第19話「〜続・モノレール大騒動〜」
回を分けて紹介第2段。今回は色彩り薔薇様団の紹介。
藤堂志摩子&福沢祐巳(マリア様がみてる):由乃さんの同級生。同じ生徒会に所属。
>分けるの面倒なので一緒に紹介(激まて)
>福沢祐巳。別名、百面相タヌキネンシス。
>マリみての本来のヒロインだが廻りに振り回されっぱなしであまりヒロインらしくない面ばっかり(笑)
>藤堂志摩子。別名、くるくるフランス人形。
>実は寺の娘だったりと特殊な履歴をもつ現ロサ・ギガンティア。由乃さんに追われたり忙しい日々をおくる(こらこら
水野容子(マリア様がみてる):俗称・紅薔薇様。学園OBのせいか通学時間帯はまるでアイドルのように取り巻きができるらしい。
>元ロサ・キネンシス。別名、おせっかい小姑。
>マリみての中での完璧お姉様&完璧超人の象徴でもある。時折、ホンマに高校生かと疑いたくなります(笑)
佐藤聖(マリア様がみてる):俗称・白薔薇様。容子と人気を二分する程、やっぱ取り巻きは多いらしい。
><元ロサ・ギガンティア。別名、無差別級セクハラおやぢ。
>そのセクハラ振りは卒業まで延々、祐巳ちゃんを困惑させたくらいである(笑)でも何気に頼りになる面も兼ねてて
>卒業後はよき相談相手となるが、相談の見返りが未だに祐巳ちゃんセクハラ要求である(笑)
鳥居江利子(マリア様がみてる):俗称・黄薔薇様。よく「あの二人に比べて、私の電車に乗る人が少ない」とぼやくらしい。
>元ロサ・フェティダ。別名、でこっぱちでスッポンの江利子。
>黄薔薇は何故か全体的に人気が薄い・・・なぜぢゃ(TーT)駅長は黄薔薇ファミリーを応援してます(笑)
>しかし・・・アニメで登場するときはやたらとスキャンダル的な話ばっかやったなぁ・・。
蟹名静(マリア様がみてる):俗称・ロサ・カニーナ。名前の通り、物静かなせいか影が薄いらしい・・・。がんばれ蟹名さん(ぉぃ
>原作では鳴り物入りで登場。いろんな意味で印象深かったですね。留学してからは音信不通ですが(ぉぃ
森野苺(おねがい☆ティーチャー):騒がず、動じず、的確に。時折、鋭い事をズバッと言う陰多き指令員(笑)
_______________よく、無線越しに「フフフ・・・。」とか「・・・凄いことするわよ。」など言うらしい。
>イロイロな意味ですごく影を持つ(笑)まほらばの茶ノ畑珠実ちゃんレベルである(爆笑)
>でも本音はすごく任侠にあつい優しい心の持ち主だったり。憎めませんねぇ(笑)
___
楓子「・・・はぁ〜・・・。」
美帆「あら?佐倉さん、どうしたんです?ため息なんてついて。」
楓子「あ、白雪さん。あのね、最近私の出番減って来ちゃったなぁ・・・て思ったの・・・。」
美帆「・・・佐倉さん・・・。」
楓子「なんか最近、アユミちゃんの出番が増えてるし。
___しかも今回、モノレールの運転士さんになっちゃったし。駅で働けて羨ましいなぁって。」
少し伏せ気味になってる楓子ちゃんの横に座る美帆ちゃん。
美帆「いいじゃないですか。まだ台詞があるだけでも。」
楓子「えっ!?」
ちょっと驚く楓子ちゃん。
美帆「だって私も最近は殆ど台詞ありませんから。」
にっこりと微笑む美帆ちゃんの瞳の奥は決して笑ってはいなかった。
さらら「・・・私なんか紹介はされたがまだしゃべったことすらないのだ。」
美帆ちゃんトコに居候の妖精さん4人組のうちの一人、さらら。
ほろろ「これが、初めての台詞ってことなのよ。」
同じく、妖精さんのほろろ。
楓子「でも、いつまでもしょげてるわけにはいかないよね。前向きに行こうよ、ね?みんな?」
美帆「・・・・もしかすると今回の出番これだけかも知れませんよ。」
一斉に”えーっ!!?”っていう大声が駅にこだまします。
今日もこのモノレールのお話です。さて、今回はどんな騒動が起きるのでしょう。
容子「はい。みんな、お待たせ〜。今開けますね。」
モノレールの運転台から顔を出すのは第2班・色彩り薔薇様団の一人。水野容子さん。
乗車側のドアが一斉に開いて多くの女学生たちがモノレール車内へと吸い込まれていきます。
