Memories Off 2nd
01年9月発売 発売元:キッド
全体的な感想
久々にいいゲームをやらせてもらいました。2作目ということで「1」をやってから、と思っていたのですが、こんなことならもっと早くから手を出しておけば良かったですね
購入動機
非常に個人的な問題ではありますが、「輝く季節へ」以降キッドアレルギーが出ておりました。あの会社のゲームは地雷という色眼鏡で思いっきり見てました。それをようやく許す気になったのは、
こちらの方の強いプッシュと、
久遠同様のレビューサイトでの点数の高さ
でしょうか。私がよく見に行くところでは見事に揃って9点を出していたりします。
PS版の4200円とDC版4980円のどっちを買おうか迷いましたが、1みたいな画質だとシナリオにのめりこむ云々以前の問題だと危機感を抱いたのでDC版購入です。(1はPS廉価版を購入、2を買った日に1人クリアという状態)
お話の出だし
ずっと変わらないと信じていた。2人の関係も、今の幸せな状況も。
高校3年生の主人公『伊波健』は、昨年12月から同級生の『白河ほたる』と交際している。
健はサッカー部を引退後、特に目標もなく何をするでもない夏休みを過ごしている。
ほたるは8月末のピアノコンクールに向け、猛練習中。
2人の間に、微妙なすれ違いが生じる。
そんなとき、健の前に現れる女性達。
2人の間にある、数え切れない思い出。
けれど、その思い出を振り切ってでも、一緒にいたいと思える女性が現れたとしたら……。
などとマニュアルからつぎはぎで抜粋しましたが要は浮気ゲームですな。恋愛経験のある人ならば、第一次倦怠期という言葉なんかが思い浮かぶのではないかと思います。思いますと書いたのは俺には倦怠期以前の問dうっせえなそこ黙ってろ!! どーせ俺は!! はん!!
キャラクター
キャラクターデザインはささきむつみ氏。俺的にどうも好きになれない方です。人参までひたすら回避してきた事や、ジーズマガジンのハッピーレッスンのノベルは大好き(植田亮氏の絵が)などというところにその一端が伺えます。
まだキャラクターを完全に把握したわけではないので、一部憶測入ってます
伊波健(いなみ けん)
名前固定の主人公。彼の言動一つでほたるが泣きを見るわけです。
サッカー部に所属。引退後はふらふらした日を過ごす。わけあって1人暮らし。
白河ほたる(しらかわ ほたる) CV水樹奈々
平たく言えばこのゲームの犠牲者です。 5/6の確率で彼女が泣きを見るということで。
ピアノの天才。その腕前はかなりのものであるという。昔火傷したことがあって、火が嫌い。
寒いギャグの天才。私は突っ込む気力も失せました。
ひたすら健ちゃんを想っている。恐ろしくピュア。こんな娘を振るなんて人間のやることじゃない。でも振る。
南つばめ(みなみ つばめ) CV池澤春菜
健が通う高校の夏季講習臨時講師。教科は現代国語。さらには健の隣の部屋に越してくる。ぶっきらぼう。
論理的な詰めで健と会話。健はわかったように言ってましたが俺にはどうにもわかりません。
隣の部屋ということで健とは近い存在になっていく。ほたるはもちろん焼きもち。さらにつばめを想う人も現れて混戦必至。ああ、全ては健が引っ込めば丸く収まるというのに。でも浮気する。
ところで池澤の歌うてるてる坊主の旋律が違っていたように思うのですが
飛世巴(とびせ ともえ) CV仲西環
「1」の舞台で健の住む町からも近い澄空学園3年生。将来の夢は女優。別名「あだ名大魔神」。
ほたるとは中学時代からの友人らしい。性格明朗快活で、周りからは女性と見られない事も。でも確か「ボク」とは喋りません
付き合ってる彼女の友人に手を出すなんて、何考えてるんでしょうかこの男は。彼のせいで今1つの友情が崩れようとしているのに。でも浮気する。
