公共事業評価監視委員会に辰巳ダム関連資料を再請求(1999年2月16日掲載)


  県公共事業評価監視委員会と県にたいして、監視委員会土木部会(1998年12月18日開催)で配布された辰巳ダム再評価にかんする資料を再請求していましたが、県側から口頭で「提供はするが、提供する時期は監視委員会の次回全体会以降」との通知がありました。

 次回全体会といえば、辰巳ダム再評価について結論が出る可能性が高い。それまでに資料をみて、問題があれば監視委員会にはたらきかけなければなりません。

 辰巳の会は、あらためて、資料を請求しました。


土木部会配付資料提供に関する再度のお願い

1999年2月15日

石川県公共事業評価監視委員会
委員長 川島良治殿
土木部会長 石田 啓 殿

兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会
会長代行 中井安治

 公共事業の効率性・透明性確保のための御尽力に敬意を表します。


 昨年12月25日付文書および本年1月13日付文書で、公共事業評価監視委員会土木部会(昨年12月18日開催)で配布された辰巳ダム建設計画再評価にかんする資料を御提供いただけるよう、県および監視委員会にお願いしておりましたが、2月4日、公共事業評価監視委員会事務局・横田強氏(県土木部監理課長)より、当会にたいして口頭で要旨以下のような通知がありました。

 @監視委員会と県側との協議の結果、当該資料は提供することになった。
 A土木部会は非公開(報道関係にのみ公開)で開催されているうえ当該資料は報道関係者にも配布していない。このような事情のもとで、現時点でただちに辰巳の会に提供することは適当でない。したがって、提供の時期については未定である。
 B公開で開催される監視委員会全体会ののち、しかるべき時期に提供したい。

 公共事業の透明性確保のための再評価にふさわしく、資料を提供していただけることを、私たちは積極的に評価しております。しかし、提供の時期が辰巳ダム再評価について結論が出される可能性の高い次回の監視委員会全体会以降とされていることには、公共事業再評価の趣旨に照らして、疑問をもたざるをえません。


 一般的な審議会の場合、非公開の会議で配布された資料を県民一般に提供することに一定の制約があることはありえることかもしれません。しかし、今回の場合、以下のように一般的な場合とは事情が異なっています。

 (1)県公共事業評価監視委員会は、県が行った公共事業再評価を監視するものであるとされています。再評価の監視は、本来、全県民的に行うべきものですから、いわば監視委員会は全県民に代わって県の再評価を監視していることになります。監視委員会に県が提出した資料は、監視される側が提出したものです。監視委員会を先頭に県の再評価を監視する立場にある県民が、監視される側がどのような資料をつかって「辰巳ダム建設計画は事業継続が妥当」との方針を説明したかを知り、問題点をチェックし、監視委員会に問題提起することは、監視委員会で県の方針の可否が決められる前にこそ必要です。


 (2)12月18日の土木部会では辰巳ダム建設計画の再評価にかんしては結論が出されませんでしたが、石田部会長は「反対運動があり20数年来もめている問題にこの場で結論を出すわけにいかない」ことをその理由のひとつに挙げられました(MRO、テレビ金沢などのニュース番組での紹介)。他の事業計画については県の方針がすべて了承されたのですから、反対運動が存在するということは、事業再評価においては非常に重要な要素になるということです。私たち辰巳の会は、辰巳ダム反対運動において中心的役割を担っており、この問題の一方の当事者です。いわば県と当会の論争の審判役を監視委員会が第三者機関としてつとめられるわけですが、論争をより実りあるものにするためには、一方の当事者が審判役にどのような資料を提出しているのかについて、もう一方の当事者が知ることが大切です。当会からの意見聴取についての申し入れを別途させていただく予定ですが、それが実現したときには、もちろん、当会提出の資料を県側に提供されることに何ら問題はありません。


 (3)12月18日付で石田土木部会長あてに提出させていただいた「辰巳ダム建設計画再評価にかんする申し入れ」でも指摘したように、辰巳ダム建設計画には、「データの捏造」にもとづく誤った治水計画である、共有地運動にどのように対処するかの展望がないなどの問題点があります。報道されている範囲では、当会をはじめとする県民からのこれらの批判・疑問にたいして、12月18日の土木部会において県が反論・説明したのかどうか、またどのように反論・説明したのか、まったく不明です。私たちは、私たちの主張にたいする県の反論・説明を監視し、監視委員会に必要な問題提起を行う責務を全県民にたいして負っています。県の計画を批判してきたものとして、監視委員会にたいして県がどのような資料にもとづいてどのような説明を行ったかを知ることには、特別の重要性があります。

 以上のような観点から、「監視委員会の次回会合以降に当該資料を提供する」との現時点での御判断を再検討され、12月18日の土木部会で配布された辰巳ダム再評価に関する資料をただちに御提供いただけるよう、ここにあらためてお願い申し上げる次第です。


 日本の公共事業史上画期的なものとなりうる今回の公共事業再評価をより実りあるものにするためのお願いですので、どうぞ趣旨を御理解くださいますようお願いいたします。