第17話「〜花見でGo!〜」

登場キャラ紹介:(各話ごとに新しく登場するキャラを追加していきます。)

島津由乃(マリア様がみてる):カトリック系女子高に通う女子高生。令の後輩である。
>黄薔薇のつぼみ 島津由乃は改造人間である(マテゃ)今や元・病弱娘だったというのが嘘なくらいに。
>外観の女の子らしさとは打って変って原作では猪突猛進大暴走をしては祐巳ちゃんらを翻弄する
>でも由乃ちゃんの暴走はあのドリル娘 瞳子とは違い、カタギに迷惑を掛けない所に彼女らしい仁義を感じます(w

支倉令(マリア様がみてる):同じくカトリック系女子高に通う女子高生。由乃とは従姉妹である。
>原作では由乃ちゃん無ではまったくの脱殻になってしまう黄薔薇様。こっちはボーイッシュなスタイルなのだけど
>趣味はお菓子作りや手芸などといった”まさに女の子”である。由乃ちゃんの暴走を歯止める役目でもある。
>ちなみに二人は従姉妹で家は隣同士とまさに姉妹なのである。



それは普段の通学時間で駅がイチバン混み合う時に起きたのです。二人の女の子の口論が。
ちょうど私はそれを聞いたときに改札に立っていたのです。

アユミ「おはよーございまーす」

美帆「あら?アユミさん。おはようございます。今日はお一人ですか?」

アユミ「あ、美帆ちゃん。おはようございます。
___えぇ、ここにも自動改札機が装備されたから一人でも大丈夫だろうって駅長が。」

美帆「えぇ。便利になったのはいいですが・・・でもまだちょっと慣れませんね。」

見てみると確かにまだ上手くセンサーに定期券を当てられないようだ。

アユミ「それは体と手が横に並んだときにセンサーに触れると良いんですよ。
___あ、そろそろ列車が来ますよ。では気をつけていってらっしゃい。」

美帆「はい。いってきます。」

笑顔でホームへ歩いていく美帆ちゃん。私も笑顔で見送ります。
そして駅前ではまた駅を利用する人をいっぱいに詰めたバスが到着。そのとき。真っ先に二人の女学生が降りてきて
そのうちの一人が猛ダッシュで改札に掛けてきたのだ。そして後ろに居たもう一人もそれを追いかけて走ってくる。

アユミ「危ないので駅構内は走らないでくださーーい!!」

大声で注意を促してはみてもそんな離れてるわけでないので、先頭を走ってた女生徒が息を切らせながら、

由乃「ご、ごめんなさい。急いでたもので・・・。」

と残して改札をくぐったと思えば。

令「待ってってば。由乃ぉ。」

と脇目を振らずに追いかけてくる。ちなみにすでにホームには列車が到着。
そして後から来た女生徒が定期券を出すのすら忘れるくらい慌ててたらしく「ピンポーン」と自動改札機に引っ掛り、
目の前に停車中の列車のドアは先に改札を抜けた娘を乗せ、無情にも閉まって行くのでした。閉まる扉の向こうで
「令ちゃんのばかぁ!あれだけ約束してたのに!!だいっきらい!!」とホームに投げながら。
ゆっくりホームを滑り出して行ったのでした。

暫くその光景にボーゼンとしたけどすぐに我に戻って、

アユミ「お客さんっ。いくら急いでるからって駅構内を走ってはダメですよっ。駆け込み乗車はいけませんっ。」

しかし横の彼女を見ると改札機の前にがっくり方を落とし、”それどころではありまへん”オーラを放ってたのだった。
さすがにこれでは放っても置けないので、丁度やってきた その子ちゃんに助けを求めた。

