第14話「〜落し物と忘れ物〜」
登場キャラ紹介:(各話ごとに新しく登場するキャラを追加していきます。)
サルのモモ(天使のしっぽChu!):近所で暮らす10歳の少女。本を読むのが好きらしい。
>アユミと同じく守護天使のモモ。モモの前世はサル、階級は6級守護天使。ルルとナナと仲良しで
>いつも3人で遊ぶため「ちびっこトリオ」と種別されています(笑)とてもシャイな娘で、人とあまり上手く話せません。
>なので他の二人が代わりにペラペラ喋るのです(ぉぃ
先回のお話からこの駅で仕事を始めることになったアユミちゃん。
少しでも駅長のお役に立てればと乗務員業務もやり始める始末。
アユミ「出発点灯!」
その子「アユミちゃん。乗降完了です。」
高々と手を挙げて合図する。それを確認してドアを閉める。
アユミ「扉よしっ!定時発車。後行よし。」
その子「いってらっしゃ〜い、気をつけてね〜。尾灯よし。ホームよし。」
手を振って過ぎる列車を見送る。アユミちゃんは今、車掌として働いているのです。
ホームでの見送りを終えて喫茶店に戻っていくその子ちゃん。改札には駅長が居るのでそこで立ち止まる。
その子「駅長。ご苦労様です。アユミちゃんも頑張ってますね。」
駅長「うん。いきなり”車掌がやりたい”なんて言い出したときには驚いたけどね。
___まぁ、初めての女性車掌ってことで上もスンナリ受け入れてくれたのはよかったよ。」
根が真面目のおかげかきっちり仕事もこなしているので、なかなか好感を持たれているようです。
とある日。
駅長「・・・それじゃ、出発!」
アユミ「はいっ。戸締め。・・・・扉よし!では駅長行って来ます。」
駅長「はい。いってらっしゃい。・・・次にホームにやってきます列車は・・・」
出発した列車がホームから見えなくなった時、その子ちゃんが大声で駅長を呼びながら駆けてきます。
その子「えきちょー!さっきの列車、もう出てっちゃいましたー!?」
息を切らせてやってくる。手には小さな包みを持っていてそれを駅長に差出しつつ、
駅長「どうしたの?そんなに慌てて?」
その子「喫茶店にいた女の子が忘れていったんです。・・それでさっきの列車に乗ったんじゃないかと思って・・。」
駅長「忘れ物ってわけか・・。どんな娘だったの?」
その子「うん。年は10歳くらいで髪の長い娘でした。」
駅長「一応、忘れ物として駅で預かる?それとも喫茶店で預かるかい?」
ふるふると首を振り、
その子「忘れてった娘が来るかもしれないので私が預かってます。あ、掲示だけお願いできます?」
「いいよ。了解。」そういって駅長は落し物掲示板へその包みのことを書く。
数日後・・・。
駅事務室にその子ちゃんが飛び込んでくる。
その子「駅長〜。前に忘れ物をした女の子。取りにきましたよ。」
駅長「おぉ、それはよかったね。」
その子「で、その娘、駅長にもお礼がしたいって。喫茶店で待たせてるからすぐに来てくださいねっ。」
駅長「・・・はいはい。」
その子ちゃんの言うまま喫茶店に向かう。そこには女の子が一人立っていました。
アユミ「あ、駅長。この娘ですよ。モモちゃんとおっしゃるそうです。」
モモ「・・は・・始めまして・・。モモって言います・・。・・・あ、ありがとうございました・・・。」
おどおどしながら駅長に向かってお礼を言う。少し沈黙が流れ、アユミちゃんが駅長に耳打ち
アユミ「駅長さん。モモちゃんはとってもシャイな娘なんです。だから優しく接してあげてください。」
駅長「・・・えっとモモちゃんだっけ?良かったね。大事なものが見つかって。」
駅長が顔をのぞこうとするとすぐに顔を伏せてしまい、少し沈黙した後ゆっくりと、
