Veris leta facies

春の陽気な面差しが

第一部「春に」に入るとその名の通り春の到来を賛美し謳歌する歌が続く。
序の2曲で歌われたようなネガティブな恨み節はここにはもう無い。
編成は小合唱とピアノ、木管楽器を中心としたもので弦楽器は登場しない。
いかにもグレゴリオ聖歌風の単旋律を素朴に歌うコーラスが特徴である。
ごくシンプルな伴奏の上に春の神フローラをたたえる歌が三回繰り返される。
この曲についてはどの演奏をとってみても大きな違いはない。
堂々と歌われるよりささやくように歌ってくれる演奏の方が好きなんだけど。
おすすめ録音:どれもあまり大差ないが、とりわけゆっくりとささやくように歌うティルソン=トーマス盤。
  Veris leta facies
mundo propinatur,
hiemalis acies
victa iam fugatur,
in vestitu vario
Flora principatur,
nemorum dulcisono
que cantu celebratur.
楽しい春がやってくる
寒い冬は逃げて行くさ。


華やかに着飾った春の神フローラ
彼女が世界を統治する。

森はささやき
歌声で彼女を祝福する。
  
Flore fusus gremio
Phoebus novo more
risum dat, hoc vario
iam stipatur flore
Zephyrus nectareo
spirans in odore;
certatim pro bravio
curramus in amore
フローラの膝元で
太陽の神は微笑みかける。


花に囲まれて西風は
心地よくかぐわしい香りを運んでくる

さあ!競争だ!
愛で勝利を勝ち取るぞ!
Cytharizat cantico
dulcis Philomena,
flore rident vario
prata iam serena,
salit cetus avium
silve per amena,
chorus promit virginum
iam gaudia millena.
ナイチンゲールがやさしく歌いかけてくる。
色とりどりの花が微笑みかけてくる。


小鳥たちは楽しそうに飛びまわる。


少女たちは喜びのあまり
歌声で春に答える。