第13話「〜天使のしっぽ〜」

登場キャラ紹介:(各話ごとに新しく登場するキャラを追加していきます。)

カメのアユミ(おとぎストーリー 天使のしっぽ):ある日突然 駅に訪れた女の子。いつもスケッチブックを持ち歩いて
___________________なにをするために駅に来たのかは本編にて。
>かつて飼っていたペット達が守護天使となり、ご主人様に恩返しにやってくるという現代版のおとぎ話。
>アユミの前世はカメ。階級は2級守護天使。マイペースな性格であるがしっかり者(頑固とも言う)でもあるので
>他の11人のまとめ役であったりする。しかし悟郎の事となるとウサギのミカとはいつも口ゲンカが絶えない。



今日も快晴に晴れ渡った昼下がり。駅前を掃除してる まほろさん。
ですが今日はなにか違ってます。いつも鼻歌を歌いながらほうきを掃いてるんですが
今日は誰かを気にしてるよう。実はここ最近、一人の女の子がずっと駅前で立ってるのです。
どうやら、それが気になってるようなのです。
駅長もそれには気付いているようでその娘が現れる時間には改札に立ってるようにしてます。
駅長はこういう事には手抜かりはありません(第3話参照)

まほろ「その子さん、今日も居ますよ。あの娘。」

その子「うん。ここ3日くらい毎日見かけるもんね。」

まほろ「・・・誰かを待たれてるんでしょうか・・・?」

その子「でも2月だよ。寒いのに・・。・・・あ、ひょっとして もうすぐバレンタインだから
____誰かに渡すためにずっと待っているとか?」

まほろ「それはロマンチックですけど なんかありきたりな少女漫画みたいですよ。」

少し苦笑いのまほろさん。

その子「あはは、ちょっと茶化しすぎだね。」

ふふふと含み笑いをしたと次の瞬間、ふとついたように。

その子「・・・あれ?そぉいえば駅長は?」

まほろ「確か、改札に立ってると思いますけども?」

少し驚いたかキョトンとしたように言い返す。
それを聞くと同時に喫茶店から飛び出していくその子ちゃん。どうやらお説教に向かったらしい・・・。
暫くすると案の定その子ちゃんに連行されて駅長も喫茶店に戻ってくるのでした。


次の日。
毎日行われる朝の通学時間となり楓子ちゃんや学生さんが多く駅に集まってきます。

駅長「おはよーございまーす。」

その子「おはよーございまーす。」

変わらない二人の声が駅に響いています。
大忙しの中、ふと気付くとその子ちゃんの脇にあの娘が立っていたのでした。
すると突然、その女の子が、

女の子「あ、あの・・・その子さん!あの時はホントにお世話になりました。・・これ受け取ってください!!」

その子「へ?・・・あ、ちょっと待って!」

一瞬きょとんとしたがすぐに我に戻り、止めようと声を出したものの女の子はもう走り去っていました。


その子「・・・てなわけよ。どう思う?まほろさん?」

まほろ「ちょっと不思議な娘ですねぇ。う〜ん・・・駅長に相談したほうが良いのではないかと。」

その子「駅長?ダメダメ!!でれでれするだけなんだからっ。」

酷い言われ様である。

そうこうしてると楓子ちゃんが喫茶店にやってきた。

楓子「あっ、その子さん、まほろさん、聞いて下さい〜。あ・・・あ、あ・・・あ、あの・・・あの・・。」

明らかに様子が違うので落ち着かせて聞いてみることに。

その子「か、楓子ちゃん?落ち着いて話してみて。」

楓子「あの、さっき、お、女の子からコレをもらっちゃったの」

楓子ちゃんが差し出したのはなにも変哲の無い只のチョコレートだった。

まほろ「・・ん〜。特に変わりの無いチョコレートですよ?・・・これがどうかして??」

まほろさんにもさっぱり理解できないらしい。

楓子「いっしょにこの手紙も貰ったの・・。」

差し出された手紙を受け取り 中を見てみると、
「あの時はホントにお世話になりました ご主人様。   アユミ」
とだけ書いてある。
つまりは楓子ちゃんにも訳が判らず受け取ってしまったわけである。

