Fortune plango vulnera

運命の女神に傷つけられて

第一曲目で「一緒に嘆こう!」と歌われていたが、言葉通りフォルトゥナに対する嘆きが
ここでは連々と歌われている。かつては栄光を手にした男がいとも簡単に絶望の底に落とされる
人間とは運命の女神の前ではなんと弱きものか..と
第一曲目と同じようにこの曲もオーケストラと混声合唱によって演奏される。
しかし第一曲目の原始的なリズムから発展しいくぶん現代的にも聞こえる。
歌詞や内容は変わらないのに少々ユーモラスにさえ感じるのである。
この曲でもテンポはだんだん加速していき、最後はとんでもないテンポになるので
オーケストラ(特に木管)がごまかして吹いている録音も多い。
まぁ。こういうところが「カルミナ・ブラーナ」を聴く楽しみのひとつでもあるのだが(笑)
歌詞は一番から三番まであり、同じフレーズを繰り返される。
考えてみればまるで一昔前の日本の歌謡曲みたいで親しみやすい。

おすすめ録音:超熱狂的で最後までしっかり吹ききっているプラッソン盤。巻き舌がナチスっぽい(笑)ケーゲルの’60年盤。

  Fortune plango vulnera
stillantibus ocellis,
quod sua michi munera
subtrahit rebellis.

Verum est,quod legitur,
fronte capillata,
sed plerumque sequitur
Occasio calvata.

Verum est,quod legitur,
fronte capillata,
sed plerumque sequitur
Occasio calvata.

フォルトゥナによって痛手を負って
目から涙があふれ出る。
かつては恵みを与えてくれていたのに
今ではそれら全てを
奪い取るだけではないか。

本に書いてあったとおりだ。
「緑なす黒髪も
  歳をとれば抜け落ちる」


本に書いてあったとおりだ。
「緑なす黒髪も
  歳をとれば抜け落ちる」

In Fortune solio
sederam elatus,
prosperitatis vario
flore coronatus;

quicquid enim florui
felix et beatus,
nunc a summo corrui
gloria privatus.

quicquid enim florui
felix et beatus,
nunc a summo corrui
gloria privatus.

昔は俺も
運命の女神と並んで座っていたのに。
きれいな花で飾られた
冠を頭にかぶっていたのに。


幸せだったその日々も
今ではこんなに落ちぶれて
このありさまだ。


幸せだったその日々も
今ではこんなに落ちぶれて
このありさまだ。

Fortuna rota volvitur;
descendo minoratus;
alter in altum tollitur;
nimis exaltatus

rex sedat in vertice,
caveat ruinam!
nam sub axe legimus
Hecubam reginam.

rex sedat in vertice,
caveat ruinam!
nam sub axe legimus
Hecubam reginam.

廻る廻るよ車輪は廻る。
私は落ちぶれてしまったが
次の誰かが俺にかわって
頂上の王座に座るのだろう。


そうやっていられるのも今のうちだ
破滅がお前を待っている。
ほら。運命の車輪の下に
悲劇の女王ヘカベーがみえるだろ。

そうやっていられるのも今のうちだ
破滅がお前を待っている。
ほら。運命の車輪の下に
悲劇の女王ヘカベーがみえるだろ。