アテンドのためのワイン講座



まず、お断りしてお きますが、ワインに興味がありいろいろ知りたい という方には、 このページは役に立ちません。下記に紹介しているものをはじめ、すばらしいサイトがいくつもありますのでそちらを参照下さい。

このページは、ワインのことをあまりよく知らないのだが、どうしても客(例えば、上司や取引先の偉い人)をフランス料理に案内しなければならないという立場の人を主たる読者として想定したものです。

そもそもこのページを書いている私は、アルコールの最大許容限度がグラスワイン一杯という全くの下戸ですので、ワインの中味に立ちいる能力を持ち合わせておりません。したがって、いかに机上の知識のみで乗り切るかというコンセプトで書いています。

なお、このページを利用してひとまず、今晩を乗り切ったら、下記のまともなページを訪問されることを強くお薦めします。



【ワイン関係のお薦めサイト例】
Wine Spiral ワインアドバイザーのFujimaki氏の手になるサイト。ワインに興味のある方はまずアクセスを。会員ページは有料。
Wine Wine Wine
:西宮のワインショップ「松屋」のご主人の手になるサイト。"おべんきょページ"は勉強になります。
ワインの部屋 ワイン愛好家のKazu氏の手になるサイト。充実してます。



もし客がワインに詳しい人であったならばあなたは幸運です。
ワインについてはすべてを客にまかせ、あなたはひたすら教えを請う態度を堅持すればよいのです。
アテンドはかなりの確率で成功するでしょう。

そんな幸運にめぐまれなかった場合は.......

【とにかく無事にその場を乗り切るために】

 ワインといえばフランスです。フランス以外の国のことは頭から追い払いましょう。

 ワインの選択はソムリエに頼みましょう
 (まともな店であればソムリエが料理に合うワインを選んでくれるはずです)

 ここで忘れてはいけないのは予算です。1本あたりの予算を明確にソムリエに伝えましょう。客の前で金額を口に出して述べるのが差し障りがあるのであれば、ワインリストの中の近い金額を指さして「このあたりのクラスで...」と示せばよいでしょう。

 もし、ソムリエから下記のような質問をされたら、右欄のように対応しましょう。
  (異論のある向きもおられるでしょうが、とりあえず決めておくことが重要です)

質   問
対     応
赤か? 白か? 当然のことながら、まず、客の希望を聞きます。 客がどちらでもよければ赤にしてしまいましょう。「フランス人も7割は魚も肉も赤で通すんでよ」とかなんとかいって。
ボルドーか?
ブルゴーニュか?
・白1本の場合:ブルゴーニュにしましょう。 
・赤1本の場合:メインディッシュが魚の場合ブルゴーニュ、肉の場合ボルドー。      
・白赤1本ずつの場合:白はブルゴーニュ。赤は上と同じようにメインディッシュに合わせる。 
・赤2本の場合:1本目はブルゴーニュ、2本目はボルドー。        

 ソムリエが示したワインが予算にあえば、それを注文し、その後はできるだけワインについては話題にしないことです。ソムリエが選んで くれたワインが口に合えばいうことはありませんし、口に合わなければ「すみません。 ソムリエの薦めに従ったんですけどねえ....」といっておけばよいのです。
(自分で選んでしまうと最後のせりふが使えなくなります)

 なお、ソムリエが、ボルドー、ブルゴーニュ以外の選択肢を提示してくれる場合もあるでしょうが、そのときもおとなしくソムリエの言うことに従いましょう。

 

【それでも何か多少は説明しなければいけなくなったときのために】


一番手軽な話題は、注文したワインをネタにワインの生産年の良し悪しについてひとくさり述べることです。小道具として、ワインのヴィンテージリストを二、三枚財布の中に準備しておくとよいでしょう。

手元に無ければ、ネットから拾ってくることもできます。参考までに2つほど挙げておきます。

   
チャート1恵比寿ガーデンプレイスにあるワインショップ「ラ・ヴィネ」のサイト。ヴィンテージチャートもみることができる。(注)従前、パリの三つ星レストラン「タイユヴァン」と提携していたが、タイユヴァンが日本から撤退したのに伴い、2004.10から独自名のショップとなったもの。なお、日本におけるタイユヴァンの事業はエノテカが引き継いでいる。
チャート2ロバート・パーカー作成のチャート。詳しすぎてちょっとみにくい。
   
