石川県が公開質問状の質問を黙殺

(2000年8月13日掲載)


 辰巳の会は石川県知事にあてて「リーフレット『辰巳ダムと犀川』に関する公開質問状」を提出していましたが、11日、県側は質問にまったく答えない無内容の文書を送ってきて、質問を黙殺し、事実上、回答を拒否しました。

 辰巳の会は、抗議声明を発表。谷本正憲知事あてに郵送しました。

 県民の貴重な税金をつかってリーフレットを大量に作成・配布しながら、質問には何ひとつ答えることのできない計画、それが辰巳ダム建設計画です。


河第614号

平成12年8月11日

兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会
事務局長 碇山 洋 様

石川県土木部河川課ダム建設室
室長 山本光利

リーフレット『辰巳ダムと犀川』に関する
公開質問状に対する回答について

 リーフレット『辰巳ダムと犀川』は、犀川の治水対策、なかでも洪水のピーク時の水位を低下させるダムの役割を、県民にできるだけわかりやすく平易に理解していただくため、犀川の河道計画、ダム計画及び犀川の整備状況の概要を説明したものであります。


『辰巳ダムと犀川』に関する公開質問状への石川県の対応に対する抗議声明

2000年8月12日

兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会
事務局長 碇山 洋

 当会は、7月27日、谷本正憲知事にあてて「リーフレット『辰巳ダムと犀川』に関する公開質問状」を提出していたが、本日、「リーフレット『辰巳ダムと犀川』に関する公開質問状に対する回答について」という表題の文書が「河川課ダム建設室 室長 山本光利」の名で届いた。

(1)質問状は、『辰巳ダムと犀川』(以下、リーフレット)に記述されている内容について、8点にわたって具体的に質問をしている。ところが県の「回答について」という文書は、8つの質問について文字どおりひとつたりとも答えず、質問とはまったく関係のないことを3行だけ記した無内容のものであり、およそ回答の体をなしていない。当会は、県が質問状への回答を事実上拒否したものと受けとめざるをえない。

(2)今回の山本文書(どう読んでも当会の質問状に対する回答になっていないので、このように呼ぶ)は、リーフレットは「ダムの役割を、県民にできるだけわかりやすく平易に理解していただくため」のものであるとしている。ダムの役割を県民に理解してもらうのが目的であるのなら、県民からの質問には誠意をもって答え、丁寧に説明するべきであるはずだ。「理解していただくため」といいながら当会の質問には答えない県の姿勢は、リーフレットが県民を欺き辰巳ダム建設計画をゴリ押しするためものであることを示している。

(3)このような文書しか出せなかったことは、県が回答不能に陥っていることを示しており、辰巳ダム計画が不合理な計画であることを自覚している証拠でもある。

(4)もともと今回の質問状の回答期限は8月7日であった。7日当日の午後になって、ダム建設室・山本室長から回答をもう少し待ってほしいというファックスが入った。電話で問い合わせたところ、河川課・高野哲男氏が「誠心誠意回答しようと努力しているのでもう少し待ってほしい」と述べたので、11日まで期限を延長することに当会も同意した。時間をかけてよく検討された回答が届くものと期待していたが、当初の回答期限より4日も遅れての「誠心誠意」が事実上の回答拒否であったことに驚きを禁じ得ない。当会は、今後、石川県の「誠心誠意」がこういうものであることを考慮して行動せざるをえない。

(5)当会は、山本文書による事実上の回答拒否につよく抗議するとともに、県民の疑問に答えることのできない欺瞞的な内容の『辰巳ダムと犀川』の配布をただちに中止し廃棄処分にすることを、谷本知事にもとめるものである。

(6)辰巳ダム建設計画の継続を「理解できる」とした県公共事業評価監視委員会は、付帯意見として「事業全般について、県民の理解を得るよう最大限の努力をすること」を県に求めている。山本文書は、県の主張を理解しようとする県民の質問に何らまともに答えようとしないものであり、「最大限の努力」どころか県民の理解を得るための最小限の努力さえ県が放棄したことを示している。山本文書が監視委員会の付帯意見に真っ向から反するものであり、このような不誠実な姿勢で県民の理解を得ることなど到底できないことを、厳しく指摘しておく。


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