いちご電車とおもちゃ電車。和歌山電鉄編


「南海電鉄 貴志川線。」

2002年の和歌山港−水軒間の路線廃止に引き続いた2005年に南海電鉄和歌山港線の和歌山市-和歌山港間の途中駅が廃止になり、
次の廃止候補として白羽の矢が立てられた路線でした。
ちなみに2005年もそうでしたがここ10年の間に全国の多くの鉄道路線が悔やまれつつ廃止になってしまいました。
でもそんな廃止の窮地に起たされた貴志川線。先に廃止になった近鉄北勢線のように2006年度より別会社が引き継ぐというカタチで
存続が決定しました。そんな地元に支えられ、復興に意気込んでる最中、とんでもないニュースが鉄道界を激震しました。

南海電鉄の赤字路線を引き継いだ和歌山電鉄に新型車輌。
「地元の名物をモチーフにしたいちご電車が登場!」


正直、この記事を見たときは私も驚きました。そして年が明けた2007年。鉄道界のみならず報道メディアをも揺るがすニュースが流れました。

「無人駅になった貴志駅に福を招く?猫のたま駅長就任!」


さらに続く仰天ニュースも。
「走る電車はおっきく愉快なおもちゃ箱おもちゃ電車が登場!」



とても前まで廃止に揺れた路線とは思えない大胆不敵な大改造。さすが引き継いだ両備グループ。本気で驚く再生計画です。

さて、いちご電車もおもちゃ電車も登場し、18きっぷシーズンも終えて一段落着いた9月の末日。
お互い駅長同士、親睦を深めようと時乃夢岬駅駅長もたま駅長にひと目逢いに、「鉄道の日乗り放題きっぷ」を使ってやってきました(笑)

9月29日。朝、関西本線始発電車に乗って亀山・天王寺を経由して和歌山を目指します。
名古屋を基点として5:52発大垣行きに乗って米原・大阪経由で天王寺を目指しても、
5:41発亀山行きに乗って亀山・奈良経由で天王寺に向かっても、20分くらいしか差は出ないんですよ。

天王寺から天王寺始発の紀州快速に乗って一路、和歌山へ。昨日まで天気は良かったくせに今日はいまいちな天気・・・。

天王寺発9:42。和歌山駅到着10:45。
まずは和歌山電鉄に乗り換えです。・・・でもここで駅長の毎度の薀蓄の時間です(笑)
和歌山電鉄は正しくは「和歌山電鐡」と書きます。難しい方の”テツ”の字を使ってるんですよ。
これは他の私鉄でも使われてる事もありまして。例えば大井川鐡道もそのひとつです。
何故この”鐡”を使うかと言うのは旧字体だとか今はなかなか読めないとかいろいろと仮説がありますが、その仮説のいっこを紹介しましょう。

「鉄」という漢字があります。これを分割したときに”金”と”失”となります。電、金、失。失という字は「失う」を指すと言う人が居て、
「”電鉄”って名前じゃ電気も金も失うって意味にも見えて縁起が悪い」って事で旧字体の「鐡」のほうが金も失わないし見栄えが良い。
との理由で今も「鐡」という漢字を使ってるトコも多くあるそうです。・・・・あくまでも仮説な上に駅長の薀蓄であってこれが真実ではないですよ?

まずは一日乗車券を買い込んで11:01発貴志行きの電車に乗り込みます。ホームで待っていたのは「いちご電車」。



外は白くとも車内はシートもドアもつり革もまさに真っ赤ないちご色(笑)内装は殆ど原型をとどめないほどに大改造されてるし。
しかも連結面に暖簾が垂れてるし(笑)2271型は赤の暖簾。2701型は白の暖簾。色んな意味で洒落て改造された車です。

11:01に十数人のお客を乗せて出発。・・・土曜の昼前にこんなけかい・・・(汗)30分で貴志駅に到着。
でも、この貴志川線の和歌山発の電車は貴志行きと途中の伊太祈曽行きがあって本数は多いほうですけど。
でも難読駅名が多いなぁ(苦笑)「神前(こうざき)」「吉礼(きれ)」などなど。



貴志駅に到着。降りるお客の目的は殆どがたま駅長に逢いに来た人々です。まぁ、私もその一人なんですけど(笑)
駅長に会う前にまずはいちご電車を見てみると・・・。・・・屋根上のクーラーまで赤い・・・。ロゴも良く見ると「苺」。・・予想以上によく出来てる・・。
ではでは外に出て、ついにたま駅長と対面です。



