美少年達のショートストーリー
太郎君の困ったオチンチン

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スタート地点の最前列に立つ太郎君に集まる視線、そしてカメラの光。
否が応にもさらけ出されてしまうフルチン姿は、このために集まった
大勢のお姉さんお母さん達の絶好の被写体となってしまうのです。

最前列に立っているのは光君だけではありませんので
光君だけがフラッシュの集中砲火を受ける事はありませんが
大勢のお姉さんお母さん達のカメラの中に、自分のフルチン姿が
写真として収まってしまうのは、やはり恥ずかしいものです。

美少年達があらかたスタート地点にそろい
スタート時間を迎えるまでの間、地元のローカルTV局の
アナウンサーのお姉さんが美少年達にインタビューを行っています。

「はーい、こんにちわー。君の名前は?」

フルチン姿の美少年達の群れの中にアナウンサーのお姉さんと
カメラマンが入ってくると、カメラに駆け寄ってくる無邪気な美少年と
カメラから逃げようとする美少年によるちょっとした集団移動が起こります。

その中で目に付いた美少年に、さっそく声をかけるアナウンサーのお姉さん。
まずは名前からという簡単な挨拶ではありますが
後に地域に向けて発信され、誰が見るかも分からない映像の中で
フルチン姿の自分の名前を晒させるという、密かな陵辱として
アナウンサーのお姉さんが楽しみにしている手法なのです。

この警戒心が薄れる状況で名前を聞かれ
美少年はついマイクに向かって名前をしゃべってしまいますが
もし名前を隠そうとしても、断りづらい雰囲気の中で苦労する事でしょう。

こうして美少年の名前を晒させたところで、お姉さんは
月並みなインタビューを続けていきます。
無難なところでは、順位の目標などでしょう。

「あ、うん。…えーと、ビリにならなければいいな」

特に自信がある訳ではない美少年は謙虚に答えますが
複数の友達と一緒に参加しているような美少年は、友達の
何かを期待するクスクス顔に答えて、優勝宣言をして
冷やかされていたりします。

そんな賑やかな光景とは別の所で、腰に両手を当てて
スタートを待ちながら、一人フラッシュと視線を浴び続けている太郎君。
さすがにフラッシュの数は少なくなってきましたが
大勢のお姉さんお母さん達の前で、フルチン姿で何もせずに
立ち続けるのは、待ち時間よりも辛く感じるでしょう。

「太郎君! やっと見つけたよ。
 こんな前にいたんだ。探すのに凄い時間かかっちゃったよ」

後ろから太郎君を呼ぶ声に振り向くと、そこには太郎君の友達の
空俊男君が小走りでこっちに来ていました。

俊男君は元々運動神経がある方で、この大会で優勝した事もあります。
いつもは恥ずかしがって足が遅くなる太郎君と
普通に走る事のできる俊男君は別々になってしまい
スタート前だけ一緒にいるぐらいでしたが
今日の太郎君は、俊男君と一緒に走る事も十分可能でしょう。

「じゃあ今年は一緒に走れるね。頑張ろう。
 太郎君が優勝できるように、僕も応援するよ」

ライバルなどという意識は初めから無く、俊男君は裏表なしに
太郎君を応援するつもりでそう言いました。
もし二人が先頭に立ってゴールに近づいたら、俊男君は
太郎君に先を譲るつもりでさえいます。

優勝経験のある自分が、ペースメーカーになって
やる気になった太郎君を優勝に導ければ、これほど嬉しい事はないでしょう。
お祭りのような行事だからこそできる、美しい友情です。



そして大会がスタートしました。
大きなピストルの音で一斉に走り出した美少年達。
まだ体力がいっぱいで元気な美少年達の躍動感を
一番感じられる瞬間でしょう。

マラソン大会恒例の、スタートダッシュ少年が出てくるのも
この時ならではの光景です。ただのマラソンでさえ目立つのに
これはフルチンマラソン大会なのですから、四、五人のフルチン姿の美少年が
先頭を切って走る姿は、あまりにも注目の的で、なおかつ
格好のカメラの餌食になってしまいます。