楓子「ここに書いてあるアユミって娘・・・。私知らないし・・・。突然だったし驚いちゃって。」

まほろ「・・・どうしてもココロ当りはないんですか?そのアユミちゃんって人には。」

楓子「ううん。アユミちゃんは決して知らない名前じゃないの・・・。でもその娘・・・。死んじゃったし・・。」

まほろ「あ、すみません。聞いちゃいけなかったですね。」

ふるふると首を横に振り、

楓子「ううん。いいの。だってその娘、カメだもん。」

まほろ「へ?・・・カメ・・・?ってあののろまのカメさんのことですか?」

こくりと頷く。

その子「カメのアユミちゃんって去年くらいに駅に迷い込んで来て暫く預かってたあのアユミちゃん??」

まほろ「えぇ?その子さんもご存知なんですか?」

その子「うん。駅に迷い込んでたカメを駅長が見つけて楓子ちゃんが
___”なら私の高校の中庭に池があるんでそこで面倒見ます。”
___って引き取っていったの。」

まほろ「そんなことがあったんですか・・。」

その子「あっ。私も今日、突然女の子から受け取ったんだ。」

ごそごそと箱を出してみると出してびっくり。楓子ちゃんが持ってたのと全く同じ物だった。

その子&楓子&まほろ「・・・・・・・・・・・・・・・。」

沈黙が流れる。

そこに駅長もやってくる。

駅長「おや?楓子ちゃん いらっしゃい。・・どしたの?3人黙りこけちゃって?」

いまいちその様子がつかみきれない。

駅長「まぁ、いいや。今日は女の子からプレゼントなんか貰っちゃったし。」

その子&楓子「・・・プレゼント?」

一瞬にして顔色が変わる。そして殆ど同時に駅長につめより

その子&楓子「その貰ったって言うプレゼントを出しなさいっ!!」

と揃って一喝。さすがに駅長もビビったようだ。

二人の目の前に差し出されたのはやっぱり同じ物だった。

その子「・・・もしかして・・・。偶然じゃないよね・・?」

駅長「・・・いや、偶然の可能性は十分だよ・・・。きっと。」

楓子「・・・・・。」

すると喫茶店のドアが開く。

まほろ「・・・・あ、いらっしゃ・・・・あ、あ、ああ・・・。」

豆鉄砲食らったかのように立ち尽くす まほろさん。
それもそのはず。入り口のところにさっきまで話していた娘が立っているのだから。

まほろ「え、駅長・・・あ、あれ・・。」

くいくいっと袖をひっぱり駅長に言う。

駅長「ん?・・・・うわっ!!」

同じく驚く。それに気付いて楓子ちゃんも振り返る。しかし楓子ちゃんは

楓子「・・・アユミちゃん?・・・・ホントにアユミちゃんなの?・・・帰って来てくれたんだね・・・。」

しばらく沈黙が流れて女の子が口を開いた。

アユミ「・・・・覚えててくれてたんですね・・・。良かった・・・。そうです。アユミです。
___みなさんに助けて頂いたカメのアユミですっ!・・・ご主人様〜!」

楓子ちゃんに抱きつく。

楓子「おかえり。アユミちゃんっ。ホントに悲しかったんだからね。」

二人してわんわん泣き出す。まるで運命の再会をしたかのように。

二人が落ち着いたところで話を聞く。まとめてみるとこうだ。

今年の初めに地震があり、楓子ちゃんの高校にあった中庭の池の岩山が崩れて不運にも
冬眠していたアユミが 眠る場所に崩れた岩山が倒れこんでしまい死んでしまったという話だそうだ。

アユミ「そして助けて頂いた恩返しをしようと守護天使となって今、こうやってみなさんの前に帰ってきたんです。」

楓子「うん。これからはずっといっしょだね。アユミちゃん。」

やっぱり愛情を持って接してた楓子ちゃんは嬉しいようだ。

楓子「・・・でもご主人様って呼び方は止めて欲しいかなぁ。せめて名前で呼んで欲しいな。」

アユミ「そんな!ご主人様を名前で呼ぶなんてとんでもないっ。・・でもご主人・・いえ、楓子さんが言うなら。」

楓子「だめっ。私のことは”楓子ちゃん”。駅長さんは”駅長さん”。・・これでいい?」

アユミ「はい。判りました。楓子ちゃん。」

ふふふと笑うアユミちゃん。

その子「ちょっとちょっとっ。私もちゃんと入れてよね?まったくもう。」

少しむくれる その子ちゃん。

アユミ「では駅長さん?明日から私も駅で働かせて頂いてもいいですか?」

駅長「・・・うん。まぁどこの仕事をしてもらうかまた決めるね。

ぱあぁと明るい顔になり、

アユミ「駅長さんっ。ありがとうございますっ」

嬉しさの余り駅長に抱きつく。

その子&楓子「え〜き〜ちょ〜!!なにしてるんですかっ!!早くどきなさい!!」

駅長「・・・いぃっ!??・・・あ、ちょっとまっ・・・げふっ。」

同時に繰り出された二人の鉄拳が命中したようだ。しかし攻撃の手は止む事はなかった。

まほろ「ま、まぁ・・・いつもあんなカンジだから・・・。」

まほろさんとアユミちゃん。目の前の光景に二人並んで苦笑するしかなかったのでした。


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