容子「切替、後。前照灯、切。尾灯点灯、入。よし。もう一仕事しますか。」
折り返しの為に反対側の運転台に移動。その間、「ごきげんよう」「ごきげんよう」と声をかけられます。
元々、学園のOBであるため女学生達には大人気のようです。しかもその運転姿を見ようと前の車輌は今日も大混雑です。
祐巳「あ、ごきげんよう。容子様。」
容子「ごきげんよう。祐巳ちゃん。でも私の名前の後ろに”様”はもう要らないのよ?」
祐巳「・・・あ、ごめんなさい。ついクセで・・・。」
ちょっと照れ気味に伏せる祐巳ちゃん。それをふふふと微笑みながら見てる容子さん。
容子「さ、すぐに出発しますから車内で待っててね。それじゃ、ごきげんよう。祐巳ちゃん。」
モノレールの運転席に入って窓越しににっこり微笑んで車内の女学生達に手を振ります。
そうすると車内は黄色い歓声でいっぱいになります。そして、
容子「ご乗車ありがとうございます。車内ではご迷惑となりますので大声を出したりしないようお願いします。」
と車内アナウンスをするが、やはり10代の女の子。焼け石に水。余計に油を注ぐのでした。
少し、「しょうがないわね。」と言う顔をして
容子「ドア良し。信号45。定時出発!」
と軽やかに駅を滑り出していくのでした。そして隣の駅で女学生を降ろしてしばらくすると
苺「こちら。モノレール運輸指令の森野です。水野さん。応答してください・・。」
容子「こちら。水野です。どうしました?森野さん?」
苺「聖さんの運転する6番が故障表示が出たので待機中の2番に乗り換えます。
__よって水野さんの電車の出発調整のために大学前駅入線番が変更になりますので宜しく。」
容子「場内入線番変更、了解しました。」
駅に着くとホームドアが開いたまま閉まらなくなったみたいでホームにはミルフィーユ桜葉ちゃんがずっと立ってます。
ミルフィーユ「あ、容子さん。またホームドアの調子が悪くなったみたいですよ。」
容子「・・・そのようね。」
呆れ顔で応答。そうこうするとホームドアを直すべくモノレール整備班。5121部隊の原素子、森精華、田辺真紀の3人がやってくる。
新システムになれないせいかこういう故障がまだ多いようだ。
容子「じゃ、ミルフィーユちゃん。またいってくるわ。」
ミルフィーユ「はーい。乗車完了で〜すっ。いってらっしゃーいっ。」
このモノレールは片道約8分。折り返しても20分で戻ってくることが出来るのでその時々しか挨拶は交わさないのです。
ちなみに駅数は「時乃夢岬駅」「大学通駅」「高等部校門前駅」「大学前駅」「タウンモール駅」の5駅。全長6.5kmの路線。
江利子「あら?また聖が壊したの?ホームドア?」
聖「いや〜。面目ない・・・って。違うってっ。江利子っ。」
二人の笑い声が喫茶店に響く。
すでにここが乗務員達の待機場所になってしまったようです。
江利子「でも、ここんとこホント多いわね。ホームドアの故障って。」
その子「前に、アユミちゃん言ってましたよ。大雨のときに結構、浸水したっぽいって。はい。お茶でもどうぞ。」
聖「おっ。いつもありがと。その子ちゃん。」
出されたお茶を一気に飲み干して二人は交代の為にまたホームへとあがっていくのでした。
場所が変わってここは高等部校門前駅。今日のこの駅の担当はランちゃんです。
ラン「あら?祐巳さん。今日はお早いお帰りなんですね。」
祐巳「ごきげんよう。ランさん。今日から試験なんです。ですから午前で授業は終わりです。」
ラン「あら。そうなんですか。では試験、頑張ってくださいね。」
にこやかに応える。でも祐巳ちゃんは少し複雑な顔で、
祐巳「えぇもちろん。・・でも、できればあっちを励まして欲しいかなぁ・・。」
祐巳ちゃんが振り向いた先には少し離れて由乃さんの姿。・・・思い切りふてくされてるけど・・・。
ラン「由乃さん。今日から試験だそうですね。明日も頑張ってくださいね。」
由乃「あ、ランさん。ごきげんよう。えぇ、もちろん。・・・令ちゃんも教えてくれればいいのに・・・もぅ。」
祐巳「今日、ずっとあんなふうなんですよ。ではもう行きますね。ランさん、ごきげんよう。」
