1.まったく不要なダム

(1)洪水調節に辰巳ダムは必要ない

B高畠地区の浸水対策は内水排除の問題


 伏見川が犀川に合流する高畠地区(地図参照)では、大雨が降るたびに浸水被害が起こっている。
 辰巳ダムは犀川大橋地点の洪水対策として計画されており、高畠地区の浸水対策は計画に入っていないのだが、辰巳ダム推進勢力はことあるごとに「高畠地区の水害対策のために辰巳ダムの早期完成が必要」と主張している。辰巳ダム建設促進期成同盟会会長でもある山出保・金沢市長も、市議会でくりかえしそのように答弁している。

 もともと計画に入っていなかった問題を計画推進の理由にすること自体、辰巳ダムの治水計画がずさんなものであることをしめしているが、浸水被害がくりかえし起こっている高畠地区住民のなかには、辰巳ダムができればいくらかでも被害が軽減されるのではと期待している人がいることも事実である。

 高畠地区がたびたび浸水被害に遭っているといっても、犀川の水があふれて被害が出ているわけではない。
 高畠地区では、犀川は天井川状態になっている。ここでの浸水被害は、犀川の水位のほうが高いので降った雨が行き場を失って低地にたまることによって起こっているのである。
 かりに辰巳ダムができて犀川の水位が少し下がっても、高畠地区にたまった水の水位のほうが低いのだから、浸水被害は解消されない。辰巳ダムは高畠地区の浸水対策にならないのだ。

 川の水位より低い低地にたまる水の対策には、水路を整備し、ポンプで水を外に出すしかない。

 低地帯での住宅の乱開発を放置し、ポンプの増強などの対策を怠ってきた行政が、住民の浸水被害をこれ幸いとばかりに辰巳ダム建設推進の理由にすりかえることは、許されることではない。


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