寿々奈鷹乃(すずな たかの) CV千葉紗子
健やほたるのクラスメイト。水泳部所属。
男には態度が冷たいが女性には普通に接する。やや姐御肌なところがあり、下級生の女子に対して人気が高い。
何が不満で彼は彼女に手を出すのでしょうか。ひたすら想ってくれる女性と冷徹な女性。何を考えるでもないはずなのに。でも浮気する。
白河静流(しらかわ しずる) CV菊池志穂
ほたるの姉で大学3年。健とほたるの関係を暖かく見守る。
趣味はお菓子作りで、ほたるの他健を招いて試食会など催す。また無類のプロレス好き。
彼女の姉ですよ、彼女の姉。将来お義姉さんと呼ぶべき人に恋してどうするんでしょうか。家庭崩壊すらの危機を孕んでいるというのに。でも浮気する。
相摩希(そうま めぐみ) CV南里侑香
健がバイトすることになるファミレスの同期生。澄空学園2年。
おっちょこちょいな性格。よくへまをやらかす。落ち込んだりするが翌日には元気に出てきたりする。
一夏のアバンチュールに賭けようとするこの男の心がどうもわかりません。ここはPiaキャロットじゃないというのに。でも浮気する。
なんかほたる狂信者から付け狙われそうな気がするんですが俺
キャラデザがあの人ということで自分的に購入を控えていたんですが、プレイしていて1つ思ったことがあります。それは、「なんだか336っぽくない絵が多いな」ということ。明らかにメモオフ1とは絵が違うんですな。具体的には目の大きさ。私はあの「極端に長い(大きい)瞳」がどうしても好きになれなかったのですが、今作は許容範囲である事が多かったのです。336氏の絵が変わったのかと思いましたが、君島ナナを見る限りメモオフ1と変わっていない。
その理由はスタッフロールを見ることで明らかになりました。
「キャラクターデザイン:ささきむつみ」
「作画監督・原画:松尾ゆきひろ」
つまり336はゲームの原画を描いてないんじゃないか。センチの甲斐智久みたいな役割なんじゃないかと思えてきました。1枚絵は336臭さが出ているのですが、立ち絵は縦長瞳が抑えられて描かれているように思いました。
ところがところが、改めてジーズマガジンに載っている設定集を見ます。………これが336なのか。希を除いて総じて瞳は小さめ。よくわからなくなってきたのですが、336の描き方には2種類あるということで自分を納得させつつ次行きます
システム
期間は約1ヶ月。セーブ箇所は32箇所でまあまあの数です。個人的に「これは」と思ったのはクイックロードでしょうか。F&Cゲームのクイックロードとは違い、前の選択肢に戻ることが可能ですしかも16まで。そんなに選択肢が多いゲームではないので、16戻るとほとんど最初まで戻る勢いです。ただ一旦セーブし、そのセーブデータをロードすると今までのクイックロードは消えてしまいます。
あと、ショートカットはまだ使い方がよく分かってません
また、各シーンには簡単なタイトルがついています。セーブ時にタイトルや、「〜〜編」といった誰のシナリオのデータかわかるようになっています。ただ、L季のような凝ったタイトルの付け方ではありません。
ウインドウ形式ですが、バックログ機能もついています。カーソルを合わせると、声の再生も行ってくれます。ただセーブデータをロードしたとき、それ以前のテキストに関しては表示されません。これって結構不親切だと思うのですが。数ヶ月ぶりにプレイする場合なんかは忘れてる可能性が高いわけで。
1度エンディングを見るとおまけ項目として、アルバムモード・音楽モード・オープニング再生・クリアリスト確認などが行えます。DCがネットに接続しているとメーカーHPからアペンドシナリオがダウンロードできるそうです。
サウンド