ラン「はい。では気をつけてお帰り下さい。」
改札窓口内のモニターには常にホームの状態が映し出されてます。
ラン「・・・あら?いつもは3人一緒にいるのに・・・。志摩子さんを見なかったような・・・。」
それから、ランちゃんが志摩子さんの姿を見たのはその1時間後だったそうな。
由乃「絶対に志摩子さんはなにか隠してるっ!」
ここは喫茶店。
目の前に座ってる祐巳ちゃんに向かって人差し指を突き付けて第一声がこれだった。
ちなみになぜ二人がここに居るかは試験勉強するために再び、喫茶店に来てるのである。
モノレール運転士たちの休憩所になってるせいか勉強を教えてもらいやすいからってのが本音らしい。
その子「あらあら、また令ちゃんとケンカでもしたの?由乃ちゃん??」
祐巳「あ、その子さん。い、いえ、今回は違うんですよ。」
両手を振って慌てて否定。
由乃「その子さん。最近、志摩子さんってここに来てませんか?」
その子「志摩子ちゃん?・・・ん〜・・・。3日くらい前に来たくらいだよ?」
いまいち由乃さんがなんで怒ってるのか掴めない その子ちゃん。ずっと「?」って顔で二人を伺う。
その子「でもだいぶ遅かったよ。だって20時過ぎくらいだったもん。」
祐巳「志摩子さん・・・。なんでそんな遅い時間に来たんだろう・・・。」
そうすると喫茶店のドアが開いて、
アユミ「おはよーございまーす。あら?由乃ちゃんに祐巳ちゃん。こんにちわ。」
アユミちゃんが駅務の交代のために出勤してきました。しかし、すぐに由乃ちゃんに がしっと掴まれて、
由乃「アユミさんっ。最近、志摩子さん見ませんでした?」
アユミ「藤堂志摩子ちゃんですか?学校へは、このモノレールで通学されてるのですから毎日見てますよ?」
それを聞くなりがっくり肩を落として、
由乃「・・・そうでした・・・。」
・・・と一言。それとは反対に突然に迫られてキョトンと立ちつくすアユミちゃん。
静「あらあら。なにをみんなで話してるの?」
休憩のために降りてきた蟹名静さん。それを見て
由乃「そぉいえば、静さんは志摩子さんと仲良かったわね。・・よし。聞いてみよう。」
すっと正面に立って
由乃「静さん。最近、志摩子さん見ませんでした?」
志摩子「・・・私がどうかしましたか?」
静さんの後ろに立っていた人影がひょっこり出てくる。
由乃「にぎゃっ!!」
祐巳「し、志摩子さんっ!ど、ど、ど、ど、ど・・・。」
由乃ちゃんも驚いたらしいがこっちも驚いてたらしい。一息入れて志摩子さんが話す。
志摩子「ちょうど乗った電車を運転してたのが静さんだったんです。で今から休憩だからって、いっしょにここへ来たんです。
____で、由乃さん。私になにか御用でも?」
由乃「い、いえ。御用って大袈裟なほどでもないんだけど・・・。今、帰りなの?志摩子さん?」
志摩子「えぇ。ちょっと寄り道をしてたもので。では私も一旦、着替えに帰ってからまた来ますね。お二人さん。」
志摩子さんはそう言い残すとぱたぱたと小走りで喫茶店を去っていきました。
祐巳「・・・・寄り道してたって・・・。でも学校の廻りで寄り道できるトコってあるかな?」
由乃「あ〜ぁ、どうせ大学通駅くらいで買い物でもしてたんでしょ?一言声掛けてくれればいいのに。もぅ。」
まだ納得いかないせいかまだ不機嫌の残る由乃ちゃん。で、我に返ったかのように。
祐巳「あっ。でもそろそろ勉強始めないと。由乃さんっ。」
由乃「え?・・あ、それもそうね。始めましょう。」
二人で机に向かって勉強を始める。そして廻りに居たお客の会話もここなら聞こえます。
でも二人にこんな会話が聞こえたかどうかは定かではないが、
「あの学校の廻りの山のふもとに小熊がウロウロ歩いてた。」
って噂が細々と流れ始めていたのでした。
試験が終わって2週間余り。今日は早朝にモノレール運転士、指令員、整備班、全員が集まってミーティングが行われていました。
セツナ「おはようございます。今日はみなさんに大事なお話があったので集まって頂きました。」
静「最近、噂になってる小熊の話でしょうか?」