激しく浴びせられるフラッシュに、自分のした行為の
恥ずかしさを悟った美少年。もしくはいきなりの猛ダッシュに
あっという間に限界を迎えてしまった美少年。
理由は色々あれど、スタートダッシュ少年達はすぐに次々と脱落し
集団の中に消えていってしまいました。

「よし、今年のお馬鹿さん達の撮影完了。
 後は名前とかが分かれば完璧なんだけど」

これは、カメラを構えていたあるお姉さんの台詞です。
「お馬鹿さん」とは、もちろんスタートダッシュ少年達の事で
このお姉さんは、毎年こうやってスタートダッシュ少年を撮影しては
コレクションしているのです。

その場のノリでふざけて、受けが取れればそれで良しという楽しい行為も
後々冷静にその事を思い出されるのは恥ずかしいものです。
このお姉さんは、美少年のそんな行為を見逃すことなくカメラに納めては
恥ずかしい証拠として保管する事に悦を感じているのでしょう。

果たして、毎年現れるスタートダッシュ少年達は
その事に気がついているのでしょうか。
無理をして、早くも息が絶え絶えなその様子では
もう自分の恥ずかしい行為など、すっかり忘れている事でしょう。


−6−

さて、無事にスタートした太郎君と俊男君は
なかなかのペースで先頭集団の中に混じり
コースの三分の一を走り終えたところで、一桁の順位を保ち続けています。

「太郎君、良い調子だよ。このまま頑張ろうね」

俊男君は、太郎君を励ましながらも、太郎君の頑張りに驚いています。
いつも観客の女の人たちの視線と声援に恥ずかしがってしまい
恥ずかしがり屋グループの集団の中で、コソコソオチンチンを
隠しながら走って先頭から大きく遅れてしまうせいで分からなかった
太郎君の才能がようやく開花したのでしょう。

「練習の甲斐があったかな。まだまだ走れそうだよ」

晴天に恵まれた熱い日差しが照りつける中、早くも体が汗ばんできた
太郎君と俊男君が、爽やかな笑顔で会話をしている最中も
それを掻き消すぐらいの賑やかな声援が二人を包み込みます。

まだまだ美少年達の表情にも元気があり、それでいて
そろそろ汗をかき始め、フルチンの素肌に大粒の汗がしたたる姿は
カメラ趣味の女の人達にとって、もっとも上手く撮るのが難しく
もっとも爽やかな被写体として挑戦し甲斐があるのだそうです。

フルチン姿でのスポーツというのは、シャツや半ズボンを着込む事によって
吸収された汗がジトジトして、肌がベッタリしてしまうという事もなく
文字通り玉のような汗が美少年のスベスベの素肌を伝って
次々とこぼれ落ちては輝く、美しい映像を可能にしてくれるのです。

もっとも、女の人達は美少年の汗なら何でも大好きで
ベタベタに汗ばんだ美少年の体は嫌いという訳ではなく
ベタベタで汗臭くなった美少年の体も好きで、美少年の汗をたっぷり吸って
不思議な臭いを放つようになったシャツやコスチュームも大好きなのです。

でも、やはりフルチン姿の魅力には敵いません。
美少年が走れば走るほど、オチンチンがプルンプルンと揺れて
本当にそんな音が聞こえてきそうな光景や
その恥ずかしさに耐えながら一生懸命走る美少年の姿は
フルチンマラソンでなくては見られない光景なのですから。

また、通り過ぎていく美少年の後ろ姿も、女の人達には
見逃せない光景です。美少年特有の、小ぶりに引き締まりながらも
悩ましい曲線を描く、桃のようなお尻がプリプリと揺れるのは
時にはオチンチンよりも素敵な光景に見えてくるでしょう。

女の人達に、オチンチンだけではなくお尻も見られている事には
美少年達も、お尻に感じる視線で気づいてはいましたが
中には、いつもウンチの後のお尻の拭き方をいい加減にしているせいで
お尻が汚れているのが見えたらどうしようと
心配をしている自業自得な美少年もいます。

フルチンというのは、決してオチンチンが露出している事だけが
恥ずかしいのではなく、毎日ウンチを吐き出しているお尻が
剥き出しになっている事も恥ずかしいのです。



この大会では、美少年達が大量にかく汗も考慮して
いくつかの給水所が用意されています。
美少年達が脱水症状を起こすのを防ぎ、なおかつ冷たく甘いドリンクを
飲む事によって美少年達が精神的にも元気な気持ちを維持できるように
ドリンクも充分な用意をしているのですが、何故か美少年達には
悪い噂が広まっているようです。