オープニング曲『明日天気に...』が堪らなく良い歌。暗い出だし、重いリズム、サビのメロディー、どれを取っても志倉千代丸マンセーです。家庭用のギャルゲーOP曲でここまではまった曲は、なんでしょうなあ、最近ではなかなかないです。
ちなみに私の志倉千代丸ヒット率は、約5割です。これだけ高ければ充分ですね。
あとエンディングはそれほど評価してません。水樹奈々がそれまでのほたるのきゃぴきゃぴさ(死語)から脱して地声で歌っているので。もうちょっとほたるになりきれなかったものか
ゲーム中のサウンドですが、ほたるがピアノを演奏するということもありそのシーンのクラシック曲が多用されています。ベートーベンの『悲愴』とか、リストの『愛の夢』とか。それらがもちろんピアノソロで流れるので、ピアノソロマンセーの俺にとっては堪りません。
その他のサウンドでもピアノソロが多用されていて、俺的には大好きです。「With memories」「Memories off 2nd」あたりは名曲に入ると思います。キャラクターの曲では、つばめ先生と希がお気に入りかな
ところでこの作曲者の特徴、大体私は掴みました。まず1つめに、三拍子が多いこと。一般的な三拍子の割合はかなり低いでしょうが、このゲーム内ではつばめ先生のテーマ曲を始めとして結構使われています。
2つめはメロディライン重視であること。伴奏のコードが同じでもメロディラインを変えて他の曲にしてしまう実力を持っています。私はコード重視派の人間なので、メロディライン重視派の人とはそのコードの波長が合うかで好き嫌いが決まってしまうのですが、この人の場合は気に入った部類に入りました。
それでも「あまり良くないな」と思える曲も結構あって、ムラがあるように思います。
シナリオ
えー、初日からかっ飛ばしてくれますこの2人。
場所は保健室。制服が雨にぬれてしまったため、裸にシーツ1枚被って健と会話するほたる。
↓
制服が乾いて帰りがけ、「ぼくの部屋に寄って行かないか?」と誘う健。
↓
結局健の部屋に泊まることになったほたる(ごくごく自然な展開で)
お前らヤッてんのか? ヤッてんだろ?? え!?
小一時間問い詰めたくなりました。しかも友達の家に泊まると親に嘘をつくのも、だんだんサマになってきたそうです。複数回かお前ら!!!
こんなことしておきながら結局振るのって主人公極悪非道(ちなみにどろっぷ、ほたるシナリオなど全く念頭にありません)
なんでしたっけ、えーと感想でしたね。まず感じたのが、ほたるの方から告白してきたせいか健がほたるに惹かれるきっかけというのが見当たらなかったこと。たぶんこれがその後健浮気という大きな伏線なのかもしれません。さらに言うなら、ほたるを除く各ヒロインが健を好きになるきっかけみたいなものも明確に描写されていません。もちろん健が各ヒロインを好きになるきっかけも明確に描かれることなく進んでいきます。
このゲーム最大の弱点はここじゃないかと。浮気というテーマを扱うにあたって、そのきっかけをうやむやにしてしまうのは勿体無いです。「恋はいつだって唐突だ」で済まされる問題ではありません。
構成としては、はじめの10日間ほどがキャラクター共通シナリオ、後半が各キャラクター毎に分かれています。ただ後半にも前後あるように感じて、三部構成だと私は見ています。第一部が共通シナリオ。第二部が健が各ヒロインに惹かれていってほたると離別するまで。第三部が各ヒロインが抱えているそれぞれの問題を解決、といった感じです。キャラによっては第二部第三部が一緒になっている場合もあるかと。
シナリオを解くにあたって私が残念或いは惜しく思ったのが、ほたるとの離別シーン。ある場合にはヒロインと3人の修羅場になるのですが、この場面で修羅場を超えて修羅と化したほたるを見てみたかったのは私だけでしょうか。もうそれこそ、「健ちゃんが他の女の子のこと好きになるなら、その子と健ちゃんを殺して私も死ぬ!」くらいの迫力で。