その子「・・・アユミちゃんどうかしたの?あら?この娘は・・・。」

アユミ「えぇ、ちょっと訳ありなようで・・・。
___すみませんがここでは他のお客様のお邪魔になるので喫茶店に連れてって頂けないでしょうか。」

その子「えぇ、それはいいけど。・・・ちょっと支倉さん?大丈夫??」

アユミ「あら?お知り合いですか?」

その子「うん。いつも由乃ちゃんと来てくれるの。最近よくお話しするのよ。」

支倉さんを支えて喫茶店へ歩き始める その子ちゃん。

アユミ「ではすぐに駅長と入れ替わってそちらに行きますわ。」

喫茶店の中に入る3人。とりあえず手近な席に座って話をする。隣ではまほろさんがてんてこ舞い舞してるけど。
席に座るなりその子ちゃんは支倉令ちゃんの顔を覗いて

その子「・・・さて、令ちゃん。また由乃ちゃんとケンカ?」

令「・・・えぇ、毎度毎度こんな事ばっかりですけど・・・」

話を聞くと前から花見に行く約束を島津由乃ちゃんとしていたのだけども、その約束してた日曜日に部活の試合が
重なって「花見を延期しない?」と言ったらあのとおり大激怒してしまった・・・。ということらしい。

アユミ「・・・う〜ん・・・。部活も大事と言えば大事ですが・・・」

その子「お花見も機会を逃すと・・・・だねぇ・・・。」

3人で「はぁ」と大きなため息をつく。

可憐「・・・あら?どうしたんです?その子さん?」

横から顔を出すのは久々に登場。12姉妹。今日のめんつは可憐と春歌の二人です。

その子「あ、可憐ちゃんに春歌ちゃんゴメンネ。あ、アユミちゃん、令ちゃんお願い。」

ぱたぱたと席を離れるその子ちゃん、残された二人は黙々と会話を続ける。

令「それで・・・由乃は・・・『お花見列車』に乗るのをすごく楽しみにしててそれで・・・。」

アユミ「お花見列車って来週にここにも走る列車ですわね。」

令「あ、そろそろ行かないとホントに遅刻しちゃう。お話聞いてくれてありがとうございました」

時計をチラッと見て慌ててぺこっと頭を下げて出て行く。

アユミ「気をつけて〜。駆け込み乗車しちゃダメですよ〜。」

・・・結局、由乃ちゃんと令ちゃんの話は平行線のまま日曜日なる。令ちゃんは部活の試合に出て、
一方の由乃ちゃんは喫茶店でずっとむすっとしていたらしい。

その子「・・・ねぇ、由乃ちゃん?気持ちは判るけど・・・令ちゃんも悪気があったわけじゃないんだから・・・ね?」

由乃「せっかく約束してたのに・・・。令ちゃんが試合に勝っちゃうからいけないんです!」

ずずず〜〜っとその子ちゃんがくれたアイスティーを飲み干す。
それを苦笑しながら横で見てる その子ちゃんもお手上げ状態だった。

その子「・・・困ったねぇ・・・」

アユミ「・・・困りましたわね・・・」

楓子「・・・どうしようか・・・」

駅長「・・・仕事の途中なんだけどなぁ・・・」

3人「駅長も少しはなんか考えてください!!」

3人一斉に一喝。さすがにこの3人には頭が上がらないらしい。
由乃ちゃんより少し離れた場所で4人がテーブル囲って作戦会議のようです。

まほろ「皆さん!良い方法がありますよ。」

4人が座るテーブルに駆けてくる。

まほろ「駅長さん。あの駅の向こうにある木は枝垂桜ですよね。」

駅長「うん。でもかなりの老木でなかなか花をキレイに咲かしてくれないんだよ・・・。」

楓子「あ、そうだ。あの娘達ならお花を咲かせることはできるよ!!」

なにかを思い立ったかのようにみんなに言う。

アユミ「あ!・・・そういう事ですわね。楓子ちゃん。」

お互い目を合わせて、大きくうんと頷く。

アユミ「では美帆さんに連絡します。あ、駅長。ちょっと宜しいですか?実はですねぇ・・・」

ゴニョゴニョと皆に耳打ち。それを聞いて駅長達もうんうんと頷く。

アユミ「・・・では皆さん!『仲直り大作戦』の始まりですわっ!」

「おーっ」と小さく皆で手を上げる。


決行当日。

駅長「場内。1号入換。進行!」

駅長が例の『お花見列車』で使う車輌を駅構内に回送してくる。
これは明日、この駅始発で運転されるのでこの駅で一晩眠らせるために回送された車輌なのです。
時間はすでに24時間近。まもなく最終列車が駅にやってくるころです。

