Pure Mail
2000年8月発売 発売元:Overflow
全体的な感想
当ページでややマイナーなエロゲーの感想を書くのは珍しいのですが、それくらい私が気に入ってしまったということですので。
購入動機
さてさて、世の中のエロゲーを大きな目で見てみると、純愛系と鬼畜系に分類できると思います。最近は感動系ゲームの大ヒットにより純愛系が大躍進。鬼畜ゲーは隅に追いやられております。
ともあれ両者の中間的なゲームが存在しない今、「純愛か鬼畜か」のどちらかしかできないゲームがほとんどであります。
これが少し進んだ形態になると、選択肢により純愛か鬼畜かを選べるゲームというのが出てきます。Naturalシリーズや、最近では「恋愛chu!」といったところでしょうか。これは1人のキャラクターに対し2つの異なったシナリオが用意され、なかなかおトク感があります。
そしてこの「Pure Mail」はさらに一歩進んだ世界を行っています。純愛と鬼畜に加え、第3のシナリオがあります。純愛と鬼畜以外で何があるのかというと、もう1つの鬼畜バージョン。
一般的に鬼畜調教シナリオというのは、主人公たる男が女を奴隷化させることを言います。第3のシナリオはすなわちこの逆。男が女を女王様化させるということになります。この3パターン遊べるゲームを、少なくとも俺はほかに知りません。そして相手を自分の女王様に仕立て上げるゲームというのも、俺はほかに知りません。
しかもはじめっから女王様然としているキャラが「女王様とお呼び!」とか言ったのでは、調教にも何にもなりません。このゲームのすごいところはメインヒロインが女王様化するんです。
もうこのために中古で9000円払ったといっても、過言ではないでしょう。
まああと発売元のオーバーフローは前作「ら〜じPonPon」を買っていてその行き届いたシステムが良かったというのもあるのですが、これは些細な事でしてメインは女王様シナリオです(それでいいのかどろっぷよ)
お話の始まり
主人公「緒方圭(名前変更可能。ただし緒方圭のときはヴォイスあり)」は、複雑な家庭環境ゆえか「仲良くならなければ、別れを悲しむこともない」という後向き思想の持ち主。唯一の趣味がパソコン及びチャットというヒッキー野郎。最近はチャットを使いA.WというHNでEVEというパソコン初心者にいろいろと教えている。
しかし、同じクラスの奈川碧のことも気になっている。そんなとき、圭は偶然にもEVEと奈川が同一人物だということを知ってしまう……。
という出だしです。もちろん碧は圭=A.Wだということは知りません。握った秘密をどう使うかは圭次第。もちろんそんなことは素通りして他の女の子にちょっかいかけることもできるのですが
ちなみにA.WってHN、このゲームのプログラマーさんの名前なんですね
キャラクター
キャラクターデザインは西E田さんという方です。1年以上前に電撃文庫で挿絵を描いているのを見かけました。
このゲームを知った当初はあまり好きになれない絵柄だなと思ったものですが、慣れって怖いもんですねー。ちなみにOverflowの次回作も西E田さんが原画を描くということで、もちろん購入予定です
緒方圭(おがた けい)
実母は圭を生んだ後に他に男をこさえて失踪、実父はアル中でしょっちゅう殴られていたというとんでもない環境で育った主人公。やばいところで今の家族に引き取られた。
圭が後向き思想を抱くようになったりチャットという相手の顔が見えないコミュニケーションを好むのは、両親の愛に触れなかったためではなかろうかと
奈川碧(ながわ みどり)碧様
ゲーム展開によって3変化してくれる本作のメインヒロイン、いや犠性者。Overflowの前作「ら〜じPonPon」に出てくる奈川ゆかりの妹らしい設定なのですが、私はゲーム内にて「姉が看護婦で」というテキストを見るまで全く気がつきませんでした。名字同じなのに
学年一の美少女でかつては芸能界で子役として活躍していた時期もあるという。さらに成績は常に学年TOP10入り。まさに校内のアイドルですな
はじめのうちは名前が家内と同じだというだけで萌えていたのですが、次第に…………。
澤永美紀(さわなが みき)
碧の親友。明るく活発な性格で友達も多い。同姓からは憎しみの対象になりやすい碧の友人は、ほとんど美紀を介してのものである。
バスケット部に所属し、レギュラーの腕前。
圭とは昨年同じクラスだったが、あまり話す事はなかった。でもその頃から圭のことが好きだったらしい。こんなヒッキーのどこに惚れたんだか
結城綾華(ゆうき りょうか)
