第9話「〜毎月14日のXデー(後編)〜」

登場キャラ紹介:(各話ごとに新しく登場するキャラを追加していきます。)

加古川秋子(お嬢様特急):近くで働く19歳(自称)のOL。よく喫茶店に来てはマンガを置いてってくれる。
>ゲームでは「夢見る乙女」全開で廻りにイロイロ仕出かしてくれます。かなり強烈なキャラです。



今日の日付は11月13日。実は誰も気付いてないんですが明日は楓子ちゃんの誕生日なんです。
その気付いてないうちの二人。開店前の喫茶店を掃除してる、その子ちゃんとまほろさんが居ました。

まほろ「・・・はぁ・・・。」

大きく溜め息をつくまほろさん。要は前のこと(第8話)を今も引きずっているんです。

その子「・・あれ?どうしたの?まほろさん?溜め息なんかついちゃって。」

まほろ「(ギクっ!!)・・・・あ、い、いえ、なんでもないですよ。なんでも〜。あぁ〜!!ここ汚れてます!
____ちゃんと磨かないとっ!えいっえいっ!。」

その子「あははは・・。」

なにかを吹っ切るように一心不乱に掃除を始める。さすがにその姿にはその子ちゃんも少し苦笑いだった。
そんなこんなで昼下がりに駅長が喫茶店にやってきました。

駅長「お二人さん、お疲れ様。ちょっとコーヒーでももらえないかな?」

その子「あ、駅長。ご苦労様。ちょっと待っててください〜。」

コーヒーを注ぎながら、その子ちゃんが、

その子「そぉいえば、明日は駅長お休みでしたね。駅のお留守番は任せてくださいね。」

駅長「うん。でもお休みって言っても殆ど駅に居るけどね。」

その子「でも、たまにはのんびり過ごしてきたらどうです?・・・・あ、映画になんて行って見るとか?」

駅長「映画だったら前に楓子ちゃんに誘われたなぁ・・・。まだ行ってなかったけど・・・。」

その子「楓子ちゃんに?」

少しけげんな顔になるがすぐに元に戻り、しばらくすると楓子ちゃんが喫茶店にやってくる。

楓子「駅長、その子さん、まほろさん。ただいま〜。」

駅長、その子、まほろ「おかえりなさい。楓子ちゃん。」

楓子「ね?駅長。明日ってお仕事ですか?」

駅長「ううん。明日はお休み。さっき、そういう話をしてたんだよ。」

楓子「だったらだったら前に約束した映画。明日行きませんか??」

駅長がちらっとその子ちゃんの顔をうかがう。
それに気付いてか気付かずか にこっと笑って

その子「いいんじゃないですか?行ってきてください。駅のお留守番はしっかりやっときますから。」
___「(ここで怒ったりするとまた印象が悪くなっちゃう・・・。・・・ここはガマン ガマン・・・。)」


〜翌日〜

駅長「じゃぁ、いってきます。」

その子「うん。あとで感想聞かせてね。」

駅長「え?・・・あぁ、映画のね。うん・・。」

その子「・・・・(映画のことでなくても帰ってきたら根掘り葉掘り聞き出してやるんだからっ)・・・・、
____うん。いってらっしゃいっ。」

駅長を見送るその子ちゃん。フクザツな思いを抱きながら喫茶店に戻っていきます。

美帆「あ、その子さん。お邪魔してます。」

喫茶店の中に居た美帆ちゃんがぺこっと挨拶する。

秋子「その子ちゃん。久しぶり〜。」

その子「あ、美帆ちゃん、秋子ちゃん。ゴメンね、ほったらかしで。今、紅茶でも入れるから。」

美帆ちゃんと秋子ちゃんは占いとかけっこう趣味が似てるので話が合うらしく よく一緒に居ることが多いようだ。

美帆「そぉいえば今月は秋子さんもお誕生日でしたね。」

秋子「うん。11月24日だよ。でもどうせだったら1ヵ月後とか今日だったほうが良かったなぁ。」

その子「1ヵ月後なら私の誕生日だよ。12月25日だけどね。」

美帆「あらあら、それじゃ、その子さんはお誕生日プレゼントをクリスマスプレゼントと同じにされてた方ですか?」

ちょっと意地悪く質問してみる美帆ちゃん。

その子「・・・うん。実は・・・そうなの。」

ちょっとばつが悪そうに笑うその子ちゃん。

その子「でもなんで今日のほうが良かったの?秋子ちゃん?」

秋子「うん。日本ではあまり知られてないんだけど韓国の習慣で11月14日は
__『オレンジ&ムービー・デー』って恋人同士、映画を楽しんだ後に甘酸っぱいオレンジ・ジュースを飲む日。
__ってあるらしいの。他にも毎月14日に記念日があるって話。なんかロマンチックでしょ?」

その子「・・・今日、映画に・・・ねぇ。・・・まさかねぇ・・・。」

秋子「ん?どぉかしたの?その子ちゃん?」

美帆「あ、そぉいえば今日は佐倉さんのお誕生日じゃないですか。」

ふと思い出したかのように美帆ちゃんが切り出す。と同時にその子ちゃんも大声を出す。

その子「えぇ〜〜っ!!!!」


ホームで一人掃除をする まほろさん。

まほろ「はぁ〜。とりあえず映画の件は穏便に済みそうですね。
____その子さんも今回はお二人を見送ってくださいましたし。さて、私もお留守番がんばりまっしょいっ!」

しかし、戻ってきた駅長を待っていたのは執拗なほどのその子ちゃんの尋問だった。
駅では「オレンジジュース飲んだ!?飲んだんでしょ!?ちゃんと言いなさいっ!!」
と延々その言葉のみのやりとりが繰り返されてたという・・・・。

駅長「・・・・・・飲みました・・・・・・」


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