駅長「アユミちゃん、最終電車出たらホームに入れるね。」

アユミ「はい。わかりましたわ。その子ちゃんもお二人を迎えに向かいましたし。」

楓子「こっちも準備万端。いつでもおっけーだよ。駅長さん。」

無線で連絡を取り合って細かく指示。

アユミ「鈴凛ちゃん。美帆ちゃん。そっちのほうはどうですか?」

くるる「こっちも準備おっけーぃ だよ!」

楓子「駅長さん。最終電車出てったからホームに列車を回送してください。」

「あいよー」と駅長の声が無線機からしたと同時に改札口には令ちゃん、由乃ちゃん、その子ちゃんの姿が。

由乃「その子さ〜〜ん・・・。ホントにこんな夜中にお花見なんかできるんですか。ふぁぁ・・・。」

目をこすりながら半寝ぼけ気味にその子ちゃんを見る。

その子「うん。大丈夫だよ。」

令「でももう殆ど散っててあんまり見れないんじゃ・・・。」

その子「大丈夫。大丈夫。あ、楓子ちゃんアユミちゃん。連れてきたよ。」

改札口に立ってた二人に声を掛ける。二人も3人の姿を見て手を振ってくる。

アユミ「さ、みなさん。お入りください。」

由乃「えっ!?もう終電終わっちゃったんじゃ・・・。」

駅長「あ、来た来た。さ、早く列車に乗ってください。すぐに発車するよ。」

由乃「え、駅長さん!?えっ?えっ?どうなってるの??」

令「ほら、由乃。早く乗ろ。」

ちょっと混乱気味の由乃ちゃんの肩を叩いて列車に乗せる。そしてアナウンスが流れる。

アユミ「ご乗車下さいましてありがとうございますわ。この列車は『お花見列車』でございますわ。
___短い時間ですが皆様、想い想いにお楽しみ下さいませ〜。」

アナウンスが終わりしばし沈黙。

由乃「・・・ねぇ、令ちゃん・・・。どうなってるの?」

令「さぁ、私も知らない。でもいいじゃない。お花見できるなら、ね?由乃」

由乃「だーかーらー!もう真っ暗じゃない。それに散っちゃって見れないってば!!それでなくても眠いのにぃ〜!」

ぷんすかと憤る。そうこうしてると列車が動き出す。

令「あ、動いたっ!」

しばらく動いたかと思うとすぐに止まって今度は逆に動き始める。

駅長「進路良し。停車。停止位置良し!」

由乃「・・・また止まった・・・。きゃっ!!」

突然、車内が真っ暗に。そして次の瞬間。外から頭上へ明るい光の光線。
窓越しに外を見上げるとそれは光の中から空いっぱいの満開の枝垂桜の花吹雪が舞っていたのだ。
外を見ると美帆ちゃんと鈴凛ちゃん。そして妖精さん4人が由乃ちゃんらに手を振ってる。

由乃「・・・これって・・・。」

令「なにって・・・。由乃が乗りたがってた花見列車じゃないの?」

アユミ「えぇ、列車が走りながらの花見ではありませんけどね。ふふふ。」

由乃「アユミさん。わざわざ私のために・・・?」

その子「アユミちゃんだけじゃないけどね。」

楓子「どうせだったらみんなでお花見できたらってそう思ったの。」

令ちゃんの後ろに3人がいつの間にやら立ってて、

アユミ「駅長さん。短い距離でも構いませんので列車をちょっと動かしてくれませんか?」

無線で駅長に連絡すると同時に列車がゆっくり動き出す。そしてゆっくり構内を走ってホームに列車が帰ってきた。

楓子「あ、美帆ちゃん達だ。お疲れ様。ホントありがと♪」

美帆「いえいえ、だって佐倉さんのお願いですから。」

ちりり「こうやって、お役に立てられれば嬉しいです。」

まほろ「あ、お帰りなさい。さ、お夜食できてますよ。皆さん冷めないうちにどうぞ。」

令「・・だって。由乃も行こ。」

由乃「うん。・・・あの、令ちゃん?」

令「ん?なに?由乃?」

由乃「・・・ごめん・・・。ほら令ちゃん。早くいこ。」

今日も駅には皆の明るい笑い声が響きます。でも一部は違うようです。

鈴凛&春歌「私達、一言も喋れてなーーーーーいっ!!!」

ちゃんちゃん。

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