なびくロングヘアが特徴の、似非お嬢様。父親は巨大財閥結城グループの一角結城証券の社長を勤めるが、なんか貰い物らしい。
クラス委員を務めるが、決して威張りたいからとかいう理由ではない。ただ自分より勉強ができる奈川や運動ができる澤永にはライバル心を燃やす。
一見高飛車タイプの人間なので敬遠していたのですが、プレイ後最もランクアップしたキャラです。「お、実はコイツ良い奴じゃん」という。エンディングもアレを除けば一番のお気に入り。あと名前なんですが、自分はどうしても「あやか」と読んでしまいます
緒方藍(おがた あい)
圭の養親の実子。一学年下の一年生で、圭の義妹にあたる。圭と自分に血縁がない事は知っている模様。
とにかくお兄ちゃん子で、圭が他の女の子と仲良くしていると「お兄ちゃんは騙されているんだよ!」とちょっかい出してくる。うざい。
あまりにうざすぎて未クリアなのですが、こいつの評価が上がることはあるんでしょうか
青葉衣里(あおば えり)
藍の親友。兄貴はこの辺りを仕切っている不良のドン。
圭に負けず劣らずの腐りきった家庭環境のためか、物事に対し冷めたところがある。
ごめんなさい彼女もまだ未クリア。最近年下をクリアしない傾向なのでしょうか自分
真東悠美(まとう ゆみ)
圭が通う学校は1人1台ノートパソコンが配布されていてパソコン操作という授業があるらしいのだが、その学校のサーバー室を管理している上級生。
教師から管理を委託されているだけあって当然ながら圭よりもパソコンには詳しい。圭が学校のサーバーに不正アクセスして奈川の情報を抜き出そうとするのを発見し、圭に近付いてくる。
メガネっ娘でおかっぱでお姉様で巨乳という、あの御方がいらっしゃらなければ間違いなく第一属性になっていたキャラです。パソコン用語がこの初心者には意味不明だったのでTIPS付けてくれるとありがたかったのですが
関端りん(せきはた りん)
発売まで情報が出ていなかった隠れキャラ。圭のクラスの担任関端先生の娘。3年生。
……この娘に関してははっきり言ってヤヴァイことになってるのであまり語りたくないのですが、ぽよさんの壁紙には萌えさせて頂きました。
絵を見た方は既にお分かりでしょうが、アルファベットが云々とか、先日初潮だとか、3ねん3くみと書かれた上履き袋だとか、ぱっと見どころか中身までこいつら全員18歳以上とは思えません。たぶん俺の見るところではch(ソフ倫より規制が掛かりました)。
これに対してOverflowがどう解釈しているかというと、ゲーム本編前に「登場キャラクターは全て18歳以上です」という断り書きで済ませています。この一言で全てを片付ける潔さ、このメーカー大好きです。
システム
Overflowのゲームはシステムが良いとは世間一般に言われている事ですが、じゃあどこが良い(面白い)のか。そこら辺を突けたらなあと思いつつ書いてみます。
セーブロードはいつでも可能でセーブ箇所は40箇所。メッセージスキップは既読のもののみ可能。このあたりはどこでもやっていそうです。
メッセージ表示速度を10段階で変えられます。自動送りが可能ですが、ヴォイスの再生を待つか否かの選択ができます。
メッセージウィンドウの色、フォントを変えられます。フォントに関しては各キャラごとに色も変えられます。
グラフィックは速度重視、画質重視の選択が可能。音声再生も各キャラごとに設定可能です。
アンダーヘアーの有無を各キャラごとに設定できます。ちなみにデフォでは年相応の設定になっています。
やはり最後が秀逸でしょうか。
あと気に入ったところとしては、圭が使っているという設定になっているパソコンのCLAVISというメーカーのFORISというOSの起動シーンが非常にリアリティに溢れていて、本当にOSを起動しているかのような錯覚にとらわれました。何を元にしたのか気になるところです
でここから不満点なのですが……まず難易度が高すぎるという欠点があります。当初発売されたバージョンではほとんどノーミスで行かないとクリアできないほどだったそうです。
そのために修正差分を何度か出しているのですが、今度はバージョンによって攻略法が違ってくるのですね。ですから攻略サイトを見るときは、自分のバージョンとそのサイトで公開している攻略のバージョンを確かめる必要があります。
ちなみに出荷された時のバージョンはP、メーカーサイトからダウンロードできる修正差分がQとR、アンケート葉書を出してユーザー登録すると返送されてくるCD-ROMがTです。Tにバージョンアップするとセーブデータが使えなくなるのですが、CGモードなどは継続されます。
