ…)

今まで感じたことのない、異様な気持ち悪さ。
指一本を、ほんの少し挿入しただけなのに、
こんなにも嫌な感じになるとは、意外であった。

ソープのおかげか、
それでも何とか指を根元まで挿入することが出来た。
だが、気持ちが良くなるわけではない。

本来、ずっと締まってなければいけないはずの肛門が、
中に入ってきた指のおかげで、締まりたくても締まれない。
なによりも、締まれなくて一番苦しいのが直腸である。

細い指が、それほど抵抗が強いというわけではない。
だからといって、直腸が締まることは出来ない。
その微弱ながらも、絶対の抵抗が
肛門と直腸に、締まろうとする意識を与えながらも、
指の柔らかい抵抗に締まることが出来ないという、その繰り返しが、
絶妙の不快感をまことに与え続けるのである。

まことは、まるで熱でもあるかのように、呼吸が乱れる。
それでも、その不快感を必死に堪えながら、
挿入した指を上下させ、
肛門内を綺麗にするという、本来の目的を行ってみようとする。

「うくっ、ふ、んんぐ!ああっ!」

気持ち悪いのを堪えながら、無理矢理指を上下させたため、
先ほどにも増して、強烈な不快感がまことを襲う。

嘔吐感などとは違う、
だが、それでも肛門から強烈に感じるその不快感は、
まことの指を半ば強制的に止める。
気がつけば、まともに立っていられなくなったのか、
まことは、思わず内股になってしまっていた。

 

「ふん…っ!」

不快感に、とうとう堪えきれなくなったまことが、
ゆっくりと、指を肛門から抜く。
指を抜いた直後、肛門がぽっかりと開いた瞬間、
またも襲った異様な感覚に、身体が小さく震えた。

ようやく不快感から開放され、落ち着いたまことが、
肛門から抜いた指を見てみると
ソープの白い泡に混じって、茶色いカスのようなものが付いていた。

(やっぱり、いくらちゃんと拭いても、お尻の穴の中までは綺麗にはならないね)

それは確認できた。
だからどうというわけではないが、
今度何かあったときに、肛門の中を綺麗にしてあげられたら、
そんな風に思ったのだが、それよりも、指を挿入したときの、
あの何とも言えない不快感が、まことの頭の中をいっぱいにしていた。

何なのだろう、あの感覚は。

たかが指一本を入れただけ。
それなのに、その指一本分、肛門が、直腸が拡げられただけで、
あんなにも異様な感覚になってしまうというのか。

好きじゃない、嫌な感覚。

しかし、何故だろうか。妙に気になってしまうあの感覚。
気持ち悪いのに、また指を入れても、あの不快感に襲われるだけなのに、
入れたくなってしまう。あの不快感を味わいたくなってしまう。

「・・・・・・・・・」

まことは、再び指を肛門にあてがった。
単に、もう一度挿入してみようというだけではない、
今度は、中指と、もう一本、人差し指を加えて、
指2本を肛門へ挿入しようというのである。

グヌ・・・

肛門が大きく広がり、そこへ両指の先端が入っていく。
すでに、あの不快感を感じつつある。
そこで、まことの指が止まる。

このまま、安全にジワジワと入れていっても良いが、
思い切って、一気に挿入してみたら。
そんな考えが、まことの頭をよぎる。

一度そう思うと、なかなかその思いを停止させることは出来ない。
不思議な好奇心である。今は不快感としか思えないその感覚が、
もしかしたら、快感に変わるかもしれない。
そんな気がしたのであろうか。

その後に来るであろう感覚への、緊張から、
思わず生唾を飲み込むまこと。

それが、緊張を解くと同時に、
決心を示す行為だったのか、一瞬間をおくや、
両指を、一気に根元まで肛門内へ押し込んでいった。

「はっ…!あ、…あはぁっ!!」

全身の力が一気に抜ける。
先ほどとは比べものにならない感覚に、体中がガクガクと震え、
立っていることさえ、満足に出来なくなりそうだ。

ヨロヨロと足下がふらつき、
まことの身体が、下半身から床に崩れ落ち、
膝で立っているような状態になる。

目がうつろになり、ぽかんと開いたままの口からは、
一滴のよだれが垂れる。

数十秒間経っても、まだ身体の震えは止まらず、
さらに、それが痺れへと変わっていった。

「うぅ…、う、うぅあぁ…」

それでも肛門に挿入したままの両指が、直腸を刺激し続け、
もはや、まこと自身の力では、この痺れを制御できなくなってしまった。
まことが、この痺れに慣れ、身体の自由が利くようになるのは、
さらに後数十秒が必要であった。