セツナ「そうです。静さん。どうやら噂ではなく、本当にいるらしいのです。」
皆がどよめく。
セツナ「でも私が調べたところでは割と人馴れをしているらしくてあまり危害を加えるような小熊ではないらしいのです。
____しかし相手が相手なので見つかってしまうと・・・。」
ミカ「・・・保健所に連れて行かれるってこと?・・・。」
ラン「・・・いえ。小さくとも熊ですからきっと・・・。」
小石「・・・そんな・・・可哀相・・・。」
皆の表情が同じように曇る。
セツナ「ですから私たちの管轄してる駅周辺に現れる可能性が高いのでみなさん注意してください。」
アユミ「セツナさん。いっそ我々が保護してしまうってのはどうでしょう?」
でもセツナさんは寂しげな表情を覆さず、
セツナ「・・・アユミさん。残念ですが、それはできません。保護したところで行く先は決まってしまってます・・・。」
苺「では、発見したらすぐに指令に連絡してください。その後の話は見つけてからってことで。ですね?」
セツナ「えぇ、ではみなさん。よろしくお願いします。では一日頑張ってください。」
ぞろぞろと会議室から出てくる一同。
ミルフィーユ「熊さん・・・。ホントに現れるんでしょうか・・?」
ランファ「・・・判らない・・。でも私たちに出来ることは熊を見つけるしかないのよね。」
そしてそれから数日後の夜。
また高等部校門前駅のホームドアが開いたまま閉まらなくなり壊れたそうな。
ラン「・・・通学時間帯が終わったのでまだお客さんが少ない時間帯だったのがまだ幸いでしたね。」
本日の駅務担当、小石ちゃんと応援に来てるランちゃんとアユミちゃん。そして運転担当は色彩り薔薇様団。
アユミ「整備班の皆さんは?」
小石「この後の聖さんの電車で来るそうです。」
ラン「(・・・なんか一人でしゃべってるように聞こえますね・・・。)」
ちなみにこの高等部校門前駅は多くの女学生が乗り降りする考慮の元、この駅だけ対抗式ホームを採用。
今この3人がいるのは対抗式ホームの時乃夢岬駅側。反対側に静さんの運転する電車が到着。
ラン「あれ?さっきの電車、運転してたのミカさんじゃなかったですか?」
アユミ「・・?。そうでしたか?よく見えませんでしたけど・・。」
そうこうすると聖さんの運転する電車が3人のいるホームに到着。
聖「ごくろーさん。3人とも。でも今日の運転にミカちゃんって入ってたっけ?」
アユミ「ミカちゃんが運転してた!?」
聖「うん。静とすれ違うはずだなぁ〜って思って。見たらミカちゃんだったからさ。まぁ、いいか。じゃ、またね。」
そういって電車は出発。整備班も降りてきてホームドアの修理が始まりました。そしてホームにはアユミちゃん。
改札口にはランちゃんと小石ちゃんという具合でしばらくすると、表が急に騒がしくなったのです。
志摩子「待ってください!!この子は何にもしませんから!!」
警官「いや。小さくとも危険な熊だ。早くこっちへ渡しなさい!」
ラン&アユミ「・・・何事ですか!?」
その声を聞いて飛び出してきた二人。
志摩子「あ、ランさん、アユミさん!」
ラン「あっ!あの噂の小熊!!」
アユミ「えぇ、ランちゃん!早くセツナさんに連絡を。」
ラン「は、はいっ。判りました!」
急いで駅へ駆け込む。そしてその後を追うように志摩子さんも改札口を抜ける。
警官「あっ!待て!」
追いかけようとする警官に向かって、
アユミ「おまちなさーい!!」
と一喝。さすがに警官二人も動きが止まる。
アユミ「ここからはあなた方の管轄ではないはずです。もし少しでも駅構内に入ったら不正乗車とみなしますよっ。」
警官「な、なにをっ。公務執行妨害するつもりか。」
アユミ「いえ。ここからは駅施設の中。よってあなた方はお客様と判断されなければ不法侵入と同じなので。ランちゃんっ。」
「はいっ」と言う声と共にシャッターが降りる。ちなみにこの時には全ての駅が閉鎖されたのだった。
表ではシャッターを叩き「開けろー」と声が聞こえるが、もう閉めてしまえばこっちのもの。
小石「アユミちゃん!ランちゃん!大変!!小熊がっ。小熊がモノレール高架軌道の上を走って逃げちゃったのっ!!」
