約4キロにわたる水トンネル、平均勾配230分の1(もっとも緩やかなところの勾配は600分の1)、日本初の伏越の理の採用など、辰巳用水は「日本一の用水」とよぶにふさわしいものである。
この辰巳用水の最上流、東岩取水口と水トンネル部の約160メートルが、辰巳ダムによって水没させられるのである。
県は、辰巳ダムで辰巳用水の一部を水没させたうえで、ダムと一体に辰巳用水の観察館をつくり、資料展示などを行うとしている。
360年以上の歳月を経ていまなお生きつづけている辰巳用水を殺して、その遺体を展示するというようなもので、まったく検討に値しない案といわざるをえない。