また、Tはピュアメールチェッカーと連動させることで各感情値を知る事ができるので、葉書をお持ちであればバージョンアップをお勧めします(誰に言ってんだ)。
この感情値の変化を見ることで初めて分かるのですが、碧には3つのパラメータが用意されています。碧の圭に対する感情値、EVEのA.Wに対する感情値、調教値です。この3つを上手く使い分けて初めて調教ルートに進めるのですね
あとこのゲーム起動中他の作業がひどく重くなるのですが、これは私のPCが限界に近いということなんでしょうか。そりゃメモリは増強してもCPUはペンツーですから……。
サウンドとオープニング
オープニング曲、エンディング曲、共に覚えやすく良い曲です。静木さんが歌っていますが、歌唱力は普通じゃないかと。別段下手にも聞こえませんし
ゲーム中のサウンドも印象に残る曲が何曲か。日々行われるチャットの曲はいかにも秘密の行為をしている印象を与えますし、回想・センチメンタルなどはしみじみと聞かせてくれます。
そのなかで秀逸が「陰謀」。調教ルートへの入り口で主に掛かる曲ですが、前奏のベース&ピアノという極端に高低がある組合せが暴れていて、たまらなくいいです。メロディラインも暴れていて私はこれで一気に引き込まれました。系統としては東鳩のテクニカルパワーに近いんじゃないかと。あっちの曲も大好きですし
でオープニングアニメなのですが、私はアニメは詳しくありませんがクオリティ高いと思います。これを普通にTV画面で見たところで遜色ない出来映えではないかと。さすがに自分の中でL季は越えられませんでしたが。ときどき画像が止まってしまうのは多分私のPCの責任でしょうし。
シナリオ
最初はネタバレなしでやろうかと思ったのですが、よく考えるとこのゲームって市場に売り出した数がかなり少ないのですね。持ってない人がほとんどと思われるので、思いっきりネタバレで書きます。読んで気に入ったら買いに走って下さい
でも全部を書こうとすると死ぬので、1つに絞って流れを追ってみたいと思います。その1つとはもちろん碧女王様シナリオ
EVE=奈川碧だということを偶然知ってしまった圭。
EVEがまだ見ぬA.Wにベタ惚れであることを利用して、なんとかEVEから碧の圭に対する気持ちを聞き出そうとします。
と同時に圭は碧へアプローチを開始。ときどき意地悪な事を言って碧を困らせながらも(調教値上昇)、A.Wへ送る写真を撮ってあげたりして徐々に仲良くなって行きます。
美紀と三人でゲームで遊ぶときも、ゲーム下手な碧の実力に合わせたりして。
そんなある日、学校帰りの圭は商店街で碧が不良に絡まれているのに偶然遭遇。碧は圭を「彼氏なんです」と言って一緒に逃げ出します。
もうそろそろ頃合じゃないか……考えた圭はチャットで碧の圭に対する気持ちを聞き出してみます。
しかし、碧の答えは無残なものでした。「苦手だ」「何を考えてるかわからなくて、怖い」…………
ショックを受ける圭。今まで僕に見せてきたあの笑顔は、偽りだったのか。碧の気持ちが圭<A.Wであることを悟った圭。
もう、僕は帰ってこない。そう考えた圭に、ある邪念がよぎります。「ウシナウクライナラ、ナガワヲ、メチャクチャニシテヤリタイ」
翌日のチャット。A.Wはこんなことを言い出します。「EVEが僕のことを好きなら、それを形で示して欲しい。EVEの、エッチな写真が見たい」
抵抗しつつも最後には承諾するEVE。家のベッドで、学校のトイレで。本当に送られてくる写真にEVEの気持ちを感じ取り驚きつつも、A.Wは次の指令を出します。「次は教室だ」
そして、その日の放課後。碧が裸になって写真を撮っているところに「偶然居合わせてしまった」圭は、碧を犯すことに成功します…………。
ここまでは、碧奴隷ルートとほぼ一緒です。私が参考にした攻略サイトでは、選択肢1つの違いしかありませんでした。では奴隷ルートと女王様ルートの違いはなんなのかと言うと、碧の感情値だそうです。低いと奴隷ルート、高いと女王様ルート。選択肢1つの違いという微妙な誤差でこうなってしまいます。女王様になるためには愛情がないと駄目なんですね
翌日から学校を休む碧。圭はチャットで彼女と接触を図ります。犯された事を話し、チャットで学校を辞めたいとこぼす碧。
そんなことをさせてたまるか。A.Wは夢中で圭をけなしにかかります。
そのとき、ゾクッと背筋を疼くような感覚。
A.Wに勇気付けられ、圭との対決姿勢を表す碧。2度目の存在否定。
最初に碧が圭をチャットで否定した時は、裏切られたショックが大きくて圭は生れてくる雑多な感情に気がつかなかった。
よく思い出せ………どこかで、快感を覚えていなかったか? そう、今のように。
