パッヘルベルのKanon
99年6月発売 発売元 KEY/ビジュアルアーツ
全体的な感想
えーと、このゲームのタイトルはKanonなんでしょうか、それともKANONなんでしょうか。パッケージに両方書いてあるのでどっちかわかりませんが、一般的に使用されているKanonで話を進めます。あとブランド名はKEYなのかKeyなのかこれまたよくわからないんですが、こんな問題どうでもいいですね。では本文行きます
購入動機
このゲームの購入動機をパーセンテージで表すと、以下のような感じですか
満月をバックに剣を振るう少女の絵を見て 20%
ONEを越えたシナリオと聞いて、どれくらいいっちゃってるのか見たい 5%
ソフマップでオープニングデモを見て及び歌を聞いて 75%
つまりソフマップでデモを見なければまず買わなかったソフトであります。でもデモ版はコンプティークの付録でも前に見たことあるんだけどそのときは買いたいとは思わなかったんだなー。なんでだろ
その証拠にその付録CD−ROMもう捨ててるし
予備知識として「ONE〜輝く季節へ〜(PS版がこれ)」を作ったスタッフ達が新ブランドで作った作品だということを頭の中に入れておいてください。ときどき比較対象に取り上げます
プレー前の雑感
買ってからプレーを始めるまでに日にちがあったので資料を揃えたりしていたのですが、揃えた資料2点とも考えさせられるモノでした。
まずはソフト同梱のマニュアルですが、セットアップやシステムコマンドメニュー、キャラクター紹介もそこそこにトラブルシューティングのページに進んでしまいます。実にマニュアルの半分近くがトラブルシューティングで占められています 。トラブルシューティングには予想される動作不具合と対処法が書かれています。新ブランドだからユーザーに優しくという心意気はわかりますが、我々にとってはこれだけのバグが予想される言わば欠陥品を買わされた気分 です。発売が伸び伸びになったのはデバッグが原因でしょうから数は減っているのでしょうが、あまりに丁寧すぎる説明書というのも一抹の不安を抱いてしまいます
それから動作環境を見ますと、環境のグレードがかなり低くても動くようになっています。例を挙げますとCPUはPentium166MHz以上、メモリ48MB以上、CD‐ROMドライブ4倍速以上(いずれも推奨)となっています。で、こんなにグレードは低いのに何故にHD空き容量だけ250MBも食いますか? システム的にも複雑なところは特に見当たらないし、なんででしょうね。
最後は些細なことですがコンプティークの付録です。最後のページにOP曲「Last regrets」の楽譜が載っているのですが、曲をよーっく聴いてみると楽譜と違う個所が2箇所ほどある んですがこれはいかなる理由でしょうか。この付録って本当にKEY全面協力なのか?さらに他の人の情報では歌詞も間違っている らしい。確かめたところそうだった。どうーなってるの?
イントロ
7年前まで住んでいた町から引っ越していった主人公相沢祐一が、親の海外転勤に対しだだをこねた結果かつて住んでいた町へ7年ぶりに帰ってきた。そこで、祐一は1人の少女と出会うらしい
キャラクター
水瀬 名雪(みなせ なゆき)
主人公相沢祐一と同年の母方の従姉妹。祐一の勝手な都合により居候する先が水瀬家です。親譲りのおおらかさ、というかそれを通り越して天然ボケ入ってます。さらに1日12時間睡眠がベストという特異体質。勿論のこと朝は弱い。寝ながら食事や着替えは当たり前。それを越える必殺技は歩き寝。好物はいちご全般で特にストロベリーサンデーとジャム 。決めゼリフは「ふぁいとっ、だよ」。また、ネコ好きにしてネコアレルギーという可哀想な人。
美坂 栞(みさか しおり)
祐一とあゆの再会シーンにおいて、抱きついたけど祐一にかわされてしまったあゆが木にぶつかった折に木の上から落ちてきた雪に驚いて転んだ少女。祐一が通う学校の後輩らしいのですが、体が弱く学校に来られない・・・はずなのに昼休みの中庭に忽然と現れる。常備薬を常に持ち歩く「歩く薬局」。好物はアイスクリーム。貴様本当に病人か腹こわすぞ。 決めゼリフは「嫌いです」。
