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2002年04月
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2002.04.27   

友達が死んでしまった。
もう、2年くらい前らしいのだけど。しばらく会っていなかったので、びっくりした。
ばったり会った共通の友人から聞いた。彼もしばらく会っていなかったみたい。
ときどき、あー、元気でやってるだろうか、と、心配していたんだけど、
でも、そんなこと、頭の中でいくら思っていても、仕方が無いことだ。
共通の友人には会っていたけど、そんな話がでなかったのは、
わたしが知っているだろうと思ってのことだったのでしょう。
今、思うと、彼女がいないということを前提に話してたんだなというような
会話をしてたもんな。あたしの鈍感。
人が人を助けるとか、人が人を支えるとか、そういうのは覚悟がいる。
そんな覚悟ができないときは、手をださない。
中途半端に手を差し伸べて、自分がつらくなったときに手を離したら、
手を差し伸べる前よりも、もっと、傷つけてしまう。
あたしはそういうことをしてしまってきたから、
そうやって相手も自分も壊れてしまいそうになったから。
彼女に最後に会ったときに、その決め事を復唱した。
彼女にもっと関わっていきたいと思ったけれど、自信がなかったの。
受け止める。受け止めつづける、自信が。
ごめんね、って思いながら、ばいばいって別れたんだ、あのとき。
きちんと会う約束ができなかった。
彼女の全身から助けて、って聞こえてたのに。
受け止められなくても、愛をもっと表現するべきだった。
なんて、こんなのは今あたしが勝手に思っていることであって、
真実なんてわかんないし、愛を表現できたとしても、それで何か変わるとも言えない。
あたしの自己満足だ。こんなの。
そんなことを思いながら、車を運転しつつ泣いた。
こんなことは、たくさんだ。
あたしは、大抵、電話を留守電のまま持ち歩いている。
でも、これからはやめる。ちゃんと出る。
いつかけても留守電なんだもんー。って言われたよね。
あのときの用事を聞けず終い。

そんなことがありつつも、日常は続いていく。
残酷な気さえするけれど、楽しいことだってたくさんある。
そんな次の日にも笑うことができるのだ。


2002.04.19   

会社のコとお茶を買いに行く途中で、通りかかった幼稚園、
会社のコが、「見て、いちゃいちゃしてる」と言うので、
覗いてみると、幼稚園児がいちゃいちゃしていた。
という夢を見たと、その夢に出てきたコに言ったら、
夢占いのサイトで調べてくれた。
身近な人に騙されるらしい。
自分のことは自分で守らないととかなんとか。
確かにすぐ騙されてしまう。
すぐ、信用する。
でも、誰かを疑って生きるなんて、つまんない。
あたしは騙されてもいいから、このままでいたい。

2004.1.19
結果的には、当たっていたかも。
いや、騙されるというほどでもないけど、
自分でもわかっていたし。
騙されてやるよって感じ?



2002.04.12   

昔使っていた手帳から、Nの写真がでてくる。
今年は、なんだかいろいろ思い出す。
実は毎年、こんなことを書いているんだけれども、なんとなくアップできなかった。
まとまらなかったから。文字に残すのがこわかったから。
やっと考えられるようになったのかもしれない。残して置きたいと思ったのかも。
変な顔してる。高校の卒業式の後に撮った写真。
わたしの友達を紹介したことがあった、そのとき、この写真を友達にみせたと言ったら、
もっといい写真なかったのかよーと言われた。そんなこともあった。
Nが死んでからずっと持ち歩いてた。忘れたくなかったから。忘れられるわけはないのだけれど。
最近、手帳を持たなくなったので、そのままになっていた。

彼の勤めていた会社はひどいところだったみたい。
離職率は25%。過労死や彼と同じように自殺をしてしまった人もいるそうです。
彼は家庭の事情で仙台を離れられなかった。でも、決まった勤務地が青森。
交渉して、仙台に残ることになった、、、、とお葬式の後で聞いた。
あの会社のことを調べていくうちに、本当にそうなんだろうか?と疑問に思う。
本当は、もっとごたごたしたんじゃないのか。
結局、彼は青森よりもずっとずっと遠いところへ行ってしまった。

あの会社に入らなかったら、、、
彼は死なずにすんだのだろうか?
何があったのだろう。
知ったからどうなるわけでもない。
でも、何があったのだろうってあたしたちは考えつづけていくだろう。

彼の最後の恋の相手は、その後、その会社に就職したそうだ。
真相を知りたいと言って。
彼女はつらかっただろうな。自分もその原因の一端をになってるんじゃないかって、
そう思ってたのかもしれない。

お葬式のあと、近くのファミレスに行った。
なんだかNがいないのが変な感じ。
こんなことで集まりたくなかったね。でも、N、きっとここにいるよね、って。
あー、細かいことまでよく憶えてる。
彼の死を知った東京のとある駅のホーム、
さっき別れたばかりの恋人に電話をしたこと、
まだ家についてるわけもなく誰もでなかったこと。
女の友達に電話をまわして、と頼まれていたのを思い出して、
東京に住んでいる仲がいい人に電話をする。留守電。メッセージを入れる。
高校時代に彼が好きだった人、2年くらい前に彼と付き合っていた人に電話でしらせる。
仙台に戻るとやたら暖かかった。
家に着いて、母親に事情を話し、車ですぐに彼のうちにむかった。

ほとんどの同級生は大学を卒業して就職したばかりだったので、
お葬式にこれなかった人はたくさんいた、平日だったし。
彼はたくさんの人に慕われていた、
高校3年生で同じクラスになって、席が近くの4人でいつもふざけてた。
笑いをこらえながら何度も授業を受けた。

