みかんを運んでた有田鉄道。最古参気動車の紀州鉄道編
9月30日。
ちょうど去年のこの日は国産旅客機のYS11と桃花台新交通の運行最終日だったなぁ・・・。
まぁ、それはさておき。今日は「日本で2番目に短い私鉄 紀州鉄道」に乗りに行くべく御坊駅に向かいます。
出発する駅は和歌山市駅。南海電鉄の改札口をくぐってJRの和歌山行きホームへ。ちなみにホーム上にICカードリーダーがありますが
これは「南海電車利用者」のための入場、退場記録用なのです(^^;;)>ちゃんとホーム上に中間改札はあるのよ。
昨日書いたとおりにJR和歌山-和歌山市間はICOCAもPiTaPaも使うことができません。ほな、なんでICリーダーがあるんかカンタンに言うと
「和歌山市駅までJRの乗車券を持ってて、そこから南海電車に乗換るための入場記録用」
と、
「PiTaPaや普通乗車券で南海電車を利用での和歌山市駅までの運賃精算・出場記録用」
になってます。なので「JR和歌山市駅から利用」という入場記録は是が非にも付かないんです(^^;;)
・・・和歌山まではICOCA利用区間だし今や南海電車も全駅PiTaPa対応してるんやから決して対応出来ない話ではないのに・・・。
ちょっとエアポケット的存在のJR和歌山ー和歌山市間の路線。・・・・ん?なんで”JR和歌山ー和歌山市間の路線”って呼んでるかって?
そんな鳳-東羽衣と同じような盲腸線は名前はないのかって?
実は紀勢本線の起点駅はこの和歌山市駅なんです。なのでJR和歌山ー和歌山市は紀勢本線の一部になるのです。鳳-東羽衣も「羽衣線」とか
呼ばれたりもしてるみたいですけど、これも正しくは阪和線の一部です。でも日根野-関西空港間は「関西空港線」になってますけどね。
朝っぱらから薀蓄のうるさい駅長ですが和歌山市駅6:57発のJR和歌山行きの電車で出発です。
・・・ラッシュ時間帯でも30分に1本なんですよ・・・。和歌山市-JR和歌山は・・・。まぁバスの方が全然本数多いから仕方ないかなぁ・・。
和歌山からは7:20発の湯浅行き電車で移動。おぉ。あまりJR東海管内でも乗れなくなってきた117系電車だ。
今日は紀州鉄道に乗りに行く前に行っておきたいトコがあります。それは2002年に廃止になってしまった有田(ありだ)鉄道跡です。
それにさっさと紀州鉄道に乗りに行くなら途中駅で終点の湯浅行きの電車にわざわざ乗りませんよ〜(笑)
8:04。藤並駅着。
ここからはバスに乗換えて有田鉄道の終点だった金屋口駅へ。・・・っと、その前に藤並駅跡を見に行くことに。・・・今日も小雨が・・・。

有田鉄道藤並駅は線路は剥がされてしまってるけど駅舎(きっぷ売り場)が未だに雨ざらし状態・・・。
まぁ、廃線からまだ4年くらいしか経ってないからなぁ・・・。でもホームは只今、藤並駅高架駅舎改良工事中につき、撤去されてしまってました・・・。
でも廃止直前の有田鉄道は前に廃駅になった楓子駅と同じで、一日2本の列車しか走らないし日曜祝日は運休というとんでもない路線だったもんなぁ。
駅前でそうこうしてるとバスが到着。ちなみにバス停の横には周辺案内図があります。まだ鉄道線が書かれてます。
まだバスの出発まで15分くらいあるので周辺を散策。・・・ちょっと離れたトコにでかい幹線道が走ってる程度で周りにはなにもない・・・(滝汗)
ここでバスの運転手さんに今の金屋口駅はどうなってるか聞いてみると、
「ん〜。さすがに線路は無くなってるけど、まだ駅舎とか電車もそのまま残ってるよ。」
とのこと。8:37発のこの有田鉄道バスに乗って金屋口駅へ。けっこう勾配もカーブもきつい道をバスは進んでいきます。