下の表は、ヴィンテージチャートの一例です(注:古いものですので、評価は変わっています。あくまでもチャートの見方の説明の例としてごらんください) 。各年のワインの出来具合を20点満点で評価したものです。は熟成が進行中でありまだ寝かせておくべきワイン。それ以外は熟成はピークに達しておりこれ以上寝かせておいても今後力が衰えていくばかりなので今飲んだほうがよいワインです。
なお、当然のことながら、チャートの内容は作成者によって異なりますが、ワインのヴィンテージには天候が大きな要素を占めるので、大体の傾向はどのチャートを使っても一致しているはずです。

ワインの味は熟成具合と密接に関係があります。下の表の点数は、適切に保管して熟成させればそれだけのレベルに達しうる潜在能力を示しているとみるべきものです。一般的にいって、良い年のワインほど熟成して飲み頃になるのに時間がかかりますから、例えば、95年のボルドー(赤)を今飲んでも17点レベルの味に達していることはまず期待できず、それであれば91年か92年の13-14点の味になっているものを飲んだ方がよい場合が多いでしょう。要するに、飲み頃の良くない年のワインと飲み頃でない良い年のワインを比べると 前者の方がうまいことが往々にしてあることを覚えておいて下さい。

1985 1986 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995
ボルドー(赤) 18 18 17 18 18 14 13 15 16 17
ボルドー(白) 16 17 18 19 19 13 13 14 15 14
ブルゴーニュ(赤) 18 13 18 17 18 16 16 18 16 17
ブルゴーニュ(白) 17 16 16 17 17 15 18 17 17 18
(注)例えば、一口にボルドー(赤)といっても内容は多種多様であり 上の表はあくまでも目安です。
  また、各地域の中でも上位クラスのワインを想定して点数がつけられています。


  −「ワインの飲み頃」についての簡単な整理−
(1) 上級ワインほど熟成して飲み頃になるのに時間がかかるが、 その分十分熟成した場合の質は高く、しかもワイン自体の力がなかなか衰えない。
逆に、中下級ワインは、ピーク時の質は上級ワインと比べると低いが、相対的に 早く熟成するため、若いうちは同じ生産年の上級ワインよりおいしく飲めることが ままある。ただし、熟成後力が衰えるのも早い。
(2) 同一銘柄の良い年のワインと良くない年のワインを比べても同様のことがいえる。
(3) したがって、予算制約がある場合、
  ◆上級銘柄のあまり良くない年のものを比較的若いうちに飲む。
  ◆中下級銘柄の十分熟成したものを飲む。
という方法が一つの考え方。逆に上級銘柄の良い年のものを若いうちに飲むのはもったいないだけ。(飲み頃の中下級ワインの方がうまい)


【こちらから何か説明をしたい誘惑にかられたときのために】

積極的にワインの話をすることはお勧めしませんが、何か言いたくなった場合のために、(1)ボルドーとブルゴーニュの違い、(2)フランスの有名産地と有名ワインについて簡単にまとめてみました。以下の程度のことを覚えておけば、ひとまずの説明は可能でしょう。

(1)ボルドーとブルゴーニュの比較(赤ワイン)