「もう給水所だね。何だかそんなに走ってない気がするんだけど」

「いや、場所はいつもと同じはずだよ。
 きっと太郎君が早く走れるようになったから、近くに感じるんだね」

仲良く給水所にたどり着き、走りながらドリンクを手に取る
太郎君と俊男君ですが、ドリンクをゴクゴクと飲み干した太郎君に対し、
俊男君は喉を潤す程度に口をつけただけで
残りはみんな頭からかぶってしまったのです。

「えー!ほとんど飲んでないのに、いいの?」

マラソンも慣れている人間にとってはドリンクや水を
頭からかぶって体温を冷やすのは常套手段ですが
特にそういう知識がある訳ではない太郎君には、俊男君の行動は
美味しいドリンクが勿体ないと思えたようです。

「僕は次の給水所まで我慢できるから大丈夫だよ。
 それに、給水所のドリンクってハズレがあるって噂だからね」

俊男君がほとんど飲まなかった本当の理由は、美少年達の悪い噂のようです。
その噂とは『給水所のドリンクの中にはハズレがあって
ハズレのドリンクを飲むと下痢をする』というものでした。

「あ、それ聞いた事ある。僕も給水所のドリンクを飲んでから
 お腹を壊したって言ってた子いるもん」

この大会のコースは、美少年達の万が一のためのトイレも
考慮され、なんと大会のために、小さな規模ではありますが
新たにトイレが建設されているのです。
しかも給水所からしばらく走ってお腹を本格的に壊し始める所に
そのトイレがある絶妙さも、噂の根拠になっています。

俊男君も給水しない訳にはいきませんが、いきなりハズレを
飲んでしまわないように、最初の給水所は我慢しているのです。
しかし、俊男君のその努力は悲しい結末を迎えてしまったのです。



マラソンも中盤を過ぎた辺りの頃、太郎君の頑張りで
二人はいつの間にかトップに立っていました。
後ろに追いかけてくる美少年の気配もなく、独走状態です。
恥ずかしさを克服した太郎君の走りは予想以上のものでした。

そして二回目の給水所にたどり着き、太郎君は噂の事を思い出しつつも
甘いドリンクの誘惑には勝てずにそれを飲み干し、俊男君も
今回はドリンクの大半を飲みました。

「あっ…!」

そして給水所からしばらく走った頃に、俊男君が苦しそうに呻いてから
走り方が急にぎこちなくなっていったのです。

ハアハアと時折苦しそうな呼吸になったり、足もちょっと内股気味に
なっているのが太郎君にもハッキリと分かります。
太郎君も心配になってきますが、マラソンに慣れている俊男君に
不慣れな自分が心配するのは余計なお世話になるかと思って
心配そうに見つめる事しかできませんでした。

「ゴメン、太郎君。ちょっとゆっくり走ってもいいかな…?
 何だか急にお腹が痛く鳴っちゃって…。えへへ、ハズレ飲んじゃったのかも。
 でも、たぶん少し我慢すれば治ると思う」

無理矢理照れくさく笑って、下痢ではなく、ちょっとした腹痛と
太郎君に話す俊男君ですが、俊男君はもうこれは下痢だという事は
分かっていました。それでも、ここでトイレに行ってしまうと
太郎君が自分の事を心配して遅くなるどころか
トイレで待ってしまうかもしれないという不安が、俊男君を躊躇させます。

でも、走れば走るほどトイレに行きたい気持ちはますます強くなっていきます。
今にも柔らかいウンチが肛門から滑り落ちるように
噴き出してきそうな悪寒ばかりが高まり、無意識の内に
お尻を必死に締めながら走ってしまうので、内股気味になるのです。

(ウンチをしたい…でも我慢しなくちゃ…!
 早くウンチをして楽になりたい…でも、太郎君が…。
 でも、ウンチが出ちゃう…!ウンチが出ちゃう…!)

うつむき加減でウンチの我慢に苦闘しながら走る俊男君。
そして、トイレポイントが近づいてきました…。


(続く)