沢渡 真琴(さわたり まこと)
商店街にていきなり「あなたを殺す」とつっかかってきたものの、ぶっ倒れてしまい水瀬家に担ぎ込まれた上に居候することになった記憶喪失少女。彼女の記憶の唯一の手ががりが「祐一が憎い」であるため、祐一につきまとっては毎晩闇討ちをかける。好物は肉まん。決めゼリフは「あうーっ」。小動物系が好きな人はどうぞ(やばっ)
川澄 舞(かわすみ まい)
夜な夜な学校にて1人剣を振るって魔物と戦うセンパイ。テーマ曲はTOSAKA THE SENIOR。一見寡黙そうに見えますが実はかなりのギャグキャラ。それというのも祐一が舞になんとかして可愛い言葉を喋ってもらおうとしているのです。たこさんウィンナーにはこちらも笑わせてもらいました。好物は和食全般で特に牛丼つゆ濁こやつ通です。決めゼリフは「嫌いじゃない」。「かなり〜」「相当〜」などバリエーション多し。
月宮 あゆ(つきみや あゆ)
2日連続でたい焼きを食い逃げ し、祐一にぶつかるという18禁史上前代未聞のヒロイン。背中に退化した羽根をつけたリュックを背負っている堕天使。なにか探し物をしているらしく商店街によく出現する。好物はたい焼き(店限定)。決めゼリフは「うぐぅ」。オープニングの扱いやCGの数からしてメインヒロインの説が有力。
水瀬 秋子(みなせ あきこ)
名雪の母親。正体不明の真琴を同居させたり、道端で会ったあゆを朝食に招いたりと良い意味でおおらかな人。しかし一方で栞を一目見て栞の体に気付いたり、あゆとの初対面で何かを感づいたりと勘の鋭いお人であります。趣味は料理でなるとまで自家製で作ってしまう という凝りよう。決めゼリフは「了承」。
美坂 香里(みさか かおり)
名雪の親友にしてクラスメート。常時天然ボケの名雪と対称的な性格ながら互いに凹凸を埋め合っている感じがします。涼しい顔して学年トップの成績を残すすごい人。また栞の姉。
天野 美汐(あまの みしお)
真琴を一目見て何かを感づいた人。いつも1人で友達はいないようだが、そうなったのには原因があるらしい。
倉田 佐祐理(くらた さゆり)
舞の無二の親友。元生徒会役員だが、舞を庇ったため除名。実は良家のお嬢様。明るい性格で一見舞とは正反対だが、そこがまた合うのでありましょう。決めゼリフは「あははーっ」。初期設定では魔法少女だったらしいってこれはなんのゲームだ?
北川(きたがわ)
ぐらひっくのある唯一の男キャラクター。祐一の後ろの席で、転校早々の祐一に教科書を貸してくれたりといい奴です。その言動から察するに香里に気があるようですが真相やいかに
ところでこいつの下の名前はないんでしょうか見当たらなかったのですが
とまあたい焼き屋の親父を除くメインキャラ全員を見たのですが、全体的に決めゼリフと好物をうまく使ってキャラクターを立たせていることがよくわかります。キャラクターは上手く立っているんですけどねぇ……如何せんねぇ……
システム
難易度もかなり低めなコマンド選択式ですが、ここではそんなことは述べません。意味のない機能ばかりついて付けるべき機能がついていないというところにネタは存在するのです。
意味不明機能1はウィンドウ枠変更機能。ま、これはいいとしましょう。その2は、フォント変換機能です。字体を変えられるのですが、ゴシック明朝はいいとして行書、恋文、勘亭流とはこれ如何に。誰か勘亭流で最初っから最後までプレーしつづけた人いますか?面白いけど、ただそれだけっていう機能ですな。
さて付いていない機能、それはメッセージ読み返し機能です。実はONE〜輝く季節へ〜も同様でしょうが、シナリオライターの書く文がかなりむつかし目であります。このわかりにくいという時点でライターの力量がわかってしまうのですが、いわゆる地の文が多いノベルタイプのゲームではメッセージスキップとメッセージ読み返し機能は必須。それだけにわかりにくい上に読み返し機能がないというのは自分的に大幅減点です。
