4.天下の名園・兼六園を台無しにする


 辰巳ダムは、金沢市の都心からわずか10キロほど上流の地点に計画されている。建設予定地が標高わずか123.5メートルと、ダムとしては比較的低い場所につくられるのが、辰巳ダムの特徴のひとつである。

 予定地の上流には8つの集落があり、およそ百世帯、400人が生活している。もちろん下水道は整備されておらず、400人分の生活雑排水がダム湖に流れ込むことになる。ダム湖の富栄養化は避けられない。標高が低く水温が高くなるので、水が腐り、カビ臭が発生する。

 兼六園の曲水の水は、すべて辰巳用水から供給されている。辰巳ダムがつくられると、このカビ臭い水が兼六園に流れ込むことになる。天下の名園の価値が台無しである。

兼六園の写真と解説(他サイトへのリンク) へ]  [ 辰巳用水と兼六園 へ ]

 県は、辰巳ダム建設にあわせて、上流集落の下水処理施設を整備するとしている。しかし、有機物は除去できたとしても、窒素、リンを取り除くことはできず、有効な対策とはなりえない。

 辰巳ダムは、辰巳用水の最上流部だけでなく、辰巳用水がたどりつく天下の名園・兼六園の価値をも破壊してしまう。
 辰巳ダムが破壊するのは、「辰巳用水の最上流部160メートル」ではなく、辰巳用水と兼六園のすべてなのである。


ホームへもどる  目次へもどる