モモ「・・・もういっこ・・・もういっこあるんです・・・。」
その子&アユミ「え?もういっこ?・・・これと同じのがですか??」
二人・・いや3人で顔を見合わせる。その空気を敏感に察知したらしく、
モモ「・・あ、で、でもいっこはこうして見つかりました。ホントにありがとうございました。・・・さよなら。」
ぺこっとお辞儀をして走り去っていく。
・・・・・・
・・・・・・
その子「・・・可哀相なことしちゃったかなぁ・・・。」
喫茶店の机に伏せ、ほお杖をついて遠くを眺める。
アユミ「いいえ、その子さんのせいではありませんわ。・・・でもあんな寂しそうな顔をされると辛いですわね。」
同じく遠くを眺める。でてるのは溜め息ばかり。
楓子ちゃんたちにも事情を話してみんなで探すことに。
数日後・・・。
楓子「タイヘンタイヘン〜。」
慌てて駅に駆け込んでくる楓子ちゃん。改札に立つアユミちゃんがそれに気付く。
アユミ「・・・・どぉしました?楓子ちゃん。そんなに慌てて?」
楓子「あ、アユミちゃん!ねぇ、駅長は?駅長さんは?」
アユミ「・・・駅長ですか?ん〜・・・今日は会議だとかで遅くなるそうですわ。」
楓子ちゃんを落ち着かせようとしてるのか坦々とマイペースに物事を喋るアユミちゃん。
でも雰囲気がぼ〜っとしてるのではたから見てると相当に対照的な二人の姿が展開されていた。
楓子「アユミちゃん!実は前に言ってたモモちゃんの忘れ物。見つけたんだよ。」
アユミ「え!?ホントですか!?で、どこにあるんですか?」
楓子「・・・それが・・・この前の遠足のときに立ち寄った駅の落し物で預けられてるみたいなの・・・。」
それを聞いたアユミちゃんも少し表情を雲らせる。預かられてる駅が遠いからです。
アユミ「・・・。あ、そうだ。ちょっと考えがあります。」
乗務手帳を取り出しぱらぱらとめくる。しばらくして少し頷いて
アユミ「うん。楓子ちゃん教えてくれてありがとうございます。これでモモちゃんの元に返せますわ。」
楓子ちゃんに向かってにっこり微笑む。次の瞬間。
アユミ「・・・駅長にはちょっと気の毒かもしれませんけど。」
楓子「・・・え?アユミちゃんなんか言った??」
きょとんとする楓子ちゃんを横目にその後、ずっと笑顔のアユミちゃん。そして2日後・・・。
アユミ「はい。モモちゃん。お忘れ物です。」
感動で目を潤ませるモモちゃんに忘れ物であった包みを手渡す。
モモ「・・・あ、ありがとうございます。アユミお姉ちゃん。」
満面の笑顔で受け取る。アユミちゃんもそれを笑顔で返す。
その子「楓子ちゃん、アユミちゃん、ありがとう。でもよく見つけたね。凄いよ二人とも。」
アユミ「いいえ。お礼なら楓子ちゃんと駅長さんに言ってください。私はただソレを持ち帰っただけですから。」
少しキョトンとして
その子「・・・駅長に?」 アユミ「えぇ。駅長さんに。ですわ。」
二人のもとにモモちゃんがやってくる。
モモ「忘れ物見つけてくれたアユミお姉ちゃん・・・かっこいいです。私もアユミお姉ちゃんみたいな人・・・憧れます。」
その子「あらら〜。もうファンが出来ちゃったんだ。アユミちゃん責任重大よ〜。」
茶化す その子ちゃん。それを聞くなり顔を真っ赤にして顔を伏せるモモちゃん。
アユミ「・・・こ、ここはモモちゃんが照れるトコではありませんわよ?」
少し苦笑いだ。
ちなみに駅長は勝手に他の駅で預けられてた忘れ物を持ち出し、本人確認しないまま返却したことを怒られに
行っているそうな。ちゃんちゃん。
その子「・・・で、あの包みって結局なんだったんだろ??」
アユミ「さぁ?」
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