サウンドとか歌とか
折戸さんの曲はいい曲です。それは誰しもが認めるところだと思います。だけど「輝く季節へ」とこの「Kanon」で、なんとな〜く折戸さんの作風が分かったような気がします。それをちょっと書いていきましょう(楽譜が読めない方にはツライかもしれませんが)。
まず1つ目としては、メロディラインの取り方。とりあえず1小節を8分音符×8に区切ってみましょう。そして折戸氏は8分音符×8を3,3,2という風に区切ってメロディを乗っけています。この旋律って我々にはとっても心地よく感じるんです。little fragmentsなんかがいい例ですが、オープニングのLast regretsもこのメロディラインです。
2つ目は、いわゆる6度の音です。6度とは、ドレミファソラシドのドに対してドから6番目の音、つまりここれではラの音をさします。この音を伴奏のコードに多用することによって、従来の曲とは違った雰囲気を出しています。代表的なものは「輝く季節へ」だと思います。
3つ目として挙げると、高音でしょうか。高音をメロディラインに持ってくることで、「Kanon」独特の寒い雰囲気を出せるのではないかと思います。またオルゴールやピアノを使ってくることも効果的。
というわけで、こうしたマジックを見極めた上で改めて聞いてみると「Kanon」の曲は本当にいい曲だと感じます。折戸さんの曲ではないのですが、「少女の檻」なんかはRPGで塔に昇っている雰囲気になりましたし。
シナリオ考察(ややネタバレ)
最初は別ページにしてネタバレを書こうかと思ったのですが、面倒臭いのでこっちに書きます。発売から2ヶ月以上経つのでややネタバレくらいならば可でありましょう。
シナリオですが、痛いです。何故痛いか?ほとんど全てのシナリオにおいて人の死が関ってくるからです。さらにほとんどの場合が生き返りやがります。いつぞやの日記に書いた、1番感動するタイプであるがゆえに私が最も嫌うシナリオです。人を傷つければ痛いシナリオになって心に沁みるとでもシナリオライターは思っているのでしょうが、それはなんか間違っていませんか?人を殺さずに感動するシナリオ、書いてみませんか?
ちょっと各論いきます。先ほど「ほとんど生き返る」と書きましたが、微妙なのが真琴シナリオです。あのラストについてはKeyネタバレ掲示板でも議論があったようで、私も問題提起した人の1人ですが、私は「非復活派」なのです。なぜかって上を見れば一発なんですがたまには死んだまんまのほうがいいシナリオになるってこともあるんだから
このゲームのテーマの1つに「思い出に還る物語」というのがあるのですが、まさしくその通りです。例えばONE〜輝く季節へ〜の場合は折原浩平を如何に感動的にこの世から消し去るかにシナリオの全てが注がれていましたが、 Kanonの場合は相沢祐一の10〜7年前の過去の悪事の数々を如何に感動的に清算させるかにシナリオの全てが注がれています 。私としては過去に引きずられるのはイヤなのでこういった話はほとんど感動できません。何より、メインヒロインたるあゆシナリオに全く感動せず 、一番感動した話が祐一との過去の話が全く出てこない栞シナリオであるという時点で「思い出に還るなんざクソ食らえ!」と思ってることがよーわかりますアカンな俺
あと、佐祐理シナリオはオマケ以外のなんでもないですね。ボリューム少なすぎ
全体として、感動的に狙いすぎていることが私にとっては欠点でした。もうちょっと「サクッと感動」なお話であればよかったんですが
最後に
こうして見ると佐祐理人気が高いのはうなずける。だってメインの5人カワリモンばっかやし
個人的且つ主観的評価
キャラクター:86点
シナリオ:92点
サウンド:95点
システム:73点
総合:87点
(最終更新2003,1,4)