9時前にバスは金屋口駅前有田鉄道バスバスターミナルに到着します。気にならん程度に雨が降ってるけどまぁ気にせずいきましょー。
駅に隣接して流れる有田川の対岸の小学校では運動会もやってるみたいだし。
バスターミナル前にはかなり開けた商店街があります。和歌山が企業母体のスーパー「オークワ」の姿も。その脇を過ぎると駅の入り口があります。
昨今の廃止駅は撤去されたり、入り口に板を打ち付けられたりして入れないようになってるんですけども隣が有田鉄道バスの本社ってこともあって
未だに倉庫とかに使われてるらしく、駅名こそは剥がされてはいてるものの、当時の姿をちゃんと残してました。
ちなみにこの駅ホームの奥に車庫もあります。とりあえず駅前の商店街をみつつ、車庫や路線跡のほうへ行って見ようと足を進めると、
・・・朝の9時過ぎだってのにひとっこ一人居ない・・・。・・・・・街が死んでる・・・・・。(激滝汗)
これは冗談でもなんでもないです。完全にゴーストタウン状態に陥ってます(滝汗)駅前商店街繁栄の象徴であるスーパー・オークワにしたって、
その姿はあれど「テナント募集」の張り紙・・・。あとは軒並み続くシャッターが降ろされたままの店舗群・・・。少し離れたらちらほらと開いてる店を発見。
今まで色んな街を見てきたけどここまで荒廃した街を見たのは初めてでした。駅前のスーパーが潰れるなんて、まるで東○崎駅前みたいやんか(激マテや)
ちなみにこの9時過ぎに開いてた店は駅前の生果店と床屋さん。・・・コンビニの姿なんか全く気配すらない・・・。

駅前からバスでやってきた道をたどって行くと踏切跡を見つける。どうやらこの跡地を利用しての公園の整備工事中みたい。
ここから駅に向かう線路はまだ残ってるみたいなので、この先にある車庫を見てみることに。・・・雨がまだ降ってこないうちに(苦笑)
線路をたどって車庫へ。かつてはみかん輸送で活躍した貨車やキハ58 003の姿が当時のままで残ってます。
でも廃止まで活躍していたレールバス ハイモ180は保線用の軌道走行車の後ろで眠ってました。
最終的に有田鉄道に残ったこのキハ58とハイモ180もヨソの私鉄からのとらばーゆ車輌です。でもここのキハ58は国鉄のキハ58が
ベースになってるものの実は国鉄ではなく富士急行からの移籍車輌だそうな。なので唯一の両運転台車輌という異端児です。
ハイモ180は樽見鉄道からの移籍車輌です。
このまま線路を歩いて金屋口駅前バスターミナルに戻ります。もちろん構内を移動する時は周囲の安全を確認してますよ?
駅から線路が残ってたのは300mほど。まだ気動車が動かせる状態でもエンジン廻して少し構内を動かす程度しかできないのか・・・。
などと思ってたら雨が急に降ってくる(滝汗)仕方ないので急いでバスターミナルに戻ることに
バスターミナルに戻って藤並駅に戻る9:55発のバスに乗るとなんと行きに乗ったバスと同じ運転手さんでした。
そしたら藤並駅まで戻る間に鉄道在りし日の話をいっぱいして頂きました。乗務中にも関らず貴重なお話をありがとうございましたm(_ _)m
「電車が走ってた時も今みたいに平行してバスも走ってて、バスの方が本数も多かったんですよ。だからみんなバスしか乗らなかったんですよ。
それに日曜運休なうえに2往復しかしないんじゃ利用もしにくいでしょ?で、今度は廃止になったらなったで駅前がああなっちゃって。」
和歌山ではその名を知らぬモノは居ない スーパー・オークワが潰れるくらいだもんなぁ・・・。
「廃止になった後に、沿線のコミュニティバスを設置したんだけど今度は誰もコミュニティバスの存在も知らないの。」
これはウチの街も同じだ(苦笑)
「だからバスの本数を増やすんで無くて電車の本数を増やしたほうがまだ良かったんやと思うんですわ。
だって見て貰えば解るとおりに同じ距離でもバス停のほうが多いんですよ。」
廃止になってしまった今となってはあれだけど、確かに一日2往復は無いわなぁ(^^;;)
藤並駅に戻って貴重な話を色々して頂いた運転手さんに深々とお礼をして今度は御坊駅へ向かって雨の中、まっくろごぅ(汗)
10:49。御坊駅着。25分ほどで到着です。ここから紀州鉄道に乗換え。でも到着前にちょっと考える。
「紀州鉄道に乗るって事は御坊駅で待ってる車輌が一日ずっと走ってるんだよなぁ。・・・さて・・・。どっちが待ってるんだろう?」
と御坊駅に降り立ち0番線ホームを見てみると、

