美少年達のショートストーリー
太郎君の困ったオチンチン

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自分の意思とは裏腹に、勝手に勃起してしまう太郎君のオチンチンですが
それは太郎君が成長しても治まる事はなく、勃起による失敗を
その後も繰り替えし続けるのでした。

太郎君が銭湯に行ったときの事です。
太郎君の住む町の銭湯では、基本的に女湯には小学校2年生までの
男子が、母親(もしくはお姉さん)同伴に限ってしか、入る事は許されていませんが
太郎君のような美少年は特別でした。

この世界で『第三の性別』として扱われている『美少年』
それは、国の機関が市や町に派遣している人間の推薦を受けて
様々な審査の後、国に「美少年」と指定をされた少年にしか
与えられない身分のようなものです。

本人が美少年になりたいと望んだのではなく、本人の意思とは
無関係で
調査および審査は行われ、国に指定されてしまったら
それを断る事はできません。

国による強制的な指名には、色々な問題も噂されていますが
多くの女性はそれを喜び、世界が女性上位になりつつある事を
歓迎しているので、今後もこの世界に「美少年」は増え続けていくでしょう。

その特別な「美少年」に指定されている太郎君は、銭湯に行ったときは
必ず女湯に入らなくてはいけません。一人で来ていたとしてもです

お姉さん達やお母さん達が裸で待ちかまえている女湯に
フルチン姿で入っていった太郎君は、案の定、湯船に浸かっているときに
勃起してしまったオチンチンのせいで、出るに出られずのぼせてしまい
それに気が付いた女の人たちに抱えられ、脱衣所へ運ばれました。

朦朧とする意識の中、太郎君を心配して大勢集まっている
女の人たちに向かって、長椅子で横になりながら
「迷惑をかけてごめんなさい」と謝る太郎君。

「そんな事は気にしないで、少しそのまま休んでなさい。
 ちょっと横になってればすぐ治るわよ」

そう誰かに言われると、太郎君はゆっくりと目を閉じて
横になったまま涼んでいる内に、うとうとと眠ってしまったようです。
眠っていた時間は10分ぐらいですが、のぼせていた体は
すっかり回復し、気持ち良く目覚める事ができました。

「ちょっとまだクラクラするけど…もう平気かな。
 …え? わあああっ!」

脱衣所に響き渡る太郎君の叫び声。
太郎君は目が覚めて落ち着いてから、ようやく自分が入浴時の
フルチン姿のままで、しかもオチンチンが
勃起しっぱなしで丸出しだった事に気が付いたのです。

太郎君がどうやら無事そうで、安心した女の人たちは
太郎君がのぼせていても、眠ってしまっても完全に勃起している
オチンチンを一切隠す事なしにそのままにしておいたのでした。

小学生の物とは思えないぐらいカリ首が立派な太郎君のオチンチン。
見慣れていない人が見れば怖くなるかもしれないぐらいに
固くそそり立ちながらも、時折扇風機の風を受けてはゆらゆらと揺れるのが
今度は可愛らしく見えてくるのですから、ついのんびりと眺めながら
休んでいた女の人もいたようです。

それは太郎君の知らない事ですが、自分の勃起したオチンチンが
女の人たちに全部見られてしまった事は容易に想像がつきます。
キョロキョロと辺りを見回すと、クスクス笑っている女の人も
いる事に気がついた太郎君は、大慌てで服を着て
女湯を逃げ出していくのでした。

それからも太郎君は様々な失敗をしました。
しかし美少年という事で、オチンチンの勃起も悪意にとられる事はなく
微笑ましがられているのは、太郎君には幸いかもしれません。
ですが、その分いつまでも子供扱いされているという事なのです。

その後、中学生になった太郎君は、どうして自分のオチンチンが
ボッキ病になってしまうのかと色々考えましたが
明確な答えが出る事はありませんでした。

でも、そんな中で太郎君は、いつも思わず熱中してしまう
スポーツが、勃起の恥ずかしさを忘れさせてくれる楽しみとなっていました。
事実、太郎君がスポーツに熱中している時は
一度もうっかり勃起してしまった事はないのです。

ドッジボール、サッカー、水泳など色々なスポーツを楽しみ
体育の成績も美少年にしてはなかなか良く、みんなから褒められて
その上、気がついたら勃起していたという事もないのですから
太郎君が夢中になるのも当然の事でしょう。

スポーツに熱中し、やれば出来るという自信を持った太郎君は
オチンチンの勃起にもへこたれない美少年に成長していきます。

「勃起を見られちゃって恥ずかしいけど、それでも頑張って生きるんだ」

そんな心を持つようになった太郎君は、ある目標を持ち
それに向かって毎日のランニング練習を欠かさないようになります。

太郎君の目標とは、毎年夏に市で行われている伝統行事
『美少年フルチンマラソン大会』で優勝する事でした。
そして、いよいよその日を迎えたのです。

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『美少年 フルチンマラソン大会』

文字通り、美少年達がフルチン姿でマラソンコースを走り
その順位を競うという市の伝統行事です。
とはいえ、伝統とはいうものの、その歴史はまだ浅いのですが。

この世界の支配者『芹沢小百合』は、美少年という存在を特別なものとして考え
美少年を国が指定する制度を設けただけではなく
美少年は人々を癒す存在であるべきと、国全体の半共同所有物として
みんなが美少年を眺めて心が癒されるように
美少年のみが参加する行事の開催を、広く呼びかけたのでした。