彼は気分屋で、きょうは機嫌が悪いというのがすぐにわかった。
それが、いつからか、機嫌が悪い日がなくなっていった。
何かもめごとがあったときには、Nがいてくれれば、と思われるような存在になっていった。
彼が死んだ後で、それは彼に歪を与えてなかったのだろうかと、思った。
そんな話を友達とした。あたしたちは理由をみつけたかった。
ずっとわがままでもよかったのにね。それでも、彼は十分いい奴だった。

みつけた写真をみているうちに、部屋をひっくり返しはじめた。
昔の写真を探す。
卒業間近、受験真っ只中というのに、遊んだときの写真、
卒業してすぐ、Mくんの家で遊んだときの写真、
月一でやろうと言って、でもそんなに続かなかった飲み会の写真。
朝まで飲んで、公園で寝てるところ。

彼は首を吊った。
どんな思いで、そんな準備をしたんだろう。
首をかけるときに後悔しなかったのだろうか。
なんとなく、どこかから飛び降りたりしてくれた方がよかったと思った。
いや、よくないんだけど。同じことなんだけど。
でも、そのやり方じゃ、衝動的にって言えないでしょう。
覚悟の上、なのでしょうね。
遺書はなかった。
ほんとうは、部屋に何かを吊るそうとして、足が滑ったとか、
そんなことじゃないの?とかなんとか、信じたくないあたしたちは話した。
そんなことじゃないのはよくわかってるけど、、、、、。
とても自殺をするような人だとは思えなかったから。
あたしは彼のことを何も知らなかった。
最後の方はあんまり会ってもいなかった。
最後に会ったのは、偶然街中で、あたしは仕事中、制服を着て銀行へ行った帰りで、
彼は卒業を待つばかりだったころ、
おーっ、せいこ。
仕事中だと言うと、
かっけー、俺もはやく仕事してーって。
ばかみたいに大声で。言っていたのにね。
あれが最後だ、笑顔で手を振った。

2004.1.19
そう、最後に会った時のことは忘れられない。



2002.04.09   

きょうは雨、きのう、だれかさんと見た桜も散ってしまいそう。

もうすぐ、ともだちの命日がやってくる。
きょうは、朝から何度もNのことを思い出す。近くにいるのかしら。
彼の眠る霊園は、桜がきれい。
毎年、咲き始めた桜を眺めながらお墓参りに向かったものだけれども、
ことしは桜吹雪の中になりそう。
あれから5年。あたしは27になった。彼は22のまま。
彼の死を聞いたのは東京、井の頭線のとある駅。
当時付き合っていた彼が仕事に行くのを見送った後だった。
共通の友達からの電話。
Nが亡くなった
え?事故?
自殺した
棺の中の彼はすごく小さく見えて、びっくりした。
顔を見た瞬間、ずっと泣かなかったのに、ぼろぼろと涙が出た。
こんな無防備な姿をみんなに見せちゃったりして、ほんと、ばかなんだから。
遺影はなんだかかっこ悪くて、みんなで、
あいつ、絶対この写真じゃいやだって言ってるよな、って笑った。
なんだよ、この写真使うのかよーって。
共通の友人に会うと、よく、あいつがここにいたらこう言うよね、ってものまねをする。
化けてでてくるなら昼間にしてね、ってお墓参りに行ったときにはいつも言う。明るく登場してねって。
一度も出てきてくれない。夢にも出てきてくれない。
でも、そこにいるのに見えないとしたら、とても悲しい。
どこかでもう一度生まれ変わっててほしい。近くをうろうろしてるなんて思いたくない。

醤油が好きで、教室のロッカーに自分の醤油を入れていたこと、
映画が好きで、いつか映画監督になりたいと言っていたこと、
ロボコップの真似をしながら、勉強してたこと、
サッカー部の部室でひとり落ちこんでいたこと、
制服のネクタイの先をズボンに入れてたこと、
受験の最中、学校に集まってケーキを食べて、バドミントンをしたこと、
お酒を飲んで、真っ赤になったあたしを散々からかったこと、
免許を取って嬉しそうにドライブに誘いにきたこと、
原付バイクに二人乗りして、警察に見つからないように裏道を通りながら家まで送ってもらったこと、
ばかみたいに、やたら気合の入った年賀状のやりとり、
吉野家でバイトしていて、夜中によく食べさせてもらったこと、
家の物置を改装した部屋、サンドバック、
捨て犬で人間不信だった、Nにしかなついていないジョンのこと、
最後の恋に夢中になっていたこと。

最後の恋をしている彼は、別人のようだったそう、
あたしは残念ながらそのことについて話す機会がなかった。
あたしもちょうど、似たような恋をしていたから、その恋に夢中だった。
彼が死んだときに電話をくれた共通の友達は、
あたしと、Nの恋の話を聞いて、ふたりとも同じことを言ってたよと教えてくれた。
あの当時、熱しやすく冷めやすかったあたしたちはふたりとも、
今度の恋は違うんだ 今までとは違うんだ って。
それを聞いて、あー、Nと話をしたいと思っていた。
あたしたちは近い場所にいるって、勝手に思ってた。

そんな矢先のできごとだった。
原因は、その恋だったのか、就職したばかりの仕事のことだったのか、
全然別のことだったのか(きっとその全部でもあり、そのどれでもないのだろうけど)、
突然逝ってしまった。

あれから、5年。


2004.1.19
もう、この時点で5年ってことは、
7年か・・・