アユミ&ラン「えぇー!!」
どうやら高等部校門前から大学通駅の間のどこかで降りられずに居るらしい。
そして今から聖さんの運転するモノレールを逆走させてこの軌道の上を走行。
そして後で来るミカちゃんの電車で挟むようにして捕獲を試みる事に。
苺「ではミントさん。あとはお願いします。」
そしてモノレール車輌は2編成とも現場で向かい合うように到着。そしてその間の軌道上には小熊の姿が。
静「とりあえず軌道下がまだ平原の中で良かった。」
聖「でも安心は出来ないよ。だって15mはあるよココは。」
向こうの聖さんの電車に乗るのは容子さんと静さん。こっちの電車に乗るのはアユミちゃんとランちゃん。そして志摩子さん。
モノレール車輌は大体10mくらい離れて停車中。
アユミ「ミカちゃん。もっと寄れない?」
ミカ「う〜ん。出来なくはないけど・・・。小熊がびっくりして落ちちゃうかも・・。」
アユミ「もうっ!ミカちゃんっ。一刻の猶予も無いんですよ!私に代わって下さい!!」
普段の冷静なアユミちゃんは何処へやら。それでも微速でモノレール同士の距離を縮めていきます。
でもこれ以上近づくと小熊がおびえて軌道から落ちかねません。
アユミ「これ以上は近づけない・・・。この先は誰かが軌道の上を歩いて助けにいくしかないですわ。」
志摩子「なら、私が行きますっ。あの子なら私におびえる事はありませんし。」
今までの経緯をまとめるとこう。
志摩子さんは2ヶ月前にこの小熊をこの山で発見。でも衰弱が酷く、工事の終わった森の中のモノレール軌道下で面倒を見てたけど
このように大騒ぎになってしまったので3週間前から静さんに相談をしてて、ちょうど熊の世話をしているときに
警察に見つかってしまった。っというわけ。
そしてしばらく口を閉じていたアユミちゃんが何かをひらめいて、
アユミ「そうですわ。降下用の非常ロープを命綱代わりにして助けに行きましょう。ランちゃん!ロープを出してきて。」
ラン「あ、はいっ。アユミさん。」
つまりは車輌同士をロープで繋いでそれで志摩子さんが熊を助けに行く。という救出作戦。
アユミちゃんが無線を取って反対側の聖さんに連絡。
アユミ「今からそっちに非常降下ロープを投げます。車内の適当な支柱に縛ってください。」
聖「了解。容子っ。非常貫通扉を開けて。」
お互いの車輌の貫通扉を開けます。
ミカ「どっこいっしょ〜っと。非常貫通扉を開けたよ。アユミっ。」
アユミ「ではミカちゃんっ。向こうにロープを投げてください。」
ロープを手渡すアユミちゃん。それにウィンクして応える。
ミカ「まっかせておいて。めいどの世界のソフトボールエースピッチャーのミカちゃんに。」
アユミ「えぇ、頼みましたわ。聖さん、そっちに投げますので結んだら知らせてください。車輌を後退させてロープを張りますので。」
ミカ「いっくよぉ〜。そぉれっ!!」
投げられたロープは小熊の上を大きく弧を描き、反対側の車輌の容子さんに見事キャッチされる。
容子「よしっ。こっちはオッケー。聖っ。」
聖「アユミちゃんっ。こっちは結んだよ。あとは志摩子を。」
アユミ「レバース、後!車輌後退。」
ワンハンドルマスコンをP1ノッチに入れてモノレールを微速後退。
ミカ「アユミっ。これで大丈夫。止めて!」
アユミちゃんの後ろでは命綱をつけた志摩子さんが準備。
ラン「志摩子さんっ。では気をつけて。」
ゆっくり軌道の上に志摩子さんが降り立ちます。
静「・・志摩子っ!慎重にっ。」
そして軌道の上をゆっくり歩き出す志摩子さん。小熊へと近づいてます。小熊へと寄り、ゆっくりと手を差し伸べて、
志摩子「さ、怖くないから。こっちへいらっしゃい。」
その光景を固唾をのんで見守る5人。
ラン「・・大丈夫でしょうか・・。」
苺「・・大丈夫よ。慈悲深いあの娘だもの・・。」
ミカちゃんの後ろに居たその声に一同が驚く。
ミカ「い、い、い、苺ちゃんっ!??ど、ど、ど、・・・い、い、い、いつからここにっ!?。」
苺「ずっと居たわ。とにかく熊の救出を優先です。静さん。志摩子さんを助けにいってあげて。」