それは、美少年のみが参加する行事であれば何でも良いのです。
スポーツ大会に始まり、夏祭りの御輿担ぎや、レクリエーション。
町のパレードやカラオケ大会。はてはゴミ拾いなどのボランティア活動まで
とにかく行事を行えば、国からの奨励金が出るのです。

もちろん、架空の行事で奨励金を受け取るという悪い行為に備え
行事風景を収録したVTRを国に納める事を条件としていました。
そして、そのVTRは国の大切な資料として保管、公開されるのです。

美少年が小百合様によって第三の性別として認識されてから
まだ10年も経っていませんが、増加する美少年とその周囲の女性達の
意識の変化によって、男性上位の世界は変わりつつあるという事を
感じる人が増えていくようになりました。

心の優しい美少年と、それを見守ろうとする女性達が
世界をほのぼのとした雰囲気に作り上げつつあるところで
小百合様はもう一つの提案を呼びかけたのです。

「美少年にもっとも相応しい衣服。それは、フルチンなのです!
 美少年がフルチンで生活する。そんな平和な世界を作り上げましょう!」

さすがに美少年の常時フルチン化は、すぐには進まないでしょう。
価値観の破壊が激しすぎる事には、二の足を踏むというものです。
そこで、まずは美少年行事のフルチン化を行うようになったのです。

何の意味もなく、あらゆる行事にフルチン姿を強制させられてしまうのですから
恥ずかしがり屋が多い美少年達は、とても苦手意識を持っていました。
太郎君も、もちろん初めはフルチン姿がとても嫌で
フルチンマラソン大会も、参加するだけでも辛かったのに
沿道の女性達の目が気になってオチンチンを隠すのに精一杯で
とても走る事なんて出来ませんでした。

このような美少年達に、それぞれのママがとった行動は
とにかくこれが伝統的な行事で、フルチンになる事も決して恥ずかしい事ではなく
伝統の一環として、いわばお祭り衣装のようなもので
これも行事を行う上で大切な一部という事を、根気強く説明したのです。

昔から、それぞれのお祭りや行事には、定められた衣装がありますが
なかには奇妙だったり滑稽だったりする衣装もあります。
しかし、その衣装には必ず意味があったり歴史があったりするのです。

「そっか。フルチンになるって、きっと意味のある事なんだ。
 だったら恥ずかしい事をしてるんじゃないよね。
 それに、みんなもフルチンになるんだから、僕だけじゃないんだよね」

そうやって参加する事までは、何とか納得する事は出来ても
いざ会場でフルチンになった瞬間、物凄い羞恥心が太郎君を襲うのです。
そして見物に集まった大勢の人を見てしまうと、もう駄目でした。

そんな太郎君達を、何とかマラソンのゴールまで走らせたのは
フルチン姿のまま、途中で立ち止まっている訳にはいかないので
早くゴールに逃げたいという気持ちを強くするからでしょう。

大会が終わった後の翌日に、クラスの美少年ではない男子達から
からかわれるのも憂鬱でしたが、中学生になって自信もついた太郎君は
優勝して、みんなに凄いと思わせてやろうと考えたのです。

美少年達は、運動や勉強の才能にそれほど違いはありません。
努力さえすれば、みんなが出来る可能性があるのです。
何よりも、自分に自信を持つ事が大切なのです。

「よいしょ。靴紐もしっかり縛ったし、これなら脱げないぞ」

フルチンとはいえ、道路を走るのですから
唯一着用を認められているスニーカーの紐を結びなおし
太郎君は軽い準備運動を終えました。

「はーい。それでは皆さんスタート地点に集まってくださーい!」

フルチン姿の美少年達が集まっている広場に
係の人がスピーカーで集合時間が来た事を告げに来ます。
こんなにも大勢の美少年がフルチン姿で集合しているというのは
とても壮観ですが、とても微笑ましくもあります。

さらに、広場には独特の香ばしい匂いが立ちこめて
そこにやってくる人たちの鼻を艶めかしく刺激していますが
その匂いも、美少年がフルチンだからこそ発せられるものなのです。

フルチンになる事によって開放される美少年の体臭。
胸や背中、腋の下はもちろん、オチンチンから肛門にかけての
股間の臭いが、ほのかに、しかしハッキリと香っています。
きっと、マラソンを終えた美少年の体はもっと香ばしくなる事でしょう。

そして美少年達がスタート地点に続々と集まります。
その中で太郎君は、最前列のスタートラインの上という
絶好のポジションをキープしました。

マラソンにおいて、スタート地点が後ろになると
スタートラインにたどり着くまでに、いきなり時間をロスしてしまいます。
そのために記録を狙う人は一番前に並ぶのですが
このフルチンマラソン大会では、一番前に立つという事は
スタートまでの待ち時間中、ずっと観客にオチンチンを
晒していなくてはいけないという状況に陥ってしまうのです。

それが分かっていて一番前に立つのですから
太郎君のやる気は相当なものでしょう。
恥ずかしさは我慢すればいい。太郎君の気持ちは
きっと良い結果となって現れてくれるはずです。

(続く)