まず駅を出て出迎えてくれたのは貴志駅助役「ちび」。そして貴志駅駅長の「たま」。ゲージでお休み中は貴志駅助役の「ミーコ」。
すでにいっしょに電車に乗ってきた他のお客に囲まれてました(笑)着いたのが昼ってこともあり、みな昼寝の最中でした。
先に小川商店の中にある「委嘱状」などを見物。小川商店のオバチャンに以前に行方不明になったと噂になった「ちび」の事を聞いてみたら、

「あ〜、戻ってきましたよ〜。1週間くらいで。」

とホントに居なくなってたっぽい(^^;;)ちなみによくエサを持って逢いに訪れる人も居てるそうですが直接は与えないで欲しいとの事。
まぁ、当然のごとく、「餌を与えないで下さい」と駅長の住まいのゲージにも書かれてます。

ひとおり、人も履けたので今度こそたま駅長に会いに行きます。


足元のゲージにいた駅長を小川商店のオバチャンが改札口ラッチ上にあるイチゴソファへ誘導。ちゃんと言う事を聞くトコもすごい(笑)
たま駅長がソファに乗ったら乗ったでまた皆に囲まれる始末。でも元々おとなしい性格だそうで人もカメラも全く怖がらないです。
時乃夢岬駅駅長もたま駅長と握手を交わし、お互いの駅の繁栄と健闘を誓い、そうこうしてるとたま駅長はソファで寝こけてしまいました(^^;;)
ちなみに集英社より「たまの駅長だより」というこのネコの駅長たちの写真集が出版されてます。

いちごソファで寝こけてしまった たま駅長に別れを告げ、今度はおもちゃ電車に乗るべく乗ってきたいちご電車を見送り、しばし待ちぼうけ。


いちご電車の後に走ってきた「おもちゃ電車」。これもいちご電車同様にかなりの大改造がされてます。
この写真を見る限りでは「何処がおもちゃ電車なん?」と思いますが。実はおもちゃ電車の秘密はこの連結面にあるのです。



このようなおもちゃ棚が装備されてるんです。ちなみにガシャポンも搭載されてます。
しかし、おもちゃ電車が入線するなり童子共が群がり、写真は撮れず・・・。
でも並んでるおもちゃ達は定番のシロモノからちとマニアックなものと幅広いです(^^;;)けっこう一見の価値はありです。

おもちゃ電車に揺られて伊太祁曽駅へ。ここに和歌山電鉄の本社があり、「いちご電車」「おもちゃ電車」「たま駅長」等がグッズが売られてます。
駅でいちご電車を待ってると雨がパラパラと降ってきたんでホームでいちご電車を撮って撤退(苦笑)



一旦、和歌山駅まで戻って次の目的地に向かうべく、きのくに線に乗り換え。次に向かう場所は「野上電気鉄道」のあった海南駅へ。
この和歌山県には15年前まで4つの私鉄が存在してました。大手私鉄に含まれる南海電鉄。そして紀州鉄道。野上電鉄と有田鉄道の4社。
でも地域の過疎や利用客低迷、モータリゼーション、バス転換の煽りを食らい、
今残るのは新たに変わった和歌山電鉄と大手私鉄の南海電鉄。日本で2番目に短い私鉄の紀州鉄道が残るのみになりました。
でもそんな廃止になった線路跡地を有効に活用して行こうと野上電鉄のあった海南市が遊歩道として新たに整備したそうです。
廃止跡ももちろんの事。ホントはかつて走ってた電車とかにも逢いに行きたかったんですけど車輌が置いてある場所があまりにも駅からも
バス停からも離れすぎてて今回は整備された遊歩道を歩いてこようと和歌山駅13:22発の電車で海南駅へ。

13:35。海南駅に到着。
雨が心配だったけどまだ降ってない・・・。でも今日は傘を忘れてきてしまった・・・。傘買わないと・・・。外に出てコンビニを探してみると・・・。
・・・ねぇじゃんっ!・・・。商店街をしばらく歩いたらジャスコを見つけたんでそこで折りたたみ傘を購入。
ここでお昼ご飯を食らって、いよいよ野上電鉄廃線跡を歩くべく捜索開始。ちなみにジャスコは西口で野上電鉄跡は東口になります。

近年に高架駅となって野上電鉄が走ってた頃の面影など全く残ってない海南駅。でも新しくなったのは駅だけなのでちょっと離れれば、
・・・廃線跡があるはず・・・。ちなみに野上電鉄車庫の跡は13年経った今も空き地となってて海南駅のすぐ近くにあります。
駅から少し歩いて行くと海南駅から緩やかなカーブを画くあぜ道を発見。写ってる車の奥に駅へ向かっての緩やかなカーブが続いてるんです。