その証拠に奈川を犯したあの日、怯える涙目をした奈川に僕は心のどこかでうらやましさを感じていた。
でも、この「奈川が僕を悪し様に罵る」たびに疼くこの感覚……初めてではない。そう、あれは……
押し込めていた記憶。幼い頃の、母の記憶。僕に暴力を振るう、母。でも僕は、怯えながら、それを欲していた。
僕に手を上げられる、僕を傷つけるのは母さんだけだ。今では手の届かない、神聖な思い出。
でも、奈川になら……母さんの役目を与えても良い。いや、母さんに、なって欲しい。
そして圭はA.Wを使って、碧に圭に復讐させようと仕向けます。
復讐と言っても簡単なこと。圭がして欲しい事を碧が納得ずくでしてくれればいい。A.Wを使えばそれは可能な事です。
大胆かつ慎重に。圭の調教が始まる……
私はマザコンじゃありませんが、もう堪らない展開です。こんなところで家庭環境を持ち出すなんて思いも寄りませんでした。
どこまで書くか迷っているのですが、もうちょっと書き進めます
それから2日間、学校でまるまる無視されてしまう圭。
嫌われるのは大歓迎だが、無視はキツイ。そう考えた圭は、次の行動を起こします。
碧に、圭に一緒に試験勉強しようと誘わせる。それも、圭の部屋で。碧は反対しますが、知恵を付けて送り出します。もちろん圭は自分の部屋で碧に何かしようという気はありませんので絶対安全なのですが
翌日唐突に圭の部屋を訪れる碧。そこで、碧は圭に対する「弱み」を見つけます。それは、圭が碧を好きだという証拠。
試験初日。圭の席に来る碧。「おはよう、緒方」今まで緒方君と呼ばれていたのが、緒方。これは碧の中での圭の位置付けが変わったことに他なりません。弱みを持つと人間勝った気分になるものです。
試験3日目。碧は圭にとんでもない賭けを持ち出します。「試験の成績で負けた方が、勝ったほうの言う事をなんでも聞く」 方や常に学年10位以内、方や学年100位に入るか微妙、始めから勝負は見えているのに圭はこの勝負を受けます。
試験が終わったチャットでは、A.WはEVEに復讐として圭を犯すよう指示します。
翌日の成績発表。当然賭けに負けた圭は碧の言う事を聞く羽目になってしまいました。
チャットでは試験結果による圭への優越感を隠そうとしない碧。その本性がいよいよ顕わになってきました。
ルックスも才能も人より優れている人は、絶対に他人への優越感を持っている。
翌日、登校した圭は碧に呼び方を変えるよう指示されます。圭は碧を「碧様」と呼び、碧は圭を「圭」と呼ぶ。主従関係の成立です。
これはA.Wが指示したことではありません。しかも名称は自分で考えています。
碧が、A.Wによって、心の奥底に眠っていた本性をあらわしていくのです……。
えっとこれ以上は勘弁して下さい。私がもう我慢できません
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さてとすっきりしたところで補足なのですが、圭が碧を好きだということがなぜ圭の弱みになるのかちょっとわかりませんでした。これは、圭が碧を好き→だから犯した→その写真がばれてはまずい→だから碧のいうことはなんでも聞く。という構図で良いんでしょうかね
ちなみにこのシナリオではA.Wが圭だとは最後までばれません。ばれるのは2シナリオ。碧奴隷シナリオでは終盤で碧が気付くのですが、その前に碧が奴隷化してしまったので気付こうが気付くまいが関係ありません。
もう1つが真・碧シナリオと呼ばれるもので、碧と仲良くなった中盤にてばれます。それが原因でクラス中から無視されるのですが、その先どうなるかというお話です。タイトルの「ピュアメール」に合致したシナリオは、この真・碧シナリオと結城シナリオだと思いました。
これは又聞きですが、シナリオはメインの人に加えてサブの人も書いてもらっていたとのこと。サブの人が書いたシナリオはメインのライターさんがある程度手直しして打ち込んでいたそうです。
この女王様シナリオもサブライターさんが書いたそうですが、このシナリオに関しては全く手直しなしでアップされたそうです。それだけ完成度の高いシナリオという事になります。
というわけでムラがあったり展開的に苦しい部分もありますが、そんなものを通り越して碧女王様シナリオは最高に面白かったです。おそらく2001年ベストシナリオでしょう
最後に
オーバーフロープレジャーボックスも買ったけど、ピュアメール外伝の新キャラ友坂真彩って………。声質も似てるし
個人的且つ主観的評価
キャラクター:88点
シナリオ:90点
サウンド:85点
システム:90点
オープニング:95点
総合:91点
(最終更新 2002,3,11)