SAN-SYOKU-TEI
 
 
 
 
 

 
 
蒼き瞳の少女 序

 


 
その気配は、町からつかず離れずオレの後を追ってきた。
───鬱陶しい───。
何よりも先にそう思う。
気配は消しているつもりなんだろうが、オレの感覚から逃れるには、それはまだまだ不十分だった。
この分では、相手は追い剥ぎか、盗賊か………まあ、大方そんなところだろう。
………リナが喜ぶな………。
反射的に脳裏をよぎった考えに、オレは苦い笑みを浮かべた。
出会ってからこのかた、ずっと傍らにあったはずの存在は───今、いない。
オレは静かに瞳を閉ざした。
たった一人の不在が、こんなにも重くなるなんて、リナと出会う前は考えもしなかった。
後をついてくるのが何者かは知らないが、遊んでほしいのなら、それはそれでかまわない。
軽く相手でもしてやれば、少しは、このむしゃくしゃした気分の解消になるだろうか。
八つ当たりだとは承知している。
だが、相手の出方を待っているつもりは───そんな余裕は───オレにはなかった。

───そして、オレは剣を抜き放った───。

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