静「わかりました。私も軌道へ降ります。」
向こうの車輌から静さんが軌道へと降りていきます。そして熊のそばまでやってきた志摩子さん。
志摩子「さ、こっちへ。いらっしゃい。あかりっ。」
小熊へと手を延ばしたその瞬間。
「あっ!」
なんと志摩子さんに抱えられようしたとその瞬間。小熊のあかりは高架軌道の下へと落ちていってしまったのです。
アユミ「た、大変!ミカちゃん、ランちゃんっ!すぐに下に降りる準備をっ!」
慌てて運転席を離れるアユミちゃん。でもそれを引き止めて、
苺「待って。その前に志摩子さんを。早く車輌に乗せて。」
ラン「判りました。レバース、前。前進っ。」
ランちゃんがすばやく運転席に座って志摩子さんの手前で電車を停車。後ろでは降下準備が整ってます。
ラン「志摩子さんを乗せました。このまま前の車輌と連結します。」
聖「こっちが動くからランちゃんはそのままっ。ね?」
容子「行くわよ。聖っ。連結まで7m。」
聖「りょーかいっ。連結開始!」
電車がゆっくり前進。そして車輌同士がガチャンっと音と共に連結。
そして7人とも軌道下へ降りて、急いで小熊の元へ。落下して息絶えてしまった小熊を抱きかかえて志摩子さんがその場でうずくまる。
志摩子「・・・ご、ごめんなさい・・・。私が・・・しっかりしなかったばっかりに・・・あなたを死なせてしまって・・・。」
小熊の亡き骸を抱き、その場で泣き続ける志摩子さん。
ミカ「・・・志摩子ちゃん・・・。」
ラン「・・・私達も志摩子さんのようなやさしいご主人様が居たから守護天使になれたんですね・・・。」
アユミ「・・・えぇ、でも皆が転生できるとは限りませんわ・・・。」
そうこう話をしていると携帯無線機のハンドマイクが目の前に差し出される。
苺「アユミさん。セツナさんから連絡です。」
アユミ「アユミです。セツナさん。・・・え?・・・。・・・判りましたわ。では。」
アユミちゃんがミカちゃんとランちゃんにこっそり耳打ち。それを聞いて少し安堵の表情をする3人。
そして数日後。高等部校門前駅の片隅にみんなで作った「クマのあかり」の小さな墓が。そして今日もモノレールは
定刻通り動いてます。初めての事故が動物進入による運転見合わせだったというのはあまり知られないままに。
で、その後。志摩子さんはというと。
志摩子「ごきげんよう。ランさん。」
ラン「あ、おはようございます。志摩子さん。」
あかり「おはようございます。ランさん。」
ラン「はい。おはようございます。あかりさん。・・・また付いてきっちゃったんですか?」
ちょっと苦笑のランちゃん。
あかり「ええ、だって志摩子さんは私のご主人様ですから。ご主人様をお守りするのが守護天使の役目。ですよね?」
ラン「・・・えぇ。・・・確かにそうですね。」
セツナ「でも、あかりさん。あなたは守護天使である前に”神岸あかり”さんという個人でもあるのですよ。それをお忘れなく。」
あかり「はいっ。心得てます。メガミ様・・・。いえ、セツナさん。」
セツナ「ではランさん。出発です。」
乗車完了を確認して手を挙げて合図。
あかり「志摩子さーん、ランさーん、いってらっしゃーい。」
ラン「はい。ドア良し。信号30。分岐通過、制限25。」
手を振って滑り出していく電車を見送ります。っと息を切らせて三つ編みを揺らして階段を上がってくる一人の女の子。
由乃「あー!やっぱ遅れたー!!一本あとの電車だと遅刻しちゃうよ〜!」
何処の駅にでも必ず見られる光景がこの駅でも拡がってます。今日も休まず安全にモノレールは運行中です。
ミカ「・・・それにしても・・・苺ちゃん、あの時いつの間にモノレールに乗ってたんだろう?」
アユミ「さぁ・・・まったく気付きませんでしたわ・・・。」
苺「ふふふ・・。あまり気にしないで。大した事ではないわ・・・。」
アユミ「充分に大した事です!!」
苺「うふふふ・・・。なら今度はもっと凄いことするわ・・・。」
ちゃんちゃん。
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