1.まったく不要なダム

(1)洪水調節に辰巳ダムは必要ない

A過大な洪水量予測を前提としても簡単な代替案がある


  百歩も二百歩も譲って、県が「データの捏造」を行って算出した虚構の1920トン/秒という洪水量を前提としても、辰巳ダムはまったく必要ない。かんたんな代替案があるのだ。

 犀川大橋付近の犀川には、高水敷が設けられている。川の断面が、いわば、凸の字を逆さにしたような形になっているのだ。この高水敷の一部を削除することで川の断面積を拡大すれば、“1920トン/秒”に対応することができる。犀川大橋地点から下流は川幅がひろいので、これで洪水対策は十分である。

 高水敷を削除するだけなら数億円程度の費用で実現できる。
 高水敷は遊歩道・サイクリングロードとしてつかわれており、また高水敷のなかには用水が通っている。これらの機能を維持するには、高水敷を削除して代わりにバルコニー状の構造物をつくり、その中に用水を通し、その上を遊歩道として利用すればよい。これも数十億円で十分実現できる。辰巳ダム(当初計画で123億円)よりずっと安上がりだ。

 いずれにしても、“1920トン/秒”を前提としても、犀川大橋地点で水があふれないようにすればよいのであって、ダムでなければならない理由はまったくない。
 環境破壊や文化遺産の破壊を避ける意志があるかどうかの問題である。


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