「・・む〜・・。これっぽいけど・・・。ただのあぜ道にしか見えない・・・。」

近くに畑仕事をしてた老夫婦が居てたので「この年代の人なら知ってるやろなぁ。」と聞いてみると。

「そこの目の前の道がそうですよ。今は健康ロードって名前になってるの。みんな歩いてるんよ。」

と教えてくれました。では、雨が降ってない今のうちに歩けるトコまで歩こうと健康ロードを まっすぐ〜ぅ、ごぉうっ!
看板があったトコから500mほどあぜ道が続いて、そこから約2kmがこの度新たに整備された遊歩道となります。



途中にある、かつては駅のあった「春日前ひろば」と「幡川ひろば」にはこのような野上電鉄の画かれたレリーフがあります。
ちなみにこの遊歩道はとなりに大きな国道が走ってたり、国道と併走するトコもあったりとなんか名鉄の美濃町線を思わせる路線です。
春日前を過ぎ、阪和道をくぐって国道と併走。そして緩やかに勾配を昇って幡川ひろばと続く遊歩道。
歩けば歩くほど・・・。天気が悪くなっていく(滝汗)

ちなみにこの遊歩道は歩行者と自転車専用になってて犬の散歩やらひろばの公園のアスレチックなどで遊べるようになってます。
しかもかなり手広く整備が行き渡ってるのにも驚き。道の途中なんかにも休憩用のベンチまで用意されてるくらいだし。
しかも100mおきに表示があって「これを目安として各々のペースに合わせて歩く距離を決めてください。」とのこと(笑)

幡川ひろばについたあたりから小雨が降り始める。傘買うておいてよかった(汗)小雨が降る中、舗装された部分は歩いてしまおうと
海南駅から約3.5km地点でで折り返す事に。近くのバス停でバスを待とうと時刻表を見ると・・・15分後・・・。
バス停ひとつ分戻ってバスに乗り、海南駅に戻る。駅まで戻っても雨は止む気配ないし(TーT)
今度はちゃんと遊歩道を全部廻りたいなぁ。後で気付いたのだが駅にレンタサイクルがあったのですよ。雨じゃなきゃ借りたんだけどなぁ(TーT)

海南駅に戻ってまた和歌山駅へ。一日乗車券を良い事にまた和歌山電鉄に乗り込んで交通センター前駅へ。
ここの公園にはかつての大阪市市内線を走ってた電車が鎮座してるんですよ。でも雨が降ってたせいで公園内はガラーンとしてましたが・・・。
ちなみに駅名の「交通センター前」って言うのは和歌山県の運転免許試験場前と交通公園の両方の意味を持つそうな。
それと熊本で「交通センター前」だとバスターミナルを指しますが(笑)和歌山発の電車は多いけど・・・それでも電車の乗客は20人ほど・・・。
・・・雨も止まないし・・・。和歌山駅に戻って宿に入庫するべく和歌山市駅へ移動。
和歌山市駅は南海電鉄の駅を間借りしてJRのホームがあります。・・・でも和歌山-和歌山市間でICOCA使えないってどうよ・・・。

その日は和歌山市駅前の宿に入庫して一日が終わっていくのでした。明日は紀州鉄道まで足を伸ばします。続くっ!!


「本日のデカルチャー」

和歌山市駅前にあったハズのアニメイト和歌山が無くなってて大ショックっ!あうえう〜・・・全店制圧がぁ・・・(涙)

野鉄廃線跡に併走して走る大十オレンジバスのバス停の案内には未だに「野上電鉄車庫前」って名前が残ってたりするんだけど、
今ではバス停の名前が変わってるのでバス車内の案内には出ません・・・。おかげで降りるバス停間違えたやん(TーT)

和歌山電鉄の運転士さんの制服には「ICHIGO EC」のロゴがそこかしこについてます。さすが両備グループ。岡電のMOMOといっしょだ(笑)
(岡電も運転士さんの制服は「MOMO」のロゴ入りです。なお、社用車も「MOMO」のロゴ入りです(爆)

和歌山ー和歌山市間(3・3km)の電車はデータイムも30分に一本・・・。19時以降になろうモンなら1時間に1本・・・。
和歌山駅でゴハン食べて戻ろうとしたら電車がねぇでやんの(滝汗)しゃーないから3km歩いて帰ったさ。そしたら電車に勝てた(笑)
・・・今日一日だけで10kmくらい歩いたなぁ・・・。・・・あ、普段の旅行でも4〜5km歩くから似たようなモンか?


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