両地域の主要な違いとして、(i)ボトルの形、(ii)場所、(iii)葡萄の種類、(iv)生産様式などを挙げることができます。

(i)ボトルの形
ボトルの肩のところがいかり肩になっているのはボルドー、なで肩になっているのはブルゴーニュです。
(ii)場所
ボルドー地方は仏の西南部の大西洋に近い地域です。パリから南南西に約500Kmのところにあります。中心都市もボルドーという名称です。一方、ブルゴーニュ地方は仏の中央東部に位置し、パリの南西から約200Kmから400Kmにわたり南北に長く伸びた地域です。なお、ブルゴーニュという名前の都市はありません。といってもイメージは全然湧かないでしょうから、(手抜きで申し訳ありませんが)上で紹介したようなサイトでフランスの地図を確認しておいてください。
(iii)葡萄の種類(赤ワインの場合)
ボルドーはカベルネソーヴィニヨン(CS)という品種を中心にメルロ、カベルネ・フラン等のブレンド、ブルゴーニュは事実上ピノ・ノワール(PN)という品種のみです。 ボルドーの中心品種であるCSはブルゴーニュのPNに比べてタンニン分が多く、酸味・渋味がきつい、 熟成に時間がかかるという特徴があります。この結果として、 一般に、ブルゴーニューは同程度のクラスのボルドーより早めに飲み頃になります。また、 赤ワインの酸味・渋味にあまりなれていない人に対しても、ブルゴーニュの方がなじみやすいという面があります。
(iv)生産様式
ボルドーのワイン生産は、シャトーという単位で行われています。シャトーとは本来「城館」 という意味ですが、ボルドーのシャトーは「葡萄畑を有するワイン醸造施設」という概念で 必ずしも立派な建物があるわけではありません。シャトーが自分が保有する畑の葡萄を使って 自社ブランドのワインを生産するのが基本です。したがって、シャトー毎に個性があらわれます。
一方、ブルゴーニュでは一つの畑が複数の栽培業者に区分所有され ているのが普通です。したがって、それぞれの栽培業者が自社ブランドのワインを生産するのではなく、 ネゴシアン(酒商)と呼ばれる業者が個々の栽培業者から葡萄又はワインを買い集めて 出荷するということを行っています。中には、栽培業者が自分で瓶詰めまで行い自分の名前で出荷しているものも あり、これはドメーヌと呼ばれています(大雑把にいえば、ボルドーの「シャトー」に相当するのがブルゴーニュの「ドメーヌ」といえます。)ブルゴーニュの場合、同じ畑の葡萄を使う同じブランドのワインでも、栽培業者及び取り扱うネゴシアンにより大きな差ができます。したがって、ブルゴーニュのワインは品名よりも 生産者(ドメーヌ)やネゴシアンの名前に注目すべきとよくいわれます。

(2)フランスの有名ワイン産地と有名銘柄

 主なものを下の表にまとめてみましたが、いきなり丸暗記するのも大変でしょうから、以下の4つ程度をまず覚えるようにしましょう。
 (まあ、アテンドでこれらのワインを注文する局面などめったにないでしょうが)

   (a)ボルドー(赤)  :※のついた5つがいわゆるボルドーの「五大シャトー」。これに☆の3つを加えたものがボルドーの「八大ワイン」
   (b)ボルドー(白)  :シャトー・ディケムは甘口白ワインの最高峰。
   (c)ブルゴーニュ(赤):代表はロマネ・コンティ。
   (d)ブルゴーニュ(白):モンラッシェは辛口白ワインの最高峰。

地域
地区
有名銘柄(赤)
有名銘柄(白)
ボルドー メドック サン・テステフ コス・デス・トゥルネル -
ポイヤック ※ラフィット・ロトシルド  
※ムートン・ロトシルド  
※ラトゥール
-
サン・ジュリアン デュクリュ・ボカイユ -
マルゴー ※マルゴー -
グラーブ ※オ・ブリオン -
ソーテルヌ - イケム(ディケム)
ポムロル ☆ペトリュス -
サン・テミリオン ☆オーゾーヌ  
☆シュバル・ブラン
-
ブルゴーニュ シャブリ - シャブリ・グラン・クリュ  
シャブリ・プルミエ・クリュ
コート・ドゥ・ニュイ ジヴレイ・シャンベルタン  
ヴォーヌ・ロマネ  
 
シャンベルタン  
ロマネ・コンティ
-
コート・ドゥ・ボーヌ アロース・コルトン  
ムルソー  
ピュリニィ・モンラッシェ  
シャサーニュ・モンラッシェ
コルトン コルトン・シャルルマーニュ  
モンラッシェ  
ムルソー
マコン - プイイ・フュッセ
ロワール - サンセール、ムスカデ、プイイ・フュメ
コート・デュ・ローヌ エルミタージュ  
シャトーヌフ・ドゥ・パプ
-

【さらに知識をひけらかしたいときのために】

もう少しペダントリー趣味のある方にとっては以下のような項目も有用かもしれません。
ただし、ワインにあまり関心ない客に以下のような知識をひけらかすと顰蹙をかうだけなので注意しましょう。
○ AOC

○ 格付け

 

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