第15話「〜すれ違う気持ち〜」

登場キャラ紹介:(各話ごとに新しく登場するキャラを追加していきます。)

>今回は居ません。



アユミ「いらっしゃいませ〜」

楓子「あ、いらっしゃいませ〜。こちらの席へどうぞ〜。」

喫茶店に珍しくこの2人の声が響きます。実は今、まほろさんは休暇中なので時間のある時はこの2人で
その子ちゃんのお手伝いをしているのです。

駅長「なんか2人とも呼吸ピッタリだねぇ。」

片隅でその子ちゃんと話す駅長。

その子「えぇ。・・・でもどっちかって言うと・・・両極端かな?」

少し苦笑いだ。それもそのはず。よく見てると楓子ちゃんが注文の品を運んでアユミちゃんがレジと注文取りを
しているのである。要は2人でまほろさん1人分の仕事をやっとのことこなしているそうな。

駅長「で、まほろさんはいつ戻ってくるの?」

その子「・・・えっとぉ・・・13日の夜か14日の朝ですね。」

壁のカレンダーを見てそう答える。
そうしているとその子ちゃんの元にアユミちゃんがやってくる。

アユミ「その子さん。では私、そろそろ仕事に戻りますね。」

その子「うん。わざわざゴメンね?手伝わせちゃって・・・」

アユミ「いえいえ。お気になさらずに。ご主人様をお守りするのが守護天使の役目ですから。」

にこにことしながら喫茶店を出て行くアユミちゃん。その後姿を見ながら その子ちゃんがぽつりと。

その子「ねぇ、駅長。守護天使って休み無くご主人様の役に立ち続けないといけないのかな?」

駅長「ん?なんか言ったかい?」

その子「ううん。なんでもない。ちょっと気になっただけだから。」

駅長「?・・・良く判んないなぁ。」

駅長もどっか抜けている部分があるようだ。
そして次の日。とんでもない事件にアユミちゃんと楓子ちゃんが巻き込まれてしまうのです。
いつものように楓子ちゃん達を学校へ見送ったあとの事です。

アユミ「さぁ、ラッシュ時間も終わりましたし。今日は駅長も定例会議で夕方まで帰ってきませんし、
____・・・私の乗務までも少し時間がありますし。駅長室でちょっと休憩いたしましょうか。」

アユミちゃんが駅長室のドアを開けて中に入ると目に入ったのは机の上にある小さなお弁当箱がひとつ。

アユミ「あら?このお弁当の包み見たこと・・・。・・・そうだ、楓子ちゃんのですわ。あらあらタイヘン、届けないと。」

ふと時計を見ると9時を廻った頃。

アユミ「あぁ〜。もう学校が始まってますわ。・・・ならお昼に連絡を入れて学校に届けてあげましょう。」

実は前にも楓子ちゃんは何故か駅にお弁当を忘れ、アユミちゃんに届けてもらったことがあるのです。
なので楓子ちゃんのお弁当の包みはアユミちゃんも知ってるのです。そしてお弁当を持って駅長らに声を掛けて乗務に向かいました。

そして数分後。会議に向かう駅長が駅長室にその子ちゃんと共にやってきます。

駅長「・・・あれ?・・・」

その子「ん?・・・どうかしたんですか?駅長?」

駅長「・・・いや。今日、楓子ちゃんがお弁当置いといてくれるって言ってたんだけど・・・。」

その子「お弁当?・・・あとで楓子ちゃんに聞いてみますよ。でも急がないと会議に遅れちゃいますよ駅長。」

駅長「あ、ホントだ。じゃぁ行って来ます。」

駅長も早足で列車に乗り込みます。それをその子ちゃんが見送ります。そしてふと・・・

その子「・・・あ、今は楓子ちゃん学校だ。・・・お昼に連絡してみようかな。」

そして学校では楓子ちゃんが・・・、

楓子「う〜ん、本当は駅長に渡すはずのお弁当持って来ちゃった・・・。ま、入ってるの同じだから大丈夫か。」

・・・と授業も上の空で物思いにふけっているようです。


そしてお昼を迎え、楓子ちゃんの携帯に連絡が入ります。

楓子「もしもし。あ、アユミちゃん?どぉしたの?学校まで電話なんて?」

やっぱ学校まで電話してくるのはよっぽどだろうと思うのですねぇ。

アユミ「あの楓子ちゃん、今朝 駅長室にお弁当を忘れて行きませんでした?丁度今、大門に来てるのでお渡ししようと思って・・・。」

楓子「え?お弁当ならもう食べたよ?・・・・ってそれってもしかして駅長室に置いてあったの??
____・・・それって駅長にあげるお弁当だったんだけど・・・」

アユミ「えっ!!・・・・。・・・ご・・ごめんなさい楓子ちゃん・・・。」

その言葉を聞くなり声が出なくなるアユミちゃん。さすがにショックを隠し切れません。

楓子「ううん。私だってお弁当の包みを間違えちゃったんだし・・・気にしないでアユミちゃん。
___あ、そのお弁当はアユミちゃんが食べて。駅長さんにはまた明日持ってくから。ね?」

電話越し。アユミちゃんをなぐさめて電話を切ります。でも元々、根が真面目なアユミちゃんには今回のミスは
あまりにも堪えてしまったようです。なにせ彼女はご主人様のお役に立つべきはずの守護天使なのですから。

そして今日一日はその事を引きずったまま2人は顔を合わせても交わす言葉少なくただただ時間ばかりが過ぎていくのでした。

アユミ「守護天使は何があってもご主人様のお役に立つことが最優先。
____・・・はぁ、これでは楓子ちゃんの足を引っ張ってるだけですわ・・・。」

鏡に映る落ち込む自分を見つめながら、深くため息をつく。丁度同じ頃、

楓子「・・・アユミちゃんは悪くないのに・・・でもあんなに落ち込まれちゃったら、こっちもつらくなっちゃう・・・。」

生真面目過ぎるアユミちゃんに今はどう接したら良いのか判らなくてこっちも悩んでしまっているようです。
いったどうなってしまうのでしょう?続編に続く。


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