アシタカツツジの見分け方

NHK連続テレビ小説「らんまん」槙野万太郎まきのまんたろう=牧野富太郎博士命名

昭和30年頃御殿場市の杉本順一氏が位牌岳山頂で発見、その時アシタカツツジと命名したが、同じころ御殿場の小宮山富太郎氏と箱根の沢田武太郎氏が採取し後日植物学の父と言われる牧野富太郎氏に紹介、牧野富太郎博士がアシタカツツジと正式に命名した。

これによりアシタカツツジは牧野富太郎氏が越前岳で採取し命名した愛鷹山と富士宮天子ヶ岳方面固有種となっている。しかし、杉本順一氏は自分の方が1年先に命名したと主張している。渡辺健二氏は著富士山の植物たちの中で、アシタカツツジは雄しべが10本の固定したものが本種と解説しているが、杉本氏は6−9本と固定しないものが本種と主張している。

愛鷹山植物目録 1962年吉原市発行による(原文のまま)

  アシタカツツジの見分け方

アシタカツツジの特徴は愛鷹山郷土史家の後藤治彦氏(長泉町)ら愛鷹山の植生について詳しい方の説明をまとめてご説明します

トウゴクミツバツツジとの決定的な違いは葉が5枚であること。

(GW頃から山麓、山腹に見られる紫色のツツジはそのほとんどがトウゴクミツバツツジです。5月の中旬からトウゴクミツバツツジを追いかけるように6月初旬まで遅れて咲くのがアシタカツツジです。

難しい事は考えないで葉が3枚はミツバ、5枚(互生)がアシタカツツジと覚えておく。したがって葉が出る前の選定は難しい)

●花の大きさがトウゴクミツバツツジより2〜3センチと小振りで1枝先の花芽に円周状に複数ついていること。

●花色はトウゴクミツバの紫にヤマツツジの朱色を混ぜたよう。個体により差がある。

●雄シベが10本であるがトウゴクミツバも10本である。ミツバツツジが5本程度。

●花に白い斑点が付いていること。(ついてないものもある)

●木全体にまとめて固まって咲いていること。

●標高が800m以上で咲いていること(群生地を除く)。

まず下の写真は「トウゴクミツバツツジ」で愛鷹山で最も多くあるツツジです。GW頃から5月中旬過ぎまで咲き誇ります。雄しべが10本程度、葉はミツバで大きくうぶ毛のようなものが生えています。
下はアシタカツツジです。5月中旬から6月の初旬まで咲いてきます。トウゴクミツバより2週間程度後から咲きますが、1200m程度の高いところではトウゴクの遅咲きと競い合うように咲き、実に見事な景色を作り出します。雄しべは10本程度、葉は5葉となり、またトウゴクよりもずいぶん小柄です。
花はたいへん小ぶりで可愛らしいです。ご覧のように濃い朱が入ったものとほとんどトウゴクと同じ紫色があります。朱の強いものは本種に近く、もともとのアシタカツツジ(原種)であると言われています。圧倒的に紫色の方が多いです。花弁の中に白い斑点が入っているものが多く、アシタカツツジの特徴であると言われています。

こちらは山麓から標高700m程度まで咲いている(スルガヤマツツジ)です。雄しべは5本で葉は5枚です。アシタカツツジによく似て小ぶりな事から スルガヤマツツジはアシタカツツジとヤマツツジの交配したものと言われています。。また、よりトウゴクに近い紫色はその後トウゴクと再度交雑した可能性もあり、トウゴクと花弁の大きさが変わらないものもあるので、隣接して生えている場所などではさまざまな交雑種が発生しているようです。このことからもっとも小ぶりで朱の色が濃い本種のアシタカツツジは 御殿場農園等で株分けされて増やしていく運動も見られます。(学術的に研究されたい方は専門の機関にお問合せください。当HPの情報は愛鷹山マニア等の意見をわかりやすく解説しているにとどまります)

追記 トウゴクミツバツツジは葉と同時に咲きだしますが、咲き始めの葉は尖がっていて内側にカールしています。 一方、登山道入口などでGW前に咲きだすミツバツツジは花だけ先に咲いて、花が落ちてから葉が出てきます。葉は外側に若干カールしてなおかつ、トウゴクのような産毛は見当たりません。

花の咲く順番は(ミツバートウゴクミツバーヤマツツジ・アシタカツツジ)です。

愛鷹山標高800m以上でアシタカツツジを探す際は葉が5枚であればアシタカツツジでほぼ間違いありません。

また、アシタカツツジの株は高値で取引されており盗掘が絶えません。したがって当HPではアシタカツツジの咲いてあるポイントの地図は載せていません。愛鷹原種と言われている山アジサイの白富士や山山椒、その他の山野草を持って帰るのはおやめくださるようお願いいたします。


愛鷹山山内のアシタカツツジの分布考察

愛鷹山でアシタカツツジを見られる場所は登山道沿いがほとんどで、特に山頂付近や見晴らしの利く休憩場所の付近に多いです。このことについては愛好家の間では以前より以下のような憶測があります。

原種の発生は裾野市十里木付近か須山地区(自然発生説・庭木として改良説)ー昭和の戦後の登山ブームで種が登山靴で各所に運ばれ休憩場所にて発芽(北面だけでなく愛鷹山南面、大岳呼子ルートにも生育) また富士宮市の天使ヶ岳、長者ヶ岳でも多く群生しているのは登山者が同じ靴で登山した結果。アシタカツツジは標高800m付近から上に生育し、また独特の土でよく成長するらしい。天使ヶ岳方面と土質が似ていて偶然定着したのではないか、との事です。

当HP管理人の最新情報

愛鷹山山頂にある桃沢神社奥宮の背後にはアシタカツツジが植わっています。平安期より祀られている神社に奉納というかたちで昭和30年代に植えられたという話がありました。神聖なる神社の前に珍しい花を植樹したわけです。これにより株分けされたアシタカツツジは須山方面から持ち込まれた貴重な原種とみることができます。こちらのアシタカツツジは小ぶりで朱色が強く斑点のあるものです。つまりこれが原種と思われます。これと同じ株は位牌岳山頂、袴腰岳、一服尾根ぬた場付近で確認されており一服尾根は炭焼場への搬入ルートとなっています。

※ これは憶測で学術的根拠はありませんがたぶん当たっています。

 

 

 

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