それで例えば本当に殺しちゃってバッドエンドという展開もアリだったのではないかと思われます。上の三部構成説で言うなら、ほたると上手く別れるのに失敗した第三部に入る前のバッドエンド。選択肢の選び方によってはこういう展開を作って欲しかったなあと。このゲームが浮気して、今の彼女と別れて新しい恋へ目覚める上でのせつなさをテーマにしている以上、むしろ別れに失敗してバッドエンドという展開は決しておかしくないと思います。
この展開を製作者が作らなかった理由は容易に想像できて、結局のところほたるを良い子に描ききりたかったのだと思います。男から別れ話を切り出されて抵抗はするんだけど、本当はその男の事をやっぱり好きだから、自分の思いを殺して別れる。そんな完全無欠のヒロインに仕立て上げてしまったがためにほたるを悪役に描けなくなった。こうして絶大なる人気を得ているほたるですが、代わりに人間としての泥臭さを失ったのではないかと思います。
もちろん高校生の恋愛にそこまで求めるのも無理があるのですが
その他思ったこととしては、伏線の多さ。というか小道具の使い方が絶妙です。具体的に言うならまず最初に出てきたてるてる坊主。これががほたる編では重要なファクターになってくる。さらにオルゴールの存在。ほたる編では絶妙の小道具になるのに対し、姉の静流編では悪魔の道具に変身するという、複数の用途があったりします。
では簡単に各シナリオの感想など
ほたる編
「動物園での4分割BGMは『愛の夢』」というシーンはこのゲーム最強だと思います。あそこまでテキストとビジュアルとサウンドがマッチした場面は、他のゲームを探してもそうそうあるものではありません。
つばめ編
専用シナリオに入ってからが印象薄です。それまでは「健が何をするべきか」という指針を与えてくれる役割を担っていたために、その彼女が表舞台に立つことに自分的に違和感を感じました。
あと、まさかコンシューマゲームで近親相姦誘拐監禁を目の当たりにしようとは
巴編
何気にノーマルエンドを何度も見返してしまうところを見ると、やっぱり私は平和主義者なのかなあ、と思ったりしました。トゥルーエンドはこのゲーム随一の修羅場が待っています。
ところで健にあだ名をつけるとき、「イナピョン」などという候補名を出すのはやめて欲しかったっす。ぴょんには個人的にトラウマが
鷹乃編
ウェイトレスさんの声、どっかで聞き憶えがあると思っていたのですが、数時間後にようやく友永だと気付きましたよ。胸のつかえが取れました
あと鉱物とか鉱石が云々というフレーズが全くなかったのですが、そういう設定はどこに行っちゃったのでしょうか
静流編
妹にコンプレックスを抱く姉という珍しい設定。自分をひたすら殺して妹の幸せを願う一方で、自分の幸せをどこに求めるかがポイント。
グッドエンドは面白かったかもしれません
希編
ごめんなさい未プレイです。プレイしたら加筆します。希望ちゃんまっててねカンカンカン………
シナリオ萌えできたのはほたる、キャラ萌えできたのは鷹乃でしょうか。ちなみに曲が良かったのは前述のとおり先生と希、声が良かったのは静流、修羅場がマシだったのが巴と見事にバラバラです。逆にいえばそれだけ見所が散らばっているのですが
なんだかんだ書きましたが、ほたるの一途さが光るゲームなので、「ひたすら一途に想われたい」という人にはお勧めなんじゃないかと思います。ついでに一途に自分を思う娘を振ってみたいという外道な方々にも。
あと彼女との別れを学ぶには良いゲームじゃないかと。
最後に
何気にミヤタリエ隠れキャラ説を提唱してみますが、どうなんでしょうか?
個人的且つ主観的な評価
キャラクター:77点
シナリオ:84点
サウンド:89点
システム:84点
総合:85点
(最終更新2003,1,4)