 

「ふ…う、ふぅ。あぅ…ぐぅ…」

グプッ、グプッ、…ズ、ズプッ、プ、

いつしか、まことはほとんど四つん這いになりそうな態勢で、
肛門によるオナニーをしていた。

何度も、繰り返し二本の指で肛門をついては、それを引き抜く。
肛門も十分にほぐれ、二本の指をスムーズに受け入れられるようになった。
だが、不快感はまだ快感に変わってはいない。

いまだ気持ち悪い。しかし、この気持ち悪さが、
肛門から全身にまで広がっていく、この脱力感が、
ある種、快感ともいえた。

身体の感覚が、どこかへ行ってしまいそうな、
それでいてまことの意識はハッキリしている。
この身体が浮いているかのような感覚。

だが、それだけがまことに、
肛門によるオナニーを続けさせるのではない。

「あかり…ちゃん、…あか、り、ぃ…」

長い間肛門を突き続けたことにより、
だんだんと意識が朦朧としてくるまこと。

気を抜くと、意識まで飛んでしまいそうになるのを堪えながら、
まことは、あかりの名前を呟いていた。

まことは、単なるオナニーをしていたのではなかった。

自分は、まことであり、あかりであった。

まことの頭にあるイメージは、
自分が、あかりの肛門を指で貫いているイメージ。
自分の指の挿入で、喘ぎ、苦しむあかり。

だが、やがてはそれを受け入れ、
快感を感じ、喜んでくれているあかり。

すなわち、自分の指だけが、今のまことで、
喘いでいる自分は、あかりであった。

攻めている自分と、それを受けているあかり。
まことは、一人で、二人分の感覚を堪能していたのである。

 

「ハッ…ア、…ハ、ハァッ」

もはや、全身の感覚は、どう堪えても
いずれは飛んでしまう段階にきていた。

まことの頭は、床のタイルに付きそうなぐらい落ち、
ちょうど、膝をついた姿勢で尻を突き出しているような態勢になっている。

かすかに意識の残る指だけが、肛門を激しく突き続ける。
まことの頭の中には、自分と同じ、意識が飛んでしまいそうなあかりが、
うつろな目で喘いでいる姿でも見えるのであろうか、
イッてもいいよと、イメージの中のあかりに呟いている。

(ハァ…、あぁ、あかり…イキそうだね、イッちゃうんだね…)

あかりが感じている。喘いでいる。

自分の肛門を貫いているのに、気持ち良いわけでもないのに。
それでも、まことは、例え想像の中であれ
あかりが感じているだけで、興奮していた。
それだけで、アソコも濡れてしまうのであった。

「イッて…、イッて…いいんだよ…あかり…。アタシの…前で!」

まことが、気力を振り絞って、
これが最後であろう、肛門への一突きを行った。

「ふぅ!ぐ…!!ううぅぅぅぅ!!」

まことの身体全体が激しく震える。
全身に電気が走ったような衝撃。
今までしてきたオナニーの中でも、最も大きく、強い衝撃。

その衝撃も、放心した今のまことには、
まるであかりがイッたときの叫び声のように感じていた。

「はぁ…、あぁあ…」

身体自体は、気持ち良いというオナニーではなかった。
だが、まことの心は、これまでのどのオナニーよりも、満足していた。

タイルの上に、力無くだらりと崩れた体。
だが、そのまことの顔には、放心していながらも、明らかな笑みがあった。

肛門を貫いていた指も、
同じく力を失って、肛門からズルリと抜け落ちる。

ようやく抵抗する指が抜け、やっと締まれるはずなのに、
よほど長い間拡げられていたためか、
指が抜けても、肛門はなかなか締まろうとしない。

「あ…か、り…」

ぽっかりと開いた肛門の感覚すら、感じてるのか感じないのか、
幸せそうな表情のまこと。

ブスウゥゥ・・・・・・・・・

静かになった風呂場に、奇妙な音が響く。

それは、開きっぱなしの肛門から、
指で塞がれている間に溜まったガスが、
垂れ流すように放屁されている、だらしのない音であった。

(その9へ続く)