【Jeff Beck live 2000】

　日時：２０００年１２月２日
　場所：東京国際フォーラム
　感想：
　　はじめにことわっておかなければならないことがある。
　　私はベック神様のファンではあるが，特にアルバム”Ｗｉｒｅｄ”が大好きなのだ。Ｂｌｏｗ by Ｂｌｏｗも好きだ。
　　ジェフベック・グループのアルバムも持っているし，近作も好きだ。
　　でもヤードバーズはよく知らないし，ブルース・ロックから脈々と築いてきた神様のギター・テクニックがどうこういう様なギター・フリークでもない。
　　Ｗｉｒｅｄのファンキーなリズムと神様の先鋭的なギター音，フレーズ，サウンドが大好きなのだ。
　　だからギタリストとして，今回の公演内容が充実していたか，ということを書くことができない。
　　あくまでバンドから発する音が，私にとってどう聞こえたかということしか紹介できないことを前置きしておきたいと思う。
　　公演はＰＭ：５時過ぎから約１時間半ほどで，ワリカシあっさりと短めだった。アンコールは１回だけ。
　　メンバーは神様の他，Jennifer Batten(G), Randy Hope-Taylor(B), Andy Gangadeen(D)。
　　前半は最新作，"You had it coming"と"Who Else"からの選曲で，後半には懐かしいナンバーも披露した。"Jeff's Booggie"はやらなかった。
　　"Rollin' and Tumblin'"のボーカルはジェニファーが担当（ウケてたけどイマイチ）。
　　特に前半は打ち込みかサンプリング音を交えており，アルバムの印象と同じ。
　　神様は最初から最後までストラトキャスター１本で通した。そのギターの音色が素晴らしかった。
　　金属的で鋭角的で表情豊か。これぞエレクトリック・ギターだ！　カックイイ！！
　　コンサートの評価はきっと分かれると思う。
　　ジェニファーとのバトルや肉感的な演奏を期待しているムキには，もの足りなかったかもしれない。
　　誰が弾いてるのか分からない様な音を入れるのは困るという人もいるかもしれない。
　　デジタル的な音に違和感を持っていない私としては，アルバム以上に音づくりがうまくいっていたのではないかと思った。
　　私見だが，神様の音楽は，たとえばツェッペリンの様に音楽を構成・構築していく様なものではなく，自分のスタイルを確立しつつ，そのときそのときで，他のメンバーや状況に応じて演りたい曲や音を作っていくものなのではないかと思う。
　　大ヒット曲が少ないのも，その辺りから来ているのかもしれない。
　　Wiredが大好きというのも，リズム・セクションを含めた演奏スタイルが，私にとって特別なお気に入りだというせいだろう。
　　そういった身勝手な前提からすると，この次はもっと凄いことをまだやってくれそうな期待を感じた内容だった。
　　将来２０００年の神様の演奏はこんなんだったね，２００１年はこうだったけど，２００２年はこうでさ〜と言えそうな気がした。
　　神様はけして立ち止まらないのだ。