非冷房の古参気動車キハ600型が待っていました。実は前々から紀州鉄道に来た時に確認したい事があったんです。それは運転台なのです。
一般的な電車や気動車は左にマスコン。右にブレーキ弁がほぼ主流です。でもここは違うのです。左にブレーキ弁。右にマスコンがあるのです。
これは新幹線や機関車などと同じ配置なんです。でも我々から見るとやっぱどことなく不自然なんですよね(^^;;)
10:56。西御坊に向けて緩やかにホームを出発。
部活の遠征で学門駅に向かう高校生らを含む23人を乗せてゴトゴトと時速30kmで走っていきます。
6分ほどで西御坊駅に到着。さすが2.7kmです。すぐに着いちゃいます。でも西御坊まで乗ってたのは私一人のみ(苦笑)
運賃180円を払う際に運転士さんに「この車輌ってマスコンとブレーキが逆ですよね? 運転しにくくないですか?」って聞いたら、
「いえいえっ。これしか運転したことないんで慣れちゃってますよ。ありがとうございます。」と笑顔で答えてくれました。
でもブレーキ操作もマスコン操作も単に配置が逆なだけで操作そのものは他と全く同じです。こんな車輌は全国探してもコイツだけです。

西御坊駅に到着。・・・ホントに駅ですか?ココは・・・。駅と知らせる看板もなんもないんですが・・・(^^;;)
ちなみに駅舎が道路と道路に囲まれてホームに気動車1両分しか停めれません。昔はまだ先まで路線がありましたが今は線路が残るのみです。
今日一日はこの列車と運転士さんにしか会えないので短い路線でもフリーきっぷが無くとも沿線捜索。まずは紀州鉄道本社のある紀伊御坊駅へ。

車内から廃止になった区間を見てみると、橋がすでに撤去されてる(苦笑)もう2度と走らないのね(^^:;)
紀伊御坊駅には車庫もあります。
ちなみに現在、紀州鉄道の車輌は今走ってるキハ603型と部品取り用として留置してるキハ604型。あと唯一の冷房車輌 キテツ1号の3両。
どうやらキテツ1号は車庫で寝ているらしい。ちなみにこのキハ600は元は大分交通の車輌で、キテツ1号は北条鉄道の移籍車輌です。
残念ながらキテツ1号は閉ざされた車庫の中だそうなので撮れず・・・。紀伊御坊駅で硬券乗車券と学門駅学業成就御守付記念入場券を購入。
ちなみに紀州鉄道でここが唯一の有人駅です。なのできっぷを買うのはこの駅でしか出来ません(^^;;)
キハ600型は停まってるとあまりにもボロっちく見えて、とても現役で活躍してる気動車というカンジがしないんで走行写真を撮りに行く事に。
紀伊御坊駅から少し離れたトコで撮影。ゴトゴトとのんびり走っていきます(^^;;)
紀伊御坊駅に戻って列車を待ってるとオバチャンが一人待ってました。ちなみに来るときに乗ってきた高校生や私を除けば
私と一緒に乗ってた利用客は一ケタ程度です・・。しかも吊り広告は10月初旬から推進されてる「全国労働衛生週間」しか掲げられてません(苦笑)
でもこの路線は御坊駅から南進して市役所の横を通るせいか商店街が沿線に沿って発展してるんですよ。
でもそれに併走して路線バスも走ってるんですけどね(^^;;)本数自体はそこそこ多いけど運行距離が短いっていう元々のネックを抱えたまま、
少ない列車。少ない社員。少ない利用客。少ない収益で細々と運行されてます。でもまだ学門駅の隣に高校があるなど通学路線として
まだ重宝されてるので近い将来に廃止になる可能性は少なそうです。でも車輌が高齢なので故障が心配ですけどね(^^;;)
御坊駅に戻って遅い昼ご飯を食らって和歌山駅に戻って今度は和歌山線完乗へ向かいます(笑)
こういうフリーきっぷの時で無いとこういう地方線になかなか乗れませんし。でも和歌山線は扱いは地方線でも古くから電化営業されてます。
これはJR東海の飯田線と同じで元々は小さな鉄道会社が転々としてたのを国鉄が買い上げて統一したって路線なんです。
でもこの路線で活躍するのは全部ロングシートの105系が主力(^^;;)和歌山から直通で王寺まで行く電車で完乗。
王寺から名古屋までどうやって帰ろうか考えたけどやっぱり大阪まででて米原経由で帰る方が早いって事で米原経由で名古屋に戻るのでした。
「本日のデカルチャー」
・・・すでに金屋口駅前の荒廃振りに驚愕です・・・。これ以上のデカルチャーもなかなか無いですよ(苦笑)
紀州鉄道での話。列車が駅を離れて、ふと見ると走りながらユルユルと閉まっていくドアに恐怖(激汗)危険すぎだろ!!(汗)
御坊市の話。これは「おぼう」ではなく「ごぼう」と読みます。ずっと「おぼう」だと思ってたよ(苦笑)
同じように有田鉄道も「ありだ」が正しいのですが「ありた」だとずっと思ってました。些細だけど難しいですね(苦笑)
御坊市の名産の話。なんと御坊市の生産日本一は「麻雀牌」だそうです。そんな和歌山県の隠れ名産に驚きました(^^;;)
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