Omnia Sol temperat

太陽はすべてをいたわる

この曲で初めてバリトンのソロが登場する。
カルミナ・ブラーナでは愛に、恋に、欲望に葛藤する男性がバリトン歌手によって演じられるが
いわばこの曲はそれらの伏線というかムラムラと沸き立つ愛欲のプロローグである。
常に一人称で切々と歌いまくるバリトン役の中で唯一この曲だけは客観的で哲学的だ。(好きくない)
前衛音楽というか宇宙ものの映画の効果音のようなピッコロとグロッケンによる印象的な導入の後
バリトンによるねちっこい歌が始まる。コーラス、その他の管楽器・打楽器は登場しない。
あまり感情入れがなくてもいい歌なのでだれのを聴いてもあまり印象に残らないが
悪名たかきストコフスキー盤の最後のとっても長いフェルマータ(音を長くのばす)が
ファンタスティックで素敵だと思う。
おすすめ録音:前述のストコフスキー盤ただし集結部だけ。さらに2回目の繰り返しをはしょっている!(怒)
  Omnia Sol temperat
purus et subtilis,
novo mundo reserat
faciem Aprilis.
ad Amorem properat
animus herilis,
et iocundis imperat
deus puerilis.
太陽は清らかに優しく
全てを照らす。


そして4月になれば
新たな世界の始まりだ。

新たなる恋を求めて若者が..
それこそ神のおぼし召し。
  
Rerum tanta novitas
in solemni vere
et veris auctoritas
iubet nos gaudere;
vias prebet solitas
et in tuo vere
fides est et probitas
tuum retinere
新しい春が戻ってきたら
輝く世界の始まりだ。


春ってヤツはいつも僕らに
喜びを与え続けてくれる。

恋の道筋を指し示し
今こそ愛を楽しめと
いつも僕らに教えてくれる。
Ama me fideliter!
fidem meam nota;
de corde totaliter
et ex mente tota
sum presentialiter
absens in remota.
quisquis amat taliter,
volvitur in rota.
「私を愛してくれますか?
 私の誠実をわかってくれる?」

「例えあなたと離れていても
 心はいつもキミの近くにいるよ。
 信じてくれるね?」


こんな風に愛した二人はやがて
苦悩の車輪に廻される。